ショートショート短編SS 置き場

ゆうきぼし/優輝星

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君に逢いたくて 1

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「見つけたぞ! 魔王め!」
「くっ。また見つかったか!」
 するりと俺の剣をかわし闇に逃げ込もうとする瞬間、逃がさずマントの端を掴んだ。
「なんで逃げまくるんだよ!」
「……だってお前は勇者じゃないか!」
 別に俺は好きで勇者になったわけではない。

◇◆◇

 俺は孤児院育ちだ。親の顔も知らない。赤ん坊のころに孤児院の前に捨てられていたそうだ。ここにはそんな子供ばかりだったから珍しいことでもなんでもなかった。
「ベル。またお前毛布取られたのか?」
「アッシュ見てたの? だってあの子寒そうだったんだもの」
 俺はアッシュと呼ばれていた。灰色って意味だという。俺の髪の色がグレーだったせいで皆からはそう呼ばれていた。
「しょうがないな。こっち来いよ。一緒に寝ようぜ」
「うん。アッシュと寝ると落ち着くんだ」
 ふふふと笑うベルは俺よりも一回り小さい。ひとつの毛布を二人でくるむ様にして抱き合って俺達は眠った。ベルは不思議なやつだった。ある日突然孤児院に連れて来られたらしい。誰にでも優しく気さくで愛想の良いベルは白い肌に黒髪に赤みの帯びた茶色の瞳が印象的だった。俺はそんなベルから目が離せなくなっていた。
「おいチビ! どけよ。邪魔なんだよ」
 体ばかり大きい年長の相手がベルを蹴りやがった。こいつは大人の前ではいい子ぶっているが影では自分よりも弱い相手をイジメては偉そうにしている。
「てめえ! ベルに何しやがる!」
 俺が怒鳴ると今度は奴が俺に向かってきた。すかさず足をすくい転んだ隙にベルを抱き起こしてその場を逃げる。
「アッシュごめん。今度はアッシュが狙われちゃうよ」
「何言ってんだ。お前あいつにずっとイジメられていたのか?」
「……たまにだよ」
「なんで俺に黙ってたんだ!」
「だってアッシュに迷惑になるから」
「馬鹿だな。そんなわけないだろ!」
「アッシュ……」
 震えるベルの肩を抱いて俺は何があってもベルを守ると誓った。

 その後も俺とベルは共に泣き、笑い、助け合って生きてきた。何をするのも一緒だった。だがある日、綺麗な馬車が孤児院にやってきてベルを引き取るという。ベルはどこかの貴族の落とし胤だったらしい。
「やめろ!ベルをどこに連れて行くんだ!」
 俺はありったけの力を込めて護衛の騎士に突っかかって行った。だが相手にもされず殴り倒されてしまう。
「ベルを返してくれ!」
「なんだと! この薄汚いガキめ!」
 馬車の中から顔を出した貴族の男が俺を睨みつけた。
「待って! やめて。手を出さないでください!」
「……ヴェルメリオ様がこちらの言う事を聞くなら何もしないでおきましょう」
「わかりました。ききます。だから助けてあげて」
「ベル! なんでそんな奴のいう事きくんだよ!」
「アッシュごめんね。今までありがとう」
 目に涙をいっぱいためてベルは俺に向かって手を振った。
「バイバイ」
「なんで……。ベル……」
 走り去っていく馬車を俺は途方にくれたように見つめ続けていた。

「お前、アッシュって言うのか?」
 背後から声をかけられるまで俺は声の主が近づいてきた事すら気付かなかった。そこには俺が先ほど殴り掛かった騎士がいた。
「ここの孤児院には十六歳までしかいられないと聞いた。お前なかなか腕っぷしが強いな。鍛えれば良い戦士になるはずだ。良ければ俺のところに来ないか?」
 確かにそうだ。俺は今十四歳。あと数年でここには居られなくなる。
「あんたについていけばベルにまた会えるのか?」
「そうだな。お前が強くなればあの方の傍に居れるようになるかもしれねえな」
「わかった! あんたについていく」
 その日から騎士は俺の師匠となった。師匠は騎士団長だったらしく、俺に力だけでなく心も強くならなければいけないと教え込んできた。子供好きで面倒見の良い性格だった。
「あの方は本当はヴェルメリオ様と言って高貴なお方の血を受け継いでいるのだ」
 そうか。ならば裕福な家庭に引き取られたのだな。もう飢えや寒さに泣くこともなく幸せに暮らせるならそれがベルにとって幸せなのかもしれない。せめて遠くからでもいいからお前の姿が見守れるような場所にいたい。その姿を追いかけていきたい。


