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ある日の検索(後日譚2)
その名は
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わたしはわたしの名前を人生に負荷を与える錘だと思っていた。
今も別に気に入ってるわけではない。
でも、身体の一部として馴染むようになってきたと思う。
それは慣れや長年共に過ごしたことによるある種の愛着もあるだろうが、考え方、捉え方一つであるとも思う。
少なくとも今は、嫌悪の思いまでは抱いてはいない。
そこに込められた意図を知ったから。
その意図の源泉となる想いを識ったから。
錘は軽やかな羽根とまではならないが、気にならない身体の一部となったのかもしれない。
わたしの名前は、お母さんの独自の価値観と感性と決まりごとの枠組みの中で生成された。
ルール無用と思われた名前だが、一定の縛りはあったようだ。
ふと、思った。
この一定の縛りは、お母さんの中だけで勝手に敷いていた、本来はなんの強制力もないルールだ。
わたしから見たら無軌道以外の何者でもないお母さん。
そんなお母さんが、もう少しだけ自由だったら?
スマートフォンの検索ボックスに文字を入力する。
画面には紫色の花が現れた。
『アクイレギア・ブルガリス』
お母さんが一番好きだと言っていた言葉。
好きな言葉、という括りでは違和感しかない固有名詞。それは、とある花の名前。
好きな言葉を無軌道に名付けに使っていたとしたら、そんな呪文のような名前をわたしが名乗っている世界もあったのかもしれない。
まあ、かわいい花だな、とは思った。
この花が咲く時期はわたしが生まれた時期でもある。
わたしが生まれる前に、この花が咲き乱れる花畑を見たりして、その美しさに感動していた、なんで背景でもあったなら、名付けの動機としてはむしろアリなんじゃないかとも思った。
花の名を名前として持っているひとは多い。
植物や動物、大地や空、星など自然由来の名はむしろ主流のひとつだ。うちのメンバーならビオラは本名菫だし、柊だって植物だ。
ただ、たまたまこの花の名前が長すぎるというだけだ。
なんて思いながら、別の世界線では名乗っていたかもしれない名前の花についての検索結果を読み進めてみる。
花言葉は......。
「勝利の誓い」「断固として勝つ」
うわぁ! お母さんっぽい!
「暗愚」「愚か」
うわぁ......お母さんっぽい......。
わたしは、「願子」で良かったのかもしれない。
たぶん。
きっと。
今も別に気に入ってるわけではない。
でも、身体の一部として馴染むようになってきたと思う。
それは慣れや長年共に過ごしたことによるある種の愛着もあるだろうが、考え方、捉え方一つであるとも思う。
少なくとも今は、嫌悪の思いまでは抱いてはいない。
そこに込められた意図を知ったから。
その意図の源泉となる想いを識ったから。
錘は軽やかな羽根とまではならないが、気にならない身体の一部となったのかもしれない。
わたしの名前は、お母さんの独自の価値観と感性と決まりごとの枠組みの中で生成された。
ルール無用と思われた名前だが、一定の縛りはあったようだ。
ふと、思った。
この一定の縛りは、お母さんの中だけで勝手に敷いていた、本来はなんの強制力もないルールだ。
わたしから見たら無軌道以外の何者でもないお母さん。
そんなお母さんが、もう少しだけ自由だったら?
スマートフォンの検索ボックスに文字を入力する。
画面には紫色の花が現れた。
『アクイレギア・ブルガリス』
お母さんが一番好きだと言っていた言葉。
好きな言葉、という括りでは違和感しかない固有名詞。それは、とある花の名前。
好きな言葉を無軌道に名付けに使っていたとしたら、そんな呪文のような名前をわたしが名乗っている世界もあったのかもしれない。
まあ、かわいい花だな、とは思った。
この花が咲く時期はわたしが生まれた時期でもある。
わたしが生まれる前に、この花が咲き乱れる花畑を見たりして、その美しさに感動していた、なんで背景でもあったなら、名付けの動機としてはむしろアリなんじゃないかとも思った。
花の名を名前として持っているひとは多い。
植物や動物、大地や空、星など自然由来の名はむしろ主流のひとつだ。うちのメンバーならビオラは本名菫だし、柊だって植物だ。
ただ、たまたまこの花の名前が長すぎるというだけだ。
なんて思いながら、別の世界線では名乗っていたかもしれない名前の花についての検索結果を読み進めてみる。
花言葉は......。
「勝利の誓い」「断固として勝つ」
うわぁ! お母さんっぽい!
「暗愚」「愚か」
うわぁ......お母さんっぽい......。
わたしは、「願子」で良かったのかもしれない。
たぶん。
きっと。
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