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悪役令嬢回避
約束(ギルベルト)
しおりを挟む私も学園生活に大分となれてきたが、屋敷にいた時よりもやや疲れやすくなっていたと思う。
勉学や剣術、魔法といったものは屋敷で教えられたものの復讐であったり新たな学びであったりして楽しいし、後々に予定されているダンジョンや学園の側にある森での魔物•魔獣討伐。そうそう、学園祭で開催されるトーナメント戦は楽しみにしているんだ。
私は学園祭のトーナメント戦は魔法を使用する剣術の方に登録しておいた。
エルが以前私の炎を纏った剣技がカッコいいと言い、レインも頷いていたから弟や妹…。特にレインにカッコいいと言われたかったんだと思う。屋敷でも頑張って練習していたからな。
それらは良いのだが…
「ギルベルト様、そろそろ私達とも一緒に食事やお茶などご一緒にしていただいても良いと思いますが?!」
「嫌それはお断りする。」
「どうしてですの?女性から男性にこのように申し込むのは勇気がいりますのよ。それを頑張ってお誘いしていますのに」
はぁ…………今日も煩わしい。
「一度で良いのです。私はギルベルト様に婚約の打診をしているんです。いわゆる婚約者候補と言ってもよろしいのですよ。ですから…」
「おーい。ギルベルト!一緒に食堂に行こう!」
良いところに来てくれた。
「何度も言っているが、婚約の打診は全て断っている。父上の方からもそうお伺いしている。だからむやみやたらに候補だと言わないで欲しい。では失礼。」
そう言って席を立ち、周囲を囲うようにしていた女生徒達を避けて友人の元に行った。
このクラスにも友人は居るが、今は講師に呼ばれて席を外していたんだ。
今呼んでくれたのは隣のBクラスになったガルム•ゴズワルド。父親が騎士団所属であるからやや脳筋で、学力がAクラスには届かなかったようだ。別に頭が悪い訳ではないのだが、剣術や体術の方が得意だからな…。
すーっと避けて行くと、背後で悔しがる声が聞こえるが関係ない。私にはすでに心に決めた女性がいるのだから…。
まだ幼いが、可愛らしく私が守って護ってやりたい女性。
しかも頑張り屋で、私達家族に対して色々と気を遣ってくれたりもする愛された者なんだ。
「おい、俺が呼んだのもあるが、良かったのか?」
「あぁ助かったよ。」
「あれ、確かカザリーヌ•リドルヴァル伯爵令嬢だろう?それと…」
「彼女達は関係ない。婚約の打診は全て断るように父上にお願いしているんだから。」
「そう言えばそう言ってたな。でも勿体無い。あんな綺麗な女性に言い寄られてるのにな…。」
「知っているだろう!私には心に決めた女性がいると。」
「いつもそう言っているが、名前も教えてもらえないし、実際に会ったこともないからな…。実在していないんじゃないかって思われてるんじゃないか?もしくは身分が下で、自分達の方が相応しいとか…。実際、もう婚約者がいる者も増えているしな。ギルベルトは顔良し身分的にも良いからな。いわゆる優良物件だ。婚約者不在なら狙うだろうな…。もしくは『私が目を覚まさせて差し上げます』みたいな発言も…」
「どこでそれを聞いてきた?」
「いたのか?そんな勇気ある発言をした者が…」
「あぁ、全く面倒な。」
「はぁ…………まぁ頑張れ!」
そう言って肩を叩かれ、食堂に向かった。
単なる貴族社会として学ぶための付き合いならマシだが、確かに今の年齢なら、婚約者がいてもおかしくはない。実際に婚約の打診は多く届いているらしいが、全てお断りしてもらっているんだ。
クラスの生徒の中で話す相手ができてはきたが、第二皇子の側近候補である私は殿下より一歳年上。だから他の候補者は大体が年下なんだ。唯一友人であるガルム•ゴズワルドが同じ歳だった。隣のクラスだがな…。だから、他の候補とは同年代ではなかった。
