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美味しい食卓編

9満たされるのは**

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 久しぶりにアルコールを飲んだせいかいつもより大胆な気持ちになった。普段は羞恥心でなかなか自分から誘うことが出来ない。でも今夜は安住が欲しい。
「明日はゆっくり出来そうなんだ」
「そうだね。僕のところもリーダー選出が終わったよ。今まで休日も仕事だったけど、彼らに仕事を引き継いだら少しはプライベートな時間もとれるかも」
「じゃあ今夜は夜更かししないか?」
「それって……」
 安住が俺が言わんとすることをやっと察したようだ。
「健吾。いいのか。もう怒ってないのか?」
「怒ってなどいない。妬いてただけだ」
「嫉妬してくれてたのか?」
 安住が嬉しそうな顔をする。
「今日からまた一緒に寝てくれる?」
「ああ。お前の隣は俺の場所だ。俺の隣もお前の場所だ」
「……健吾」
「ベットに行こう」

「1人寝はやっぱり寂しいんだよ。夜中に目覚めると無意識にお前を探してしまうんだ」
 俺の言葉にこれからは絶対一緒に寝ると安住が抱きついてきた。
「ごめん。ごめんよ。僕が悪かった。健吾はノンケだったのに」
「馬鹿やろ。何度言わせるんだ。俺は男が好きなんじゃないって。そういう意味ならお前以外はノンケだっていえば理解できるか?好きになった相手が男だっただけだ」
「健吾。僕だけ?……早瀬は?」
「はあ?あいつは俺が育ててる後輩だ。筋が良いから一人前に育ててやりたいんだ。育て終わったらこき使うつもりさ」
「健吾は良い先輩だな。僕は嫉妬深いだけかも」

「何言ってんだ。それは俺の方だぜ。今回のことで自分の嫉妬深さを思い知った。北島は今、塀の中だ」
「え?逮捕されたって事?」
「そうだ。俺がチクったんだ。お前に引かれるかと思って言わなかったがうちに脅しに来ただけでなく、あいつはいろいろと余罪があったようでな。全部調べ上げてちょと細工をした」
「細工って危ないことしてないよね?」
「俺自身は動いてないさ。同じように脅されて倒産したところに匿名で資料をバラまいた。あとはそいつらが北島ともめたのさ。いや。正直に言うと、もめるようにしてタイミングを見て警察を呼んだ。弁護士資格はもうはく奪されたはずだ。俺はさ、営業たたき上げだから、相手の弱点を見極めて攻め入る事もするんだ。俺はお前が夢見るような純情な天使とかじゃないのさ」
「健吾……」
「あいつが安住の。和真の前にうろつくのが許せなかった。これ以上和真に手を出して来たらきっと俺はもっとひどいことをしてたかもしれない。俺の事を軽蔑するか?」
「まさか!しないよ!それだけ健吾が僕の事思ってくれてるってことでしょ?嬉しいよ」
「俺はもっと自分は自制出来る人間だと思い上がってたんだ。だが、お前の事だけはダメみたいだ。自分の気持ちを制御できねえ」
「健吾。それなら僕が健吾の暴走を止めるよ。ずっとずっと健吾の事だけを見て健吾だけを愛するよ」
「すまない。悪い男にひっかかったと諦めてくれるか?」
「悪い男って。それって僕のことかもしれないよ。健吾は僕のせいでそうなったのに」 
「はは。じゃあもっと俺を翻弄させてくれるか?」

 俺は安住にみせつけるように上着のボタンを外していく。
安住の目に情欲が灯る。勢いよく下着も全部脱ぐと目の前の大型犬が狼のようなギラギラした目に変わった。
「健吾。今日は煽ってくるね。久しぶりだし僕溜まってるよ。抱きつぶしちゃうかもしれない」
「いいぜ。お前が欲しいんだ。……ひとりじゃ奥まで届かないんだ」
 自慰マスターベーションはしていたが後ろはどうしても思う様にできない。もうすでに安住の形に作り変えられた躰は前だけでは物足りなかった。
「奥までって。僕の事を想ってシてくれてたの?」
 安住が堪らないと興奮した様子で抱き込んできた。
「お前以外に俺が誰を想うっていうんだ?」
「ああ。もう、これだから天然は!」   
 苦笑しながらも安住がローションを手に沿わせ俺の敏感な辺りを攻め始めた。安住が動きやすいように力を抜き、息を吐く。だが俺の内部を熟知している指の動きに思わず締め付けてしまう。
「感じてる?嬉しいけどもう少しだけ力を抜いて。もっと気持ちよくしてあげるから」
 耳元で安住に囁かれると期待で胸の鼓動が早くなる。俺の反応が分かるのか嬉しそうに目を細めて口づけを深くした。舌を甘噛みされ上あごを舐めまわされる。舌が長いな。気持ちいい。ぼうっとするのは酸欠なのか感じてるのかさえもわからない。

「健吾? 大丈夫? ゆっくりするから辛かったら言ってね」
「え……ぁっあっ……」
 安住のモノが俺の中へと進んでくる。やはり最初に入れられる時だけは緊張してしまう。なるべく息をこまかく吐き出すようにして挿入を妨げないように努める。
「ここでしょ?イイところ」
 安住がぬぷっぬぷっと音が聞こえるように浅い場所で出し入れをしだした。
「ぅあっ。……ぁっぁあっ……や……」
 ゾクゾクとする快感に声がおさえられない。
「イイ声。健吾。こっちむいて。ああ。綺麗だ」
 安住が俺をみながらうわ言のように囁く。俺なんかのどこを見て綺麗だと思うのだろう。お前の方こそ王子様みたいな容姿のくせに。安住をにらみつけると小さく息をのむ様にして動きを速めてきた。
「はっ。その顔っ。煽んないでよ」
「煽ってな……んか……はっぁああっ」
 ぐんっと中のモノが大きくなる。俺の片足を肩にかけると更に奥へと突き進む。
「なっ……ぁんぁっ……そ……こ。イイ……」
「ここ? ここだねっ」
 安住の動きが早くなる。パンパンと音がなるほど叩きつけられ訳が分からなくなるほど喘ぎ乱れた。
「か……和真。……すき……好きだ」

 次の朝。目が覚めると声が出なかった。昨夜叫びすぎたのが原因だろう。あくびを一つして起き上がろうとするが腰が痛すぎてベットに突っ伏した。
「健吾起きたのか? 今日は一日寝ててもいいよ。何か食べたいものはあるかい?」
 安住がにこにこと満面の笑顔で抱きしめてくる。
「……のどが……いだ……い」
「大変だ!昨日喘ぎすぎたからかな?ごめんよ。あんまりにも気持ちよさそうだったから、つい張り切り過ぎちゃって」
「なっ……ば、か。……きもぢ……言うなっ」
「うん。うん。もう言わない。可愛かったよ」
「がっ。がわいく……ない」
「ふふ。うん。健吾はカッコかわいいよ。喉にいいはちみつ茶つくるね」
「おぅ……かゆも」
「中華がゆだね?健吾好きだもんね。わかった。すぐつくるよ!」
 いそいそと台所に行く後姿を見ながら、自分の口元が緩んでいくのが分かる。もうすこしだけ微睡んでもいいかと俺はベットに潜り込んだ。
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