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1年目
冬の月3日(水の曜日) サツマイモ祭り その②
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ステラと一緒に祭り会場を回った。
色々なお店がサツマイモを使った料理を提供しており、サツマイモってこんなに使い道があるんだ~と改めて感心した。
中でも、ケイトさんが売っていた【スイートポテト】っていうお菓子は、ステラがお気に召したようだ。
「とても美味しいわ!」
「お気に召していただけて嬉しいです。ハヤトくんからサツマイモを沢山購入したので、冬の間はお店で販売する予定よ」
「買いに行きますわ。本当はわたくしの屋敷で雇いたいぐらいですわ」
「わたしもお店がありますから…。よろしければレシピを差し上げます。料理人に作ってもらってはどうかしら?」
「よろしいんですの?」
「ええ。材料もそんなに多くないので、オーブンさえあればすぐに作れますわ」
ステラの顔が輝いていた。
最初に彼女を見た時、キツイ顔の子だな~って思ったけど、こうして美味しい食べ物の前で見せる顔はごく普通の女の子なんだね。
同じ伯爵令嬢の俺の妹とは大違いだ。
伯爵という爵位を貰った途端、今までの浪費に拍車がかかり、小さい頃もぽっちゃりしていたけど、その体系にも拍車がかかったとか。「ぽっちゃりしている方が可愛いのよ~」なんて親が甘やかすから、決められた時間以外にもずっと食べているし、自分の思い通りに進まないとすぐ癇癪起こすし、どう見ても美人じゃない。
今、どうしているのかな~? まだ王子の妃になろうと媚び売ってるのかな?
「ハヤトくん!」
ベアトリスが血相を変えて駆けてきた。
「ハヤトくん、大変なの! ……あら? この子…」
「オルベリザス伯爵の娘さんだよ。伯爵がミントさんと何処かへ行っちゃったから、戻ってくるまで護衛しているんだ」
「そうなんですね。わたしはベアトリスと申します。父が村長をしています」
「ステラ・オルベリザスですわ。この村の隣の領主をしていますの。あ、わたくしの父が」
「存じております。お目にかかるのは初めてではないんですよ」
「あら、そうなの?」
「前に一度、お見かけしています」
なんか普通に話しているんですけど。
女の子ってこんな感じなの? さっきまで血相変えて走ってきたのに。
「ベアトリス、何か大変な事が起きたんじゃないのか?」
「あ! そうなの! お祭りの為にサツマイモを提供してくださった他の村の農家さんとアンナのお父さんが喧嘩を始めてしまったの! お父さんかリックさんを見てない?」
「リックさんならポールさんと一緒にいたのを見たよ。村長は見ていない」
「村長でしたら、大きなたき火の近くで見かけましたわ。喧嘩だなんて物騒ですわ。せっかくのお祭りが台無しではありませんか」
「喧嘩の原因は何?」
「それが2人とも興奮しててよく聞き取れなったんだけど、このサツマイモをどこから採ってきたとか、なんでこのサツマイモがここにあるんだって、アンナのお父さんが言っていたのは聞き取れたわ」
「アンナのお父さんと喧嘩しているのはどういう人? ただの農家さん?」
「いいえ、毎年このお祭りにサツマイモを提供してくれる方よ。村の飲食店やお野菜を売るお店にも卸してくださる方なの」
「じゃあ、顔馴染みなんだね。そんな人と喧嘩するなんてただ事じゃないよ。ベアトリス、そこに案内してくれる?」
「ええ」
「ステラ、君にお願いがあるんだけどいいかい? オルベリザス伯爵を呼んできてほしいんだ。伯爵が間に入ってくれた方が収まる気がする」
「わかりましたわ」
「ノーム、ステラの護衛を頼むよ。それからガイを見つけたら俺たちの所に来るように伝えてくれ」
未だにステラの腕の中にいるノームは、俺に敬礼を見せた。
ステラはすぐに会場のどこかにいるはずのオルベリザス伯爵を探しに駆けだした。
俺もベアトリスを一緒に、アンナのお父さんがいる場所へと向かった。
アンナのお父さんは、見たこともない男の人と口喧嘩をしていた。
2人の周りには多くの人が集まりだしている。
「だから何度も聞いているだろ! このサツマイモは何処で手に入れた!?」
アンナのお父さんはサツマイモを片手に、男の人に言い寄っていた。
「こっちも何度も言う! それはオレの畑で収穫した物だ!」
男の人も負けじと大声をあげている。
えっと…今の状況から分かるのは、アンナのお父さんが手に持っているサツマイモは、男の人が作った物かという問いかけに、男の人はそうだと答えている…ってことだよね? 特に疑問を感じる事はないんですけど?
