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171 待機の町
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ユニコーンから王女救出の依頼を受けたルリ達『ノブレス・エンジェルズ』の4人。
王女が教会に連れ去られたとの噂を聞きつけ、今は、公聖教会の総本山があるという、魔導王国の西側へ向かって移動している。
情報収集の為、総本山の近くで街に立ち寄る事を決めると、すれ違う人々からも情報を集めつつ進んだ。
「さっき聞いた、シラトの町に行きましょう」
「如何にも怪しい感じだったわね……」
街道沿いで休憩している商人の一行に聞いた、この先にある町、シラト。
魔導王国に所属する町ではあるが、実質的には公聖教会の支配下にあるらしい。
しかも、商人がこぞって、旅人が行く場所じゃないから近づくなと忠告してきた。
それは、……行くしかない。
そもそも公聖教会は、国ではないので、領地は持たない。
しかし、魔導王国の国境付近、統治の及んでいない区域を聖地と定め、実質支配を行っている。
最初は魔導王国とも衝突があったようだが、今では共存の関係になっているようだ。
魔導王国の導師と何かしらの取引があった……。想像するのは難しくない。
(勝手に居ついた宗教団体と仲良くなるとか……。碌な事がないわね……)
それが正しい導きなら良いのであるが、新興宗教団体が事件を起こした話など、何度もニュースで見たことのあるルリは、いい印象は持てなかった……。
「あれじゃない? 小さな町ね……」
「人がたくさん並んでるわ……」
「警備の人、教会の服みたいね……」
城壁ではなく柵で囲まれた程度の小さな町。
門には、多くの人が中に入ろうと並んでいる。
その門を警備する兵士の服装は、魔導王国の兵装ではなく、修道服に近いデザインだった。
「列が2つあるわね。片方は短い……」
よく見ると、町に入る為の行列が2本ある。
片方はすんなり入れるが、もう片方の列は進む気配がなかった。
「旅の冒険者です。町に寄りたいのですが、どこに並んだらよろしいでしょうか?」
「治療の希望はあるか? あれば右、なければ左だ」
「この町でも治療を受けられるのですか?」
「何も知らんのか? この町は待機所だ。順番が来れば、総本山に移り治療が受けられる」
近くにいた修道服の兵士に声を掛けると、治癒を受けるために、この町で待機するのがルールと教えられた。
「総本山に行っても、治癒は受けられないのですか?」
「治癒師様は忙しいのだ。当然だろう! 協会に用が無いのならさっさと失せろ!」
いわゆる門前払い。
教会の客で無いのであれば用はない、帰れと言われてしまうルリ。
苛つきつつも、無視して左の行列に並ぶ。
「何の用だ。旅の者が泊まるような宿はないぞ」
「あの、見ての通り食料が……。少しでも補充できればと、町があったので立ち寄ったのですが……」
「荷物はどうした……? しかも、未成年4人なのか?」
「ええと、先程魔物と戦った際に……。でも、お金は持ってますので、買い物だけ、させていただけませんか……?」
「仕方ないか。良かろう」
門を通ろうとすると、またもや止められた。
ちょうど手ぶらなので、荷物を無くした事にして誤魔化す。
仲間もその時に居なくなったという雰囲気を醸し出すと、さすがに同情してくれたのか、通してくれた。
「メアリー、よくもまぁ、すらすらと言葉が出てくるわね」
「商いは言葉が命ですよ。それに、嘘は言ってません!」
咄嗟に交渉したメアリーに感心するルリ。みんな、言葉が達者だ。
門を入ると、宿屋や商店が並んでいる。
治癒待ちで訪れた人々を待機させるための町だけあり、宿屋には『治癒待ちの方優先』と書いてあった。
空きがあれば旅人も泊まれるのであろうが、あれだけの人が門の外まで溢れていたのだ。
