29 / 34
第29話 夢での気づき
しおりを挟む
「あれ?ここは…?」
いつもと違う…いや、オレの部屋だ
「初夏!?遅刻するわよ!?」
「うぇ!?はぁい!!」
オレは慌てて着替える
それはいつもの朝食で、朝から手を抜きたがる母さんは食パンとココアを用意してくれてた
一気に食べて、玄関へと向かう
「あんたお弁当は!?」
「あ!ごめん!持ってくー!いってきまーす!!」
「朝から慌ただしいな」
苦笑する兄貴を横目に走り出す
「もう遅いー!」
「桜お待たせ!!」
「1限の講座必修でしょー!?」
「わりぃー!」
2人で走って電車に向かうホームに着くと乗る電車はまだ来ていなかった
「セーフ!」
「ほんと初夏ちゃんは寝坊多いんだから!」
「気をつけてはいるんだけどさー」
桜の言葉に苦笑で返す
「何か長い夢を見てたみたいでさー」
「夢?」
「ん。何か、色々エキサイティングだった」
「エキサイティング…」
苦笑している桜にへらりと笑う
いつも通りの日常にどこか首をかしげる
何かが足りない気がした
「お?初夏じゃんー!おはよー!」
「おーぅ。おはよー」
大学につくと仲良い友達が声をかけてくる
いつも通り挨拶をするが、どこか懐かしい感じがした
こんなに距離感つまってたっけ?
「今日は遅れなかったんだね!」
「そーだよ!って今日はって何だよ!?」
周りで笑い声が聞こえる
いつも通りの日常
なのにどこか違和感
「初夏、ちゃん…」
どこか悲しい顔をしながら桜がオレの名前を呟いてたなんて気付かなかったのだった
「あー!何で今日こんなに講座詰まってんの!?」
「ほら、この前の補講分とかも入ってたからだよー」
オレが食堂でぐでーと突っ伏していると桜が正論を言ってくる
それにぐうの音も出ない
「あ!いたいた初夏!」
「あ?…あー何も見えなかった」
「ちょっと!存在無視すんのやめてよ!!」
「…はぁ…で?何の用だよ雪乃」
「ふふーん!そんなこと言っていいの!?新作!持って来た!」
「雪乃様ありがとうございますその手土産置いてさっさと立ち去れ」
「私の扱い酷すぎない!?」
雪乃はオレや桜と同族…いわゆる腐女子である
こいつ自身創作活動もしているのもあって、オリジナルのBL本やゲームを作っている
「感想聞かせて欲しくてさー手土産と一緒に新作持って来た!」
「は?…本?え、携帯小説?どれ?」
「今回は…サイトに載せる予定だけど、紙媒体にしてみました!」
「あー了解。」
タイトルは…【colorful days】…ん?どこかで…?
ペラリペラリとめくり読んで行く
ポロリ…
「初夏ちゃん…?」
「え!?初夏!?」
「え?」
桜が悲しそうな顔をしている
雪乃は何故かあわあわと慌てている
「ほら!ティッシュあげる!!」
雪乃が街頭でもらったであろうティッシュを押し付けてくる
「??」
「…初夏ちゃん。泣いてるよ」
桜が優しく教えてくれた
自分の頬に触ると、確かに濡れていた
「何で…」
「そんなに面白くなかった!?」
「いや、ちが…」
違うとはっきりわかるけど、何でオレ自身泣いているのかわからなかった
「たい、ちょ…」
親衛隊が出て来た辺りで苦しくなった
何で?
何でオレの言葉を信じてくれないの…?
「…ごめん、オレもう帰るわー」
雪乃からもらったティッシュで鼻を拭いた後、さっさと帰る準備を始める
「うん!大丈夫!!また明日!!」
「おー!明日な!!」
よくわからないけどさっさと帰ることにした
「私も帰るー!」
桜が後ろからついてきていた
いつも通りなのに悲しい
いつも通りなのに寂しい
何が違う…?
グィッ
「うぇ!?」
「ダメだよ、初夏ちゃん」
「桜…?」
帰り道、急に桜がオレの腕を引っ張った
桜が俯いてて顔は見えない
「ダメ。これ以上はダメ」
「何が…桜?大丈夫か?」
「これ以上先に進んじゃダメだよ…初夏ちゃんが傷ついちゃう」
何を、言ってるんだ?