貴族としてお茶会や年齢的に貴族社会のパーティーにも父上と一緒に参加し、人脈作りの一環として学ばさせてもらっているが、こうやって行ってくるのはどうにも困る。もっと面倒な女性もいるが、年齢が下なので学園には入学されていないのが唯一の救いだ。
同じクラスにもしいれば、いくら学園内では平等と謳われていても実際はそうではないからな…。
最初の頃は半日。朝から昼食ぐらいの時間までだったのが、その頃はまだマシだ。すぐに帰れば逃れられる。だが今では朝から夕方まで学園だ。特に昼の休み時間がこうして狙われやすいんだ。
帰宅して、部屋で宿題や予習復習と抜かりなく行い、それ以外にレインやエルの行動などの報告もうけながら、領内のことも勉強している。唯一の憩いはレインやエル達との会話だ。末っ子のアルベルトと遊び、アルベルトと遊んでいるレインとエル達を見るのも心が和むよ…。
本当にこの貴重な時間が疲れた心に癒しをくれるんだ。
可愛らしいレインのころころ変わる表情がまた良いんだ…。
そう、忘れるところだった。
「あぁ、アシュ、エル、レイン!」
「はい。どうされましたか?」
「兄様、どうされました?」
「兄上?」
いつも僕の事を気遣って、この場所で末の弟 アルベルトことアルと戯れている弟達や妹。
ふかふか絨毯が敷かれている部屋が我が家みんなのお気に入りになっていた。
靴お脱ぎ、このほっとできる場所に入る。
アルはレインとエルの間を行ったり来たりして遊んだり、積み木でお城?を作ったりして遊んでいたんだ。
アシュはエルの側にどちらかと言えばいるんだ。
私がいなかったからだろう。
「ふふふっ、アルもご機嫌だね。そうそう、今度学園祭があるんだ。この前少しだけ話していただろう?で、来ないかなって聞きに来たんだ。父親には案内状をお渡ししておいたんだけれどもね。」
「学園祭ですか?是非行きたいです。」
「僕も、兄様は何かされるんですか?」
「私も是非。兄様のお勉強されている教室とか見に行けますか?」
私からの招待で、それぞれが聞きたいことを聞いていた。
学園祭があるのは一週間後。私クラスは一年生であるから、展示とバザーだと教えた。上のクラスに上がればまた変わってくるんだがね…。一年生のどのクラスも展示やバザーも同じ感じで、バザーに関しては、『家で不要になった物で、まだ価値がある物』『自作の小物』『お菓子など』を各クラスで分けて販売するんだ。
全部のクラスで重複して売るよりも、各売り場的にすれば効率が良いとに判断だ。
貴族の家では『貴重な物だが、不要となった物』が意外とあって、それを他の家の者が購入したり、露店のように学園内の敷地(場所は決められているが)で露店のように出店してくれている商人が購入する事もあるらしいんだ。商人の場合は転売目的で買う場合が多く、以前買い占めを行った商人がいたらしい。その事が学園内で問題となり、商人の購入は一つのみと制限となったそうだ。
なるほどな…と思ったよ。それを聞いた時は…。
みんなで楽しみたいのに、売れるのは嬉しいけれど買い占めは良くない。それに別の意味も起きる可能性だってあるんだ。まぁ今回はそんな事はいい…。
『不要になった物で、まだ価値がある物』『自作の小物』『お菓子など』と区分けされた物を全部を一クラスづつ担当して販売を受け持つのだが、自作の小物は、学園で授業の一環で作った魔道具を売ったり、同じく授業で作った薬や調香した物を売ったりする。学園で作られるもにであるから、貴族社会や裕福な家庭ではごく一般的な魔道具だ。でなけれだ大切な情報などが流出する恐れとかも出てくるからな。学生の中には奨学生もいるから、その家庭の者が購入できれば、一般的な市民達にも助かる代物だから、喜ばれたりもするんだ。一部に教会の者も呼ばれていたから、そこでも喜ばれるかもしれないな…。確か今年の生徒会が地域とも交流をとして呼んだんだったか?
