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おまけ
ダークヒロインだった結果③ ※R18
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壁際に追い込まれたドロテアはブラッドリーに唇を塞がれ、両足を割られ、そこにぐりぐりと腰を押し付けられた。
ブラッドリーから濃い汗の匂いがする。
ドロテアはそれだけで脳天が痺れ、目に涙を浮かべながら夢中で口付けを受け入れ続けた。
そして今日こそは絶対に逃すものかと、腹の奧をきゅんきゅんさせながら上目遣いをした。
「……ドロテア」
唇が離れ、余裕の無い目で見下ろされた。
「……この三日間、何をして過ごしていた?」
片手で両手首を頭上に留められ、ドレスの中に侵入してきた手が太腿から下着に移動していく。
「……えっ。あの、」
「言えないのか?」
「──ッ!」
ブラッドリーの指がドロテアの茂みをなぞり、早急に中で指を突き立てた。ドロテアは鼻で息を漏らし、喉を反らした。
「何故こんなに濡れている?」
「っ、ん」
「さっきまで誰かに弄られていたのか?」
「ああっ、違っ……!」
「答えろ。誰と会っていた?」
「あああっっ、……!」
好いた男の指で中を掻きまぜられながら目前で血走った嫉妬の眼を向けられている、この状態がドロテアは大好物だった。
可愛い、愛しい、もう大好きと、口にはせずドロテアは果てた。
「っ、はぁ、はぁ……そん、な……三日ぶり、だから、優しくしてくだ、さ……」
「……確かにきついな。中指が食いちぎられそうだ」
ブラッドリーは片膝をつき、ドロテアのドレスの裾を捲った。そして片足を上げさせ、下着を剥ぎ取り、顔を深く埋めた。
「やん、待っ、あああっっ……!」
背後は壁で、ブラッドリーの肩に足を乗せられ、両手で尻を掴まれているドロテアは逃げることも出来ない。
中に舌が挿ってくる。先端を固く尖らせた肉厚な舌が蜜を掻き出す。
ドロテアは背筋を反らして軽く達した。
尻を掴んでいるブラッドリーの親指が、締め付けを繰り返すドロテアのそこを抉じ開けた。そしてまた舌を捩じ込み、奥へ奥へと侵入してくる。
「やッ、ああっ、っ、なん、で……!」
ブラッドリーの荒い息が茂みに吹きかかる。
ドレスの中にいるブラッドリーの顔は見えない。それでも僅かな指の動きと洩れる吐息がブラッドリーの余裕の無さを現していた。
ブラッドリーがこんな風に早急な行為をしてくるのは、いつも仕事で屋敷を数日空けた後が常だった。
ドロテアは溜まっているのだろうと最初は思ったが、毎回ブラッドリーがちんぷんかんぷんな尋問をしてくるので、しばらくしてようやく気付いた。
浮気調査をしている、と。
だから最初に指で中を確めているのか。感触や内壁の形はいつも通りか、入り口の締まりはどうか、まるで罪人に対する一気一様を見逃さないよう顔色まで窺いながら一瞬も目を離さない。
困った人、可愛い、ときゅんきゅんしていたが、そこまで調べてなお、ブラッドリーの尋問は止まらなかった。
双子を妊娠中は指を挿れてくることはなかったが、よく顔を埋められていた。
とくに舌で確めてくる。
まさか味を? と思ったが、そうでもないようだ。中にある何かを探しているような、必死に調べようとしているような……。
そこでドロテアはピンときた。
ブラッドリーは一度は読んだ筈のドロテアの卒業論文を、ジルベルトを生んだ後にとくに熟読していた。尋問が始まったのもそのすぐ後だ。
夫はあの論文から何か気付いたのだ。
妻の不貞を調べる、論理的な方法を。
それなら魔力が関係していることは間違いない。
魔力は体液や血液にも含まれている。
なら体液……子種にも含まれているのだろう。
まさか他の男の子種の痕跡を?
しかし指紋やDNAのように個人の魔力を特定する方法はまだこの世界にはない。
……ブラッドリー様は特定する方法を編み出したのかも?