むしろ、空いている方が少ない。
「しかし、酷いわね……」
「怪我人と病人ばかりだわ……」
町を歩く人のほとんどが、怪我を負っていたり、顔色が悪くフラフラしていたりする。
「みんな、気持ちは分かるけど、治療とかしちゃダメよ……」
「うん、分かってるわ……」
すれ違う怪我人を、ルリ達ならばすぐにでも治療できてしまうだろう。
しかし、それをやってしまうと、確実にトラブルになり、教会と揉める。
トラブルも総本山に入る手段の一つではあるが、それはあくまで最終手段。
まずは、正規に教会に入る為のルートを探すのが優先だ。
「こんにちは。旅の者ですが、食事をさせていただけませんか?」
「いらっしゃい、どうぞ、お座りになって」
食堂があったので入ってみる。食堂ならばゆっくり話ができる可能性が高い。
旅人と伝えても快く接客してくれる女将に礼を言い、席につくルリ達。
早速食事を注文すると、情報収集を始めた。
「女将さん、この近くに公聖教会の総本山があるのですよね」
「そうよ。馬車で半日くらいの距離ね。でも、行っても中には入れないわよ」
「観光目的でもダメですか? せっかくなので教会を見て、ご祈祷したいと思ってるのですが……」
教会の中に入れない。それは、予想している事だ。
だが、観光で祈祷するだけならと、聞いてみる。
「遠くから見る分には、誰も文句は言わないわね。後は、お金を積めば、礼拝所に入れるけど……」
「礼拝所、つまり教会の中に入れるのですか?」
「入り口近くの場所だからね。一般人が入れる礼拝所では、中に入ったとまでは言えないかな?」
聞いてみると、お布施をすれば、門の近くの礼拝所で祈りを捧げる事が出来るらしい。
礼拝所は教会の端らしいが、お布施の金額次第では、話が変わってくる可能性もある。
金額で入れる場所が変わるのかまでは、女将は知らなかった。
「ありがとうございます。美味しかったですわ。入り口の礼拝所、尋ねてみますわ」
「気を付けてね。良い旅を」
「お金で解決なら、どうにかなる可能性があると……。今、いくらある?」
「魔導王国の通貨だと、聖金貨1枚分くらいかなぁ。クローム王国のお金ならいっぱいあるけど……」
「聖金貨1枚かぁ。足りるかしら?」
クローム王国の痕跡は残したくないので、使うのは魔導王国の通貨だ。
聖金貨1枚、つまり一般人なら3~4ヶ月分の月収に相当する金額ならば、決して不足とは言えない。しかし、金銭感覚のおかしいルリ達なので、心配になる。
「ここで両替するのは避けたいわ。もし足りなければ、別の方法を考えましょう」
「そうね。いずれにしても、お布施で祈祷の路線が、有力候補だわ」
総本山侵入の方法は、いくつか考えられる。
まずは、怪我人として治癒を受ける方法。それは、かなり時間が掛かりそうだし、怪我はしたくないので却下だ。
次に、治癒師として招かれる方法。簡単ではあるが、抜け出すのが大変そうなので、できれば避けたい。
その辺で治癒魔法を披露し、トラブルを起こして教会に捉えられる場合も同様だ。
教会の関係者に接触して中に入る方法もあるが、そんな知り合いはいない。それに、魔導王国と繋がっている可能性もあるので、余程の出会いがない限りは、実現不可能な方法だ。
お布施で礼拝所に入るのは、最も安全性が高く、自然な形で教会に近づけるように思えた。
「早速だけど、総本山に行きましょうか」
「そうね、今出れば、暗くなる前に総本山に到着できるわ」
本来ならば、他にも情報収集をしたい所だが、有力な情報を得たので、早々にシラトの町は出発することにした。
何より、行き交う怪我人を回復したくなる衝動を抑えきれなくなっていた事も大きい。
「教会は何を考えているのでしょうね。あんなにたくさんの怪我人を放置して、よくあれで、癒しの教会などと名乗れるものだわ……」
あまりの惨状に憤慨しながらも、ダッシュで総本山に向かうルリ達。
