兄様達の愛が止まりません!

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青銅の鏡

お城に呼ばれました。

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その噴水を見ながら…
そう、エル兄様の前世とリンクして見たあの映像を思い出してしまった。

噴水は、昔見た映像やエル兄様が『イラスト』と言っていた絵に似ていたんです。
そう、ゲームや小説など、エル兄様の知識では、この場所で…、聖女とギルが会話をしてそして…。
実際はそのような事はなかった。
そう、あの日は母様が産気づいて、家族で屋敷で待機していたんです。
だから、お呼ばれはしていたのですが、父様もギルもアシュ兄様もお屋敷にいたんです。
無事に元気な妹アイが生まれたんです。
可愛らしくも元気なお産声をあげて…。家族や屋敷のみんなで喜び合いました。
その日、聖女は目の前に見える噴水のあたりでギルを待っていたらしいですが…。

その聖女も今は自分の世界に帰られてこの世界にはいません。
アイが生まれたことも、エル兄様も知識とはかけ離れて、私とエル兄様は悪役令嬢と悪役令息に成らずに済んだと喜んだんです。
それでも、やはり未来の分岐は多く、私が見てしまう未来視にエル兄様の知識と重なり合い、こんな未来になるかもしれないと言う私やエル兄様にとって良い未来と悪い未来が見えてしまう…。

このまま幸せな人生になれば良いのに…。

そこでぐらりと眩暈がした。

「レイン!」

エル兄様達の姿と少し先の未来が重なる。

「レイン、大丈夫か?気分が悪いならどこか座れる場所に…。」
「ギル…。アシュ兄様とエル兄様に危険が…。回避できるけれど…でも…。」
「レイン?もしかして…」

ギルが私を抱き上げて、側にある椅子に座らせてくれたんだ。
そして、父様に連絡をとっている見たい…。

私の目の前に映っているのは…。

さっきの噴水でエル兄様とアシュ兄様が仲睦まじくしている場面に、さっきの帝国から来られた客人がズカズカと歩いて近づき邪魔をしているんだ。


「エル…。兄様じゃなくて何と呼ぶ約束だった?」

そう言ってエル兄様はアシュ兄様に手を取られて、そっと引っ張られ腕の中に。
「アシュ…」と呼び直した時に…


「おおっ、ここにおられたのか。」
「「………」」

ズカズカと大股で歩いてくる男は、野生みを帯びた長い髪を一つに紐でくくる帝国から来た代表の男性だ。
確かに美丈夫ではあるが、兄様達の邪魔をする不届者。
でもなぜその人物が…。

一緒に同行している執事であり護衛でもあるような男性は、エル兄様と目があった人。
こちらは細身に見えるが…多分かなり鍛えるのだろう。父様の騎士の人達とよく似た…エル兄様が時々『細マッチョ』と呟いていたから、そんな感じなんだと思うし、この男性の方が代表の男性よりも醸し出された雰囲気が全然違う。多分この男性の方が上だと思う。

アシュ兄様はエル兄様をそっと庇うように背中側に隠して…。
そこで、ふら~っと姿を現せたのは、確かエル兄様と契約を交わした精霊だ。
見えるのはエル兄様だけだと思うけれど、私はエル兄様とは双子であるからか、それとも未来視であるから見えているんだろう。

精霊や妖精は、いつもはアシュ兄様達にも気軽に姿を見せたり声をかけたりしているのに、「なぜ?」と少し不思議に感じたんだ。
本当に何で?

「エド、私の声や姿は、今この場では貴方しか聞こえたり見えたりしていません。あえてそうしました。その男が手に持つ物は危険な魔道具です。注意してください。そして、もしもの時は私達の力を存分にお使いください。もちろん私の判断でも行使します。精霊王からも許可をいただいておりますので、何をしても大丈夫ですよ。」

エル兄様に声をかけたのは、精霊のシルフィだ。エル兄様と契約した精霊の一人。
シルフィだけがそこにいる?
そして目の前の帝国に人間は、敵判定なんですね…。
それも危険な物を持ち込んで…。

「貴殿はアシュレイ・ダルク・フィンレイ殿でしたよね。俺…いや私はヴァンロディ帝国第二王子、アッシュベルグ•オルグ•ヴァンロディ。アッシュとお呼びください。」
「初めてお会いします。私はアシュレイ・ダルク・フィンレイと申します。そして後ろにいるのは私の夫、エドワルド・フィンレイです。」

