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第三章 家族とは
5 パパラッチ
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僕は危機感が薄いのだろうか。だってせっかく受かった大学だから教えてもらえることは存分に学んでみたい。特に今は目標があって、在学中に朝比奈の事業の補佐をやりとげて卒業後は仕事としてお手伝いがしたい。ハジメと結婚しても何か自分が出来る事を見つけてみたかった。ハジメには好きなことをしてもらって僕が稼げるようになれたらいいな。
なんてのんきに考えながら大学の構内を歩いていた。
パシャパシャとカメラのシャッター音がして反射的に振り向く。
「ちょっとすみません。お話よろしいでしょうか?」
突然見ず知らずの中年の男に声をかけられる。よれよれのシャツにくたびれたジーンズ。首からはカメラをさげていた。だれなんだ? こんな人大学に居たっけ?
「あの。どちらさまでしょうか?」
「立花って言います。こういうものでして……」
男が出してきた名刺にはあるゴシップ雑誌の名前が載っていた。
まさかパパラッチなのか?
「貴方と高塚亜紀良さんの関係をお聞きしたいのですが」
うそっ。なんでここが分かったの? 昨日の今日なのに?
「そんなに驚いた顔をされるところを見ると、何か聞かれると悪い事でもされているのですかな? くく。なにやら高津家の株を貴方に譲渡するらしいですね。いやぁ、上手く取り入りましたなぁ」
「はあ? 何を言ってるんですか?」
かぶって株式の株だよね? 何を言っているのかさっぱりわからない。
「またまたあ。とぼけちゃって」
「誰かとお間違えになられてるんじゃないですか? それにどうして僕のところに来られたんですか?」
「昨日のあのイベント会場に僕もいたんですよ。いやあ。とってもかわいらしかったですねえ」
「それはどうも……ぁっ」
しまった。これでは昨日のは僕だと認めてしまったことになる。ニヤリと男が笑う。
「だとしてもどうしてここがわかったのですか?」
「まあね。以前ここの大学の教授が起こした事件を私が担当してましてね。何でも教え子に手を出して解雇され、教授の地位も剥奪されたらしくてねえ」
きっとそれは長谷川の事を言っているのだろう。それをゴシップネタにしたということなのか? あの時、SNSが凄い早さで拡散されたのはこういう事がきっかけだったのか? 僕自身はハジメのところで匿ってもらっていたからそういう記事すら目にしたことはないのだが。
「顔色が青いですよ。 ……その時の被害者リストにあんた載ってたよねえ? ひょっとしてさぁ、あれもあんたの自作自演だったりするの? あの時はさあ。上手く金目のものがもらえなくてワザと教授に不利な発言をして陥れたんじゃないのぉ? 」
男が急に口調を変え、脅すような口ぶりになる。下卑た笑いをする男に嫌悪感がわいた。
「そんなことするはずないじゃないですか!」
「じゃあさ。高塚さんとどこまで進んだ関係なのか詳しく聞かせてもらえるかなあ。一緒に居たんだから知らないでは済まさないよ」
男がにじり寄り僕の肩に手をおいた。
パシンと男の手を誰かがはたいてくれた。でも振り向かずともわかる。ハジメだ。ハジメが助けに来てくれたんだ。
「おい! お前。関係者以外、校内は立ち入り禁止やぞ」
「チッ。いいとこだったのに。オレは諦めませんからね。またね~」