ハンカチなどに刺繍した物や小物入れなどもまとめて一クラスで。クッキーやケーキ。パンなどの食品関係も全クラスで作った物をまとめて一クラスが担当販売予定だ。
エルの表情がコロコロ変わるのは可愛いが、エルの前世の知識の時と違うのだろう。
今度聞ければ教えてもらおう。
レインも目を輝かせて楽しみという表情だ。
うん、やる気が出てきた。
私のクラスは魔道具や薬といった関係を販売担当なのだと教えておいた。
各クラスで創り上げた魔道具を、出来具合で値段は変えるんだ。同じ物で綺麗なのと不恰好な物が同じ価格普通に考えてもおかしく、学生達もそれは十分理解している。よって同じ価格から値引き価格としていくんだ。もちろん、作った生徒も納得しての価格にしている。「その値段で売れるならその方が良い。」との意見をもらっていた。薬や調香は価格設定は一定だ。
お菓子は一つの商品にいくらと個々に値段設定されていて、最終的には値下げ。売れ残りは女生徒や騎士を目指す者達が美味しくいただいていたらしい。多分今年もそうなるだろう。
自宅から持ち込んだ商品においては、学園の方が先に審査しており、設定価格のまま。売れ残りは学園側から他に転売される。よって、学園からお金が支払われるんだ。
全ての販売で集まったお金は、その学年で集められ、ダンジョンに挑むときの必要経費に回されたりといった感じで使われるんだ。それ以外の必要費や最終的には卒業時の学年打ち上げ会とかの経費で全てなくなるらしい。たくさん残れば、派手な卒業パーティーという事だ。
『学園での同じ学年。クラスは違っても一緒に頑張ろう!』と言う意味合いも兼ねているのかもしれないな…。
音楽会の方は、選抜で選ばれた希望者と講師。外部からの演奏者を招待して行われ、選抜ででた生徒はそれに対して単位がもらえるらしい。最初聞いた時にはそれがどこに付け加えられる単位か私にもわからなかったが、単位不足の所に補填されると知ったんだ。そういうものがなければ、単純に学力の方に補填されるシステムだ。武術大会においても同じで、全生徒が魔法部門か剣術部門どちらかに強制参加で点数がつき、勝者にが相応の点数がつく。だから、皆んな頑張るんだと教えた。私は剣術部門で、その中でも魔法使用の魔剣師部門に出場する教えたんだ。エルはもうワクワクドキドキが止まりませんと言った感じで喜んでいた。レインも瞳を輝かせていたから頑張ろうと思った。アシュは自分が入学したら、魔法攻撃などをしっかり見せてあげたいと思い想像したんじゃないかな?
試合前には騎士団から模擬戦が各一つあり、剣術部門と魔剣師部門。魔法部門と魔法騎士部門と分かれるんだ。日程でも分かれての二日間が予定されている。
それを見た後に生徒の試合が開始されていくんだ。二日間の試合の試合で、一日目が剣術関係。二日目が魔法関係だ。
エルやレイン。アシュは「初日は試合を見にいかなくては!」と言ってくれた。私の応援だ。
他のも気になるとも言っていた。そうだろうと思う。私もクラスの当番に当たっていない時間ならエルやレインが喜ぶ姿が見たいから一緒に見て歩きたいんだ。喜ぶ姿を見るためでもあるが、側にいる事で牽制もできるからね。レインやエルが可愛いから、他の者達に手を出されても困るしな…。アシュがついているけれど、どうしても人が増えるから心配だ。