王族として挨拶されれば、貴族として挨拶するのが礼儀。
アシュ兄様は、この男性を相手したくないのがよくわかる。
愛称で呼んでほしいと言われたが、あえて名前も呼ばないのがその証拠でしょう。

庇われているエル兄様は少し嬉しそうです。
エル兄様はアシュ兄様の事が大好きですから…。

「初めて。私はエドワルド・フィンレイと申します。夫アシュレイ・ダルク・フィンレイと夫夫関係です。」

エル兄様もアシュの横に並びそう名乗ってしっかりアシュ兄様とは夫夫関係だと、しっかりハッキリ声を出して伝えて挨拶された。
相手の男性は不快な顔をしたけれど…

「私は此度貴殿、アシュレイ殿に婚約の打診に来たんです。皇王に願い出る書状もお持ちして…。此度の婚約の打診はお互いの国に有益なもの。それに、言ってわなんですが、その相手はまだ子供ですよね。どう見てもまだ婚姻年齢でもはない。なら単なる婚約のはず。ならお互いの国のためにその婚約は破棄していただき、将来我が妻となる身として婚約し、我が国に来ていただきたい。」

そう言ってアシュの手を握ろうとした…。エル兄様は直ぐに反応してアシュ兄様の手をグッと握り、そのまま力一杯自分の方に引っ張って、背後に隠し相手の男の手を思いっきり払い除けたんです。

小さな光る物が地面に転がっていた。

「このガキ、何をする。来賓であり帝国第二王子の私の邪魔をして…。」
「ふざけるな!アシュは俺の夫だと言ったはずだ。しかも禁忌とされる魔道具でアシュに何をしようとした!それは隷属させる魔道具の一種だ。そこの男!お前はヴァンロディ帝国第一王子であり皇太子だろう!ヴァンロディ帝国は己の欲望のために婚姻している者を引き離すために、禁忌の魔道具を使用するのか!隷属の魔道具を使用し、騙し討ちのように無理やり従わせようなど、帝国も落魄れたものだな。軍事国家が呆れる!」

「なっ、何だと!言わせておけば我が兄上に対しても侮辱するか!お前のようなガキがこのアシュレイには相応しくない。俺のような男の方が!」

そう叫ぶと、いきなり強い風が吹き、目の前の男髪を刈り取ったんです。その風を起こしたのはエル兄様の精霊のシルフィだ。
戦闘民族らしい長い髪を紐で括っていたのが、その風の刃でばさっと落ちた…。

「なっ…」
「今のは俺の魔法じゃない。アシュでもないよ。お前はこの国の精霊を怒らせてるんだ。よかったな髪だけですんで。」

そう目の前の忌々しい男に言い放し、背後にいた皇太子の方に視線を送った。

「確かに、十八歳と言う年齢からが婚姻の儀式で腕輪の交換がなされる。だけど、婚姻だけならば、絶対にその年齢でなくてはいけないとは決められていないんだよ。確かに俺は、お前達より幼い。年齢はどうしようもないから…だが、俺はずっとアシュの事が好きで愛しているんだよ。アシュもこの俺を求めてくれた。そして、教皇であるカルロス様が特別に、俺たち二人に対して婚姻の儀式をしてくださったんだ。教皇自らな。この意味わかるよな!それをふざけた行為で別れさせて婚約を迫ろうとはふざけている。だから精霊が(俺の意思を理解して)怒ってるんだよ。いくら軍事国家の最強騎士と謳われていようが、精霊を怒らせるのはどうなんだろうな!」

俺…余りにも怒りが込み上がって前世のように『俺』って言ってしまった。
ここまで一気に言って…
相手は他国の王族だ。しかも我が国の賓客。ちょっと不敬って断罪されない?やばい…って思ってしまった。

思わず身体が震えて…

「レイン!」

ギルに身体を揺さぶられて、ハッとした。

「ギル、私はどのくらい意識を…」
「ほんの一瞬だ。だが…。」

ギルやアシュ兄様には不思議な力がある。
なぜか私が見たものやエル兄様が見たものを感じ取ってみたり聞いたりできるみたい。
どうやって見るのかまではいまだに教えてくれないけれど…。

「レイン。さっき見たのはこの後に起こるかもしれない事だね…。」
「そうです。アシュ兄様やエル兄様が危険です。」
「父上も直ぐに来られる。俺達はエルとアシュを探しに行こう。」

そう言って、ギルに手を引かれて…。
行こうとしたけれど、どうしても何処かで見ているかのように邪魔が入る。
ギルに声をかけたい人達は多いんだ。
ダンスを一回でも踊ってほしいと身体を寄せてくる者も…。