なのでドロテアは双子を生んだ直後にブラッドリーにかまをかけてみた。
ある日のこと、ブラッドリーが側にいる時に子供部屋の前に立ち、ドアを開けて声を荒げた。
『まあこんなに散らかしてっ……絵本は鋭い魔力で切られたようね。朝からここで遊んでいたのは……確かエイデルとルーベンね!』
ドロテアが頬を膨らませて言うと、ブラッドリーが「待て」と肩を抱いてきた。
そしてズタズタに切られた絵本を手にして、そこに自分の魔力を纏わせた。
ドロテアが慎重に探っていると、ブラッドリーは絵本に纏わせた魔力を自身に戻し「ふむ」と頷いた。
『……ジルだな』
『え? 何故そう思われたのですか?』
ブラッドリーは一瞬ぎくりとして、咳払いをしてからドロテアから目を反らした。
双子は生まれたばかりだったので、誰もがそう思って当然だったのだが、ブラッドリーの核心を得た様子からなにか証拠を見つけたのだとドロテアは悟った。
『エイデルとルーベンはまだ魔力操作もできない赤子だ。よって絵本を切り裂くことは不可能だ』
『でもジルは生後一ヶ月で魔力操作を覚えましたわ。下の子達ももう出来るのかもしれませんわ』
『……チッ。ジルは本当に私とそっくりだな』
『ブラッドリー様?』
『あ、いやジルは今年の夏にはかき氷食べたさに氷を削ぐことを覚えただろう? 絵本を切り裂くくらい、今は朝めし前だ』
『……そうでしたわ! 私ったら、エイデルとルーベンに罪を被せるところでしたわ!』
ブラッドリーはにこりと笑い、ドロテアの髪に口付けてからホッとしたように去っていった。
ブラッドリーの姿が消え、ドロテアのドレスからひょこっとジルベルトが顔を出した。
ジルベルトはドロテアのドレスの中に入るのが大好きだった。ある意味ブラッドリーとそっくりだ。
ジルベルトは先ほどドロテアに頼まれて切り刻んだ絵本を手にすると「あれぇ? ぼくの魔力がない」と言った。
『え?』
『とーさま、ぼくの魔力もっていったー?』
『…………あ』
そこでドロテアはピンときた。
ブラッドリーはジルベルトの魔力が纏う絵本に、自分の魔力を纏わせてからまた自身に戻していた。
そのことから、他人の魔力に自分の魔力を纏わせることで、個人を特定する何かが解るのではないかと。
ドロテアはさっそく検証に入ったが、簡単なことではなかった。
既に他の人の魔力が纏っている物に、自分の魔力を纏わせるのは、割れやすい他人のシャボン玉に自分がストローで膨らませたシャボン玉を上手にくっつけて、更にそれが割れない内に二つともストローで吸いこむという、おまけに吸収中に割れないよう魔力の濃度すらも合わせる必要があった。それには息を殺して集中せざるを得ない鍛練が必須で、ドロテアはブラッドリーの見事な魔力操作に舌を巻いた。
そうして半日で検証は済んだ。
他の人の魔力と自分の魔力を合わせたものは、吸収した時に個人の特定ができることが解った。
他人の白飯に自分のカレーをかけるとカレーライスが完成するように、ドロテアは個人の魔力を特定するレシピのようなものを発見したのだ。
ブラッドリー様すごい!
こんなの初めて知った!
それを発見した日は、久々に寝具の上でブラッドリーに抱かれながら、ドロテアは堪らず何度も言った。すごい、ブラッドリー様すごい、こんなの初めて、すごい、と。その日のブラッドリーは前にも増して鼻息荒くドロテアを求めたとか。
「……っ、はぁ」
蕩けきった蜜壺から顔を離したブラッドリーはドレスの裾を上げ、余裕のある顔を見せた。検証は済んだようだ。妻は自分のものだと、安心しきっている。
「……すまない。早く君に触れたくて、我慢出来なかった」
ドロテアをお姫様抱っこしたブラッドリーは寝室に向かった。
そしてぐったりとしたドロテアをベットに寝かせると、湯あみをしてくると言っていつもはそこで部屋を出ていってしまう。
だが今回は逃がさない。ドロテアはブラッドリーにしがみついて匂いを嗅いだ。頭がくらくらする程のいい香り。これに包まれて一晩中抱かれてみたいと、前々から思っていたのだ。私は変態の気があるのかもしれない。ドロテアはそんな自分に内心苦笑いしながらも慌てるブラッドリーを逃がすまいと目に涙を浮かべて情けを乞うように声を出した。
「ひどいっ、これだけしといてっ、放置する気なのですか? まさか私を弄んだのですか?」
「っ、違……今から体を清めてくるからっ……」
「今回はダメです」
ドロテアはブラッドリーの下肢に触れた。ここにも鉄の防具があるので固いがブラッドリー自身のじゃない。
留め具を外して解放すると濃い汗の匂いに混じってブラッドリー自身の体臭がむわぁっと立ち上がった。
そこでドロテアはもう限界だった。
「や、やめてくれっ。三日も清めてない!」
「では今から私が清めます」
「あっ、こらっ、淑女にあるまじき行為だ!」
「うるひゃい」
「──ッ!? ッ!? ッ!?」
ブラッドリーから濃い汗の匂いがする。
ドロテアはそれだけで脳天が痺れ、目に涙を浮かべながら夢中で口付けを受け入れ続けた。
そして今日こそは絶対に逃すものかと、腹の奧をきゅんきゅんさせながら上目遣いをした。
「……ドロテア」
唇が離れ、余裕の無い目で見下ろされた。
「……この三日間、何をして過ごしていた?」
片手で両手首を頭上に留められ、ドレスの中に侵入してきた手が太腿から下着に移動していく。
「……えっ。あの、」
「言えないのか?」
「──ッ!」
ブラッドリーの指がドロテアの茂みをなぞり、早急に中で指を突き立てた。ドロテアは鼻で息を漏らし、喉を反らした。
「何故こんなに濡れている?」
「っ、ん」
「さっきまで誰かに弄られていたのか?」
「ああっ、違っ……!」
「答えろ。誰と会っていた?」
「あああっっ、……!」
好いた男の指で中を掻きまぜられながら目前で血走った嫉妬の眼を向けられている、この状態がドロテアは大好物だった。
可愛い、愛しい、もう大好きと、口にはせずドロテアは果てた。
「っ、はぁ、はぁ……そん、な……三日ぶり、だから、優しくしてくだ、さ……」
「……確かにきついな。中指が食いちぎられそうだ」
ブラッドリーは片膝をつき、ドロテアのドレスの裾を捲った。そして片足を上げさせ、下着を剥ぎ取り、顔を深く埋めた。
「やん、待っ、あああっっ……!」
背後は壁で、ブラッドリーの肩に足を乗せられ、両手で尻を掴まれているドロテアは逃げることも出来ない。
中に舌が挿ってくる。先端を固く尖らせた肉厚な舌が蜜を掻き出す。
ドロテアは背筋を反らして軽く達した。
尻を掴んでいるブラッドリーの親指が、締め付けを繰り返すドロテアのそこを抉じ開けた。そしてまた舌を捩じ込み、奥へ奥へと侵入してくる。
「やッ、ああっ、っ、なん、で……!」
ブラッドリーの荒い息が茂みに吹きかかる。
ドレスの中にいるブラッドリーの顔は見えない。それでも僅かな指の動きと洩れる吐息がブラッドリーの余裕の無さを現していた。
ブラッドリーがこんな風に早急な行為をしてくるのは、いつも仕事で屋敷を数日空けた後が常だった。
ドロテアは溜まっているのだろうと最初は思ったが、毎回ブラッドリーがちんぷんかんぷんな尋問をしてくるので、しばらくしてようやく気付いた。
浮気調査をしている、と。
だから最初に指で中を確めているのか。感触や内壁の形はいつも通りか、入り口の締まりはどうか、まるで罪人に対する一気一様を見逃さないよう顔色まで窺いながら一瞬も目を離さない。
困った人、可愛い、ときゅんきゅんしていたが、そこまで調べてなお、ブラッドリーの尋問は止まらなかった。
双子を妊娠中は指を挿れてくることはなかったが、よく顔を埋められていた。
とくに舌で確めてくる。
まさか味を? と思ったが、そうでもないようだ。中にある何かを探しているような、必死に調べようとしているような……。
そこでドロテアはピンときた。
ブラッドリーは一度は読んだ筈のドロテアの卒業論文を、ジルベルトを生んだ後にとくに熟読していた。尋問が始まったのもそのすぐ後だ。
夫はあの論文から何か気付いたのだ。
妻の不貞を調べる、論理的な方法を。
それなら魔力が関係していることは間違いない。
魔力は体液や血液にも含まれている。
なら体液……子種にも含まれているのだろう。
まさか他の男の子種の痕跡を?
しかし指紋やDNAのように個人の魔力を特定する方法はまだこの世界にはない。
……ブラッドリー様は特定する方法を編み出したのかも?
なのでドロテアは双子を生んだ直後にブラッドリーにかまをかけてみた。
ある日のこと、ブラッドリーが側にいる時に子供部屋の前に立ち、ドアを開けて声を荒げた。
『まあこんなに散らかしてっ……絵本は鋭い魔力で切られたようね。朝からここで遊んでいたのは……確かエイデルとルーベンね!』
ドロテアが頬を膨らませて言うと、ブラッドリーが「待て」と肩を抱いてきた。
そしてズタズタに切られた絵本を手にして、そこに自分の魔力を纏わせた。
ドロテアが慎重に探っていると、ブラッドリーは絵本に纏わせた魔力を自身に戻し「ふむ」と頷いた。
『……ジルだな』
『え? 何故そう思われたのですか?』
ブラッドリーは一瞬ぎくりとして、咳払いをしてからドロテアから目を反らした。
双子は生まれたばかりだったので、誰もがそう思って当然だったのだが、ブラッドリーの核心を得た様子からなにか証拠を見つけたのだとドロテアは悟った。
『エイデルとルーベンはまだ魔力操作もできない赤子だ。よって絵本を切り裂くことは不可能だ』
『でもジルは生後一ヶ月で魔力操作を覚えましたわ。下の子達ももう出来るのかもしれませんわ』
『……チッ。ジルは本当に私とそっくりだな』
『ブラッドリー様?』
『あ、いやジルは今年の夏にはかき氷食べたさに氷を削ぐことを覚えただろう? 絵本を切り裂くくらい、今は朝めし前だ』
『……そうでしたわ! 私ったら、エイデルとルーベンに罪を被せるところでしたわ!』
ブラッドリーはにこりと笑い、ドロテアの髪に口付けてからホッとしたように去っていった。
ブラッドリーの姿が消え、ドロテアのドレスからひょこっとジルベルトが顔を出した。
ジルベルトはドロテアのドレスの中に入るのが大好きだった。ある意味ブラッドリーとそっくりだ。
ジルベルトは先ほどドロテアに頼まれて切り刻んだ絵本を手にすると「あれぇ? ぼくの魔力がない」と言った。
『え?』
『とーさま、ぼくの魔力もっていったー?』
『…………あ』
そこでドロテアはピンときた。
ブラッドリーはジルベルトの魔力が纏う絵本に、自分の魔力を纏わせてからまた自身に戻していた。
そのことから、他人の魔力に自分の魔力を纏わせることで、個人を特定する何かが解るのではないかと。
ドロテアはさっそく検証に入ったが、簡単なことではなかった。
既に他の人の魔力が纏っている物に、自分の魔力を纏わせるのは、割れやすい他人のシャボン玉に自分がストローで膨らませたシャボン玉を上手にくっつけて、更にそれが割れない内に二つともストローで吸いこむという、おまけに吸収中に割れないよう魔力の濃度すらも合わせる必要があった。それには息を殺して集中せざるを得ない鍛練が必須で、ドロテアはブラッドリーの見事な魔力操作に舌を巻いた。
そうして半日で検証は済んだ。
他の人の魔力と自分の魔力を合わせたものは、吸収した時に個人の特定ができることが解った。
他人の白飯に自分のカレーをかけるとカレーライスが完成するように、ドロテアは個人の魔力を特定するレシピのようなものを発見したのだ。
ブラッドリー様すごい!
こんなの初めて知った!
それを発見した日は、久々に寝具の上でブラッドリーに抱かれながら、ドロテアは堪らず何度も言った。すごい、ブラッドリー様すごい、こんなの初めて、すごい、と。その日のブラッドリーは前にも増して鼻息荒くドロテアを求めたとか。
「……っ、はぁ」
蕩けきった蜜壺から顔を離したブラッドリーはドレスの裾を上げ、余裕のある顔を見せた。検証は済んだようだ。妻は自分のものだと、安心しきっている。
「……すまない。早く君に触れたくて、我慢出来なかった」
ドロテアをお姫様抱っこしたブラッドリーは寝室に向かった。
そしてぐったりとしたドロテアをベットに寝かせると、湯あみをしてくると言っていつもはそこで部屋を出ていってしまう。
だが今回は逃がさない。ドロテアはブラッドリーにしがみついて匂いを嗅いだ。頭がくらくらする程のいい香り。これに包まれて一晩中抱かれてみたいと、前々から思っていたのだ。私は変態の気があるのかもしれない。ドロテアはそんな自分に内心苦笑いしながらも慌てるブラッドリーを逃がすまいと目に涙を浮かべて情けを乞うように声を出した。
「ひどいっ、これだけしといてっ、放置する気なのですか? まさか私を弄んだのですか?」
「っ、違……今から体を清めてくるからっ……」
「今回はダメです」
ドロテアはブラッドリーの下肢に触れた。ここにも鉄の防具があるので固いがブラッドリー自身のじゃない。
留め具を外して解放すると濃い汗の匂いに混じってブラッドリー自身の体臭がむわぁっと立ち上がった。
そこでドロテアはもう限界だった。
「や、やめてくれっ。三日も清めてない!」
「では今から私が清めます」
「あっ、こらっ、淑女にあるまじき行為だ!」
「うるひゃい」
「──ッ!? ッ!? ッ!?」
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