「じゃあ、なんでこのサツマイモにハヤトくんの名前が載っているんだ!?」
え? 俺の名前? どういうこと?
「はぁ!? イモに名前なんか書いてあるわけないだろ! どこに書いてあるっていうんだ!? オレが見た限り、どこにも書いていないじゃないか!」
「ちゃんと書いてある!」
「証拠を見せろ!」
あの~……なんで俺の名前が出てくるんでしょうかね?
アンナのお父さんが手にしているサツマイモは、どこにでもあるサツマイモと変わりはない。俺の名前だって書いていないし、どこに書いてあるっていうんだ?
あ、そういえば、アンナのお父さんって、食材の品質を見るスキルを持っているって聞いた事がある。たしかアンナの話だと、食材を手に取ると、透明な板が目の前に現れて、その板に食材の名前、品質、鮮度、どこで作られた物かが書かれているって言っていたっけ。
ってことは、アンナのお父さんの目の前には、今手に持っているサツマイモの詳細が書かれた透明な板が浮かんでいるってことか。そこに俺の名前があるってこと?
一向に話が纏まらず、周りにも沢山の人が集まりだした。
そこに村長とリックさん、ガイがやってきた。
「この騒ぎは何だね! なにがあったんだ!?」
村長が言い合いを続ける2人の間に入った。
リックさんも男の人の腕を掴み、アンナのお父さんと距離を置く様に離した。
「村長さん、この人がオレの作ったサツマイモにいちゃもんを付けるんですよ! オレが育てたサツマイモを盗んできたとか言うんですよ!」
「このサツマイモはハヤトくんが作った物だ! 嘘を付くな!」
「だから、何度も言っているじゃないですか。どこにその証拠があるんですか? サツマイモに名前が書いてあるんですか? どこにも書いてないじゃないですか」
「貴様!」
いつもは温厚のアンナのお父さんが、これだけ怒りを露わにするってことは、アンナのお父さんは嘘を付いていない気がする。でも証拠もないし、もしアンナのお父さんがスキルを使って、透明な板を出していたとしても、それを見る事ができない。実際、俺にも何も見えていないし。
「落ち着きたまえ。一人ずつ話を聞こう。まずはそちらからだ。先ほどから自分が作ったと言っているが、それは本当なのかね?」
「ああ、そうだよ。毎年この祭りの為に納品しているじゃないか。今年はこの地域全体でサツマイモの不作が続いて、満足な物は出来なかったけど、この祭りの為に作った物を持ってきてやったんだ。感謝してほしいのに、何で疑われないといけないんだ?」
「なるほど。それでヤーコプ(アンナのお父さん)は、このサツマイモは彼が作った物ではないというんだね?」
「その通りです、村長。わたしがこのサツマイモを鑑定したところ、ハヤトくんの名前が出てきた。今年のサツマイモはギルドに一回集められたものを使っているから、ハヤトくんが作った物があっても不思議ではない。だけど、この男は今日、自らこの会場に持ってきた。自ら持ってきたサツマイモにハヤトくんの名前が出るのはおかしい」
「だから! どこに生産者の名前が書いてあるっていうんだ! それに今年はギルドでサツマイモを集めただと? そんな話、聞いていない! 毎年、オレが持ってきてやっているのに、なんで今年はギルドで集めたんだよ!」
男の人は自分が正しい事を強く主張している。
そこで俺は疑問に思った。今年のサツマイモ祭りで使用するサツマイモは、必ずギルドに納品するようにって、この近隣の村にも伝えてあるはずだ。不作と重なって畑荒しや盗難(何故かサツマイモだけなんだよね)も頻繁に起こったことも伝えてあるはずだ。何故、この男の人はそれを知らないんだろう?