こんな事で時間を取られたくないのに…。

「おや?ギル達はここで?」

側近を連れて歩いて来た第二皇子が声をかけて来たので、ギル兄様は私を連れて第二皇子殿下の側に行く。
殿下やその側近がいるのであれば、邪魔はできないと、寄って来ていたものたちは別の場所に移動して行ったんだ。

「何かあったのかな?珍しくイラついていたようだから声をかけたんだが…。」
「あぁ、良いタイミングで来てくれて助かった。俺達は今から席を外したくてね。じゃあ!」

「おっ、おい!!」

ギルに手を引かれて、少し遠回りになるが目的の噴水の場所を目指して広間を抜けて廊下に向かう。

「レインが見た物は、多分危険な魔道具だ。エルの精霊が斬って壊してくれたからもう起動できないが…。あんな物を持ち込むなんて…。しかも私の弟に使おうとするのは許せない。」

ズカズカと怒りで歩くが、私の歩幅にもきちんと合わせてくれている。
父様と連絡してもあるからなのか…
それとも…。

「アシュからレインが見たものと、同じ音声を送って来ているから状況は確認できている。だから大丈夫だと思うし、いざとなれば影も動く。父上が今、許可を出したからね。」

襟に付けている魔道具で連絡をしあったんだろう。
さすがだ…。

ギルが言うには、エル兄様がその手で弾き飛ばし、地面に転がった魔道具には、よく見れば針のようなものが飛び出てたらしい。あれに刺されたと同時に相手の指に魔道具が絡み付いて、魔力を注ぎながら作動させた者…つまり帝国のあの男の意のままに、アシュ兄様がされてしまったかもしれなかったと言う事だ。もう未然に防げたと言っていた…。
相手を意のままに操る魔道具であるから、『禁忌とされる隷属の魔道具』なんだとも教えてくれたんだ。

すでにエル兄様がそれを拾い上げたとか。「作動させるには魔力の注入が必要で、壊れたと言っても作動させた魔力は残っているんから証拠確保だな。もう使えないけれどね…。」とも話して教えてくれたんだ。

「しかし、そんな危険な物をを持ち出して使用しようなど…。これはどの国でも保持もしくは使用した場合、大きな問題だ。帝国はこの国に戦争を引き起こすつもりなのか?」

ギルの魔力が怒りのせいでか少し漏れ出ていたけれど、私が側で一緒に歩いているからと直ぐに抑えてくれたんだ。

「レイン。エルとレインが目があった人物は、ヴァンロディ帝国皇太子、ルーズベルト•オルグ•ヴァンロディ殿下だったようだ。そして代表として来た人物はヴァンロディ帝国皇太子の弟。皇太子の権限で拘束して帝国に連れ帰るようだ。」
「そうな…。」

「やっと追いついた。ギル一旦ホールに戻ってくれ。来賓代表の第二王子、アッシュベルグ•オルグ•ヴァンロディ殿下が急な体調不良とかで、城内の転移魔法陣で帰国されて、代わりにルーズベルト•オルグ•ヴァンロディ皇太子殿下が来たんだ。引き継いで交渉の席に着く予定だが、高位貴族のお前達もいないといけないからな…。」

ギルとの会話は、第二皇子殿下の側近の一人が声をかけて来た事で途切れた。
側近が言うには、殿下は広間でいるらしいけれど…。

エル兄様の方に早く向かいたいのに、そう声をかけられたら…足を止めるしかないんだけれども…。
ギルが「ちっ…」と舌打ちをして、考え込む。

「さあ行こう!」

殿下の側近にそう声を再度かけられ催促された時…。

「レイン、ギルここに居たのか。」

颯爽と現れた父様が私達に声をかけて来たんだ。

今、広間の方でヴァンロディ帝国皇太子と皇王はじめ城内の貴族の方々と挨拶されていて、父様と母様が広間などで兄様達の姿が見えなかったから心配して探しに来たと話してくれた。母様の側にはレイがいて、広間で待っていてくれているらしい。出来れば一緒に挨拶した方がいいだろうと…。

「それで、エルとアシュは?」
「さっき噴水の辺りで見かけたんです。呼びに行こうと思ったのですが人が多かったのでこちらから呼びに行く途中で…。」

そう言ってギルは声をかけて来た側近の方をチラッと見た。
父様も視線をそちらに向けて。

「第二皇子殿下の側近、アルバン伯爵子息か。」
「フィンレイ侯爵様。お久しぶりです。」
「息子ギルと娘のレインには、二人の私の息子達を呼びに行かせたいんだが、何か用事でも?」
「いっ、いいえ…。失礼いたいます。」

