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第二十二話 王命謹慎
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第二十二話 王命謹慎
王宮の鐘が、重く鳴った。
昼の鐘ではない。
緊急召集を告げる合図だ。
重臣たちが玉座の間に集まる。
空気は張り詰め、誰も私語を交わさない。
アルヴァリオは前に立たされていた。
昨日の逆上。
監査官への抗議。
公爵家への証拠なき非難。
すべてが報告書として、国王の手元にある。
国王はゆっくりと立ち上がった。
「アルヴァリオ」
その声に温度はない。
「監査は継続中である」
「はい」
アルヴァリオは短く答える。
「だが、王太子としての冷静さを欠いた発言は看過できぬ」
沈黙。
「よって」
場内の空気が凍る。
「監査終了まで、王太子の職務を停止する」
ざわめきが走る。
セシルが息を呑む。
「父上、それは……!」
「王命である」
短い言葉。
覆らない。
「政務、軍務、外交。すべて一時停止」
重臣の一人が告げる。
「代行は第二王子殿下」
その名が落ちた瞬間、空気が変わった。
比較が、公式になる。
アルヴァリオの顔が青ざめる。
「俺は……王太子だ」
「王太子であるからこそだ」
国王の声は冷たい。
「国の信用を守るため、距離を置く」
それは罰ではない。
だが、事実上の更迭に近い。
セシルが縋る。
「殿下は悪くありません!」
誰も応じない。
守る言葉は、もう重みを持たない。
アルヴァリオは拳を握る。
だが反論できない。
逆上した事実。
証拠なき非難。
監査中の軽率な発言。
すべてが重なる。
「……わかりました」
絞り出すような声。
王太子は、玉座の前で一礼した。
その姿は、昨日よりも小さく見えた。
公爵邸。
「王命により謹慎でございます」
報告が届く。
私は静かに頷く。
「代行は」
「第二王子殿下」
「そうですか」
感情は動かない。
これは当然の流れ。
「お嬢様、王家は大きく動きました」
執事が言う。
「ええ」
私は窓の外を見る。
「王家は守ろうとしています」
誰を。
王太子ではない。
王国を。
王都では、噂が確信へ変わる。
「職務停止」
「事実上の更迭」
「第二王子が代行」
令嬢たちの茶会でも、声が低くなる。
「もう戻れないのでは」
「謹慎は形だけでしょうか」
誰も断言できない。
だが、流れは止まらない。
王宮の私室。
アルヴァリオは一人、椅子に座っていた。
窓の外に広がる王都。
かつては、自分が頂点だと思っていた。
だが今は違う。
政務は取り上げられ、署名権も凍結。
“王太子”という肩書きだけが残る。
セシルがそっと言う。
「殿下、これは一時的ですわ」
アルヴァリオは答えない。
初めて理解し始める。
選択は積み重なる。
盗用を庇った。
横領を軽視した。
監査に逆上した。
その結果が、今だ。
公爵邸の庭。
夜風が薔薇を揺らす。
私は静かに呟く。
「距離を置かれましたね」
謹慎。
それは静かな宣告。
王太子は、国から一歩引かされた。
そしてその空白に、別の影が立つ。
第二王子。
比較は、もはや噂ではない。
公式の配置となった。
王命謹慎。
それは、転落の始まりではない。
転落が、形になった瞬間だった。
王宮の鐘が、重く鳴った。
昼の鐘ではない。
緊急召集を告げる合図だ。
重臣たちが玉座の間に集まる。
空気は張り詰め、誰も私語を交わさない。
アルヴァリオは前に立たされていた。
昨日の逆上。
監査官への抗議。
公爵家への証拠なき非難。
すべてが報告書として、国王の手元にある。
国王はゆっくりと立ち上がった。
「アルヴァリオ」
その声に温度はない。
「監査は継続中である」
「はい」
アルヴァリオは短く答える。
「だが、王太子としての冷静さを欠いた発言は看過できぬ」
沈黙。
「よって」
場内の空気が凍る。
「監査終了まで、王太子の職務を停止する」
ざわめきが走る。
セシルが息を呑む。
「父上、それは……!」
「王命である」
短い言葉。
覆らない。
「政務、軍務、外交。すべて一時停止」
重臣の一人が告げる。
「代行は第二王子殿下」
その名が落ちた瞬間、空気が変わった。
比較が、公式になる。
アルヴァリオの顔が青ざめる。
「俺は……王太子だ」
「王太子であるからこそだ」
国王の声は冷たい。
「国の信用を守るため、距離を置く」
それは罰ではない。
だが、事実上の更迭に近い。
セシルが縋る。
「殿下は悪くありません!」
誰も応じない。
守る言葉は、もう重みを持たない。
アルヴァリオは拳を握る。
だが反論できない。
逆上した事実。
証拠なき非難。
監査中の軽率な発言。
すべてが重なる。
「……わかりました」
絞り出すような声。
王太子は、玉座の前で一礼した。
その姿は、昨日よりも小さく見えた。
公爵邸。
「王命により謹慎でございます」
報告が届く。
私は静かに頷く。
「代行は」
「第二王子殿下」
「そうですか」
感情は動かない。
これは当然の流れ。
「お嬢様、王家は大きく動きました」
執事が言う。
「ええ」
私は窓の外を見る。
「王家は守ろうとしています」
誰を。
王太子ではない。
王国を。
王都では、噂が確信へ変わる。
「職務停止」
「事実上の更迭」
「第二王子が代行」
令嬢たちの茶会でも、声が低くなる。
「もう戻れないのでは」
「謹慎は形だけでしょうか」
誰も断言できない。
だが、流れは止まらない。
王宮の私室。
アルヴァリオは一人、椅子に座っていた。
窓の外に広がる王都。
かつては、自分が頂点だと思っていた。
だが今は違う。
政務は取り上げられ、署名権も凍結。
“王太子”という肩書きだけが残る。
セシルがそっと言う。
「殿下、これは一時的ですわ」
アルヴァリオは答えない。
初めて理解し始める。
選択は積み重なる。
盗用を庇った。
横領を軽視した。
監査に逆上した。
その結果が、今だ。
公爵邸の庭。
夜風が薔薇を揺らす。
私は静かに呟く。
「距離を置かれましたね」
謹慎。
それは静かな宣告。
王太子は、国から一歩引かされた。
そしてその空白に、別の影が立つ。
第二王子。
比較は、もはや噂ではない。
公式の配置となった。
王命謹慎。
それは、転落の始まりではない。
転落が、形になった瞬間だった。
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