竜の恋人

未来へ

未来へ

怒涛の一日が終わり、気がつけば国に戻っていた。
彼に担がれるように現場を後にした。
そう、私が鍵として短剣を異世界の扉の鍵穴に差し込むはずだった。だったのに…それは姉によって阻まれた。
扉を閉めるに対しての妨害ではない。
姉は何処からか情報を得て知っていたんだ。
もしかしたら、未来視で見たのかもしれない。
未来の分岐点でどのように行動を取るべきか…
そして、選んだ結果なのだろう…

姉は私が落とした短剣を拾い、自分の手を傷つけてその剣に血を…
そして、短剣を鍵穴に差し込んだ。
そこから伸びる無数の蔓。
姉の右手に絡みつき…
姉は呪われた…
どのような呪いなのかは、私にはわからなかった。
その蔓は、姉の右手に痣となってのこった。
まるでタトゥーのように。

その事に対しても衝撃を受けて…
彼に運ばれながら意識を　


気がついたのは、半月後。
どうしてここまで眠ってしまったのかはわからない。

彼が転移魔法で屋敷に先に戻り、残された部下達は竜体になってこちらの戻ってきたらしい。

微かな花の香りと、風を感じる。
空いた窓からだろう。カーテンが揺れているのだから…

窓の外からは、小鳥の囀りが聞こえてきた。

ゆっくりと上掛けから抜け出し、ベットから降りようとして…

「危ない！」

ドアを開けて入ってきたアルに受け止めるように抱き上げられた。

「何をしていた？危ないだろ。君は…」
「うん、長くね眠っていたみたいね。でも…」

ゆっくりとベットに戻される。
そのまま寝かされるのかと思ったが、背中にクッションを多く詰め込まれた。

「魔力が枯渇していたんだ。あの扉を閉めるのに多くに魔力が必要だったんだろう。」
「そうなのね…心配かけてごめんなさい。でもね…」
「あぁ、緊急事態での対応だったから仕方ない。しぁも、神からの思し召しだろう？」
「確かに、神から…それよりも姉は？沙也加はどうなったの？あの痣は？」

ベットの横に椅子を置いて私の手を握りながら答えてくれる。

「姉君は、どうももう一人の神に呪いをかけられたようだ。そして、その神は姿を消した。そう、捉えることが出来なかったんだ。流石神とも言えるね。」

そう言って苦笑いしていた。