「桜…?」
「なんて…多分初夏ちゃんは選んじゃうんだろうね」
桜がやっとオレを見た
今にも泣きそうな顔をした桜
「初夏ちゃんはいつも他の人のことばっかだけど…あの人のことは特別だもんね…
私も特別だけどそれとは別の特別。
ねぇ、初夏ちゃん。思い出して?
初夏ちゃんの
大切な人はーーーーー?」
「大切な、人」
大切な?
そんなの桜に決まってんじゃん…?
ーーーーー本当に?
どこかで別の自分の声がした。
ーーーーー本当に?桜だけなの?
他に誰がいるっていうんだ?
ーーーーー守りたいって思った人は?
守りたい…?
ーーーーー一緒に居たいと思った人は?
一緒に居たい…
ーーーーーねぇ?思い出して?
何を?
ーーーーーなぁ?起きろよ、オレ
あぁ、忘れてた…そうだよな。
悲しい顔を見たくなくて、必死に足掻いた。原作通りにならないように、でも原作を壊さないように裏から回って
あぁ、そうだ。
オレ、裏切られて自殺した私と変わったんだった
「桜。オレ、まだ何か忘れてる?」
「嫌だ」
「さーくら?」
「また…またあんな光景、もう見たくない」
「入れ替わった原因か?」
「うん。」
「なぁ、桜。今の桜はずっとオレと一緒にいる桜?」
「うん。そうだよ…こっちでも向こうでも一緒な桜だよ」
「なら、もうわかってんだろ?」
「うん。そう、だね」
「教えてくれるか?」
嫌そうな顔をした桜はゆっくりと口を開いた
「初夏ちゃんの記憶は改ざんされてた。何のためかはわからなかったけど…マンホールなんて落ちるわけないよ」
「だと思った。そんなギャグみたいなこと、あるわけないもんな」
「本当は…本当は…その角を曲がったら」
言いにくそうに、震えながら言葉を紡ごうとする桜をオレはゆっくり抱きしめた
「ありがと。また、向こうで会おう?」
ゆっくり桜から離れる
どちらにしてもココは元の世界じゃない
なら、正そうじゃないか
どっちが夢で、本当は死んじゃってるかもしれないけど
「だって、また、会いたいもんな」
オレはゆっくりと角を曲がった
強い光がオレの視界を遮ったのだった
いつもと違う…いや、オレの部屋だ
「初夏!?遅刻するわよ!?」
「うぇ!?はぁい!!」
オレは慌てて着替える
それはいつもの朝食で、朝から手を抜きたがる母さんは食パンとココアを用意してくれてた
一気に食べて、玄関へと向かう
「あんたお弁当は!?」
「あ!ごめん!持ってくー!いってきまーす!!」
「朝から慌ただしいな」
苦笑する兄貴を横目に走り出す
「もう遅いー!」
「桜お待たせ!!」
「1限の講座必修でしょー!?」
「わりぃー!」
2人で走って電車に向かうホームに着くと乗る電車はまだ来ていなかった
「セーフ!」
「ほんと初夏ちゃんは寝坊多いんだから!」
「気をつけてはいるんだけどさー」
桜の言葉に苦笑で返す
「何か長い夢を見てたみたいでさー」
「夢?」
「ん。何か、色々エキサイティングだった」
「エキサイティング…」
苦笑している桜にへらりと笑う
いつも通りの日常にどこか首をかしげる
何かが足りない気がした
「お?初夏じゃんー!おはよー!」
「おーぅ。おはよー」
大学につくと仲良い友達が声をかけてくる
いつも通り挨拶をするが、どこか懐かしい感じがした
こんなに距離感つまってたっけ?
「今日は遅れなかったんだね!」
「そーだよ!って今日はって何だよ!?」
周りで笑い声が聞こえる
いつも通りの日常
なのにどこか違和感
「初夏、ちゃん…」
どこか悲しい顔をしながら桜がオレの名前を呟いてたなんて気付かなかったのだった
「あー!何で今日こんなに講座詰まってんの!?」
「ほら、この前の補講分とかも入ってたからだよー」
オレが食堂でぐでーと突っ伏していると桜が正論を言ってくる
それにぐうの音も出ない
「あ!いたいた初夏!」
「あ?…あー何も見えなかった」
「ちょっと!存在無視すんのやめてよ!!」
「…はぁ…で?何の用だよ雪乃」
「ふふーん!そんなこと言っていいの!?新作!持って来た!」
「雪乃様ありがとうございますその手土産置いてさっさと立ち去れ」
「私の扱い酷すぎない!?」
雪乃はオレや桜と同族…いわゆる腐女子である
こいつ自身創作活動もしているのもあって、オリジナルのBL本やゲームを作っている
「感想聞かせて欲しくてさー手土産と一緒に新作持って来た!」
「は?…本?え、携帯小説?どれ?」
「今回は…サイトに載せる予定だけど、紙媒体にしてみました!」
「あー了解。」
タイトルは…【colorful days】…ん?どこかで…?