父様がギロっと視線を送るから、慌てて向こうの方に歩いて行った。

「エルとアシュは無事だと報告は受けた。とりあえず二人を迎えに行って欲しい。もし体調面で広間に来れそうにないならこれで連絡を。私達が対応しておくからね。」

父上は自分の襟に付けている魔道具を指し示しててそう言ったんだ。

「分かりました。レイン行こう。」
「父様、行ってきます。」
「あぁ、頼んだよ。」

軽く手を振られて見送られ、私とギルは先を急いだんだ。
影から父様の方に連絡が行ったのだろうが、実際に見て確認しないと安心できない。

もう目の前に、エル兄様とアシュ兄様の姿が見えて来た。
エル兄様はアシュ兄様に抱き上げられてるみたいだけど…

えっと、エル兄様がアシュ兄様を庇ってかっこよく帝国に皇太子などを追い払ったのではなかったのかな?
あれ??

「エルはアシュの地雷を踏んだのか…アシュが怒ってるな…。エルは気が抜けて腰が抜けたようだ。頑張り屋だけれど、可愛い弟だ…。」
「えっと?」

どうも、エル兄様は気が抜けて、ついついポロッと何か不必要な事を言いてしまったみたい。
アシュ兄様の地雷だと言うのは…多分…
私のあくまでも想像でしかないけれど、エル兄様がアシュ兄様のためなら自分は離れても良いとか何だとか言ってしまったのかな?
エル兄様はアシュ兄様のためなら、身を引く事も厭わずしそうだし、自分を顧みず庇ったりしそうだから…。
私もギルに対して場合によっては…多分するだろうし…。
その事を言ったら絶対怒られるから言わないけれど…。

お仕置き怖い…。

もう直ぐ目の前まで来たから、声をかけた。
ちょっとだけ息が上がりそうになったけれど、いうん、大丈夫。
ギル兄様にこそっとさっきの父様の言葉に合わせるようにも言われたから…。
ここは城内。屋敷とは違う多くの目がある。
城の諜報部の者もいれば騎士達だっているだろうからと…。

私が倒れかけた時はギル兄様が咄嗟に結界を張ったらしい。
周りからは私が気分を悪くして、ギル兄様が介抱しているように見えただろう…。
ギル兄様もそう教えてくれたから…。
でも、今は違うから…。


「あっ、こんな所にいた。アシュ兄様、エル兄様探したんですよ。来賓代表の第二王子、アッシュベルグ•オルグ•ヴァンロディ殿下が急な体調不良とかで、城内の転移魔法陣で帰国されて、代わりにルーズベルト•オルグ•ヴァンロディ皇太子殿下が来られて、引き継いで交渉の席に着くらしいですよ。今、城内の貴族の方々と挨拶されて…。父様が広間に兄様達がいないからって心配されて…挨拶に来れるならと…大丈夫ですか?」

私はそう声をかけながら側に行き、エル兄様の顔色や抱き上げられている状態を見て…。
うん、やっぱり顔色がまだ良くない…。
危機は脱したけれど…。

ギルも心配してアシュ兄様にそっと触れて「大丈夫か?」って訊いていた。そして直ぐに何か察したみたいで…。

「後で父上に要相談だな。とりあえず向こうに行こう。ある程度魔力を渡してポーションも飲めば立つぐらいはできそうか?無理なら休憩できる場所に、エルだけ移動させるが…。」

エル兄様は…うん、嫌そうだ。アシュ兄様も嫌そうにしてエル兄様を抱き上げている腕に力が入っていそう…。
それに、エル兄様だけ離れて休ませても…嫌な予感しかしない。
少し気になる視線が向こうの方に…。

学園で見た事がある令嬢…そして気難しそうな大人の男性達…。
フラついてでも、頑張ってみんなの側にいる方が良い気がする。

「エル兄様、これ先に飲んで。」

私は腕輪の形に変えて持っていたアイテムバッグからポーションを取り出してエル兄様に手渡した。
エル兄様はそれを一気に飲む。

空いたビンは、エル兄様が自分のアイテムボックスの方にポイって…。
それだけ披露してたんですね…。

「なら会場近くまで魔力を譲渡しながら抱いて行こう。広間の前で降ろして支えながら歩くから大丈夫。父上の側に一旦戻ってから広間に置かれている椅子に一緒に座って休めば良いのだからね。」