「そうそう、エルがいっていた事を考慮して、試合会場の安全見直しや設備改善が行われたんだよ。それ以外にも対応できるようにって父様が口添えしてくれて感謝していると学園長から感謝の手紙を渡されたんだ。だから、アシュが入学した後の魔力暴走がもし起こったとしても対策は何度も立て直し、見直していくから大丈夫だと思うよ。」
エルとレインが見たあれのことだ。私とアシュが学園に在学中に起こる事。一人に生徒が魔力暴走を起こすというものだ。しっかりと考慮されていたはずなのに、大掛かりな事件に発展したと言う。起こす生徒が誰かはわからないが、起こるかもしれないなら最初からそれ用の対応をすれば良いんだ。
父上がエルとレインが言ったことを気にしてくれて、すぐに動いてくれたんだ。学園の方に上手く伝えて対応してもらえるようになったんだ。試合前にも確認作業をしていたが、その後も年に数回確認する事にしたのだとか。
多少の面倒だが、必要な事だと認識してもらえてろ勝ったと思う。予防対策は必要だ。
そう話していたら、思い出したのかレインが泣き出したんだ。
私はそっと側に寄せて慰めた。腕の中に閉じ込めるようにしてだ。
エルも踏ん張って我慢しているようだが…
そこはアシュが当然のように対応する。
「エル。よかったね。これでまた一つ安心が手に入ったよ。」
そう言ってアシュの脚の間にエルをしっかり確保した。
しっかりと収まり抱きしめられているんだ。
僕達の間を歩いていたアルは、いつの間に来たのか母様の腕の中にいて抱っこされていたんだ。
「アルはもうオネムみたいだから、連れて行きますね。子守りをありがとう。」
そう言って笑顔で出て行ったんだが、私達から見れば、呆れての苦笑いに見えた。
『仕方ないわね。しっかりとよろしくね。』そう言っているようにも思えたんだ。
エルとレインはいつもの事であるが、こんな姿を見られて少し恥ずかしいのか、モゾモゾと動いて離れようとしたんだ。するといきなりレインが「あっ…」と言って身体から力が抜けていくようになった。
スキルが発動した…。
私は素早くそのまま抱きしめて魔力を譲渡を行う。
レインは引きずられるように…。そして、エルの視界も揺れたみたいで崩れ落ちていた。
「エル!」
アシュがエルの名前を呼んで呼びかけたが、レインのスキルにリンクしたように身体の力が抜けていっているように見える。アシュはすぐにしっかり抱きしめて魔力を流していた。私と同じように。
そして、私達二人はそれぞれスキルを発動させてレインとエルがどんな未来を見ているのか確認する事にしたんだ。
二人の未来視や前世の記憶が混ざって見えてくる時は、決まって何かが起こる事を掲示しているんだ。
だから尚更必要な行為なんだ。
そこで見えてきたのは…学園内の私のクラスだ。
周りには生徒の姿はなく、やや薄暗い教室であるから、学園祭の前日か?準備が整ってそれぞれが下校した時刻だと思われたんだ。壁にはクラスの展示物が飾られ、教室内に置かれた販売用のテーブルに商品として各種魔道具とその説明書が置かれていた。
薬の方は、『口臭予防』『咳止め』『胃薬』とか書かれた物が、小さな瓶に丸い少し大きめの丸薬となって入っているんだ。エルの記憶の方がレインに混ざり込んでいる…。『前世であまり見ない形状だ。』と…。エルの前世の記憶では、大体が錠剤や顆粒だったと言っていた。錠剤というのは、丸薬を平らに潰したような形に見えた。ちょっと違う気もするけれど…。そして、丸薬が全然ないわけではないらしい。昔は見たことがあったが、見かけないと言っていた。その辺りは大丈夫だろう。この先に何が起こる?
