妖精姫は見つけたい

佐倉有栖

文字の大きさ
16 / 82

16

しおりを挟む
 激しい迫害にあい、へき地へと追いやられた魔女たちは人間を憎んでいた。
 そんな魔女を、マティルダとリベリオがどうやって連れてきたのかは分からない。しかし彼女は圧倒的な火力で反乱軍を蹴散らすと、王都へと迫っていた戦火を後方へ押しやった。
 勢いづいた王国騎士団は戦線を押し上げ、次々と砦を取り戻した。敗走する反乱軍は次第に散り散りになり、いくつかの小部隊が抵抗を続けたのちに消滅した。

 リーデルシュタイン王国を救った魔女は、戦いの終結まで見届けることなく王国を去った。姫と王子の熱意に根負けしただけだと言う彼女は、一切の褒賞を拒否すると煙のように姿を消した。

 王としての資質を問われたメンフィスは、まだ幼いレオニダに王位を譲ると、王城の隅に質素な小屋を建て、エルヤとともに隠居生活に入った。
 レオニダは女児にも王位継承権が与えられるよう制度を変えたのち、マティルダを継承順位一位とすると、すぐに王位を譲った。
 リーデルシュタイン王国初の女王は、一夫多妻制を廃止するとともに、婚約者についても厳しい規定を制定した。
 王位継承者がある程度の年齢になるまでは複数の婚約者がいても良いとされる慣習を見直し、婚約者は一人と定めた。婚約の破棄も、婚約者が拒否した場合はすることができない。
 とりわけ最も特徴的なのは、エリザへの誓いと呼ばれる規定だろう。

 王位継承者は婚約者を、触れることすらできない王家の至宝として扱わなければならない。
 婚約者と接するときは白の手袋を着用し、直接触れてはならない。

 手袋を外し触れることができるのは、結婚後、王家の一員としての冠を頭にのせ指輪をはめるときだ。
 唯一無二の王家の宝であるうちは、決して触れることはないのだ。


 シャルロッテはすでに、クリストフェルにとっての宝ではなくなっていたのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。

音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。 だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。 そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。 そこには匿われていた美少年が棲んでいて……

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

義務ですもの。

あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。

三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します

冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」 結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。 私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。 そうして毎回同じように言われてきた。 逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。 だから今回は。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...