竜の恋人

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異世界生活

異世界(アルホンス)

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急ぎ、友であり王族でもあるジャディールの執務室に向かう。
俺がここに到着した事はもう知っていたはずだ。
俺の気配でだ。たぶん苛立っている事も理解しているだろう。

ノックをして、入室の許可を得る。
慣れ親しんでいる穏やかな声で入室を許可された。

「お帰り。どうだった?」

何となく理解しているだろうに、この男はあえてこう訊いてくる。
勿論、器用に多種多重の結界を施してだ。
この部屋に居るのは、彼の側近一人。
執事兼護衛の男だ。他の側近は席を外していた。
廊下ですれ違ったから、別の用事を申し付けて席を外させたのだろう。
ここに来て数日後、数名の従者を呼び寄せていた。
他国に来ていても、我が国の王族だ。それなりの仕事がある。今回、わが国とこの国に関して及び他国に関しての…
彼女に関しての事もあるだろうし、瘴気問題も。まぁ、そうなるわなぁ…

「あぁ、派手な馬車で来ていたな。可愛い顔はしていると思うが、狡猾で嫌な感じだ。」

見た目と感じた事を簡単に述べた。
それ以上は感じなかったのだ。

他の者からしたら、それ以上の美辞麗句を述べたのかも知れないが、今の俺にとっては彼女。そう、ユウリが最優先なのだから。

「そうか…向こうには到着した事は伝えておいた。それでだ…ユーリの姉君。聖女様の件で問題が起きた」

勧められて座っていた椅子から立ち上がる。
どういう事だ!?

「まぁ、落ち着いて…。結界は張っているから、他の者には何を話しているかは理解できないだろうが、まぁ落ち着け」

そう言いながら、優雅にお茶を口にする殿下。
ただ、雰囲気はガラッと変わったのに気がついたのは、私だけではなかった。

目が笑っていない笑顔だ。
室内の空気も数度下がった感じが…
下がってるな。部屋の隅が凍り始めているよ。
これはかなりのお怒りだ。

思わずゴクッと喉を鳴らし、言われるように椅子に腰掛けた。
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