ペラリペラリとめくり読んで行く
ポロリ…
「初夏ちゃん…?」
「え!?初夏!?」
「え?」
桜が悲しそうな顔をしている
雪乃は何故かあわあわと慌てている
「ほら!ティッシュあげる!!」
雪乃が街頭でもらったであろうティッシュを押し付けてくる
「??」
「…初夏ちゃん。泣いてるよ」
桜が優しく教えてくれた
自分の頬に触ると、確かに濡れていた
「何で…」
「そんなに面白くなかった!?」
「いや、ちが…」
違うとはっきりわかるけど、何でオレ自身泣いているのかわからなかった
「たい、ちょ…」
親衛隊が出て来た辺りで苦しくなった
何で?
何でオレの言葉を信じてくれないの…?
「…ごめん、オレもう帰るわー」
雪乃からもらったティッシュで鼻を拭いた後、さっさと帰る準備を始める
「うん!大丈夫!!また明日!!」
「おー!明日な!!」
よくわからないけどさっさと帰ることにした
「私も帰るー!」
桜が後ろからついてきていた
いつも通りなのに悲しい
いつも通りなのに寂しい
何が違う…?
グィッ
「うぇ!?」
「ダメだよ、初夏ちゃん」
「桜…?」
帰り道、急に桜がオレの腕を引っ張った
桜が俯いてて顔は見えない
「ダメ。これ以上はダメ」
「何が…桜?大丈夫か?」
「これ以上先に進んじゃダメだよ…初夏ちゃんが傷ついちゃう」
何を、言ってるんだ?
「桜…?」
「なんて…多分初夏ちゃんは選んじゃうんだろうね」
桜がやっとオレを見た
今にも泣きそうな顔をした桜
「初夏ちゃんはいつも他の人のことばっかだけど…あの人のことは特別だもんね…
私も特別だけどそれとは別の特別。
ねぇ、初夏ちゃん。思い出して?
初夏ちゃんの
大切な人はーーーーー?」
「大切な、人」
大切な?
そんなの桜に決まってんじゃん…?
ーーーーー本当に?
どこかで別の自分の声がした。
ーーーーー本当に?桜だけなの?
他に誰がいるっていうんだ?
ーーーーー守りたいって思った人は?
守りたい…?
ーーーーー一緒に居たいと思った人は?
一緒に居たい…
ーーーーーねぇ?思い出して?
何を?
ーーーーーなぁ?起きろよ、オレ
あぁ、忘れてた…そうだよな。
悲しい顔を見たくなくて、必死に足掻いた。原作通りにならないように、でも原作を壊さないように裏から回って
あぁ、そうだ。
オレ、裏切られて自殺した私と変わったんだった
「桜。オレ、まだ何か忘れてる?」
「嫌だ」
「さーくら?」
「また…またあんな光景、もう見たくない」
「入れ替わった原因か?」
「うん。」
「なぁ、桜。今の桜はずっとオレと一緒にいる桜?」
「うん。そうだよ…こっちでも向こうでも一緒な桜だよ」
「なら、もうわかってんだろ?」
「うん。そう、だね」
「教えてくれるか?」
嫌そうな顔をした桜はゆっくりと口を開いた
「初夏ちゃんの記憶は改ざんされてた。何のためかはわからなかったけど…マンホールなんて落ちるわけないよ」
「だと思った。そんなギャグみたいなこと、あるわけないもんな」
「本当は…本当は…その角を曲がったら」
言いにくそうに、震えながら言葉を紡ごうとする桜をオレはゆっくり抱きしめた
「ありがと。また、向こうで会おう?」
ゆっくり桜から離れる
どちらにしてもココは元の世界じゃない
なら、正そうじゃないか
どっちが夢で、本当は死んじゃってるかもしれないけど
「だって、また、会いたいもんな」
オレはゆっくりと角を曲がった
強い光がオレの視界を遮ったのだった
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる