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青銅の鏡
目を覚まして…その家族は
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私の愛しい妻の友人でもあり、友人の帰って来た妻に会いたいと面会を求めたが、まだ体調が思わしくないからと、最初の頃は友人から拒否された。
まぁ、長い間待ち続けた愛しい者が帰ってきたんだ。自分達家族の時間を取り戻したいのも理解できるし、やっと帰って来てくれた者を危険に晒す恐れなどが少しでもあればと…友の願いであってもと思う気持ちも理解できるが…。
私も可愛い息子の事があるんだ…。
だから、友人の妻であるレイナ殿に直接手紙を書いて送る事にしたんだ。
友人が見せずに廃棄するかも知れないが、ひょっとしてと…。
他の友人達とも確認し、隣国に住んでいる弟にも連絡した。
エルの事を聞いて慌ててやって来たのは、我が国の方には秘密だ。
何を言ってくるかわかったものではないしな…。
数日後、レイナ殿から返事が届いた。彼女自身も召喚された女子生徒に関して思う事があったらしく、夫であるカルロスに頼み込んで会わせてもらったようだ。
聖女として召喚された女子生徒。詳しく調べていくと、第二皇子であるシャルル殿下と、宰相であるルストール公爵の子息、チャールズ殿もご存知なかった事が多く判明していったんだ。
例えば、聖女一行が浄化を行う際に、聖女自身に多少の穢れが残されてしまっていたという事だ。
我が国ので浄化した際には、一緒に同行した神殿側の者が癒しの力で穢れを除去していたらしい。ほんのわずかぐらいであれば、聖女の浄化でなくても癒しの力で聖女自身の力を底上げして浄化出来てしまうらしいんだ。その行為がされなければ、聖女は周りの浄化はできても、自分自身にはその力が及ばないから…。
これはカルロスが神殿サイドの者としての知識として教えてくれた事だった。だから、他国でも我が国と同じようにしてくれていると思って確認していなかったようだ。
他国にも我が国と同じ神を祀っているし、神官職がいるからと…。
自国で当然のように行われていたなら、他国でも行われていると思うだろう。
それに、一緒に同行した者達は隣国の王子達だったんだ。我が国以外では、最低でも三カ国内で浄化されて行為を行なった後、その王子達の国がそれぞれに対応していく事になっていると決められていたのだから、その国の神殿側が癒しの力を使うものだと思う。
だが実際はほとんどされていなかったんだ。
全然されていないと言って良いだろう…。
その理由が、「国民が治療が必要な場合があるため、治癒能力のある者達の力を温存すべし」と、国のトップである王やその中枢にいる者達、側近から圧力をかけていたらしい。
「聖女は浄化能力があるのだから、自らの力で出来るだろう」と…。もしくは、使い潰すつもりだったのかも知れない。
我が国では聖女の力がなくても安定していたから、我が国が行うべきだと決めつけて放置していたとか…。
もしくは、異世界からきた者であるからと…。
王子達はそれぞれの国に従っていたようだ…。
他の思惑があってかも知れないが、調べて得た情報はそうだった…。
我が国の皇子達にそれがばれては困ると、神殿で休ませると言っても案内はさせていたようだが…それはただ単なる接待行為だけ…。
皇子はまだお若いから、その辺りがうまく見極めが出来ていなかったようだ…。
我が国に帰って来た時には、神殿で癒しを受けても…全てが除去できず、結果、かなり侵されていたという事か…。
聖女自身も、妄言を吐いている雰囲気がこの世界に来られた時からあったと報告もあるし…。だから発見も遅れた?
だが、その妄言の数々を拾い上げると、エルの前世の知識によく似ている事が多く…
エルの前世の知識である『ゲーム』ではそうなっていたかも知れないが、この世界は現実であったため、エルやレインのおかげで多くを回避して来たせいで、聖女である女生徒が知り得る情報のようには行かなかったという事だろうと思った。
この事は国には伝えていない。
できるわけがない…。
下手に伝えれば、エルやレインが国に奪われる可能性があるからだ。
国の良いように使われて、能力を搾取され、使い捨てられて…屋敷に帰ってくる時には…
返してもらえれば良いが、研究と称されてという事だって最悪あるんだ。
唯一、『聖女』という存在はそのような事はしてはならないと、法で定められているから、実験体にされる事はないがな…。
だから言えない。
この国の大人としては、『聖女』として呼ばれた女生徒が少しあわれにも思えた…。
レイナ殿は教皇であるカルロスが全力で権威もフルに使って守り護られるが…。
実際、彼女がこの世界に最初来た時、カルロスは全力で隠し通していたんだ。
「彼女は遠い国からこの国に来た時に襲われていた。偶然自分がそれを見つけ、助けて保護した。その時記憶を失ってしまって、名前ぐらいしか覚えていないんだ。」と私や友人達に説明して紹介してきたんだ。
その時はカルロスとレイナ殿は恋仲になっていて、「プロポーズして受け入れてもらったんだ。」と、婚約者として嬉しそうに紹介してきたんだ。
「癒しの力を持っているから、浄化も少しできるみたいで…他の者に狙われそうだから、友人として協力して欲しい。」と言われたんだけどな…。
結婚した時も幸せそうにし、私の妻とも仲良くなったんだ。お互いを名前や愛称で呼び合うほどの仲の良い友と言っていたんだ。
妻がギルを妊娠し、出産まじかで彼女も妊娠して、「子供同士が友人関係になれたら良いね。」と約束のように話していたらしい。
結婚前もいろいろな事があり、カルロスが守り通していたらしいが、二人の子を無事に出産した後、他国からさらに狙われる事が頻繁になり、最後には誘拐。
救助に行く時は、私達友人共々協力して…。
彼女はカルロスの目の前で姿を消したんだ。
消えたと言ったら良いと思う。そのようにカルロスが嘆いていたから…。
私達はその場を見てはいないが…。
そして、いなくなった時に真実を教えられたんだ。
偶然目の前に姿が現れて、恋に落ちたと…。
『聖女召喚』で呼んだわけではないから、古書にも記載されたことのある『渡り人』だと思ったと…。
『渡り人』も、特殊な力や知識を持つ者もいるから、大切にされる存在であるけれど、時に利用されすぎることもある。一目惚れし、自分のものだと直感したらしいから、奪われてなるものかと思った事と、ちょうど自分の領地でもあったから、隠し守っていたと言っていた。結婚の約束をして、婚約者としての印もつけてもらえたし…彼女の今後も考えて私達に紹介したんだと。
私達は幼い頃からの親友であり悪友であるから、信頼できる。もしもに時の協力もしてもらえれるだけの力だって…
打算だと言われるかもしれないが、その時はそう考え思っていたとも言っていた。
『神の愛し子』のスキルで出逢ったんじゃないかって、当初の自分達は思って呆れもしながらも、慰めて、子育てに関しても協力して来たが…長い年月が過ぎて忘れていたんだ、レイナ殿の素性の事を。
単に友人のいなくなってしまった妻という事だけに留め置いてしまっていたせいか、それ以外のことで忙し過ぎていたせいか…。
カルロス自体がその事に触れさせず、妻の自慢話を子供に聞かせ続けていたのを見ていたせいか…。
カルロスがもしかしたら暗示をかけたのか…。
それはないと思うが…。
その彼女が召喚の儀式の時に、聖女の側でなく後方の場所にいたから…
ほんの僅かな者しかその事に気がつかず、教皇の権力で彼女を保護という名目で自分の屋敷に連れ帰ったんだろう。
相手は妻であるから当然か…。
国の届出も『妻』としていたしな…。
ただ、他の者が見たら年齢が違っていると言い出しそうなのだが…。
それ以上の追求はやめておいた。幸せなら良いと思うしな…。
だから、帰って来たと聞いて、友人達で「おめでとう」と伝えたんだ…。
レイナ殿はその聖女である女生徒を自分と同じ同郷の者だと判断して、会わせて欲しいとカルロスに頼み込んだんだ。
実際に会わせてもらったら、聖女自身が自分が思っている以上に、かなり酷い状態だったらしい。レイナ殿の癒しの力で、聖女の身体に溜まってしまったものを自分の方に引き込み癒し、浄化して戻したそうだ。
レイナ殿は、この世界に来た時偶然その力を使い、カルロスが常に癒してくれていたから気がつき知っていたんだとか。だから、もしかしてと…。
実行に移したレイナ殿自身、息が上がりそうになるぐらい苦しく、その場で倒れてしまったらしい。
カルロスや息子にかなり怒られたそうだ。
体調が戻り、もう一度面会。カルロスはかなり渋ったみたいだが、周りの聖女に対して厳しい批判が増えて、処罰の恐れが出た事と、こちらの世界の都合で呼び出したのであるからと言う事で、カルロス同席で面会。レイナ殿が聖女である女生徒にきちんとこの世界の事を教えたらしい。
レイナ殿自身も気になる事があっらしく、それも踏まえて教えたのだとか…。
結果、普通の思考に戻っていた事と、ゲームと現実の違いを理解し、怪我をさせてしまった男子生徒、そうエルに対しても、言葉で傷つけてしまった女子生徒、レインに対しても泣きながら謝罪して、元に世界に帰りたいと懇願した。
カルロスは、レイナ殿を取り戻したい一心で神殿トップ、教皇の位まで上り詰めたんだ。教皇であれば見る事ができる秘蔵書を求めて…。
聖女召喚ができれば、返すことも…また一度来た者をもう一度呼び戻せることも出来るんじゃないかと…。
魔法研究が大好きな魔塔のトップに上り詰めた友人も巻き込んで…。
教皇であるから、神の声も聞ける可能性が…。
そこまで調べ上げて、見つけたらしい。
ただし、それには精霊王の力、もしくはそれと同じ力が必要だという事も発見したらしい。
ちょうど星の配列も力になりそうで、エルの目覚めを手伝えば、精霊王の許しもと…
最後に聖女と面会した時、聖女自身の中にエルの魔力が残されていてるから、それを聖女の力も少し混ぜて受け取り、我が家に来てくれたんだ。
これが上手くいけばそのまま聖女である女生徒の部屋に施して来た魔法陣が作動して元の世界に戻れると…。
そして、レイナ殿も向こうの世界でいた時の知識で知っていた事があったらしい。
精霊王の力もお借りする必要性があると…。それ以外にもだが…
ただ、現在怒らせてしまっているようだから、その原因をどうにかしないといけない…。
その原因であるエルの意識を取り戻す事が必須。
そして、エルの魔力を少しでも返して謝罪とする事。
精霊王達になんらかの方法で聖女の力の一部をお渡しする事も…。
その手助けができるのは多分…自分だろうと…。
それによって、また以前レイナ殿を狙った者達に狙われる可能性があるらしい。
そこはカルロスが今度こそ守り護ると言い切り、その息子も守ると言い切っていた。
そして、私の息子エルも娘レインもその連中に狙われる可能性があると言うのなら、全力で協力する。
なら、更に守る体制が強くなるなと友人達で話し合ったんだ。
カルロスは本気で色々調べ上げて、過去の伝説級まで調べ尽くしていた。
ちょっとした執念さえ感じたよ。
レイナ殿がエルの魔力と聖女の魔力の一部を受け取ってやって来てくれて…。
「こんにちは、エドワルド君…エド君で良いかしら?私はレイナよ。」
そう言って、エルを包み込んでいる枝垂れ桜の元に歩み寄った。
妖精や精霊達が嬉しそうにレイナ殿の側に擦り寄ったりして飛んできていたから、上手くいけばきっと精霊王も協力してくれると確信したんだ。
そっとエルに触れて…。
「あぁ、あなたの前世は私がいた世界なのね…不思議な繋がりね…。」
そう言って微笑んだんだ。
レイナ殿は、やはりエルの前世の知識を知る者、共有できる者だったんだ。
なら、やはり聖女もそうだったんだともう一度納得した。
許せる事ではなかったけれど…
こちら側の大人達のせいで、エルまで犠牲になったんだ。
レインもまた心に傷を負った…。
ギルが側で癒す続け、エルが守ったからまだマシなようだが…。
なら、もう二度と悲劇が起こらないように、私達はもっと頑張らないといけない…。
そう決意した時、もう一度エルに触れて…
「彼女から預かった力と私から少し。だから、目を覚まして…」
あらかじめ聞いてはいたが…。
レイナ殿の魔力で彼女の身体が優しい光で包まれる。
その光が彼女の手を伝わってエルに吸い込まれていった…。
エル自身が一瞬だけ彼女と同じような光で包まれたようにも見えて…
「えっと、これで多分大丈夫だと思うのよね。後は婚約者であり、エド君にとって最も大切な人。そう、息子のリシュがアシュ君って言ってたから、そう呼んでも良いかしら?息子の友達なら私にとっても大切にするべき人達の一人だから。」
アシュの側に歩み寄って、小さな声でアシュだけに聞こえるように呟いて教えたようだ。何を教えたのかは…なんとなく予想できるが…