調香された物は、匂い袋の中に入れられている。後は、三角形の香が置かれているんだ。そこに何故か怪しい動きをする生徒が一人…。カザリーヌ•リドルヴァル伯爵令嬢だ。私に付き纏い、婚約予定だと言っている令嬢の一人だ。その女子生徒が何かを隠すように置いていた。これが問題を起こす物か?置いた場所をしっかりと確認し、その物も忘れないように覚えた。そして少し視点を変えてみる。
『それは一体何なんだ?』とエルも戸惑っているようだ。どうも二人が一人として重なるようになっているようだ。未来視を見ているレインが主導権を持ったかと思えば、前世の記憶を持つエルが主導権を持つようだ。
何故か夢の中のようなスキルの中だと思うのに、エルの鼻は効くようだ。で、置いて行った物をそっと嗅ぐ事はできるようだった。手には取れないみたいだがな…。そのにおい袋は独特の甘い香りがし、これは…。
私にはうっすらとしか臭わないが、それが何かは理解した。
あの女生徒が隠すように置いたのは媚薬入りのにおい袋だ。しかもあのニオイは禁忌とされる媚薬が入っている。
媚薬は種類や量によっては使用可能で、年齢制限はあるが薬局で購入する事は可能だ。
使用するのは初夜が多い。後は体格差のある夫婦や妻が男性の場合か…。
潤滑剤と痛み止めおよび媚薬効果で、夫婦のための助けになるんだ。
これは閨教育のいっかんとして教えられるもにだった。
レインやエルには不必要だと父上にお願いしてあるから、多分知らないだろう…。
それは今は関係ないが…あれは昔使われた物だ。
かなり強い催淫効果をもたらし、特に性奴隷とするために使われていたと記録されていた。
相手の思考までも独占してしまう。精神支配も起こすものなんだ。そう洗脳に近いものだ。
それを使うとは…。
黒板に書かれた日付からすると、学園祭二日目。
その日の午前、そう早朝からの当番は私と他にもう二人。
そのうちに一人がカザリーヌ•リドルヴァル伯爵令嬢だった。
当番はくじ引きで行われたから、嫌と拒否する事はできず、無事にその時間が過ぎれば良いと思っていたんだ。
という事は、私がこの匂いを嗅ぐ恐れがあると言うことだ。それを計画的にした犯行。
時々『恋のお守り』だとか『まじない』と称した呪いが広がりつつあると報告は聞いていた。
ならばこれはその一つの可能性が高いが、違うかもしれない。
どちらにせよ、この物自体はが禁忌で禁止されている物であるから違法行為だ。
しかも私を狙うとは…。
この計画性も許せない。
これは一種の呪いだ…。
それを知って使用したのと知らずに使ったのでは罪の重さは変わるが…。
婚約の打診は多く寄せられているのは知っている。学園でもこの令嬢のように言ってくる者も実際にいるんだ。父上がお断りを入れてくれているが、それだけではダメということか…。
父様は私達の意見を考慮して、『本人が望む者と』と言われている。そして周りに周知するように伝えてもくれているんだ。
私達がが求める者は、いつも側にいる二人だ。それ以外には興味がない。
これはすぐに対策が必要だし、先に潰してもこの女生徒がまた何か行う恐れがある。
同様な事を別の女生徒が行う恐れもあるんだ。
対象者が私以外もあり得る。
どこで切るかが問題か…。
あの媚薬の今回の使用方法は香り成分であるから、飲用に比べると効力はゆっくりと効いてくるだろう。その香りはお香のように火の熱でではなくて空気中の温度によってだから、効力も本来は遅い。あくまで本来この方法でだ。ただ今回のように長時間放置しているなら効力は充分な強くなる可能性がある。部屋中に充満するんだ。締め切った教室内だからな。しかも、他の香料の香りもしているから、直ぐには認識されにくいだろう…。
そう言えば、隠すように置く時に、何か言っていた。何だった?そうだ。最初は聞こえなかったが、その思い人の名前を告げて…。そうだ。やっぱり『婚約者になれますように』だ。なら、恋人や婚約者になれるおまじないとして購入したか渡されたか、もしくはそういうレシピが出回っていて自分で調香して、本来香りを楽しむ物である『におい袋』として作って隠し置いた可能性が大きい。目的とされる対象者は私だ。
そして場面が切り替わり、日が変わったのだろう。
私が教室に一番に入り、準備を行い出すと徐々に教室内に充満している臭いのせいか、身体が火照り出し、急いで開けれる窓を開けて換気をしようとしながらも、人を呼ぼうと…そこに例の女生徒が教室に入ってきて私を助け起こし、目の前にいりもう一人に私、未来の私はその瞳に映った女生徒に愛を語ったんだ。唇を合わせて婚約を願い受け入れられる。それはしっかりと録画され…窓を開けて換気されても私はその女生徒に対して優しく微笑み続けるんだ。
あり得ないし、見たくもない。
私が…この私があのようになる!?
