兄様達の愛が止まりません!

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他国からの嵐…

緊急事態

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屋敷に戻ると、既に報告を受け指示を受けていたのか、邸の者達が色々と準備してくれていたみたい。
出迎えは、ギルと母様。そして弟と妹です。
もちろん出迎えができる邸の者達もいたけれどもね。
いつも優しく迎え入れてくれる家族や邸の者達には感謝です。

父様は家令のレイと共に、いつもの如くその場には居られませんでしたが、やはりお忙しいようで、まだ仕事が残っており、執務室の方で待っているとギルからの説明でした。
いつもお忙しいのに申し訳ないようにも思えます。
ただ、今回の件もですが、私達だけでは対応が難しく、父様のお力添えが必要なんです。

ですから、私達はそれぞれの少ない荷物を邸のもの達に預けてから、後から迎えに来てくれた家令のレイと共に父様の執務室の方に案内されて向かったのです。

当然入り口で出迎えてくれた母様や弟、妹にはきちんと「ただいま。」と挨拶はしてからです。
ギルにはしっかりと抱きしめられて、そっと頬にキスされて「お帰り。」と言われました。
家族とお客様がいる場で恥ずかしいけれど、嬉しくもあります。
うふふっ…。

そうそう、ギルは、父様達に報告した内容を共有しているだろうけれど、母様はどうだろう?
事態を父様から訊いているのか、もしくは温室にいる精霊や妖精から訊いているのかで、少しだけ不安そうな表情を見せたけれど、いつもの侯爵夫人とした穏やかな表情であるがどっしりと構えている…そんな感じだった。
私も将来は母様のような女性になりたいと思っているので、うん、心の中にメモして留めました。

弟は「また後で僕にも教えてくださいね。僕でもできる事があれば侯爵家の一員として手伝わせて欲しいです。」と言っていた。
うん、あの小さかった弟がここまでしっかりしてるなんて。
可愛いけれど、少し寂しい気もする…。

家庭教師から色々と学んでいるんだろうけれど、当時の私よりもしっかりしている気がする。
さすがギルやアシュ兄様と血を分けた弟だと思ったけれど…。エル兄様も私の事を気にかけて守ってくれていたから、私だけ頼りなかった?
ん~~~~~~、考えるだけ落ち込みそうなのでやめておこう。

妹は…母様に抱かれてニコニコしていたけれど、途中からあの綺麗な瞳を見開いて客人であるジュディオン殿下を見つめていた。
母様に降ろして欲しいとせがみ、トトトトトっと歩いて行きピタっと抱きついたのには驚いたのだけど…。

本来客人に対してマナー違反になる行為だから…。

でも…
この緊張感の中なんだけど…

ジュディオン殿下は一瞬驚いた表情をし、フリーズしたように固まったかと思えば、とろける様な嬉しそうな表情でそっとアイを抱き上げたのです。
大切な宝物を見つけたみたいな感じで…。

一瞬二人だけ別世界みたいに思えた…。
綺麗なお花畑の中で微笑み合う二人が見えた…。

ギルが「コホン」と咳払いをして、その世界は霧散したけれど…。
えっと??

「可愛いお嬢さん。私の名はジュディオン。ジュディと呼んで。」
「わたちはアイーシャ。お兄ちゃま達にはアイって呼ばれてるの。」
「アイ。私は君の家族達と大切な話があるから、また後で会ってくれると嬉しいな。」
「はい。」

そう会話した後そっと降ろされて、アイは嬉しそうに母様の方に走って行ったのです。
母様にニコッと笑いかけて…

うん、本当に嬉しそう。
母様やギル達は何とも言えない表情で…。
邸の者達は微笑んでいましたが…。

私的には、アイが綺麗なオパールの瞳をキラキラ輝かせていたのもだけど、まだ小さいのに、こんなにお喋りできるんだっていう事に驚いたのと、もしかして…と考えが過ぎったのです。
あの時の…。

エル兄様やギル達は、私と同じことを…うん、考えたみたいな感じがします。

母様は…殿下に不敬な振る舞いを謝罪しながらも、「まだまだ小さいけれど女の子ね。」と微笑んでいた。

『素敵な王子様に憧れる女の子』みたいな感じに感じたのでしょうか?
それとも他の何か??
えっと……………。

母様の言葉からそんな事をも考えていたら、家令のレイが迎えに来てくれたのです。
到着した報告を受けて、その後なかなか父様の所に行かなかったからかも知れませんが…。

そして、その場を後にしたんだけれどもね…。
えっと…

うん、今はそれよりも緊急事態に対して考えなくてはいけないから集中集中!!
軽く自分の頬を叩いて気合いを入れる。
すると側でもぺちっと小さく頬を叩く音がして、そちらを向くとエル兄様が真剣な顔をして頬を叩いていた。
その頬をアシュ兄様が癒していたけれど…。

うん、双子であるからやる事や考える事が同じなのかも知れない。

「レイン。自分を傷つけるのは良くない。」

側で歩くギルにそう優しく呟かれて、私の頬にあたたかく優しい手のひらが添えられて…
うん、癒されました…。

そうして気持ちを切り替えて、この場まで来た。

レイがドアをノックした後に先に室内に入り、ドアを開けて中に入るように促してくれた。

父様はまだ仕事中だったようで、机の上に置かれた書類の山からせっせと手に取り、その書類に筆を滑らせていた。
しばらくして区切りがついたのか、持っていた筆を降ろしてから簡単に片付け私達の方に顔を向けてくれて「お帰り。」と優しい笑顔で言ってくれたのです。

父様の側には…確か父様と契約した精霊がレイと同じ執事服を着て控えていた。
私達と同じだ…。
私達の護衛兼執事や侍女は壁際で待機中。
気配を消すように立っているのは、本当に流石です。

兄様達といつものソファーの定位置に座りながら、そんな惚けた事を思ってしまった。

さっきに妹のアイとの事や、父様の精霊の事とか…。

ついつい今必要な事態と関係ない事を頭の中に思い浮かべて考えてしまうのは、今回の緊急性に対して逃避したいからかも知れないけれど…。
ふとそんな事を思い、もう一度頭の中をスッキリさせるように気合いを入れ直した。

そんな私の背を優しくポンポンと叩いてくれるのは、私の大切な人で…。

「レイン、大丈夫かい?」
「大丈夫です。」

そう小さな声で頬を寄せるように呟くように問われて答えたのですが、頬が熱くなりそうです。
うう~っ、恥ずかしい。
二人だけの時ならまだマシですが、この優しい低音ボイスでのギルは…。

そんな事を考えていると、私の隣に座っているエル兄様も同じように、アシュ兄様に声をかけられていた。
もしかしたら、双子である僕達は同じような事を考えて、お互いの義理とは言え兄であり伴侶に宥められたのかも知れないけれど…。
優しく可愛いエル兄様も、アシュ兄様の甘々な対応で真っ赤になっています。
うん、おかげで少し冷静になれました。
エル兄様も私とギルの会話が聞こえてか、少し落ち着いたみたいです。
ふぅ~。

今私達の向かい側には、さっき妹のアイを愛おしそうに抱き上げた殿下が座っている。
少し上機嫌な今にも蕩けそうな表情をしていたけれど、私達と視線があったせいなのか、いつもの殿下として気合いが入った表情にスーッと変わっていかれたんです。
うん、流石です。

そんな私達の側に父様が優雅な足取りでやって来たから、ギルと同様に私達は一旦立ち上がる。
そして、簡単に挨拶を交わした後ソファーにもう一度腰を下ろし、今回の問題に関してアシュ兄様が私達の代表として先に説明。その後、私達について来てくれて、あの場を確認してくれたシルフィとエイーリィアが、壁側からこちら側に移動して来て説明してくれたのです。
もちろん精霊王からのお言葉も添えて。

何度聞いても悔しい気持ちが私の中に湧き上がって来たのは言うまでもなかった。
エル兄様があんなに頑張って行ってくれた大切なものなのにと…。
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