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第二章:辺境伯は溺愛中
14婚約者が二人
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「僕以外に婚約者がいるってどういうことだよ!」
「俺が決めたのではない!」
「アンジェリカ様は奥様が決められた許嫁とか」
「奥様……?」
「俺の実母だ」
「その、私どもも実際のところは誰も立ち会っていなく、ただ伯爵は約束したと言いきられております」
困惑のまま客間に入ると大きな巻き毛を何重にも巻き上げた青い瞳のかわいらしい顔立ちの女子がいた。
「サミュエルさまあ!お久しぶりでございます!戻って来られたと聞いて私居てもたってもいられず」
「…………」
「あら。そちらの素敵なお方はお友達でいらっしゃるの?」
僕をみつけると目をぱちぱちさせて近寄って来た。え?サミュエルに会いたかったんじゃないの?
「近寄るな!」
サミュエルがアンジェリカの腕をつかんだ。
「まあ!サミュエルさまったら嫉妬なさってるのね。ウフフ。大丈夫ですわよ。私婚約者以外にうつつを抜かす気はありませんの。ただ、サミュエル様のお友達は私のお友達でしょう?」
早口でまくしたてられてて僕には理解ができない。
「私アンジェリカ・ノワールってもうしますの。はじめまして」
「はじめまして。僕はアルベルト、ツイリーといいます」
「まあ!素敵なお名前なのね!アルベルト様はこちらに遊びに来られたの?」
「アルは俺の結婚相手だ!」
「あら。結婚相手って婚約者の事でしょ?それは私じゃないの。おかしなことを言うのね」
アンジェリカはころころと鈴を転がすように笑う。
「俺はお前と婚約などしていない」
「婚約は親同士が決めるモノで当人たちに選択肢はないのよ」
この子は人のいう事を聞かないのだなとやっとわかった。
「それよりサミュエル様卒業されたのでしょ?早くうちにもいらしてよ」
「何故だ?」
「あら。結婚の日取りを決めないといけませんでしょ」
「お前と結婚する気はない」
「……どうして?私は婚約者なのよ。お父様やお母さまからずっと貴方は公爵家に嫁ぐのだと言われてきたわ」
「俺は公爵家ではない」
「嘘よ!そんな嘘ばかりついて!そんなに私が嫌いなの?こんなにきれいな私のどこが嫌なのよ!」
「……全部だ」
「なっ!なによなによ!やっぱり……お父様が言ってた事は本当だったのね?王都であなたが罠に嵌められたって」
「サムが罠に嵌められたって?」
なんだそれは?
「そうよ!マイラ様の策略で好きでもない相手と結婚をしないといけなくなって辺境地に逃げてきたって皆噂してるわ!……そうか!わかったわ!貴方ね!男を相手にしなさいって押し付けられたのね!可哀そうなサミュエル!いくら顔が綺麗でも男じゃないの。公爵家の跡取りが産めるのは女の私よ!」
いきなり落ち込んだと思うと今度は勝ち誇ったように高笑いを始めたアンジェリカを僕は怖くなった。
「この子大丈夫なの?」
「……昔からこんな調子なのです」
デセルトが困ったように返事をする。
「ふん。私のお父様はこの領地でも有数な伯爵家なのよ。この地は我が家の後ろ盾がないとやっていけないのはわかってるでしょ?……まあ今日のところは顔も見れたし。それに貴方、本当に綺麗ね。ちょっと気にいったわ」
「「はあ?」」
僕とサミュエルは同時に声を上げた。いったい何を考えているのだろうか?