アシュは私達の事を気にせずに、『愛しい』と目や態度で訴えながらエルに触れていた。
そこでカルロスが一気にアシュ以外を屋敷の方に転移させたんだ。
屋敷に着いた途端、カルロスが、「転送魔法陣が作動したと」言い、確かに温室の方から膨大なエネルギーが放出されて魔法陣の効果を増大させている気がした。
そして、一瞬神殿の方から光の柱が登った気がしたんだ。
気のせいかもしれないけれど…。
「あぁ、成功したようだ…。」
カルロスがニヤリと良い笑顔を見せたから、たぶん、『神の愛し子』のスキルか何かで確認したんだと納得したんだ…。
これで、エルが私達の元に帰って来て、迷惑をかけてしまった聖女は、希望通り元の世界に戻れたと思ったんだ。
精霊王も、希望の力を受け取って…。
なぜその力が必要だったのかはわからない。
精霊王であれば、無理やり奪えそうであるが、できなかったのはこの世界の理にでも反する何かがあるのだろうか?
その辺りは私にはわからないが…。
レイナ殿なら知っているかもしれないが…そこもわからない。
無理やり追求すべきでもないだろう…。
そんな気がする。なぜと言われたらわからないが…。
はぁ…………と大きく息を吐いて、まずは一つ解決したと思う事にしたんだ…。
側についてくれているレイも同意見のようだった…。
まぁ、長い間待ち続けた愛しい者が帰ってきたんだ。自分達家族の時間を取り戻したいのも理解できるし、やっと帰って来てくれた者を危険に晒す恐れなどが少しでもあればと…友の願いであってもと思う気持ちも理解できるが…。
私も可愛い息子の事があるんだ…。
だから、友人の妻であるレイナ殿に直接手紙を書いて送る事にしたんだ。
友人が見せずに廃棄するかも知れないが、ひょっとしてと…。
他の友人達とも確認し、隣国に住んでいる弟にも連絡した。
エルの事を聞いて慌ててやって来たのは、我が国の方には秘密だ。
何を言ってくるかわかったものではないしな…。
数日後、レイナ殿から返事が届いた。彼女自身も召喚された女子生徒に関して思う事があったらしく、夫であるカルロスに頼み込んで会わせてもらったようだ。
聖女として召喚された女子生徒。詳しく調べていくと、第二皇子であるシャルル殿下と、宰相であるルストール公爵の子息、チャールズ殿もご存知なかった事が多く判明していったんだ。
例えば、聖女一行が浄化を行う際に、聖女自身に多少の穢れが残されてしまっていたという事だ。
我が国ので浄化した際には、一緒に同行した神殿側の者が癒しの力で穢れを除去していたらしい。ほんのわずかぐらいであれば、聖女の浄化でなくても癒しの力で聖女自身の力を底上げして浄化出来てしまうらしいんだ。その行為がされなければ、聖女は周りの浄化はできても、自分自身にはその力が及ばないから…。
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自国で当然のように行われていたなら、他国でも行われていると思うだろう。
それに、一緒に同行した者達は隣国の王子達だったんだ。我が国以外では、最低でも三カ国内で浄化されて行為を行なった後、その王子達の国がそれぞれに対応していく事になっていると決められていたのだから、その国の神殿側が癒しの力を使うものだと思う。
だが実際はほとんどされていなかったんだ。
全然されていないと言って良いだろう…。
その理由が、「国民が治療が必要な場合があるため、治癒能力のある者達の力を温存すべし」と、国のトップである王やその中枢にいる者達、側近から圧力をかけていたらしい。
「聖女は浄化能力があるのだから、自らの力で出来るだろう」と…。もしくは、使い潰すつもりだったのかも知れない。
我が国では聖女の力がなくても安定していたから、我が国が行うべきだと決めつけて放置していたとか…。
もしくは、異世界からきた者であるからと…。
王子達はそれぞれの国に従っていたようだ…。
他の思惑があってかも知れないが、調べて得た情報はそうだった…。
我が国の皇子達にそれがばれては困ると、神殿で休ませると言っても案内はさせていたようだが…それはただ単なる接待行為だけ…。
皇子はまだお若いから、その辺りがうまく見極めが出来ていなかったようだ…。
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聖女自身も、妄言を吐いている雰囲気がこの世界に来られた時からあったと報告もあるし…。だから発見も遅れた?
