兄様達の愛が止まりません!

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青銅の鏡

もう一つの危機…北の国より…ジュディオン

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そして歓迎パーティーのこの時に、愚かな我が兄である王太子達は動いたんだ。
まさかこんなに早く動くとは思っていなかった。
せいぜい彼らが帰る前ぐらいに行動を起こして…私はそう思っていたんだ。

準備は行ってはいたが…。

周りに目を光らせながらも、来客に対して第二王子として対応はしていた。もちろん彼らの動きも把握していないと、いざという時に手助けもできないとも考えてだ。

侍従や侍女達が各テーブルの片付けや客人への給仕などの動きも見ながら、極力アルコール度数の少ない物を口にし、会話をする。

フィンレイ侯爵家の次男と三男は人混みを避けて、向こうの方で二人きりで会話をしているようだ。
学園でも何度か見かけたが、やはり仲が良い。
普通に見てても仲が良いいのに、なぜあんな考えを持つ者が時々いるのか…。
あの時目的のために動いた自分が言うのもなんだがな…。

それにもう一人、馬鹿な妹である第一王女がいる。
向こうで取り巻きのご令嬢を伴い子息や令嬢などと会話しながらも、見つめているのはフィンレイ侯爵家の次男アシュレイ殿だ。
兄である王太子が三男であるエドワルド殿を側妃とするとバカげた事を訊いたのだろう。そして自分はアシュレイ殿の婚約者の座につけると信じて疑っていない。
自分こそは相応しいと…。

風魔法で取り巻き達にもそんな話をしているのを拓いながら耳を澄ませる。彼らが国に帰る時に自分も一緒に行くとか話しているのが聞こえて来た。
バカバカしい…。

ん?まさか…

アシュレイ殿を呼びに行った男は確か…第二皇子であるシャルル殿下の側近であり、今回の要注意人物だ。
留学中同じクラスであったが、確かアドノルン•オギュール。
オギュール伯爵の次男だったはずだ…。
あらかじめ入手していた情報通りシャルル殿下に心酔しており、殿下の文官として側近希望の頭脳派だったはず。
オレンジの髪色に赤紫の瞳で…文官希望だけあって頭脳明晰ではあるが…殿下の事になると残念な思考に陥るんだ。
殿下に何かあればと武術の方も鍛えてもいたのは素晴らしい事だとは思うけれどもね…。
確か授業で何度か当たった事はあったが、攻撃よりも防御の方が得意だった。

聖女と巡礼中はこの国や他国にも付いて来る事はなかったな…。
殿下自身が他国には出せないと思っていたのだろう。
今回は無理やりついて来たのか?
殿下の考えか?
あの男が怪しいという事を密かに伝えておいたんだがな…。

まぁ、こちらの計画通りに動いてくれる駒であるなら構わないが…。

そう思いながら視線だけ注意深く送っておいた。
何か起きそうだ…。
なら、今日決行になる…。

自分の手足として動いてくれる者達にそっと指示を出しておいたんだ。


聞こえて来るのはわざとらしく靴音を立てながらあの二人に近づくアドノルンだな…。このような男には『殿』などの敬称は不要か…。

「アシュ、殿下が読んでいる。」

そう声をかけていた。
殿下が呼ぶなら二人一緒に呼ぶだろうに…。

という事は、彼らがこの城に来て初日だと言うのに、愚かな兄は本当に今この場で動くのか?
向こうでニヤニヤと下品な顔で笑っている国王…そして、扇子で口元を隠している王妃…も知っているのか…。
母上は…神殿の方に直ぐに戻ると言っておられたから…うん、居ないな…。
巫女の力を持つ母上にはこの城に置かれているモノのせいで顔色が悪かったからな…。


「アシュ、僕はここに居ますので行ってきてください。」
「だが…。」

アシュレイ殿はエドワルド殿をのこのような場所で一人きりにはしたくないのだろう。だが、あえて殿下の名を出され、この会場内では側近と同じような立場として同行しているなら、呼ばれれば行かないわけにもいかないだろう。
他国の貴族達や他の目もある…。

「アシュ…アシュレイ。君は殿下の側近候補としてこの地に来ているんだ。だから殿下が呼ばれたらすぐに側に行くべきだ。」

やはりエドワルド殿の事が気に入らないようだな。
王太子が移動しだしたし…。

「王太子が動いた。確たる証拠も必要だから、直ぐに制圧できるよう各自待機。」と指示を出して…。私の指示で「了」との返事を確認した。
全て魔道具や念話などだ。
気取られるわけにはいかない。
王太子の私兵も紛れ込んでいるのだから…。


「アシュ、行ってきて下さい。もし僕がここから席を外しても、何処にいるかアシュならわかるでしょ?」

アシュレイ殿達の会話を拾い、王女が第二皇子殿下の側に行ったのを確認。
王は王妃と共に退出するようで席を立ち上がった。

私は国王を捕らえる方に動き、仲間である騎士団長には王妃捕獲。この場は本当の父上、王弟殿下の親友であり側近であった侯爵に任せた。
侯爵他数名父上を慕う者達が既に動き始めているから…。

アシュレイ殿は…シャルル殿下の側近として挨拶を交わし、妹に不快な事を言われたのだろう。かなり怒っているようだが…。

それよりも急ごう…。

会場を出て王宮内奥に王が向かっているのを目で捉えた。
配下に指示をだして囲むように…


ドーンと大きな音と共に城内が揺れる。
かなり強固な要塞も兼ねているこの城がこんなに揺れるとは…。

「殿下、エドワルド様が王太子達に例の部屋に連れ込まれました。アシュレイ殿が魔力暴走を起こしかけて…しかも精霊王が…」
「精霊王?」
「はい、やはり手を出してはいけない存在だったんです。それを手を出して…しかもアシュレイ殿が例のモノを魔力で一気に破壊したせいか…とりあえず避難誘導しながら予定どう捉えていきます。」

やはりあの多く置かれていたりしたモノは妖精や精霊を怒らせるのに十分なモノだったと言うことか…。アシュレイ殿の魔力で多くを破壊したのだろう。そのおかげで妖精や精霊達が動けるように…。その結果、精霊王まで出て来たのならば、国王その他を捕える十分な理由だ。

「国王その他を一気に捕える。抵抗する者は息の根を止めても構わない。抵抗しない者は全て拘束。後で裁きを下す。」

そう指示を出して、私は仲間と共に一気に走り国王を捕らえ、抵抗する者を鎮圧した。
転送魔法が使えれる者に捕らえた者達を地下牢に転送させ、その足で父上が捕らえられている塔の方に向かった。
幾十にもかけられている結界のせいか、特に崩れているところがなく、少しだけホッとして気合を入れる。
背後に見える王宮の建物は爆音や黒煙が上がり、火の手も確認できた。

人的被害は最小限に抑えるよう指示を出しているから、大丈夫だとは思うが…。

塔を警備している者達は既に鎮圧されており、私はアイテムボックスからあの双剣を取り出した。
魔力を込めて刻印の中心部に突き刺し破壊する。
さすが聖剣。あの時吸った魔力のおかげかガラスが割れるようなパリンという音と共に一気に結界が崩れて消えた。

それと同時にドアを魔力で破壊して中に入る。

「父上、無事でしょうか?」
「王弟殿下、いや国王陛下!」
「新国王陛下!」

私の声掛けと同時に次々と父上を『国王陛下』とお呼びして、お姿を確認したと同時にひれ伏した。

父上はゆっくりと塔から出られて皆を労い、直ぐに人命救助と被害を最小限に収めるよう指示された。
私は直ぐに父上に状況及び情報報告を行い、父上の指示のもと配下である全軍に指示を出したんだ。

父上も急ぎ会場の方に向かい…
そこにおられた精霊王に跪き謝罪。
精霊王と何か会話をされた後、精霊王は姿を消され、父上は自身の魔法で一気に燃え上がっていた火を鎮火させたんだ。さすがとしか言いようがない…。

父上の側近達が父上を囲み移動。
多分執務室の方に向かわれたのだろう。
きちんとした場所で全ての情報を集めて指示を出す必要性があるから…。

父上にはこの計画に対して報告は事前にはしていたが…
思った以上に早く片付いたと思う。

怪我人の手当てや瓦礫の撤去などの指示を出しながら…
気がつけば朝日が登ろうとしていたんだ。
新しい時代の夜明けだ…。

母上が居られる神殿の方に不思議な光も感じ取られて…。

「殿下、失礼致します。この場から逃れた枢機卿及び魔塔の者達も捕らえました。枢機卿は教皇様が先ほど聖騎士達と一緒に来られましたので、少し早いですが予定通りに引き渡しました。魔塔の者も魔力封じの手枷を使用して…ただ、魔塔主とあの例のモノに携わった者達は全て精霊王の裁きが落ちて…。」
「闇に葬られたか…。」
「はい。ただ証拠品として幾つかは残してくださっています。上位精霊が数名残られて…裁きの証拠として使用した後封印して今後使用しないようにと…確認できるまでは滞在されるそうです。」
「滞在できる状態にはなったという事か…。」

「フィンレイ侯爵家の騎士達も一緒に交戦してくださったおかげで早く収集がつきましたが…。」
「そこは…父上には申し訳ないが交渉していただこう。この国が犯した罪だ。どこまで搾取されるのが抑えられるか…。」
「後、王女殿下を神殿の方で捕らえました。これで予定者全て捕獲完了です。」

フィンレイ侯爵家に大きな貸しができてしまった。
迷惑料も必要となるだろう…。

新国王のもと、国を断ち直させれるきっかけに役立ってくれたが…。

後はあの地に…。

「私は神殿の方を確認して来る。ここは予定通りに。」
「了解いたしました。」

それだけ言って、数名を連れて急ぎ神殿に向かったんだ。
これだけの騒ぎになったが、城内は思ったよりも被害は少なく済んだようだ。
もっと破壊と殺戮が行われると思ったが、思った以上のスケットのお陰か…。

今は目の前に事に専念しようと思考を切り替えたんだ。


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