アシュ兄様にそう言われて、エル兄様は素直に頷いた。
ギルはすぐに父様に報告しているみたいで…

広間の入り口近くで父様と母様が心配そうな表情で待っていた。
エル兄様はそこでアシュ兄様に降ろしてもらい、腰を抱かれるようにエスコートしてもらいながら歩いたんだ。

だいぶと回復されたようだけど…少しでもぐらつけば、アシュ兄様はエル兄様を抱き上げそう…。
エル兄様は人の目を気にして拒否しそうだけれど…。
父様と母様は心配しながらも、微笑ましいものを見るような目をされていた。

ギルが父様の側で直ぐに報告して、エル兄様が拾った物を、アイテムボックスから取り出した小さな革袋に入れて、アシュ兄様に渡しておいたんらしい。勿論ギル兄様が教えてくれていた通り証拠としてね。
それを父様に渡していた。
父様は胸元にあるポケットにそれを入れて…
そのポケットには空間属性を付与させてるんだって。その後、皇王の所に向かい何か話して戻って来られた。

「すまない。せっかく家族で来たのに、皇王達と極秘の緊急会議になったよ。少し抜けて行ってくるから、もし遅くなるようなら先に帰宅していなさい。」

微笑みながらそれだけ言って、父様の友人達に声をかけて一緒に行ってしまった。
それだけ危険な物だったんだろう。
からり大事になってしまったんだね…。
エル兄様やアシュ兄様が無事で本当に良かった…。

多分今回の事を父様達はうまく利用して優位の交渉に持っていくんだろうな…。
そこは大人の仕事だから…うん、お任せだね。

エル兄様はアシュ兄様にソファーが置かれている場所に連れて行かれ、そこで飲み物や軽食をとりながら大人しく待っている事に。母様はレイを連れて父様の代わりに他の貴族と談笑している。
貴族としての情報収集とかをしてるんだろう。
父様と母様は既に帝国の皇太子殿下との挨拶を済ませているから大丈夫だとも言ってくれていたし…。

私とギルはエル兄様やアシュ兄様んもとに色々と食べ物を取って来て行き、一緒に食べたり会話をしたりしていた。
ただずっとは目立ってしまうからって、私の友人達やギルの友人の所に行ったりダンスを楽しんだりしていて父様を待っていた。
アシュ兄様はエル兄様の側を離れないし、近づくなオーラを醸し出していたからか、うん、声をかけたそうに見ている人達はいたけれど、実際に行動する人はいないみたい。
私が単に見れていないだけかもしれないけれどね。
ずっと二人で会話されていたから…

「エルにはアシュがしっかりついているから大丈夫だ。せっかくだからもう少し楽しもう。レイン、私だけ見て。」

そう耳元で呟かれて、思わずボッと顔から火が吹きそう…。
ギルは楽しそうに微笑んで、揶揄われたんだ…。

「ふふふっ、私のレインは可愛いな。絶対に私から離れてはいけないよ。ムシが寄って来そうだからね。来ても容赦なく追い払うけど…。」

「ムシ?」
「そう、ムシ…。」

そう言ってくるっと回された。
ドレスの裾がフワッと拡がる。
花の精になった気分になるのよね。こうふわっとなると…。
周りの女性達も相手にリードされながらクルクル回って綺麗…。

宴が終盤に差し掛かるも父様は戻らず、それぞれが馬車で帰るごろにやっと戻って来られたんだ。
かなりお疲れの様子だったけれど…。

「さぁ、屋敷に帰ろう。疲れただろう?馬車の中で寝ても大丈夫だからね。」

そう言ってくれて、馬車に乗ってエル兄様は…うん、ソファーで寝てしまいました。アシュの膝枕で…。
私もギルの肩を借りて…。
馬車は魔改造されているから…。

そのままベッドに運ばれたようで、気がつけば朝。
服は着替えさせられていたけれど…なぜかギルのベッドの中で、私は…しっかり抱き込まれていたんだ…。
えっと、これはどうしたら良いのかしら?
思わずオタオタしてしまったけれど、ガッチリと抱きしめられているから、身体は…うん無理。

ギルの規則正しい心音を聴き、いつもに優しい魔力やギルの香りに包まれて…。
また睡魔に襲われて、瞼が落ちてしまったんだ…。

二日後、エル兄様とアシュ兄様、父様達がお城におられる帝国の皇太子から謝罪を受けられたんだけど、その内容は私には教えてもらえなかったんだ。

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