竜の恋人

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異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ

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それから、ルシル達はそのまま薬草園で遊ばせて、エレンの案内でガラスで覆われたハウスの中に入っていく。
魔道具で管理されているためか、植物の生態に則った温度管理などされているようだ。
うん、凄い。

見た事のない植物や、乾燥させたモノで見た事のある植物まであった。

「実際の植物として成長しているときは、こんな感じなんだ。」

そっと触れて香りを楽しんだりした。

一部、素手で触ってはいけないモノもあり、『軍手などを使用して…』と説明を受けた。

この世界には、ビニール製のような農作業用手袋と、軍手があった。

昔の聖女様が考案されて、作られたとか言っていた。

過去に何人も来られたのらしい人達のことを思う。
この世界から向こうに戻る事が出来ないならと、知っている事を教えて、当時の魔術や魔法関連の技術者が駆使して作られていったとか。

全てが作れた訳ではないようだけれど、それでも頑張って現在も試行錯誤していたりもするらしい。

うん、凄いね…

「では、こちらを…」

温室をでて、次のログハウス風の建物の中に入る。
薬草を保管する場所や、乾燥させる場所。調合やポーションを製作する場所。書類関係を行う執務室のような部屋や、個人の部屋。うん、簡易ベッドもあるようだ。そして、休憩できる場所など機能満載だ。
十分過ぎると思った。
ここで住む事もできそうと…

実際に、泊まり込んで作業する事もありますからと、笑顔で説明してくれた。
彼らの居住する場所は、きちんと別にあるんだとか。
なら…
そう笑って応じていった。


「ユウリ様専用のお部屋はこちらになります。後、専用の器具を置いてある実験室兼作業場はこちらです。」

向こうで使っていた物と同じ器具が置かれている。
見た事もない器具も少し…

「ユウリ様が通われていた研究所に連絡させていただいて、教えていただいた物を集めて見ました。後、この国独自のの器具も少し。こちらは使用方法を後ほどお教えしますね。」

一瞬驚いたが、そう言われて、ワクワクした。
向こうには、私の印が入った薬瓶も、それを置く棚も…
私のしたい事を把握して、準備してくれたんだ…

「ありがとうございます。嬉しい。」

「いつでもこちらは使用してください。この建物にはユウリ様登録も、先ほどさせてもらいましたから、ドアに触れれば鍵が開きますよ。」

「いつの間に登録を?」
「ドアから入る時に少しさせてもらいました。あぁ、侍女の方、お二人もユウリ様をお呼びする時や、頼まれごとをされた時だけ、お一人でも入れるように登録しております。その時は、ユウリ様のお名前と用件を思い浮かべて下さいね。そうしないと入れません。」
「嘘の用件ではもちろん入れない、特殊なものになっていますから、ご安心を。」

うん、そこまでするのは凄いと思う。でも、いつの間に?
そう言う術式を入り口に…したんだね。きっと。凄い実力の持ち主だとも思った。

「明日から作業しても?」

「もちろん、いつでも大乗bですよ。ただ、その…」
「ん???」

こてんと首を傾げる。
なになに?

「奥様としてのお勉強もあると思いますので、気晴らしにお出でてください。」

「•••」

そうだ。奥様呼びされたら、そう言う勉強も必要だよね。
うん、夫である彼を支える必要が…
自信は無いけど、彼のためにも、頑張らないと…

「御気遣い、ありがとう。うん、そうさせてもらいます。」

そう返事をして、今日は見学だけでその場を後にした。
ルシル達はここで遊んでいるとか言っていた。
この屋敷の庭とか、一部森のような場所もあるようで、『この敷地内でいるから、呼んだらすぐに行くね』と、頬擦りされて、キスを贈られ飛んでいった。

まぁ、喜んでるから良いよね。

そう考えて、自室に戻った。
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