ハジメが連れてきた警備員に男は引きずられるようにして連れて行かれた。
「すぐる大丈夫か?」
「うん。ハジメが来てくれて助かったよ」
「朝比奈が気づいてくれたんや。ただあいつが出て行ったら余計にややこしくなりそうやったから俺を呼んだというわけや」
「そっか。でも大学まで押しかけてくるなんて。びっくりしたよ」
「ああいう奴はそれが仕事やからな。人の秘密を暴いて面白おかしく書きまくる。奴らにはそれが嘘でも本当でもかまわないんや。スクープ記事が駆ければそれでいいんや。儲けになるからな。どうやらすぐるに狙いを定めてきたみたいやな」
「ええ? そうなの? なんで僕?」
「写真が拡散されたせいだろうな。今後はなるべく一人では動かんようにしてくれ。俺か朝比奈と一緒におるようにしてくれ。頼むわ」
「うん。わかった」
ハジメは僕に過保護だ。でも嬉しい。心配してくれるのがわかるから。
校舎に入ると柱の影から朝比奈が声をかけてきた。
「ごめん、すぐる。すぐに助けに行けなくてわるかった」
「ううん。いいよ、ハジメを呼んできてくれてありがとう。ところでさっきの男なんだけど……気になる事を言っていたんだ」
「気になる事?」
「うん。高塚さんが株を譲るとかなんとか……」
「そうか。そんなことまで調べてるんやな。確かに、亜紀良さんはすぐにでも海外で挙式をあげるって息込んで、それに伴い会社の株も俺に譲ると言い出してたな。そうなると大ごとになってくると思ってすぐに断ってん。でもそれは内輪だけの話やったはずや。どこからその情報を入手してきたんやろう」
「あいつ。ほんまにパパラッチなんかな?」
「それはわからないけど。僕の情報はある程度手元にあるみたい」
「なんか他にも言われたんか?」
「あ~。うん。まあ……」
「なんや隠さず言うてくれ」
「僕が長谷川教授の被害者だって知ってるみたい。自分が担当した事件とか言うてた」
「いや、そんなに簡単に被害者のリストなんて手に入らないやろ? カマをかけられたのかもな? それらしき言葉を言うて相手の反応をみる。すぐるは素直やから顔に出てたんかもしらんなあ」
「青い顔してるって言われた」
「あ~そうか」
「あ~仕方ないな」
「しばらくは付きまとわれるかもな」
「うわあ。どうしよう。変装しようかな?」
「どうやって?」
「めがねとか。そうだ、付け髭とかどうかな?」
「鼻の下にちょび髭でもつけるんか?」
「ははは。やめとき。可愛すぎる」
「もぉ! 真剣なんだよ僕!」
「ごめんごめん。そうやな。ウィッグでもつけるか?」
「ウィッグ?」
「かつらの事や。俺、銀髪のかつらつけてたやろ?」
「本物の髪の毛みたいだった」
「色違いで短いのや長いのがあるで。知り合いのメイクさんが持ってるから借りてくるよ」
「ありがとう!」
なんてのんきに考えながら大学の構内を歩いていた。
パシャパシャとカメラのシャッター音がして反射的に振り向く。
「ちょっとすみません。お話よろしいでしょうか?」
突然見ず知らずの中年の男に声をかけられる。よれよれのシャツにくたびれたジーンズ。首からはカメラをさげていた。だれなんだ? こんな人大学に居たっけ?
「あの。どちらさまでしょうか?」
「立花って言います。こういうものでして……」
男が出してきた名刺にはあるゴシップ雑誌の名前が載っていた。
まさかパパラッチなのか?
「貴方と高塚亜紀良さんの関係をお聞きしたいのですが」
うそっ。なんでここが分かったの? 昨日の今日なのに?
「そんなに驚いた顔をされるところを見ると、何か聞かれると悪い事でもされているのですかな? くく。なにやら高津家の株を貴方に譲渡するらしいですね。いやぁ、上手く取り入りましたなぁ」
「はあ? 何を言ってるんですか?」
かぶって株式の株だよね? 何を言っているのかさっぱりわからない。
「またまたあ。とぼけちゃって」
「誰かとお間違えになられてるんじゃないですか? それにどうして僕のところに来られたんですか?」
「昨日のあのイベント会場に僕もいたんですよ。いやあ。とってもかわいらしかったですねえ」
「それはどうも……ぁっ」
しまった。これでは昨日のは僕だと認めてしまったことになる。ニヤリと男が笑う。
「だとしてもどうしてここがわかったのですか?」
「まあね。以前ここの大学の教授が起こした事件を私が担当してましてね。何でも教え子に手を出して解雇され、教授の地位も剥奪されたらしくてねえ」
きっとそれは長谷川の事を言っているのだろう。それをゴシップネタにしたということなのか? あの時、SNSが凄い早さで拡散されたのはこういう事がきっかけだったのか? 僕自身はハジメのところで匿ってもらっていたからそういう記事すら目にしたことはないのだが。
「顔色が青いですよ。 ……その時の被害者リストにあんた載ってたよねえ? ひょっとしてさぁ、あれもあんたの自作自演だったりするの? あの時はさあ。上手く金目のものがもらえなくてワザと教授に不利な発言をして陥れたんじゃないのぉ? 」
男が急に口調を変え、脅すような口ぶりになる。下卑た笑いをする男に嫌悪感がわいた。
「そんなことするはずないじゃないですか!」
「じゃあさ。高塚さんとどこまで進んだ関係なのか詳しく聞かせてもらえるかなあ。一緒に居たんだから知らないでは済まさないよ」
男がにじり寄り僕の肩に手をおいた。
パシンと男の手を誰かがはたいてくれた。でも振り向かずともわかる。ハジメだ。ハジメが助けに来てくれたんだ。
「おい! お前。関係者以外、校内は立ち入り禁止やぞ」
「チッ。いいとこだったのに。オレは諦めませんからね。またね~」
ハジメが連れてきた警備員に男は引きずられるようにして連れて行かれた。
「すぐる大丈夫か?」
「うん。ハジメが来てくれて助かったよ」
「朝比奈が気づいてくれたんや。ただあいつが出て行ったら余計にややこしくなりそうやったから俺を呼んだというわけや」
「そっか。でも大学まで押しかけてくるなんて。びっくりしたよ」
「ああいう奴はそれが仕事やからな。人の秘密を暴いて面白おかしく書きまくる。奴らにはそれが嘘でも本当でもかまわないんや。スクープ記事が駆ければそれでいいんや。儲けになるからな。どうやらすぐるに狙いを定めてきたみたいやな」
「ええ? そうなの? なんで僕?」
「写真が拡散されたせいだろうな。今後はなるべく一人では動かんようにしてくれ。俺か朝比奈と一緒におるようにしてくれ。頼むわ」
「うん。わかった」
ハジメは僕に過保護だ。でも嬉しい。心配してくれるのがわかるから。
校舎に入ると柱の影から朝比奈が声をかけてきた。
「ごめん、すぐる。すぐに助けに行けなくてわるかった」
「ううん。いいよ、ハジメを呼んできてくれてありがとう。ところでさっきの男なんだけど……気になる事を言っていたんだ」
「気になる事?」
「うん。高塚さんが株を譲るとかなんとか……」
「そうか。そんなことまで調べてるんやな。確かに、亜紀良さんはすぐにでも海外で挙式をあげるって息込んで、それに伴い会社の株も俺に譲ると言い出してたな。そうなると大ごとになってくると思ってすぐに断ってん。でもそれは内輪だけの話やったはずや。どこからその情報を入手してきたんやろう」
「あいつ。ほんまにパパラッチなんかな?」
「それはわからないけど。僕の情報はある程度手元にあるみたい」
「なんか他にも言われたんか?」
「あ~。うん。まあ……」
「なんや隠さず言うてくれ」
「僕が長谷川教授の被害者だって知ってるみたい。自分が担当した事件とか言うてた」
「いや、そんなに簡単に被害者のリストなんて手に入らないやろ? カマをかけられたのかもな? それらしき言葉を言うて相手の反応をみる。すぐるは素直やから顔に出てたんかもしらんなあ」
「青い顔してるって言われた」
「あ~そうか」
「あ~仕方ないな」
「しばらくは付きまとわれるかもな」
「うわあ。どうしよう。変装しようかな?」
「どうやって?」
「めがねとか。そうだ、付け髭とかどうかな?」
「鼻の下にちょび髭でもつけるんか?」
「ははは。やめとき。可愛すぎる」
「もぉ! 真剣なんだよ僕!」
「ごめんごめん。そうやな。ウィッグでもつけるか?」
「ウィッグ?」
「かつらの事や。俺、銀髪のかつらつけてたやろ?」
「本物の髪の毛みたいだった」
「色違いで短いのや長いのがあるで。知り合いのメイクさんが持ってるから借りてくるよ」
「ありがとう!」
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