 師匠について鍛えぬき五年。戦場にも参戦し、いくつかの武勲を手にしてようやく俺はベルに会うことが出来た。
「皇太子殿下。新しく護衛に就くことになった者を連れてまいりました」
 師匠に連れてこられた俺は逸る気持ちを抑えその場に膝間づいた。
「……そうか」
 そこには成長したベルがいた。背も高くなり、黒髪は肩まで伸び、声は少し低くなっていた。きらびやかな衣装を身にまとい気品のある佇まいだが、やるせない表情をしている。師匠の案内すら真剣に聞いてないようだったがかまわず俺は名乗りをあげた。
「アッシュと申します」

 俺の名前を聞いて、振り向いたベルの瞳に光が宿ったようだった。
「アッシュ? ……そ……うか。アッシュというのだな。いい名だ」
 泣き笑いのようなその顔は別れた時のままだった。なぜそんな顔をするのだ? お前は今幸せではないのか? 何があったのだ?

「今日から皇太子殿下の護衛にあたらせていただきます」
「是非。そうしてくれ」
 もっと話したい。だが、ベルは今やこの国の皇太子だ。安易に話しかけていい相手ではない。後で知ったのだがベルは国王の落とし胤だったらしい。皇后に見つからぬようにベルの母親が人知れず、孤児院に預けたのだという。その母親の死すら暗殺が噂されている。皇后が亡くなられ影響力が弱まったのでベルが呼び戻されたというのだ。そのことを知ってから更に俺はベルの身を守らなければ。もっと強くなって傍で守れるようにならなければと思う様になったのだった。

「あら珍しい。貴方が誰かに興味を持つなんて」
 甲高い声がする方を見れば派手な衣装を身にまとった女性がこちらを見ていた。
「私を守ってくれる相手の事に興味を持つのはあたりまえだろう?」
 ベルが反論するように女性を見返した。凛とした態度で対応するのを見て、俺はこの数年でベルが皇太子らしさを身につけた事を知った。軒並みならぬ努力があったのではないだろうか。俺などとは比べようもないほどに。

「だったら! 私の事にも興味を持っていただきたいわ!」
 ヒステリック気味にベルに食って掛かろうとする女性を後ろに控えていた初老の紳士が押さえた。
「これ。ガブリエラ。みっともない真似はやめないか!」
「だって。お父様!」
 ガブリエラにお父様? そうか。こいつらか。ガブリエラと呼ばれた女性は皇太子妃で、お父様と呼ばれた方が宰相か。そういえばこいつの顔には見覚えがある。ベルを馬車で連れ去った貴族だ!
「宰相殿は今でも皇太子妃様をお名前で気安く呼ばれてるのでしょうか?」
 俺の師匠がすかさず進言をする。
「……そうであった。まだ婚姻を済まされてから日数がたっていないものですから。つい名前で呼んでしまいました。殿下申し訳ございません」
「……かまわぬ」
 ベルとガブリエラは数日前に王族だけでの婚姻をしたばかりだという。現在国王が病で臥せっているために大々的な式は挙げずに身内だけのものにしたそうだ。まるで焦って婚姻させたようではないか? もしもこのまま国王が亡くなられたら? すべては宰相の思うつぼなのか?

「差し出がましいようですが、皇太子妃となられたのですからもう少し立場というものをわきまえた方がよろしいかと存じます」
 俺の師匠に言われハッとした顔でガブリエラが扇で口元を隠した。目だけで師匠を睨みつけている。ベルはというと視線をそらして苦笑している。どうみても二人の仲は冷めている。政略結婚にしか見えないな。
「はっはっは。騎士団長殿は相変わらず饒舌ですな。皇太子妃様はこれからお妃教育に励まれるでしょうし、私達はしばしその成長を見守ろうではありませんか」
 宰相が何食わぬ顔で言い放つ。こりゃあ鋼の心臓の持ち主だな。