ギルドに登録していない人でも、毎年祭りの為に納品してくれるのなら、その話も聞いているはずなのに。
これは、男の人が嘘を付いているように見えてきたぞ。
村長とリックさんが間に入ってくれたのに、再びアンナのお父さんと男の人の口論に火が付いてしまった。
一番早い解決方法は、アンナのお父さんが見ている透明な板を、全員が見れるようにすることだけど……そんな方法、どこにもないんだよね。
「これは、何の騒ぎだね?」
そこにオルベリザス伯爵がミントさんと一緒にやってきた。
「領主様!」
「伯爵、お見苦しい所をお見せして申し訳ございません。実は、こちらの農家さんが持ってきたくださったサツマイモを、ヤーコプが鑑定したところ、どうも生産者の名前に偽りがあるようなのです」
「生産者の名前?」
「領主様! 領主様からも言ってくださいよ! この者はサツマイモに名前が書いてあるっていうんですよ! その名前がわたしではなく、ハヤトとかいう者の名前だというんです!」
「ハヤト?」
男の人から俺の名前が出ると、伯爵は俺の顔を見た。
突然見られてドキっとしたが、俺は状況がつかめないので肩をすくめた。
そして伯爵は、男の人が未だにリックさんに腕を掴まれていることに気付いたようだ。
俺の気になっていたんだよね。なんでリックさんはあの男の人を捕まえているのか。アンナのお父さんと距離を置くだけなら、その手を離してもいいと思うんだけど。
「村長殿、双方の話は聞きましたか?」
「あ…はい」
「なにか疑問は感じませんでしたか?」
「疑問…ですか? それぞれの言い分に疑問は感じられませんでした」
おいおい、村長。そっちの農家さんはギルドでサツマイモを集めていた事を知らないと言っていたぞ? そこに疑問は感じないのかよ。
「そうですか」
伯爵も溜息吐いてる。
「ところで、ハヤト殿」
「え!?」
「あなたが何かに疑問を感じたりしていませんでしたか?」
俺に振る!? 何で!?
「ここで2人の主張を聞いていましたよね? 何か疑問に感じたことや、違和感を感じたことはありませんか?」
「そう言われても……俺が疑問に感じているのは、今年のサツマイモ祭りは、この地域一帯でサツマイモが不作になったり、畑が荒らされていたりして、サツマイモの確保が難しくなっているので、ギルドで一括で集めることになったって決まったのに、毎年納品してくれる農家さんが知らないって事に疑問を感じます」
「なるほど。確かに今年の祭りはサツマイモの確保のために、ギルドに納品してくださいという伝令が、わたしの領地にも届き、各農家へお知らせしました。あなたの家にも伝えたはずですが、お忘れになりましたか?」
「そ…それは……」
「毎年、この村に納品しているあなたなら、ちゃんと理解してくれていたと思ったのですが……。それに、あなたの畑は今年は作物が育たなかったのではないですか? 収穫予定だったサツマイモの苗が育たず、わたしに援助を願い出たのは先月の事ではありませんでしたか?」
「え…援助は大丈夫だと言ったはずです、領主様。わたしの畑は無事に作物が実りましたし、援助で受けたお金は受け取っていません」
「おかしいですね。わたしの元には二回ほど、金の援助を受けているという報告を受けているのですが……これはあなたの名前を語った偽物が援助を受けたのでしょうか?」
「そうです! わたしの畑の状況を知った何者かが、わたしの名を語り領主様を騙したのです! 現にわたしはK年もサツマイモを納品しているではありませんか!」
男の人はまだ自分が正しいと主張している。
でも、伯爵の目が疑いの目に変わりつつあるんだよね。まあ、今年の祭りの概要を理解していない事が、疑われる原因になっていると思うんだけどね。
今度は伯爵に向かって自分は正しい言い張る男の人を、リックさんはまだ腕を掴んでいた。
「わかりました。ではあなたの発言が正しいかどうか、ここで明らかにいたしましょう」
伯爵の言葉に、男の人はホッとした様子だ。
が、次の瞬間、伯爵は男の人の後ろに回り羽交い絞めにした。
「な…何をするのですか、領主様!」
「ミンティア嬢! 状況は理解していますね。あなたの出番です」
そう伯爵が大声をあげると、ミントさんがちょっと怖い意味ありげなニヤリとした笑みを浮かべた。
「お任せください。わたくしの得意分野ですわ!!」
自信満々に声を張り上げるミントさん。懐から一本の小瓶を取り出すと、その小瓶の中身を羽交い絞めにされている男の人に無理やり飲ませた。
咽りながらも小瓶の液体をすべて飲み干したことを確信すると、伯爵は男の人を地面に叩きつけた。
「領主様、一体何を飲ませたんですか!?」
「今からお前の真実を暴く為に、薬師の力を貸してもらっただけだ。さあ、話して貰おうか。この一ヶ月、お前がしてきたことを」
伯爵の声色が変わった。いつもの穏やかな声ではなく、地底から聞こえてくる魔物のような低い声。そして口調もどこか荒々しくなった。
いつの間にか俺の隣にいたステラも、伯爵の変貌に驚き、腕に抱えているノームを力一杯抱きしめていた。ノームの苦しそうな顔を見て助け出そうとしたが、ノームはスルリとステラの腕から逃げ出し、彼女の足元に降りた。彼女の側から離れないということは、俺が命令した『ステラの護衛』を未だに実行していることが分かる。
伯爵の低い声に静まり返った。
男の人は、伯爵の変わらない表情に怯えていたが、ポツリポツリと喋りだした。
「お…オレは嘘なんかついていない。本当にこのサツマイモはオレの畑で採れた物だ! 秋の初めに苗を植え、いつも通りに育てた。水を与え、肥料を撒き、成長を楽しみにしていた。なのにオレの畑の苗が全部枯れてしまったんだ! このままでは毎年この村に出荷している金が入らなくなる。そうなるとオレは冬を越せなくなる。だから、近隣の畑から実ったサツマイモを盗んだんだ! オレの畑だけ使い物にならなくなるのが許せなくて、他の畑も荒した。オレと同じようになればいいと思ったんだ!」
ん? なんか男の人の話が矛盾してきたぞ?
