悪役令嬢役の友人が婚約破棄されたので一緒に旅に出ることにしました

くりーむそーだ

文字の大きさ
1 / 20
開幕 始まりの国

第1話 最後の晩餐~試験勉強の時ほど部屋を片付けたくなるよね?~

しおりを挟む
「セレスティーナ=ジルベール!!貴様に婚約破棄を言い渡す!!」

怒ってるのかかっこよく決めたいのかわからないけどイケメン?王子がセレスティーナ様に向かって叫んでいる
…あの王子確か王位第一継承者じゃなかった?第二王子のくせに

あ。どうも、私モブの伯爵令嬢(笑)です

「あらまぁ。婚約破棄ですか…理由をお聞かせ願えますでしょうか」

疑問系じゃないし、扇で口元隠してるセレスティーナ様は流石悪役といったところでしょうか
私のようなモブではほんと太刀打ちできませんね
星の煌めきのような銀の髪にエメラルドの宝石のような緑の瞳
絶世の美女という言葉は彼女のためにあるのでしょう

おっと、いけない。ちゃんと聞いておかないと

「よくもぬけぬけと!男爵令嬢のアイリス=ヒーリアに暴力、暴言、脅しを行ったであろう!アイリスが泣きながら訴えて来なければ気付けなかった!」
「イージオス様!私はイージオス様が庇って下さっただけでも嬉しいです!」
「アイリスっ!!」
「イージオス様っ!!」
「待ってよ。僕だって気づいてたでしょ?」
「もちろんよ!メルデン!頼りにしてるわ!」
「僕もーアイリスのためならぁー魔力を惜しまないんだからぁー」
「ふふふっ!ありがと!クノートゥス!」
「俺…も…」
「あら?いつもありがとう、トーティス」

…これ何の茶番?ファイアーボールとか投げちゃだめかな?
というかうちの馬鹿兄どこ?取り巻きに入ってるはずなんだけど…あ。第一王子の横いるわ
…心の中くらい口調いいよね?こんなの聞いたらまた兄や妹に何言われるかわかんないけどね☆
まぁもうすぐ令嬢のような口調も必要なくなるんだけどね!

「殿下…そうおっしゃるなら、証拠を見せていただけますでしょう?このような公の場でわたくしを断罪なさるのですから」
「アイリスが泣いていた!それだけで理由になる!」
「心優しいアイリスをいじめるなんて…本当とんだ悪魔だな」
「ぼくがぁ守ってあげるねぇ」
「俺も…守る…」
「茶番はおよしになってくださる?物的証拠。証言。目撃者。全て揃えていただかないとわたくしとて、納得できませんことよ?」

ふふふっと笑うセレスティーナ様が綺麗だ
あー本当女神
色んな噂が流れてるけど、本当王妃教育はヤバイらしい
普通の令嬢なら死にかけるけどそれを難なくこなしておられるセレスティーナ様は本当神かな?
それに比べて王子は自分の仕事を放り出して逃げてたし、アイリスさん?が来たら僅かだった仕事もしなくなって皇太子の権力だけ振りかざしてるよね
クズだわクズ
…あ。不敬罪で捕まる?いいえ、心の中なら大丈夫でしょ

「埒が明きませんわね」

セレスティーナ様は扇をパチンッと閉じ、最上敬礼をした

「…良かろう」

国王が一言低い声でおっしゃった
チラリと覗き見ると王妃が青い顔でセレスティーナ様を見ている
そういえば、仲よかったよね王妃とセレスティーナ様
きっと申し開きをするために、証人になっていただくために最上敬礼をされたんでしょ

「お心遣い、感謝致しますわ国王陛下」

顔をゆっくりと上げながらセレスティーナ様がおっしゃる
流石…淑女の鏡と言われるセレスティーナ様だわ

「まず。イージオス王子。貴方が知っておられるように、王妃教育は王妃様自らが行われます。学園での授業が終わり次第、王宮からの迎えも頂いております。
これは贔屓などではなく、王妃様がご多忙のため渋滞に巻き込まれてご迷惑にならないように、と王国からの命令ですわ」

「で、でもぉあたしぃ…イージオス様に近づくなって言われましたしぃ」

ここでぶりっ子出してくるのかぁー
おい。周り頬を染めるな。気持ち悪いでしょ

「あら?わたくし、いつ申し上げましたでしょう?」

バサッとまた扇を開いてセレスティーナ様が告げる

「沢山言われすぎてわかりませぇん」
「そんなに…「彼女は誤解しているようですわね。わたくしは『婚約者のいる男性にベタベタ触ってはご迷惑になるわ』と申しあげましたわ。後は…『婚約者でもない男性と2回以上踊るのはマナー違反ですわ』と申し上げましたわね。
イージオス様や他の方々、貴族の方々ならこの意味、お分かりになるでしょう?」

おぉー!流石セレスティーナ様!王子の言葉をぶった切った!!
そして、それは正論である
この国では2回は婚約者と認められた者同士しか踊ってはいけない
3回ともなるともう婚姻している状態でなければならない。というルールが存在する
それを国のトップの彼らが知らない筈がない

婚約者のいる男性にベタベタしてはいけないっていうのは現代でいうと浮気と同じ行為になるので愛人になろうと媚を売っていると思われることもある

「それでも足を引っ掛けたり、ワインをわざとドレスにかけたり…これはどうなの?」

腹黒そうな次期宰相で公爵家のメルデン様がにっこり(目は笑ってないけど)尋ねてきている
それに対してもふふんっと笑うセレスティーナ様は本当流石だわ

「他の方々に聞いてもらえればわかるわ?貴女がわざとわたくしにぶつかってきたことも。大騒ぎしながらこちらへ来たことも」

多分その時王子の護衛だったであろう騎士の1人を国王が見た
騎士は国王に向かいゆっくりと頷いた

「申してみろ」
「ハッ!陛下に発言を許可いただいたので申し上げます
アイリス男爵令嬢は大きく騒ぎながらセレスティーナ侯爵令嬢の方へ向かい、わざとぶつかる様を目撃致しました。
また、口裏を合わせるようにという指示を男爵令嬢はご友人方に証言させる取引も行われいたことを別の隊から報告を受けております」

あ。護衛とか失礼なことを言ったわ
この人騎士団長だわ
ということは…

「そんな!デタラメだ!」
「父上…」

ショックを受けているトーティス様

「紋章に誓っても、偽証は致しません」

「そろそろご満足いただけないかしら?」

あ。セレスティーナ様がため息をついてる

「ついでに言いますが、アイリス様。貴女、ラーヒット帝国の回し者ですわね?」
「え?」
「貴女が仲良くしてた商人の男性…あの方はラーヒット帝国の間者ですわ。まぁ…もういないでしょうけど」
「え…し、知らない!そんなの!ただ、お話してたらいいものくれるって…」

あーこの子ほんと気づかなかっただけなんだなぁ…
でもそれじゃあもう引き返せないとこまできてるよ?

「…捕らえろ」

国王が重く一言呟いた

「こんなの!おかしいわ!私のための世界なのよ!?何のために逆ハーエンドにしたのかわからないわ!私の世界よ!?ゲーム通りにこなかったセレスティーナバグが悪いんでしょ!?」

ゲームかぁ…

「ごきげんよう。良い夢を」

にっこりと笑うセレスティーナ様に呆然とするアイリス様
あぁー終わったねぇ
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

包帯妻の素顔は。

サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...