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1兄が邪魔です
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気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか? しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。
「フッハハハハ!」
悪役令嬢に転生したといっても、一体私は何をしたらよいのでしょうか。
「アリシア!」
あれですか、破滅フラグを折っていったらいいのでしょうか? あと攻略対象者達とは一切関わらないようにしたらよいのでしょうか?
「今日もお前のオヤツを全部食ってやったぞ!」
しかし現時点で婚約者は攻略対象者です。現実的に考えてまだ何も罪を犯していない子供に対して冷たくするなんて、出来るわけがありません。いきなり婚約を解消したいなんて言ったら、婚約者である殿下も混乱するでしょうし両親にも多大な迷惑がかかります。
「ざまぁみろ! フッハハハハ!」
……それにしてもさっきからお兄様が煩いです。一人で考える時間が欲しいのに。というかこのお兄様、悪役令嬢アリシアを破滅させるキャラです。名前はセドリック。現在12歳。お兄様は成人する三年後には妹の物は教科書だろうが侍女だろうがなんでも奪ってくる盗人キャラにもなるんですよね。もう既にその片鱗が現れているようですが。
それに家の中に破滅フラグがいるのはちょっといただけませんね。これだけでも何とかならないものか……まだ罪を犯していない人に冷たくするのは気が進みませんが、しかし問題を起こしそうな場合は対処だけでもしておくべきでしょう。
「お兄様。わたくし、欲しいものがあるのです」
「なんだなんだ! 言ってみろ!」
お兄様は眼をギラギラさせて鼻息荒く私に詰め寄ってきました。そういえばお兄様は幼少期から私に欲しい物がないかよく聞いてきたものです。前世の記憶が甦る前の事だったので、私は欲しい物を聞かれる度に子供らしく喜んでいましたね。言ってもプレゼントしてくれるどころか奪ってくるとは知りませんでしたから。
「わたくし、お兄様が欲しいです」
「え」
「お兄様。貴方が欲しいのです」
「……俺?」
「はい。お兄様をわたくしにください」
「…………なんで?」
「大好きだからです。わたくしはお兄様さえいれば、他には何も要りません」
「…………………………」
後日。
お兄様は隣国へ留学されました。
立つ前にお手紙をくれました。
ニヤニヤと意地の悪い笑みで「後で読め」と渡してきました。中身は大体の予想が出来たので、読まずに侍女に燃やすように命じました。薪の足しです。この世界の紙は高価で捨てるのは勿体ないですし、紙に罪はありませんからね。
それから数ヵ月後。
両親から呼び出されました。
「……はぁ。セドリックが隣国の王女と恋仲になって、婿入りすることになった。一生帰ってくることはないと、最後に手紙をよこした。アリシアも読むか?」
お父様の傍らでお母様がぎゃん泣きしています。お母様は辛すぎてお兄様からの手紙を読むことができなかったそうです。だから私もかぶりを振りました。
「今は辛すぎてとても……読むことが出来ません」
「っ、こんな事になってすまない……セシリア、アリシア」
それからまた数ヵ月。
私はお兄様にかわって家督を継ぐことになり、王家と公爵家の話し合いの元、殿下との婚約を円満に解消しました。これで二つ目の破滅フラグが自然に折れました。人生なんとかなるものですね!
「フッハハハハ!」
悪役令嬢に転生したといっても、一体私は何をしたらよいのでしょうか。
「アリシア!」
あれですか、破滅フラグを折っていったらいいのでしょうか? あと攻略対象者達とは一切関わらないようにしたらよいのでしょうか?
「今日もお前のオヤツを全部食ってやったぞ!」
しかし現時点で婚約者は攻略対象者です。現実的に考えてまだ何も罪を犯していない子供に対して冷たくするなんて、出来るわけがありません。いきなり婚約を解消したいなんて言ったら、婚約者である殿下も混乱するでしょうし両親にも多大な迷惑がかかります。
「ざまぁみろ! フッハハハハ!」
……それにしてもさっきからお兄様が煩いです。一人で考える時間が欲しいのに。というかこのお兄様、悪役令嬢アリシアを破滅させるキャラです。名前はセドリック。現在12歳。お兄様は成人する三年後には妹の物は教科書だろうが侍女だろうがなんでも奪ってくる盗人キャラにもなるんですよね。もう既にその片鱗が現れているようですが。
それに家の中に破滅フラグがいるのはちょっといただけませんね。これだけでも何とかならないものか……まだ罪を犯していない人に冷たくするのは気が進みませんが、しかし問題を起こしそうな場合は対処だけでもしておくべきでしょう。
「お兄様。わたくし、欲しいものがあるのです」
「なんだなんだ! 言ってみろ!」
お兄様は眼をギラギラさせて鼻息荒く私に詰め寄ってきました。そういえばお兄様は幼少期から私に欲しい物がないかよく聞いてきたものです。前世の記憶が甦る前の事だったので、私は欲しい物を聞かれる度に子供らしく喜んでいましたね。言ってもプレゼントしてくれるどころか奪ってくるとは知りませんでしたから。
「わたくし、お兄様が欲しいです」
「え」
「お兄様。貴方が欲しいのです」
「……俺?」
「はい。お兄様をわたくしにください」
「…………なんで?」
「大好きだからです。わたくしはお兄様さえいれば、他には何も要りません」
「…………………………」
後日。
お兄様は隣国へ留学されました。
立つ前にお手紙をくれました。
ニヤニヤと意地の悪い笑みで「後で読め」と渡してきました。中身は大体の予想が出来たので、読まずに侍女に燃やすように命じました。薪の足しです。この世界の紙は高価で捨てるのは勿体ないですし、紙に罪はありませんからね。
それから数ヵ月後。
両親から呼び出されました。
「……はぁ。セドリックが隣国の王女と恋仲になって、婿入りすることになった。一生帰ってくることはないと、最後に手紙をよこした。アリシアも読むか?」
お父様の傍らでお母様がぎゃん泣きしています。お母様は辛すぎてお兄様からの手紙を読むことができなかったそうです。だから私もかぶりを振りました。
「今は辛すぎてとても……読むことが出来ません」
「っ、こんな事になってすまない……セシリア、アリシア」
それからまた数ヵ月。
私はお兄様にかわって家督を継ぐことになり、王家と公爵家の話し合いの元、殿下との婚約を円満に解消しました。これで二つ目の破滅フラグが自然に折れました。人生なんとかなるものですね!
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