さっきまで自分の畑で採れたサツマイモだと言っていたのに、なんでここで盗んだとか、荒したとか話になるんだ?
「盗んだサツマイモをこの村のギルドに納品しに来た時、ギルドの南にある森を抜けた所に畑を見つけた。長年、サツマイモを育てているオレには、その畑のサツマイモが高品質だと言う物がすぐにわかった。このままではオレの地位が危ない。こんな小さな畑のサツマイモがギルドに納品されたら、オレに入るはずの金が入らなくなる。村からの納品以来も無くなってしまう。オレの地位と名誉を保つため、金で人を雇って、その畑のサツマイモを盗み、祭りの納品までに間に合わないように苗を全部抜いたんだ! その畑だけ荒すとすぐにバレると思って、この近隣の畑全部に苗が育たない薬を巻き、納品できないようにした! オレが一番の名誉を貰う為に!!」
そこまで一気に話した男の人は、ハッと我に返り、目の前にいる伯爵の顔を見た。
伯爵の顔はとても穏やかな笑みを浮かべていた。
が、俺には冷たい笑みを浮かべているようにしか見えない。その笑顔が怖い!
「お…オレ、なんで思ってもいない事を喋っているんだ?」
「それはミンティア嬢の薬が原因ですよ。ミンティア嬢、彼に与えた薬が何かを教えてあげなさい」
「あなたに命令されることが癪に障るけど、まあいいですわ。わたくしが彼に飲ませた薬は『真実』しか話す事が出来ない薬ですわ。王都の裁判でよく用いられる物ですの。この薬を飲めば、嘘を付くことはできない。真実しか話すことができませんの」
薬師って、そんな薬まで作れるのか!?
王宮魔術師をしていただけのことはある。もしかして、錬金術SSランクを持っている祖父ちゃんか祖母ちゃんが作った奴を、ミントさんが受け継いだとか? あり得るよな~。だって、同じパーティーに所属していたって言うもん。祖父ちゃんも祖母ちゃんも変な薬とか作っていそうだし。
「村長殿、この男が嘘を付いていたようです。わたしの領地の民が大変ご迷惑をおかけしました」
伯爵は村長に向かって頭を下げた。
伯爵に頭を下げられた村長は、ワタワタと焦っている。身分のある者が頭を下げるなんてめったにないからな。
「この男から詳しい話を聞きます。その後、各農家に与えた被害を把握し、わたしの方で保障させていただきます」
「だ…だが、保障と言ってもかなりの額になるのでは…」
「それにはご心配はいりません。この男の処分はすでに決まっているような物ですから。みっちりと骨の髄まで絞り上げるつもりですよ」
にっこりと笑う伯爵に、村長はビクビクとしている。
「リック、大変申し訳ないのだが、この男を連行してくれるかね? もちろん、事情聴取にも立ちあってもらいたい」
「かしこまりました、伯爵。わたしも証拠を沢山持っていますので、みっちりと取り調べさせていただきます」
うわぁ~……リックさんの目も座ってる~~。
「ハヤト殿、この度は大変ご迷惑をおかけしました。改めてお詫びさせていただきます」
「俺はリーフやノームのお蔭で、被害という被害はないのでお詫びは大丈夫です」
「そうはいきません。あなたのお祖父様の大切な牧場を汚してしまいました。ぜひ、お詫びさせてください」
俺に向かっても頭を下げる伯爵。
ここは受けた方がいいのだろうか……。
「皆さま、本日は大変お騒がせしました」
伯爵は全員に向かって頭を下げた。
身分のある者が頭を下げるものだから、周りの人たちもどう対応していいのかわからず、困惑している様子が伺える。
伯爵はリックさんと一緒に男の人を連れて会場を後にした。
その後は、場も白けてしまったという事もあり、祭りは急遽中止になってしまった。いまからギルドの職員が、先月に畑の被害に遭った農家一軒一軒を訪ねて、暮らしい状況確認をするそうだ。その関係で、ギルドの生産者の依頼がしばらく停止になった。
まだ近くの森に出没したシルバーウルフの件も解決していない。
20日後には冬の女神の生誕祭が行われる。その頃までには解決できているといいんだけど……。
<つづく>
色々なお店がサツマイモを使った料理を提供しており、サツマイモってこんなに使い道があるんだ~と改めて感心した。
中でも、ケイトさんが売っていた【スイートポテト】っていうお菓子は、ステラがお気に召したようだ。
「とても美味しいわ!」
「お気に召していただけて嬉しいです。ハヤトくんからサツマイモを沢山購入したので、冬の間はお店で販売する予定よ」
「買いに行きますわ。本当はわたくしの屋敷で雇いたいぐらいですわ」
「わたしもお店がありますから…。よろしければレシピを差し上げます。料理人に作ってもらってはどうかしら?」
「よろしいんですの?」
「ええ。材料もそんなに多くないので、オーブンさえあればすぐに作れますわ」
ステラの顔が輝いていた。
最初に彼女を見た時、キツイ顔の子だな~って思ったけど、こうして美味しい食べ物の前で見せる顔はごく普通の女の子なんだね。
同じ伯爵令嬢の俺の妹とは大違いだ。
伯爵という爵位を貰った途端、今までの浪費に拍車がかかり、小さい頃もぽっちゃりしていたけど、その体系にも拍車がかかったとか。「ぽっちゃりしている方が可愛いのよ~」なんて親が甘やかすから、決められた時間以外にもずっと食べているし、自分の思い通りに進まないとすぐ癇癪起こすし、どう見ても美人じゃない。
今、どうしているのかな~? まだ王子の妃になろうと媚び売ってるのかな?
「ハヤトくん!」
ベアトリスが血相を変えて駆けてきた。
「ハヤトくん、大変なの! ……あら? この子…」
「オルベリザス伯爵の娘さんだよ。伯爵がミントさんと何処かへ行っちゃったから、戻ってくるまで護衛しているんだ」
「そうなんですね。わたしはベアトリスと申します。父が村長をしています」
「ステラ・オルベリザスですわ。この村の隣の領主をしていますの。あ、わたくしの父が」
「存じております。お目にかかるのは初めてではないんですよ」
「あら、そうなの?」
「前に一度、お見かけしています」
なんか普通に話しているんですけど。
女の子ってこんな感じなの? さっきまで血相変えて走ってきたのに。
「ベアトリス、何か大変な事が起きたんじゃないのか?」
「あ! そうなの! お祭りの為にサツマイモを提供してくださった他の村の農家さんとアンナのお父さんが喧嘩を始めてしまったの! お父さんかリックさんを見てない?」
「リックさんならポールさんと一緒にいたのを見たよ。村長は見ていない」
「村長でしたら、大きなたき火の近くで見かけましたわ。喧嘩だなんて物騒ですわ。せっかくのお祭りが台無しではありませんか」
「喧嘩の原因は何?」
「それが2人とも興奮しててよく聞き取れなったんだけど、このサツマイモをどこから採ってきたとか、なんでこのサツマイモがここにあるんだって、アンナのお父さんが言っていたのは聞き取れたわ」
「アンナのお父さんと喧嘩しているのはどういう人? ただの農家さん?」
「いいえ、毎年このお祭りにサツマイモを提供してくれる方よ。村の飲食店やお野菜を売るお店にも卸してくださる方なの」
「じゃあ、顔馴染みなんだね。そんな人と喧嘩するなんてただ事じゃないよ。ベアトリス、そこに案内してくれる?」
「ええ」
「ステラ、君にお願いがあるんだけどいいかい? オルベリザス伯爵を呼んできてほしいんだ。伯爵が間に入ってくれた方が収まる気がする」
「わかりましたわ」
「ノーム、ステラの護衛を頼むよ。それからガイを見つけたら俺たちの所に来るように伝えてくれ」
未だにステラの腕の中にいるノームは、俺に敬礼を見せた。
ステラはすぐに会場のどこかにいるはずのオルベリザス伯爵を探しに駆けだした。
俺もベアトリスを一緒に、アンナのお父さんがいる場所へと向かった。
アンナのお父さんは、見たこともない男の人と口喧嘩をしていた。
2人の周りには多くの人が集まりだしている。
「だから何度も聞いているだろ! このサツマイモは何処で手に入れた!?」
アンナのお父さんはサツマイモを片手に、男の人に言い寄っていた。
「こっちも何度も言う! それはオレの畑で収穫した物だ!」
男の人も負けじと大声をあげている。
えっと…今の状況から分かるのは、アンナのお父さんが手に持っているサツマイモは、男の人が作った物かという問いかけに、男の人はそうだと答えている…ってことだよね? 特に疑問を感じる事はないんですけど?
「じゃあ、なんでこのサツマイモにハヤトくんの名前が載っているんだ!?」
え? 俺の名前? どういうこと?
「はぁ!? イモに名前なんか書いてあるわけないだろ! どこに書いてあるっていうんだ!? オレが見た限り、どこにも書いていないじゃないか!」
「ちゃんと書いてある!」
「証拠を見せろ!」
あの~……なんで俺の名前が出てくるんでしょうかね?
アンナのお父さんが手にしているサツマイモは、どこにでもあるサツマイモと変わりはない。俺の名前だって書いていないし、どこに書いてあるっていうんだ?
あ、そういえば、アンナのお父さんって、食材の品質を見るスキルを持っているって聞いた事がある。たしかアンナの話だと、食材を手に取ると、透明な板が目の前に現れて、その板に食材の名前、品質、鮮度、どこで作られた物かが書かれているって言っていたっけ。
ってことは、アンナのお父さんの目の前には、今手に持っているサツマイモの詳細が書かれた透明な板が浮かんでいるってことか。そこに俺の名前があるってこと?
一向に話が纏まらず、周りにも沢山の人が集まりだした。
そこに村長とリックさん、ガイがやってきた。
「この騒ぎは何だね! なにがあったんだ!?」
村長が言い合いを続ける2人の間に入った。
リックさんも男の人の腕を掴み、アンナのお父さんと距離を置く様に離した。
「村長さん、この人がオレの作ったサツマイモにいちゃもんを付けるんですよ! オレが育てたサツマイモを盗んできたとか言うんですよ!」
「このサツマイモはハヤトくんが作った物だ! 嘘を付くな!」
「だから、何度も言っているじゃないですか。どこにその証拠があるんですか? サツマイモに名前が書いてあるんですか? どこにも書いてないじゃないですか」
「貴様!」
いつもは温厚のアンナのお父さんが、これだけ怒りを露わにするってことは、アンナのお父さんは嘘を付いていない気がする。でも証拠もないし、もしアンナのお父さんがスキルを使って、透明な板を出していたとしても、それを見る事ができない。実際、俺にも何も見えていないし。
「落ち着きたまえ。一人ずつ話を聞こう。まずはそちらからだ。先ほどから自分が作ったと言っているが、それは本当なのかね?」
「ああ、そうだよ。毎年この祭りの為に納品しているじゃないか。今年はこの地域全体でサツマイモの不作が続いて、満足な物は出来なかったけど、この祭りの為に作った物を持ってきてやったんだ。感謝してほしいのに、何で疑われないといけないんだ?」
「なるほど。それでヤーコプ(アンナのお父さん)は、このサツマイモは彼が作った物ではないというんだね?」
「その通りです、村長。わたしがこのサツマイモを鑑定したところ、ハヤトくんの名前が出てきた。今年のサツマイモはギルドに一回集められたものを使っているから、ハヤトくんが作った物があっても不思議ではない。だけど、この男は今日、自らこの会場に持ってきた。自ら持ってきたサツマイモにハヤトくんの名前が出るのはおかしい」
「だから! どこに生産者の名前が書いてあるっていうんだ! それに今年はギルドでサツマイモを集めただと? そんな話、聞いていない! 毎年、オレが持ってきてやっているのに、なんで今年はギルドで集めたんだよ!」
男の人は自分が正しい事を強く主張している。
そこで俺は疑問に思った。今年のサツマイモ祭りで使用するサツマイモは、必ずギルドに納品するようにって、この近隣の村にも伝えてあるはずだ。不作と重なって畑荒しや盗難(何故かサツマイモだけなんだよね)も頻繁に起こったことも伝えてあるはずだ。何故、この男の人はそれを知らないんだろう?
ギルドに登録していない人でも、毎年祭りの為に納品してくれるのなら、その話も聞いているはずなのに。
これは、男の人が嘘を付いているように見えてきたぞ。
村長とリックさんが間に入ってくれたのに、再びアンナのお父さんと男の人の口論に火が付いてしまった。
一番早い解決方法は、アンナのお父さんが見ている透明な板を、全員が見れるようにすることだけど……そんな方法、どこにもないんだよね。
「これは、何の騒ぎだね?」
そこにオルベリザス伯爵がミントさんと一緒にやってきた。
「領主様!」
「伯爵、お見苦しい所をお見せして申し訳ございません。実は、こちらの農家さんが持ってきたくださったサツマイモを、ヤーコプが鑑定したところ、どうも生産者の名前に偽りがあるようなのです」
「生産者の名前?」
「領主様! 領主様からも言ってくださいよ! この者はサツマイモに名前が書いてあるっていうんですよ! その名前がわたしではなく、ハヤトとかいう者の名前だというんです!」
「ハヤト?」
男の人から俺の名前が出ると、伯爵は俺の顔を見た。
突然見られてドキっとしたが、俺は状況がつかめないので肩をすくめた。
そして伯爵は、男の人が未だにリックさんに腕を掴まれていることに気付いたようだ。
俺の気になっていたんだよね。なんでリックさんはあの男の人を捕まえているのか。アンナのお父さんと距離を置くだけなら、その手を離してもいいと思うんだけど。
「村長殿、双方の話は聞きましたか?」
「あ…はい」
「なにか疑問は感じませんでしたか?」
「疑問…ですか? それぞれの言い分に疑問は感じられませんでした」
おいおい、村長。そっちの農家さんはギルドでサツマイモを集めていた事を知らないと言っていたぞ? そこに疑問は感じないのかよ。
「そうですか」
伯爵も溜息吐いてる。
「ところで、ハヤト殿」
「え!?」
「あなたが何かに疑問を感じたりしていませんでしたか?」
俺に振る!? 何で!?
「ここで2人の主張を聞いていましたよね? 何か疑問に感じたことや、違和感を感じたことはありませんか?」
「そう言われても……俺が疑問に感じているのは、今年のサツマイモ祭りは、この地域一帯でサツマイモが不作になったり、畑が荒らされていたりして、サツマイモの確保が難しくなっているので、ギルドで一括で集めることになったって決まったのに、毎年納品してくれる農家さんが知らないって事に疑問を感じます」
「なるほど。確かに今年の祭りはサツマイモの確保のために、ギルドに納品してくださいという伝令が、わたしの領地にも届き、各農家へお知らせしました。あなたの家にも伝えたはずですが、お忘れになりましたか?」
「そ…それは……」
「毎年、この村に納品しているあなたなら、ちゃんと理解してくれていたと思ったのですが……。それに、あなたの畑は今年は作物が育たなかったのではないですか? 収穫予定だったサツマイモの苗が育たず、わたしに援助を願い出たのは先月の事ではありませんでしたか?」
「え…援助は大丈夫だと言ったはずです、領主様。わたしの畑は無事に作物が実りましたし、援助で受けたお金は受け取っていません」
「おかしいですね。わたしの元には二回ほど、金の援助を受けているという報告を受けているのですが……これはあなたの名前を語った偽物が援助を受けたのでしょうか?」
「そうです! わたしの畑の状況を知った何者かが、わたしの名を語り領主様を騙したのです! 現にわたしはK年もサツマイモを納品しているではありませんか!」
男の人はまだ自分が正しいと主張している。
でも、伯爵の目が疑いの目に変わりつつあるんだよね。まあ、今年の祭りの概要を理解していない事が、疑われる原因になっていると思うんだけどね。
今度は伯爵に向かって自分は正しい言い張る男の人を、リックさんはまだ腕を掴んでいた。
「わかりました。ではあなたの発言が正しいかどうか、ここで明らかにいたしましょう」
伯爵の言葉に、男の人はホッとした様子だ。
が、次の瞬間、伯爵は男の人の後ろに回り羽交い絞めにした。
「な…何をするのですか、領主様!」
「ミンティア嬢! 状況は理解していますね。あなたの出番です」
そう伯爵が大声をあげると、ミントさんがちょっと怖い意味ありげなニヤリとした笑みを浮かべた。
「お任せください。わたくしの得意分野ですわ!!」
自信満々に声を張り上げるミントさん。懐から一本の小瓶を取り出すと、その小瓶の中身を羽交い絞めにされている男の人に無理やり飲ませた。
咽りながらも小瓶の液体をすべて飲み干したことを確信すると、伯爵は男の人を地面に叩きつけた。
「領主様、一体何を飲ませたんですか!?」
「今からお前の真実を暴く為に、薬師の力を貸してもらっただけだ。さあ、話して貰おうか。この一ヶ月、お前がしてきたことを」
伯爵の声色が変わった。いつもの穏やかな声ではなく、地底から聞こえてくる魔物のような低い声。そして口調もどこか荒々しくなった。
いつの間にか俺の隣にいたステラも、伯爵の変貌に驚き、腕に抱えているノームを力一杯抱きしめていた。ノームの苦しそうな顔を見て助け出そうとしたが、ノームはスルリとステラの腕から逃げ出し、彼女の足元に降りた。彼女の側から離れないということは、俺が命令した『ステラの護衛』を未だに実行していることが分かる。
伯爵の低い声に静まり返った。
男の人は、伯爵の変わらない表情に怯えていたが、ポツリポツリと喋りだした。
「お…オレは嘘なんかついていない。本当にこのサツマイモはオレの畑で採れた物だ! 秋の初めに苗を植え、いつも通りに育てた。水を与え、肥料を撒き、成長を楽しみにしていた。なのにオレの畑の苗が全部枯れてしまったんだ! このままでは毎年この村に出荷している金が入らなくなる。そうなるとオレは冬を越せなくなる。だから、近隣の畑から実ったサツマイモを盗んだんだ! オレの畑だけ使い物にならなくなるのが許せなくて、他の畑も荒した。オレと同じようになればいいと思ったんだ!」
ん? なんか男の人の話が矛盾してきたぞ?