その場面をレインとエルが見てしまい、レインは飛び出して走り出すも、私はは追うこともせず、邪魔をするなという感じで睨みつけていたんだ。
やはりな…。信じたくもないが、未来の目の前に見えている私は媚薬に侵され、洗脳されたか…。
視点は切り替わる。レインを追ったエルは、少し薄暗い場所まで走っていたんだ。見つけて「大丈夫か」と抱きしめていたら、怪しい男が現れた。レインが立ち止まった場所は行き止まりであり、道を塞がれた感じになる。
あれは誰だ?顔は覚えたが、誰かは私にはわからない。学園内の教授の一人か?中等部の教授達にはお会いしたが、高等部の教授達にはお会いしていないからわからないが…。後で父上に聞くとしよう。
その男はエル達の背後から…。しかも、にやついた顔で側に寄ってきて、何か変なものを持っていたんだ。
あれは…なんであんな物がある?アレは禁忌とされている物だ。
過去の遺物の一つとされて、この前の事件で証拠物件及び危険物として納められたはずだ。それの副製品が残っているということか?
あれはつけられる事で魔力を抑えられ、相手のいいように使われてしまう。そう、奴隷とされる物だ。洗脳も付いているものだ。他にも色々と付与されている危険な代物だ。
『こんな場所で出会えるとは、私はついている。』そう言って魔法で拘束しようとするから、エルは抗って、とにかくレインだけでもと、レインを庇って何とか逃がした。エルは捕まり首にその首輪を付けられて…そこから一気に魔力が抜けていく感じがしたのか意識を落とし、それを嬉しそうに眺めながら、まるで物にような扱いで担ぎ上げて転移魔法を起動させていた。
次のシーンでは、男は焼印を手にしていた。それをエルの方に向けながらにやついた顔で何か言いながら近づいていた。エルの手足は鎖で拘束された状態でそれを受け…
レインの意識が上昇し出したから、スキルを切ったんだ。
「エル、エル大丈夫かい?」
向こう側でそう聞こえてくるから、エルが目を覚ましたのだろう。
エルの事はアシュに任せておけば良い。
「レイン。大丈夫かい?」
涙を流し続けていたレインが潤んだ瞳のまま目を覚まし、そのまま涙で泣き崩れてしまった。
私はそっと抱きしめて腕の中に閉じ込めた。
向こうではエルの顔色が悪くなり、呼吸も荒くなっていく。どうしていいのか分からず、呼吸が苦しくなって…焦点も合わず…と言った感じだ…
過換気症状を引き起こしたか…。
アシュは、なんの躊躇もなく、エルの顎をつかみ顔を上げ、唇を合わせ。合わせた時に、息を吹き込みながら魔力も送り込んでいた。エルを逃さないようにしっかりと、エルの手は抱きしめた時に身体ごとで拘束しているようだ。何度も唇を交わし、呼吸が落ち着いた時に離してあげれば良いのに、エルの表情が可愛くて興奮が治らないのだろう。それと、あのスキルで出てきた男が許せなくて尚更か…。
「ふふふっ、もう大丈夫だね。ついでにエルの初めてをもらったよ。可愛い。」
「アシュ、過換気症状を抑え込んだのはいいが、ついでにはやり過ぎだ。気持ちはわかるけど…。」
兄として小言を言ってしまった。
『やり過ぎだと』しっかり釘を刺して…。
「レイン。エルはアシュに任せておけば大丈夫だ。少し部屋を変えるよ。」
そう言って転移魔法をを起動させた。目的地はレイン部屋だ。
屋敷にいる時、入学前に必死で練習して取得したんだ。アシュも一緒にね。
レインやアシュの緊急時に対応できるようにだ。
そっとソファーに座り、私の膝の上に座らせた。そしてまた抱きしめたんだ。