だが、その妄言の数々を拾い上げると、エルの前世の知識によく似ている事が多く…
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返してもらえれば良いが、研究と称されてという事だって最悪あるんだ。
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だから言えない。
この国の大人としては、『聖女』として呼ばれた女生徒が少しあわれにも思えた…。
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実際、彼女がこの世界に最初来た時、カルロスは全力で隠し通していたんだ。
「彼女は遠い国からこの国に来た時に襲われていた。偶然自分がそれを見つけ、助けて保護した。その時記憶を失ってしまって、名前ぐらいしか覚えていないんだ。」と私や友人達に説明して紹介してきたんだ。
その時はカルロスとレイナ殿は恋仲になっていて、「プロポーズして受け入れてもらったんだ。」と、婚約者として嬉しそうに紹介してきたんだ。
「癒しの力を持っているから、浄化も少しできるみたいで…他の者に狙われそうだから、友人として協力して欲しい。」と言われたんだけどな…。
結婚した時も幸せそうにし、私の妻とも仲良くなったんだ。お互いを名前や愛称で呼び合うほどの仲の良い友と言っていたんだ。
妻がギルを妊娠し、出産まじかで彼女も妊娠して、「子供同士が友人関係になれたら良いね。」と約束のように話していたらしい。
結婚前もいろいろな事があり、カルロスが守り通していたらしいが、二人の子を無事に出産した後、他国からさらに狙われる事が頻繁になり、最後には誘拐。
救助に行く時は、私達友人共々協力して…。
彼女はカルロスの目の前で姿を消したんだ。
消えたと言ったら良いと思う。そのようにカルロスが嘆いていたから…。
私達はその場を見てはいないが…。
そして、いなくなった時に真実を教えられたんだ。
偶然目の前に姿が現れて、恋に落ちたと…。
『聖女召喚』で呼んだわけではないから、古書にも記載されたことのある『渡り人』だと思ったと…。
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私達は幼い頃からの親友であり悪友であるから、信頼できる。もしもに時の協力もしてもらえれるだけの力だって…
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単に友人のいなくなってしまった妻という事だけに留め置いてしまっていたせいか、それ以外のことで忙し過ぎていたせいか…。
カルロス自体がその事に触れさせず、妻の自慢話を子供に聞かせ続けていたのを見ていたせいか…。
カルロスがもしかしたら暗示をかけたのか…。
それはないと思うが…。
その彼女が召喚の儀式の時に、聖女の側でなく後方の場所にいたから…
ほんの僅かな者しかその事に気がつかず、教皇の権力で彼女を保護という名目で自分の屋敷に連れ帰ったんだろう。
相手は妻であるから当然か…。
国の届出も『妻』としていたしな…。
ただ、他の者が見たら年齢が違っていると言い出しそうなのだが…。
それ以上の追求はやめておいた。幸せなら良いと思うしな…。
だから、帰って来たと聞いて、友人達で「おめでとう」と伝えたんだ…。
レイナ殿はその聖女である女生徒を自分と同じ同郷の者だと判断して、会わせて欲しいとカルロスに頼み込んだんだ。
実際に会わせてもらったら、聖女自身が自分が思っている以上に、かなり酷い状態だったらしい。レイナ殿の癒しの力で、聖女の身体に溜まってしまったものを自分の方に引き込み癒し、浄化して戻したそうだ。
レイナ殿は、この世界に来た時偶然その力を使い、カルロスが常に癒してくれていたから気がつき知っていたんだとか。だから、もしかしてと…。
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カルロスや息子にかなり怒られたそうだ。
体調が戻り、もう一度面会。カルロスはかなり渋ったみたいだが、周りの聖女に対して厳しい批判が増えて、処罰の恐れが出た事と、こちらの世界の都合で呼び出したのであるからと言う事で、カルロス同席で面会。レイナ殿が聖女である女生徒にきちんとこの世界の事を教えたらしい。
レイナ殿自身も気になる事があっらしく、それも踏まえて教えたのだとか…。
結果、普通の思考に戻っていた事と、ゲームと現実の違いを理解し、怪我をさせてしまった男子生徒、そうエルに対しても、言葉で傷つけてしまった女子生徒、レインに対しても泣きながら謝罪して、元に世界に帰りたいと懇願した。