 俺はその日から皇太子の護衛としてベルの傍で控える事が許された。だが公務や執務で忙しいベルに声をかける暇がない。それに宰相や執事が常にまとわりついていた。
「少しは休まないと体を壊してしまうのではないですか?」
 ベルが心配で身分を忘れつい口を出してしまった。
「なんだ?護衛ごときが口出しする気か!」
 宰相が睨みをきかせてくる。

「そうだな。私もちょうど喉が渇いたところだった。少し休憩でもしようか」
 ベルがこちらを見てほほ笑んだ。ああ、笑った顔には昔の面影がある。
「……さようでございますか。では休憩いたしましょう」
 執事が茶を運んでくると宰相が当たり前の顔をして席に座ろうとする。
「宰相殿、先ほど言っていた案件の資料を持ってきてくれまいか」
「今ですか?」
「ああ。今日中にサインが必要なのだろう? 私も少しは意見を言ってみたくなってね」
「……かしこまりました」
「そうだ。その間の息抜きに市井の話を聞いてみたい。そこの護衛から最近の城下の話など聞いておこう。教えてくれるかい?」
「は……はい! かしこまりました!」
 俺が背筋を伸ばすと宰相が忌々しそうに俺を睨みつけ、部屋から出て行った。
「じっくり聞いてみたいから、座ってもらえないかな? 悪いが彼のためにカップをもう一客用意してきてくれないか」
「かしこまりました」

 執事がお辞儀をし俺を一瞥して部屋を出た。やっと部屋に二人きりになれたと思うとベルが立ち上がって俺に抱きついてきた。
「アッシュ! 会いたかった!」
「ベル! 本当にベルなんだな! 会いたかった!」
 触れられることに歓喜した。以前よりも伸びた背。やわらかな黒髪。昔のように抱き合うと、広くなった背中に手を回す。ぎゅっと抱きしめ返すと互いの鼓動が響いてくる。

「まだ私の事をベルと呼んでくれるのだな」
「俺にとってはベルだ。それより背が伸びたなあ。俺とそう変わらねえ」
「アッシュだってこんなに立派になって! 騎士になっていたなんて」
「お前こそ皇太子だなんて偉くなっちまったな」
「……偉くなんてないよ。ただのお飾り人形さ」
 ベルがそっと俺の手を掴み身体を離した。俯き加減に俺から視線を外す。
「何故だ? 皇太子なんだろう?」
「アッシュも見てただろ? 私は判を押してサインをするだけ。采配はすべて宰相に権限がある」
「何を言っているんだ。ベルの方が位は上じゃないか。権限なんか取り返せばいいじゃねえか」
「それがそう簡単には行かないのだ。私はずっと監視されている」
「やっぱりあの執事も宰相側なのか?」
「そうだ。ここに来た時から私の味方は誰もいなかった」
「国王陛下は? 父親なんだろ?」
 ぴくりとベルの肩が震えた。父親とはうまくいってないのだろうか? 

「ああ。だが宰相の手によって離されてしまった。やつは名目上は私の補佐で教育係だ」 
「宰相め、自分の私利私欲のためにベルを操ろうとしているんじゃねえのか」
「はん。どうにでもすればいい……私はアッシュさえ居てくれればそれでいい」
 そう言いながらも小さく震えているのは何故だ? まるであの頃みたいじゃないか。何がお前をそんなに不安にさせるんだろうか。やはり来てよかった。俺が来たからにはもうお前を悲しませはしない。
「ベル。俺はもう一度お前に会いたくてここまで追ってきたんだ。もう離れねえ」
「アッシュ……。」
 ベルが泣きそうな顔をする。何か言いたげな唇を見つめていると、コンコンと扉のノックと共に執事がワゴンを押して部屋に入って来た。
「カップと一緒に軽食もご用意いたしました」
「ありがとう。さあ、座りたまえ。最近の城下で変わったことはないか」
 ベルの纏う空気が変わった。皇太子の仮面をつけてしまったんだな。俺が椅子に座ると執事が茶を入れる。
「はい。それでしたら……」
 俺達はあたりさわりのない話題を話し始めた。