「レイン。さっき発動した未来は絶対に起こさせない。父上に報告して対策を練るよ。私自身がまずあのようは悪質行為は許せない。こんな時に言うべきではないが、この際はっきり言わせて欲しい。私ギルベルト・ダルク・フィンレイは、レイン。いやレイチェル・フィンレイを心から愛し求めているんだ。私と生涯を共にし、命尽きるまで…いや命尽きてもずっと側にいて欲しい。私が求めるのはレイチェル君だけだ。私と結婚してもらえないだろうか。もし断られても何度でも求めていく事を許して欲しい。レイン私の大切な人。私の光だ…。」
「兄様…兄様…。私は兄様にとって血は繋がらないけれど従兄妹。屋敷では義理とはいえ妹なんです。私は兄様の幸せのために心に蓋を…。いつか来るご令嬢を喜んで歓迎しないといけないと…でも、さっき見た様な事は許せなくて、兄様をあんな…私は兄様の事を愛しているのに…。」
「レイン…。」
「兄様。私は諦めなくて良いんですか…。」
「あぁ、私を求めて欲しい。愛しているよ。これからもずっと一緒だ。で、さっきの返事は?私と結婚してくれる?いや、結婚してください。」
「はい。こんな私でよろしければ…。ギル兄様のお側にいさせてください…。」
そう言われて、もう嬉しさが爆発する。思いっきり抱きしめて、ついついソファー押し倒してしまった。顔中に唇を寄せて抱きしめる。少しくすぐったいのかモゾモゾしてしまう姿も可愛いし。少し開いた唇の間に私の舌を入り込みませ、口腔内を貪るように堪能し、さらに舌を絡ませて啜り上げた。
絡ませ啜り上げて受け取る魔力は心地よい。しかも私とレインの魔力が混ざり合うんだ…。
下腹部に熱がこもって何かおかしくない。レインにはバレないようにするが、しっかりと主張しだしていた。
「ありがとう。今は口づけだけで我慢するよ。もっと…。いや今はまだ良い。」
そう言って私はレインをソファーにきちんと一旦座らせて、目の前に跪いた。
「レイン。私の愛しい婚約者殿。どうかこれを受け取り付けさせてもらいたい。」
そう言って見せらたのは、私とレインの色が入っているものだ。そう、お互いの色の魔石が付いているピアスだ。
二つの石を大切に包む様に蔓が模様として入っているんだ。
「これを私達二人で付けたいんだ。いいかい。」
そう言われて頷いてくれた。
レインの右側の耳にピアスをあてて詠唱する。そして、一瞬「イタッ」と可愛く言っていた。
「もう付いたよ」って教えると、そっと触れるピアスに触れてはにかんでいる。
可愛い~。
「私にも付けてくれる?」
そう言って渡したんだ。私に言われた通りに左耳に当ててくれる。するとレインの魔力がす~っと抜ける感じがしたと驚き、同時にピアスが私の耳に吸い込まれる感じでついたと嬉しそうに呟いていた。
後ろの止めをきちんと付けてくれて、二つの石が不思議と輝いて見えたとまた呟いていた。
「これは清浄の魔法もかけられているからいつも綺麗だ。だからつけ続けても大丈夫なんだ。後、自分では外せない様にもなっている。婚約の証しだね。」
そう言って嬉しそうに微笑んで見せたんだ。
もう一度抱きしめて、そのまま抱き上げベッドに連れて行ったんだ。そっとシーツをかけてやり、手を握った。そこからはいつも以上に優しく魔力を送ってみせた。
「スキルを使ったんだ。疲れているだろう。お休み。そうだ!」
立ち上がった私は、以前プレゼントをしたウサギのぬいぐるみを取ってきてレインの横に置いたんだ。
「私は父上の所に相談しに行かないといけないからね。この子が君のナイトだ。」
そう言って微笑まみキスをおくった。
優しい魔力に包まれて、レインは幸せそうに夢の中に旅だったんだ。
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