カルロスは、レイナ殿を取り戻したい一心で神殿トップ、教皇の位まで上り詰めたんだ。教皇であれば見る事ができる秘蔵書を求めて…。
聖女召喚ができれば、返すことも…また一度来た者をもう一度呼び戻せることも出来るんじゃないかと…。
魔法研究が大好きな魔塔のトップに上り詰めた友人も巻き込んで…。
教皇であるから、神の声も聞ける可能性が…。
そこまで調べ上げて、見つけたらしい。
ただし、それには精霊王の力、もしくはそれと同じ力が必要だという事も発見したらしい。
ちょうど星の配列も力になりそうで、エルの目覚めを手伝えば、精霊王の許しもと…
最後に聖女と面会した時、聖女自身の中にエルの魔力が残されていてるから、それを聖女の力も少し混ぜて受け取り、我が家に来てくれたんだ。
これが上手くいけばそのまま聖女である女生徒の部屋に施して来た魔法陣が作動して元の世界に戻れると…。
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ただ、現在怒らせてしまっているようだから、その原因をどうにかしないといけない…。
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そして、エルの魔力を少しでも返して謝罪とする事。
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その手助けができるのは多分…自分だろうと…。
それによって、また以前レイナ殿を狙った者達に狙われる可能性があるらしい。
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そっとエルに触れて…。
「あぁ、あなたの前世は私がいた世界なのね…不思議な繋がりね…。」
そう言って微笑んだんだ。
レイナ殿は、やはりエルの前世の知識を知る者、共有できる者だったんだ。
なら、やはり聖女もそうだったんだともう一度納得した。
許せる事ではなかったけれど…
こちら側の大人達のせいで、エルまで犠牲になったんだ。
レインもまた心に傷を負った…。
ギルが側で癒す続け、エルが守ったからまだマシなようだが…。
なら、もう二度と悲劇が起こらないように、私達はもっと頑張らないといけない…。
そう決意した時、もう一度エルに触れて…
「彼女から預かった力と私から少し。だから、目を覚まして…」
あらかじめ聞いてはいたが…。
レイナ殿の魔力で彼女の身体が優しい光で包まれる。
その光が彼女の手を伝わってエルに吸い込まれていった…。
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「えっと、これで多分大丈夫だと思うのよね。後は婚約者であり、エド君にとって最も大切な人。そう、息子のリシュがアシュ君って言ってたから、そう呼んでも良いかしら?息子の友達なら私にとっても大切にするべき人達の一人だから。」
アシュの側に歩み寄って、小さな声でアシュだけに聞こえるように呟いて教えたようだ。何を教えたのかは…なんとなく予想できるが…
アシュは私達の事を気にせずに、『愛しい』と目や態度で訴えながらエルに触れていた。
そこでカルロスが一気にアシュ以外を屋敷の方に転移させたんだ。
屋敷に着いた途端、カルロスが、「転送魔法陣が作動したと」言い、確かに温室の方から膨大なエネルギーが放出されて魔法陣の効果を増大させている気がした。
そして、一瞬神殿の方から光の柱が登った気がしたんだ。
気のせいかもしれないけれど…。
「あぁ、成功したようだ…。」
カルロスがニヤリと良い笑顔を見せたから、たぶん、『神の愛し子』のスキルか何かで確認したんだと納得したんだ…。
これで、エルが私達の元に帰って来て、迷惑をかけてしまった聖女は、希望通り元の世界に戻れたと思ったんだ。
精霊王も、希望の力を受け取って…。
なぜその力が必要だったのかはわからない。
精霊王であれば、無理やり奪えそうであるが、できなかったのはこの世界の理にでも反する何かがあるのだろうか?
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レイナ殿なら知っているかもしれないが…そこもわからない。
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そんな気がする。なぜと言われたらわからないが…。
はぁ…………と大きく息を吐いて、まずは一つ解決したと思う事にしたんだ…。
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