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ひとつの終わりと新しい始まりの予感
しおりを挟む(色部 誉)
自らが仕掛け人となったイベントが終わった。
チームが出演するイベントもちらほらあるものの、まだ数は少ない。
大学のイベントも特に大きなものはないけれど、一方で学期末の試験まで一か月くらいしかない。
その時期からお祭りなど、チームが出演するイベントも増えてくるはずだ。今のうちに試験勉強をしておいた方が良いだろう。
夏の盛りに向かってイベントは増えていき、浅草サンバカーニバルをはじめ、イベントのピークは真夏から秋に向かって増えていく。
自ずと練習量も増えるし、浅草サンバカーニバルに関しては衣装の準備などもある。
セーブしていたバイトも少し戻して収支も整えなくてはならない。
やることも、やりたいことも、たくさんある。
私はきっと、恵まれている。
それほど自主的能動的では無くても、私の背中を押してくれる人や盛り立ててくれる人がいつの間にか周りにたくさん居て、その人たちに促されるまま導かれるまま、いつの間にか大きなイベントの発起人となっていて、それは成功と呼んで良い成果を伴って終えることができた。
この傾向はすぐには変えられないだろう。
だから、そのことは受け容れ、受け止め、感謝しながらも。少しずつでも、私は私の意思で、やりたいことを主張し、実現していけるようになろう。
それがきっと、私の面倒を見てくれた要さんやしょーちゃん、いのりやハル、『Three ducks』の人たちやお客様たちへの恩返しとなるはずだから。
そして、先達から受け取ったものを、マレやのんちゃんに繋いでいこう。
音が重なって曲になるように。
想いやアイデアや価値観を重ねて、文化を、社会を、世界を創る。
大げさだけど、そう考えて生きることが、「世界に参加している自分」というものを強く意識できる、主体的に行動できるようになるための基礎となると思えたから。
夕方でもまだ日中のように明るい。
駅のホームからは開けた空が良く見えた。
改札口で別れたのんちゃんは、家路に向かってまだ歩いているだろうか。
スイカバー食べたいなどと言っていたからコンビニにでも寄っているのかもしれない。
マレはもう飛行機に乗っているだろうか。もしかしたら、同じ空を異なる高さから眺めているのかもしれない。
数秒後には停止しているとは思えない勢いで電車が飛び込んできた。
目の前で入り口を開けている電車は、少し唸っていて少し震えていた。
先ほどまで高速で走っていた電車だ。これが生き物だったら身体は温まっていることだろう。いや、機械でも一緒か。駆動部分は熱くなっているはずだ。
私は秘かに、ぐっとこぶしを握って車内に入った。
誰かが一緒に居て、その様子を見ていたなら、「なんで?」と突っ込まれたかもしれない。
今、気合を入れるようなことは起こっていないし、きっかけがあったわけでもない。
私も何故そうなったかはわからないが、これからのことを考えると、どうしてか心が奮えたのだった。
空いている電車の中。
広々とした席の真ん中付近に座った私は、バッグからスマホを取り出した。マレとのんちゃんにメッセージを送ろうと思ったのだ。
画面には、しょーちゃんからメッセージが届いていることを知らせる通知が表示されていた。
その通知は何故か、招待状のように見えた。
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