「落ち着いたら話すつもりだったのだ」
「……他に隠してる事はないの?」
「変な噂が流れている」
「どんな噂かはっきり教えてよ」
「それは私めが……」
デセルトが言うには僕らがここに来る前にサミュエルがこの地の領主としてやってくることは前もって領民達には知らされていたらしい。だがそこで尾ひれがついたようだ。故意に誰かがつけたのかもしれないが。
サミュエルが辺境地へ追いやられたのは義母のマイラの仕業だと。日頃から嫌がらせを受けていたからそう思われたのだろう。それと僕が同行するということで、義弟の地位をあげるためにわざと男の婚約者をつけられた。サミュエルはそれを嫌がっているが仕方なく同行させているという内容だった。
「怖いな。噂の中にほんの少しの真実が混じっているから皆信じやすくなる」
「……くそっ」
「サム……アンジェリカと恋愛的なことは?」
「ない!絶対ない!」
「本当に?信じてもいいの?」
「アルベルト様。それは私からも申し上げます。サミュエル様はアンジェリカ様のマシンガントークが苦手でいつも距離をとられてました」
「あいつは思い込みが激しいのだ」
「おそらくは周りの環境のせいかと。娘を使って職位を上げたいというのはどの貴族も考える事でしょうし。ただ、奥様が存命時に伯爵家とは仲が良かったのも事実でございます」
「……父上は認めていない」
「え?公爵様は認めてないの?」
「ですが、ここは辺境の地。王都からも離れておりますし、口約束だけでも通じるところがあるのです」
どうやら僕が思ってるよりも面倒なようだ。この地は公爵のものだが、管理は執事のデセルトや近隣の伯爵家に任せていたところもあるらしい。そのために目をつぶっていた部分があったのだろう。
「恥ずかしながら、私も最初は噂を信じておりました」
デセルトが頭を下げる。
「しかし、サミュエル様のアルベルト様を見つめる仕草や表情でそれが間違いだと気づきました」
「では、使用人の方々も?」
そうか。初日から皆が遠巻きにしていたのはそのせいだったのか!
「わかった。最初から何もかもうまくいくなんて思ってないよ。デセルト、この領地についてもっと詳しく教えて。僕は文官としても学んできたからその伯爵さんとやらが関わってる仕事も詳しく聞きたい」
「はい!おまかせください」
「アル……すまない」
「ううん。僕、なんで公爵様がすぐに僕たちの婚姻を認めなかったかわかった気がするよ」
「え?……」
公爵様。貴方は僕がサミュエルにふさわしいか、この地で辺境伯を支えれるのかを試されたのですね?
「くそっ!やってやろうじゃないか!」
売られたケンカは買っても良いよね?
「俺が決めたのではない!」
「アンジェリカ様は奥様が決められた許嫁とか」
「奥様……?」
「俺の実母だ」
「その、私どもも実際のところは誰も立ち会っていなく、ただ伯爵は約束したと言いきられております」
困惑のまま客間に入ると大きな巻き毛を何重にも巻き上げた青い瞳のかわいらしい顔立ちの女子がいた。
「サミュエルさまあ!お久しぶりでございます!戻って来られたと聞いて私居てもたってもいられず」
「…………」
「あら。そちらの素敵なお方はお友達でいらっしゃるの?」
僕をみつけると目をぱちぱちさせて近寄って来た。え?サミュエルに会いたかったんじゃないの?
「近寄るな!」
サミュエルがアンジェリカの腕をつかんだ。
「まあ!サミュエルさまったら嫉妬なさってるのね。ウフフ。大丈夫ですわよ。私婚約者以外にうつつを抜かす気はありませんの。ただ、サミュエル様のお友達は私のお友達でしょう?」
早口でまくしたてられてて僕には理解ができない。
「私アンジェリカ・ノワールってもうしますの。はじめまして」
「はじめまして。僕はアルベルト、ツイリーといいます」
「まあ!素敵なお名前なのね!アルベルト様はこちらに遊びに来られたの?」
「アルは俺の結婚相手だ!」
「あら。結婚相手って婚約者の事でしょ?それは私じゃないの。おかしなことを言うのね」
アンジェリカはころころと鈴を転がすように笑う。
「俺はお前と婚約などしていない」
「婚約は親同士が決めるモノで当人たちに選択肢はないのよ」
この子は人のいう事を聞かないのだなとやっとわかった。
「それよりサミュエル様卒業されたのでしょ?早くうちにもいらしてよ」
「何故だ?」
「あら。結婚の日取りを決めないといけませんでしょ」
「お前と結婚する気はない」
「……どうして?私は婚約者なのよ。お父様やお母さまからずっと貴方は公爵家に嫁ぐのだと言われてきたわ」
「俺は公爵家ではない」
「嘘よ!そんな嘘ばかりついて!そんなに私が嫌いなの?こんなにきれいな私のどこが嫌なのよ!」
「……全部だ」
「なっ!なによなによ!やっぱり……お父様が言ってた事は本当だったのね?王都であなたが罠に嵌められたって」
「サムが罠に嵌められたって?」
なんだそれは?
