スルドの声(共鳴2) terceira esperança

桜のはなびら

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フィナーレ

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 曲の冒頭と同じ言葉が、感謝の気持ちを強調しながら、曲全体を包み込む。
 柔らかい音と、語り掛けるような優しい声が、聴き手の心に余韻を残しながら、静かに終わっていく。
 トニックで終わるこの曲は、安心感と「終わった」という感覚を聴く者に与える。その余韻は穏やかで前向きで、未来ある若者の友情に相応しいものと思えた。
 
 
「…………ちょっとしっとりしちゃったから、最後はバカみたいに盛り上がろう! せっかくサンバののぞみがサンバを広めたくて決めた今回の出演! 誰もが知ってる『サンバ』の名がついたこの曲が締めには相応しいよね? ビバ! 『マツケンサンバ』!」
 
 サンバののぞみって言い方雑じゃない?
 
 マツケンサンバがサンバであるかどうかは置いておいて。
 実際のサンバではあまり『ビバ!』とか『オレ!』って言わないし、サンバの打楽器で『ボンゴ』も使わないけれども。
 それでも、今の日本人が『サンバと言えば?』と問われたら、大抵の人が思い浮かべるこの曲を、無視はできない。し、盛り上がれる楽曲という点は間違いがないから。
 
 最後にこの曲を使わせてもらうことにした。
 原曲は意外なほど長いので、盛り上げに特化したショートバージョンだ。
 
 おなじみの前奏が始まる。
 前奏部分にも振り付けはあるが、そこはいったん無視。音を背景にMCしながら、準備を進める。

「もう最後だから! みんなめちゃくちゃに踊っちゃってー! あ、『ソルエス』のひとたち、打楽器持ってきてくれてるひといるね。ね、サンバのプロとしてステージで一緒に演奏しましょー」
 
 これは仕込み。
 前の方で見てくれていたパンデイロを持っているいのりちゃんと、大きなスルドを持っているめがみちゃん、タンボリンを持っていたアイジ、カイシャを持っていたメイをステージに上げる。
 
「さあ、いっくぞー!」
 すぐにサビに入る構成にしてあり、サビと同時に客席では振り付けも関係なく踊り始めるひとが出てくる。
 
 ステージ上に上がって演奏に参加してくれている『ソルエス』メンバーとは別に、下に残るメンバーも半分仕込みだ。事前に盛り上げ役をお願いしてあった。

 バテリアはその場で演奏し、普段着で紛れ込んでいるダンサーは観客をあおって一緒に踊ってもらうのだ。
 もはやどうせめちゃくちゃなのだ。
 わたしはスルドを演奏しながら、カヨは楽器を置いてフロアに降りて、観客と一緒になって踊ったり演奏したりした。

 サビと同時に散ったダンサーたちに釣られ、各所で踊り始める観客たち。ダンサーが何人かのノリのいい観客の手を引いて、次々ステージに上げていく。

 乗れる人数に限りはあるが、乗せられたひとたちは楽しそうに踊ってくれていて、盛り上げに一役も二役も買ってくれた。

 ステージの上でもフロアでも。
 演者も観客も渾然一体となって。
 
 ショートバージョンにアレンジした曲は、ほぼサビを繰り返すだけで、ヴォーカルも歌は半分、半分は「みんな踊ってー!」「うたえうたえー!」など、観客を盛り上げる言葉になっていた。
 
 持ち時間いっぱい。
 熱狂と興奮は体育館全体を満たし最高潮のまま、わたしたちのステージは終わった。
 
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