馬車で半日の距離、つまり、ルリ達には数時間程度の距離だ。
休憩なしで走り続けると、すぐに教会の総本山が見えてきた。
自然の地形を利用し、崖の間に建てられた巨大な門。
奥の崖の上には、白い土壁が優雅で、神聖さを誇示するかのような壮大な教会がある。
「門まで行ってみましょう。祈祷の受付をしてくれるはずだわ」
「そうね。……あれ? 誰かいるわよ……?」
門に向かって歩こうとすると、すでに先客がいるようだ。
何かを話しているので、聞き耳を立ててみる。
『お願いします、中に入れてください……』
『何度も言っているだろ。ここに並んでも、治癒は受けられないんだ』
『そんな時間はないんです。お願いです……、通してください……』
門の前では、数組の馬車が、治癒を受けようと行列を作り、門を守る兵士と揉めていた。
待機所で待つほどの余裕もなく、直接患者を馬車で連れてきたのであろう。
兵士も困り果てているのがわかる。
自分たちで治癒する訳にはいかないので、無視して通り過ぎるルリ達。
しかし、礼拝所に向かおうと、馬車のすぐ側を横切った、その時だった……。
馬車の扉が開き、ルリの目の前に、血だらけの男性が転がり落ちてくる。
魔物に襲われたのか、野盗に襲われたのか、生きているのが不思議なほどの大怪我だ。
「うわっ!?」
「お父さん! 出て来ちゃダメ!! お嬢さん、すみません!」
「い、いえ、あの……」
娘だろうか。外で兵士とやり合っていた女性が、ルリに謝罪しつつ、血だらけの男性に駆け寄ってくる。
男性は、何かを言いたくて、馬車から出て来たのであろう。ちょうどルリの目の前で倒れたまま、『ぅぅぅ』と言う呻き声だけを発していた。
(あぁぁ、この人、死んじゃう……。でも……、ダメよ私……。ダメだけど……)
「「「ルリ、待って! 今は止めて!!」」
(完全回復……)
ミリア達の静止もむなしく、治癒を施すルリ。
目の前に死にそうな人がいるという状況に、助けないという選択をすることは、……もう出来なかった。
そして、男は光に包まれるのであった……。
王女が教会に連れ去られたとの噂を聞きつけ、今は、公聖教会の総本山があるという、魔導王国の西側へ向かって移動している。
情報収集の為、総本山の近くで街に立ち寄る事を決めると、すれ違う人々からも情報を集めつつ進んだ。
「さっき聞いた、シラトの町に行きましょう」
「如何にも怪しい感じだったわね……」
街道沿いで休憩している商人の一行に聞いた、この先にある町、シラト。
魔導王国に所属する町ではあるが、実質的には公聖教会の支配下にあるらしい。
しかも、商人がこぞって、旅人が行く場所じゃないから近づくなと忠告してきた。
それは、……行くしかない。
そもそも公聖教会は、国ではないので、領地は持たない。
しかし、魔導王国の国境付近、統治の及んでいない区域を聖地と定め、実質支配を行っている。
最初は魔導王国とも衝突があったようだが、今では共存の関係になっているようだ。
魔導王国の導師と何かしらの取引があった……。想像するのは難しくない。
(勝手に居ついた宗教団体と仲良くなるとか……。碌な事がないわね……)
それが正しい導きなら良いのであるが、新興宗教団体が事件を起こした話など、何度もニュースで見たことのあるルリは、いい印象は持てなかった……。
「あれじゃない? 小さな町ね……」
「人がたくさん並んでるわ……」
「警備の人、教会の服みたいね……」
城壁ではなく柵で囲まれた程度の小さな町。
門には、多くの人が中に入ろうと並んでいる。
その門を警備する兵士の服装は、魔導王国の兵装ではなく、修道服に近いデザインだった。
「列が2つあるわね。片方は短い……」
よく見ると、町に入る為の行列が2本ある。
片方はすんなり入れるが、もう片方の列は進む気配がなかった。
「旅の冒険者です。町に寄りたいのですが、どこに並んだらよろしいでしょうか?」
「治療の希望はあるか? あれば右、なければ左だ」
「この町でも治療を受けられるのですか?」
「何も知らんのか? この町は待機所だ。順番が来れば、総本山に移り治療が受けられる」
近くにいた修道服の兵士に声を掛けると、治癒を受けるために、この町で待機するのがルールと教えられた。
「総本山に行っても、治癒は受けられないのですか?」
「治癒師様は忙しいのだ。当然だろう! 協会に用が無いのならさっさと失せろ!」
いわゆる門前払い。
教会の客で無いのであれば用はない、帰れと言われてしまうルリ。
苛つきつつも、無視して左の行列に並ぶ。
「何の用だ。旅の者が泊まるような宿はないぞ」
「あの、見ての通り食料が……。少しでも補充できればと、町があったので立ち寄ったのですが……」
「荷物はどうした……? しかも、未成年4人なのか?」
「ええと、先程魔物と戦った際に……。でも、お金は持ってますので、買い物だけ、させていただけませんか……?」
「仕方ないか。良かろう」
門を通ろうとすると、またもや止められた。
ちょうど手ぶらなので、荷物を無くした事にして誤魔化す。
仲間もその時に居なくなったという雰囲気を醸し出すと、さすがに同情してくれたのか、通してくれた。
「メアリー、よくもまぁ、すらすらと言葉が出てくるわね」
「商いは言葉が命ですよ。それに、嘘は言ってません!」
咄嗟に交渉したメアリーに感心するルリ。みんな、言葉が達者だ。
門を入ると、宿屋や商店が並んでいる。
治癒待ちで訪れた人々を待機させるための町だけあり、宿屋には『治癒待ちの方優先』と書いてあった。
空きがあれば旅人も泊まれるのであろうが、あれだけの人が門の外まで溢れていたのだ。
むしろ、空いている方が少ない。
「しかし、酷いわね……」
「怪我人と病人ばかりだわ……」
町を歩く人のほとんどが、怪我を負っていたり、顔色が悪くフラフラしていたりする。
「みんな、気持ちは分かるけど、治療とかしちゃダメよ……」
「うん、分かってるわ……」
すれ違う怪我人を、ルリ達ならばすぐにでも治療できてしまうだろう。
しかし、それをやってしまうと、確実にトラブルになり、教会と揉める。
トラブルも総本山に入る手段の一つではあるが、それはあくまで最終手段。
まずは、正規に教会に入る為のルートを探すのが優先だ。
「こんにちは。旅の者ですが、食事をさせていただけませんか?」
「いらっしゃい、どうぞ、お座りになって」
食堂があったので入ってみる。食堂ならばゆっくり話ができる可能性が高い。
旅人と伝えても快く接客してくれる女将に礼を言い、席につくルリ達。
早速食事を注文すると、情報収集を始めた。
「女将さん、この近くに公聖教会の総本山があるのですよね」
「そうよ。馬車で半日くらいの距離ね。でも、行っても中には入れないわよ」
「観光目的でもダメですか? せっかくなので教会を見て、ご祈祷したいと思ってるのですが……」
教会の中に入れない。それは、予想している事だ。
だが、観光で祈祷するだけならと、聞いてみる。
「遠くから見る分には、誰も文句は言わないわね。後は、お金を積めば、礼拝所に入れるけど……」
「礼拝所、つまり教会の中に入れるのですか?」
「入り口近くの場所だからね。一般人が入れる礼拝所では、中に入ったとまでは言えないかな?」
聞いてみると、お布施をすれば、門の近くの礼拝所で祈りを捧げる事が出来るらしい。
礼拝所は教会の端らしいが、お布施の金額次第では、話が変わってくる可能性もある。
金額で入れる場所が変わるのかまでは、女将は知らなかった。
「ありがとうございます。美味しかったですわ。入り口の礼拝所、尋ねてみますわ」
「気を付けてね。良い旅を」
「お金で解決なら、どうにかなる可能性があると……。今、いくらある?」
「魔導王国の通貨だと、聖金貨1枚分くらいかなぁ。クローム王国のお金ならいっぱいあるけど……」