◇◆◇

「もぉ! 何よっ貴方って本当に私に興味がないのね!」
 ガブリエラは度々夜中にやってきては癇癪を起す。
「私達は政略結婚だ。君もわかっていて婚姻したのだろう」
 元々寝室は離れている。一緒に寝たことすらないのに夜に限ってしつこく食い下がるのはどうしてなのだろうか? 何かそうしないといけない事でもあるのではないか? 気持ちの悪い女だ。プライドだけは高いくせに学がない。だから男に騙されるのだ。  
「ええそうよ! 私はこの国の皇后になるのよ! そうでなければ誰が貴方なんかと……」
「そうか。私も好きで婚姻したわけではない。利害が一致してよかった。さあ早く出て行ってくれないか」
「何よ偉そうに! ……ふん。私、本当は知っているのよ」
「何を知っていると言うのだ?」
 なんだ? 何を言う気だ。嫌な予感がする。
「貴方が本当は男が好きだってことをね」
 バシッと音が部屋に響く。考えるよりも先に手が出てしまっていた。
「痛いっ! 痛いじゃないの! よくもぶったわね!」
「出て行け!」
「な、なによ! お父様に言いつけてやるから!」
 やってしまった。ずっと今まで堪えていたのに。ガブリエラの頬を殴った手のひらがじんじんとする。怒りが湧いてくるのを止められない。
「くそっ!」
 壁にかかっている鏡が私の本当の姿を映し出す。尖った耳に真紅の瞳。真っ黒な髪からは闇の力があふれそうになる。だめだ。やっとアッシュに会えたのに。いや、会ってしまった。
「会いたかった。でも会ってはいけなかった」
 アッシュの記憶の中の私と現実の私を見比べて幻滅されたらどうしよう。

「起きていらっしゃるんでしょう?開けてもよろしいですかな?」
 宰相の声だ。きっとガブリエラが泣きついたのだろう。馬鹿な女だ。ゆっくりと扉が開かれると宰相がニヤけながら入ってくる。
「ほぉ。久しぶりに力があふれてるようですな?」
「来るな!」
「おや、よろしいのですか? 皇太子殿下のお気に入りの護衛の存在を忘れてはいないですよね? この部屋の入り口に控えさせているのだがね」
「なっ? 何故アッシュを……」
 今日は夜勤ではないはず? 夜は交代制のはずだ。
「何故ですと? 貴方のお気に入りだから連れてきたのですよ。彼は正義感あふれる青年だ。もしも幼馴染が本当は邪悪な魔族の血を引き継いでるとしたら? 彼はショックを受けるんじゃないでしょうかね?」
「ぐっ……」
「貴方は今まで通り私のいう事を聞いていればいいのですよ」
 孤児院から引き取られたのちに私は自分の力を思い知った。一度怒りに支配されると感情が爆発し闇の力があふれ出す。それまでは母の言いつけ通りに普段からおだやかでいるようにし、出来るだけ笑顔で人当たりの良いように演じていた。殴られても蹴られても自分を抑え込むように努力していた。それにアッシュがいつも自分の代わりに怒ってくれて、常に守っていてくれたから自分が怒りに飲み込まれる事はなかったのだ。

 だがアッシュと離れ怒りの感情に飲まれてしまうとどす黒い闇の魔力があふれ、この手を血に染めないとその力は押さえ込むことが出来なくなった。
 宰相は始めからそのことを知っていた。私の母の事を調べつくしていたのだろう。母の家系は代々魔族と同じ闇の力が受け継がれていたらしい。母は産まれた私にその力が宿っていることに気づき、父である国王の前から姿を消した。皇后の判断は正しかったのだ。嫉妬に狂ったのではなく、この国の先末を考えて私達親子を抹殺しようとしたのだろう。
「貴方を見つけた時は狂喜しましたよ。こんなにも強力な力と人に知られてはいけない秘密をもっている。私の手駒にするには申し分ない」
 初めて怒りで我を忘れた時に宰相にとって不利になる人間を消すための道具に使われてしまった。わざと私を怒らせ同じ部屋にその人間を投げ入れてきたのだ。我に返った時は私の手は血まみれで人の形のものはなくなっていた。それ以来私は宰相のあやつり人形と化してしまった。
 くくくとニヤけた笑いをこぼす宰相を引き裂いてやりたい気持ちを堪える。今までは父の、国王を想い我慢をしてきた。ひとり息子が魔族と公になれば悲しむどころか国民からどれだけ非難を受けるか。私が城に戻った時に一番に喜んでくれた人だった。皇后との間には子供が授からなかったようで父は側室である母を大層気に入っていたらしい。だが魔族の血を引いていると宰相から聞き、私を怖れ離れて行った人でもある。だからあと少し、国王が生きている間だけは大人しくしようとしていたのに。

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