さっきまで自分の畑で採れたサツマイモだと言っていたのに、なんでここで盗んだとか、荒したとか話になるんだ?
「盗んだサツマイモをこの村のギルドに納品しに来た時、ギルドの南にある森を抜けた所に畑を見つけた。長年、サツマイモを育てているオレには、その畑のサツマイモが高品質だと言う物がすぐにわかった。このままではオレの地位が危ない。こんな小さな畑のサツマイモがギルドに納品されたら、オレに入るはずの金が入らなくなる。村からの納品以来も無くなってしまう。オレの地位と名誉を保つため、金で人を雇って、その畑のサツマイモを盗み、祭りの納品までに間に合わないように苗を全部抜いたんだ! その畑だけ荒すとすぐにバレると思って、この近隣の畑全部に苗が育たない薬を巻き、納品できないようにした! オレが一番の名誉を貰う為に!!」
そこまで一気に話した男の人は、ハッと我に返り、目の前にいる伯爵の顔を見た。
伯爵の顔はとても穏やかな笑みを浮かべていた。
が、俺には冷たい笑みを浮かべているようにしか見えない。その笑顔が怖い!
「お…オレ、なんで思ってもいない事を喋っているんだ?」
「それはミンティア嬢の薬が原因ですよ。ミンティア嬢、彼に与えた薬が何かを教えてあげなさい」
「あなたに命令されることが癪に障るけど、まあいいですわ。わたくしが彼に飲ませた薬は『真実』しか話す事が出来ない薬ですわ。王都の裁判でよく用いられる物ですの。この薬を飲めば、嘘を付くことはできない。真実しか話すことができませんの」
薬師って、そんな薬まで作れるのか!?
王宮魔術師をしていただけのことはある。もしかして、錬金術SSランクを持っている祖父ちゃんか祖母ちゃんが作った奴を、ミントさんが受け継いだとか? あり得るよな~。だって、同じパーティーに所属していたって言うもん。祖父ちゃんも祖母ちゃんも変な薬とか作っていそうだし。
「村長殿、この男が嘘を付いていたようです。わたしの領地の民が大変ご迷惑をおかけしました」
伯爵は村長に向かって頭を下げた。
伯爵に頭を下げられた村長は、ワタワタと焦っている。身分のある者が頭を下げるなんてめったにないからな。
「この男から詳しい話を聞きます。その後、各農家に与えた被害を把握し、わたしの方で保障させていただきます」
「だ…だが、保障と言ってもかなりの額になるのでは…」
「それにはご心配はいりません。この男の処分はすでに決まっているような物ですから。みっちりと骨の髄まで絞り上げるつもりですよ」
にっこりと笑う伯爵に、村長はビクビクとしている。
「リック、大変申し訳ないのだが、この男を連行してくれるかね? もちろん、事情聴取にも立ちあってもらいたい」
「かしこまりました、伯爵。わたしも証拠を沢山持っていますので、みっちりと取り調べさせていただきます」
うわぁ~……リックさんの目も座ってる~~。
「ハヤト殿、この度は大変ご迷惑をおかけしました。改めてお詫びさせていただきます」
「俺はリーフやノームのお蔭で、被害という被害はないのでお詫びは大丈夫です」
「そうはいきません。あなたのお祖父様の大切な牧場を汚してしまいました。ぜひ、お詫びさせてください」
俺に向かっても頭を下げる伯爵。
ここは受けた方がいいのだろうか……。
「皆さま、本日は大変お騒がせしました」
伯爵は全員に向かって頭を下げた。
身分のある者が頭を下げるものだから、周りの人たちもどう対応していいのかわからず、困惑している様子が伺える。
伯爵はリックさんと一緒に男の人を連れて会場を後にした。
その後は、場も白けてしまったという事もあり、祭りは急遽中止になってしまった。いまからギルドの職員が、先月に畑の被害に遭った農家一軒一軒を訪ねて、暮らしい状況確認をするそうだ。その関係で、ギルドの生産者の依頼がしばらく停止になった。
まだ近くの森に出没したシルバーウルフの件も解決していない。
20日後には冬の女神の生誕祭が行われる。その頃までには解決できているといいんだけど……。
<つづく>
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