「聖金貨1枚かぁ。足りるかしら?」
クローム王国の痕跡は残したくないので、使うのは魔導王国の通貨だ。
聖金貨1枚、つまり一般人なら3~4ヶ月分の月収に相当する金額ならば、決して不足とは言えない。しかし、金銭感覚のおかしいルリ達なので、心配になる。
「ここで両替するのは避けたいわ。もし足りなければ、別の方法を考えましょう」
「そうね。いずれにしても、お布施で祈祷の路線が、有力候補だわ」
総本山侵入の方法は、いくつか考えられる。
まずは、怪我人として治癒を受ける方法。それは、かなり時間が掛かりそうだし、怪我はしたくないので却下だ。
次に、治癒師として招かれる方法。簡単ではあるが、抜け出すのが大変そうなので、できれば避けたい。
その辺で治癒魔法を披露し、トラブルを起こして教会に捉えられる場合も同様だ。
教会の関係者に接触して中に入る方法もあるが、そんな知り合いはいない。それに、魔導王国と繋がっている可能性もあるので、余程の出会いがない限りは、実現不可能な方法だ。
お布施で礼拝所に入るのは、最も安全性が高く、自然な形で教会に近づけるように思えた。
「早速だけど、総本山に行きましょうか」
「そうね、今出れば、暗くなる前に総本山に到着できるわ」
本来ならば、他にも情報収集をしたい所だが、有力な情報を得たので、早々にシラトの町は出発することにした。
何より、行き交う怪我人を回復したくなる衝動を抑えきれなくなっていた事も大きい。
「教会は何を考えているのでしょうね。あんなにたくさんの怪我人を放置して、よくあれで、癒しの教会などと名乗れるものだわ……」
あまりの惨状に憤慨しながらも、ダッシュで総本山に向かうルリ達。
馬車で半日の距離、つまり、ルリ達には数時間程度の距離だ。
休憩なしで走り続けると、すぐに教会の総本山が見えてきた。
自然の地形を利用し、崖の間に建てられた巨大な門。
奥の崖の上には、白い土壁が優雅で、神聖さを誇示するかのような壮大な教会がある。
「門まで行ってみましょう。祈祷の受付をしてくれるはずだわ」
「そうね。……あれ? 誰かいるわよ……?」
門に向かって歩こうとすると、すでに先客がいるようだ。
何かを話しているので、聞き耳を立ててみる。
『お願いします、中に入れてください……』
『何度も言っているだろ。ここに並んでも、治癒は受けられないんだ』
『そんな時間はないんです。お願いです……、通してください……』
門の前では、数組の馬車が、治癒を受けようと行列を作り、門を守る兵士と揉めていた。
待機所で待つほどの余裕もなく、直接患者を馬車で連れてきたのであろう。
兵士も困り果てているのがわかる。
自分たちで治癒する訳にはいかないので、無視して通り過ぎるルリ達。
しかし、礼拝所に向かおうと、馬車のすぐ側を横切った、その時だった……。
馬車の扉が開き、ルリの目の前に、血だらけの男性が転がり落ちてくる。
魔物に襲われたのか、野盗に襲われたのか、生きているのが不思議なほどの大怪我だ。
「うわっ!?」
「お父さん! 出て来ちゃダメ!! お嬢さん、すみません!」
「い、いえ、あの……」
娘だろうか。外で兵士とやり合っていた女性が、ルリに謝罪しつつ、血だらけの男性に駆け寄ってくる。
男性は、何かを言いたくて、馬車から出て来たのであろう。ちょうどルリの目の前で倒れたまま、『ぅぅぅ』と言う呻き声だけを発していた。
(あぁぁ、この人、死んじゃう……。でも……、ダメよ私……。ダメだけど……)
「「「ルリ、待って! 今は止めて!!」」
(完全回復……)
ミリア達の静止もむなしく、治癒を施すルリ。
目の前に死にそうな人がいるという状況に、助けないという選択をすることは、……もう出来なかった。
そして、男は光に包まれるのであった……。
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