「そうよ!マイラ様の策略で好きでもない相手と結婚をしないといけなくなって辺境地に逃げてきたって皆噂してるわ!……そうか!わかったわ!貴方ね!男を相手にしなさいって押し付けられたのね!可哀そうなサミュエル!いくら顔が綺麗でも男じゃないの。公爵家の跡取りが産めるのは女の私よ!」
いきなり落ち込んだと思うと今度は勝ち誇ったように高笑いを始めたアンジェリカを僕は怖くなった。
「この子大丈夫なの?」
「……昔からこんな調子なのです」
デセルトが困ったように返事をする。
「ふん。私のお父様はこの領地でも有数な伯爵家なのよ。この地は我が家の後ろ盾がないとやっていけないのはわかってるでしょ?……まあ今日のところは顔も見れたし。それに貴方、本当に綺麗ね。ちょっと気にいったわ」
「「はあ?」」
僕とサミュエルは同時に声を上げた。いったい何を考えているのだろうか?
「落ち着いたら話すつもりだったのだ」
「……他に隠してる事はないの?」
「変な噂が流れている」
「どんな噂かはっきり教えてよ」
「それは私めが……」
デセルトが言うには僕らがここに来る前にサミュエルがこの地の領主としてやってくることは前もって領民達には知らされていたらしい。だがそこで尾ひれがついたようだ。故意に誰かがつけたのかもしれないが。
サミュエルが辺境地へ追いやられたのは義母のマイラの仕業だと。日頃から嫌がらせを受けていたからそう思われたのだろう。それと僕が同行するということで、義弟の地位をあげるためにわざと男の婚約者をつけられた。サミュエルはそれを嫌がっているが仕方なく同行させているという内容だった。
「怖いな。噂の中にほんの少しの真実が混じっているから皆信じやすくなる」
「……くそっ」
「サム……アンジェリカと恋愛的なことは?」
「ない!絶対ない!」
「本当に?信じてもいいの?」
「アルベルト様。それは私からも申し上げます。サミュエル様はアンジェリカ様のマシンガントークが苦手でいつも距離をとられてました」
「あいつは思い込みが激しいのだ」
「おそらくは周りの環境のせいかと。娘を使って職位を上げたいというのはどの貴族も考える事でしょうし。ただ、奥様が存命時に伯爵家とは仲が良かったのも事実でございます」
「……父上は認めていない」
「え?公爵様は認めてないの?」
「ですが、ここは辺境の地。王都からも離れておりますし、口約束だけでも通じるところがあるのです」
どうやら僕が思ってるよりも面倒なようだ。この地は公爵のものだが、管理は執事のデセルトや近隣の伯爵家に任せていたところもあるらしい。そのために目をつぶっていた部分があったのだろう。
「恥ずかしながら、私も最初は噂を信じておりました」
デセルトが頭を下げる。
「しかし、サミュエル様のアルベルト様を見つめる仕草や表情でそれが間違いだと気づきました」
「では、使用人の方々も?」
そうか。初日から皆が遠巻きにしていたのはそのせいだったのか!
「わかった。最初から何もかもうまくいくなんて思ってないよ。デセルト、この領地についてもっと詳しく教えて。僕は文官としても学んできたからその伯爵さんとやらが関わってる仕事も詳しく聞きたい」
「はい!おまかせください」
「アル……すまない」
「ううん。僕、なんで公爵様がすぐに僕たちの婚姻を認めなかったかわかった気がするよ」
「え?……」
公爵様。貴方は僕がサミュエルにふさわしいか、この地で辺境伯を支えれるのかを試されたのですね?
「くそっ!やってやろうじゃないか!」
売られたケンカは買っても良いよね?
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