兄様達の愛が止まりません!

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青銅の鏡

未来視

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目の前に見えるのは、そうだ…彼だ。
私とエル兄様、アシュ兄様とギル。そしてジュディと一緒に立っているのは吹雪や暴風、周辺を氷で閉ざされた神殿内入り口付近。そこから一緒にさらに奥に方に向かうと…「よく来たね。待っていたよ。」といって笑顔を見せるジュノーの姿が見えたんだ。
ただ、目の前のジュノーの姿が少し薄らと透けかけて見える。

「僕の力も、もうわずかだったから…来てくれて助かった。こっちだ…。」

ジュディがそんな彼の側に駆け寄って抱きしめようとしたが…。
スカっと伸ばされた腕や、抱きしめようと駆け寄る身体は空を切るように…。

「なっ、なんで…。」
「元々思念体だったからね。魔力がつきかけているから…触れる事は出来ないんだ。ごめんね…。」

ジュノーはそう言って悲しそうに微笑んだ。
だが直ぐに表情を戻して…。

「時間がもう余りない。」

直ぐにそう言って、踵を返して奥に案内するように進んで行ったんだ。
そして目的地につくと…。

氷の柱があった場所は溶けてしまい、青銅の鏡を抱き抱えて崩れ落ちるように倒れ込んでいるのは…。

「僕の肉体は、残念だけどもう少ししたら崩れ去る。そうなると新たな贄となる者がここに転移させられてくるんだ。それが誰だか君達は知っているだろう?僕の身体が完全に消え去る前に…」

それだけ言うと、思念体であるジュノーは本体であるジュノーに覆い被さるように…
一瞬呆然としたジュディはジュノーの身体を抱きしめようとして側に駆け寄ったんだ。
重なるジュノーの思念体はジュノーの本体の方に溶け込むように消えた…。

ジュディ何も言わずに肩を振るわせながら抱きしめたまま…。

泣いている…。

それだけは理解できた…。

すると、ジュノーが抱き込んでいた青銅の鏡は滑り落ちるように落ちていき、そこから壁の方に光が伸びて映し出されるのは…
私達が住んでいるフィンレイ侯爵家の屋敷。
そして、私達の妹であるアイの身体が光に包まれてベッドから浮かび上がりそうに…。

思わず唖然としてしまう。
エル兄様が「まずい!!」と呟き、ジュディから預かった双剣を取り出していたんです。

ジュディはここに着く前に双剣をエル兄様に渡していたのを私は知っていたし、実際にその場面も未来視で見ていたから知っていた。
その事はギルには伝えている。
特にそれだけでは問題にならないだろうと判断して、アシュ兄様には伝えているみたいだけれどエル兄様には教えていなかったんだ。

もしかしたら、レイナ様から頂いた物に書き記しているかもしれないけれど…。

そして、ジュノーの身体から離れた青銅の鏡に向けて、エル兄様は躊躇いもなく双剣を突き刺したんだ。

本来であれば剣先が折れたりして壊れるだろうが、握りしめて突き刺す時にエル兄様の身体が光った。
エル兄様の魔力を注いでの行為のせい?それともエル兄様魔力を吸い取られている?
そこの所はよくわからないが…。
この場面は私は見ていなかったから驚いた。

樹を植えていく時も魔力を使うんだ。
私がサポートしないといけないと直ぐに駆け寄って行った。

目の前で見えているのは、最初は聖剣の方が青銅の鏡に飲み込まれそうになっていたが、途中で青銅の鏡がパリンと割れたんです。
映し出された映像はぶちんと音を立てるように切れた途端、伸びた光も消える…。

最後の方で見えたのは、一瞬ベッドから浮かび上がったアイの身体がゆっくりとベッドに戻った姿だった。
それだけで、アイがジュノーの代替えとしてこっちに強制転移させられる事はないだろうと理解した…。

ですが…。

そう、エル兄様はまだもう一つの必要な事を、今時点でできていなかったんです。

「エル兄様!!」

私はそう叫びながら駆け寄り、エル兄様の身体を急いで抱きしめて…

すると私達二人はは光の壁の中に閉じ込められたんです。
いえ、正確には二人だけではなかった…。

向こうでギルとアシュ兄様が叫びながらこっちに来ようとするが、光の壁に遮られたせいかただ壁を叩いたり、魔力をぶつけたりしているのが見えるだけ…。

私は必死でエル兄様の身体を支えていた。
エル兄様の魔力はかなり双剣の方に奪われているようだった…。

「エド…エドワルド。僕の友人であり…………」

いつの間にか私達の側にやって来たジュノー。
ジュノーを抱き込んでいたはずのジュディも、今は光の壁から押しやられるように弾かれたのか、向こう側に…。

「君達が……になってはいけないよ。持っているだろう?アレを…」

何故か上手く聞き取れる事ができない。
ノイズが入るように邪魔されている…。
何を言っているんだろうか?
重要な事だと思うのに…。

すると彼がエル兄様と私を支えて促すようにし、エル兄様は促されたままアイテムバッグから我が家から持って来たモノを取り出して、地面に挿したんだ。

神殿の床は石でできたタイルを敷き詰めているのだろうけれど、何故かそこには少しだけ地面が見えていた。
ジュノーが最後の力を振り絞ったのか、もしくは偶然か?
神のご意志か…。

砕けた鏡ごと双剣が突き刺さっている直ぐ側。そこにジュノーの手助けを受けながらエル兄様はそれを挿して…。
魔力を注ぎ込む。

エル兄様の魔力はこれ以上減れば枯渇して最悪死に至る。
そんな事許せるはずがありません。
私はエル兄様を抱きしめながらサポートするように魔力を譲渡していく…。
いざという時はポーションだってお腹がタプタプいうぐらい飲んでも助けます!

すると私達の住んでいる屋敷にあるように、エル兄様が挿した枝はグングンと伸びていき、しかも双剣をのみ込むように成長していった。

ある程度大きく育つとパーンと一気に光り輝き出して…。
光が周囲を飲み込むように満ちたんだ…。


そこで場面が切り替わった。

いきなり見えたのは、神殿内でもなく、訪れている国でも、自国でもない。
広い大地ではあるけれど…。

そして、エル兄様は今まで見たことも出会った事もないモノに囲まれていました。
私の姿は勿論、ギルやアシュ兄様、屋敷の者達も精霊や妖精達も見えなかった。
見えるのは、エル兄様と知らない捕らえられている人達。
そして、捕らえた側のどう見ても悪人と、それを襲う魔物や魔獣。
そして…

屋敷や学園で本の挿絵などでしか見た事もない『竜』。

エル兄様の前世の知識では、その世界には存在しない架空のもので、『西洋の竜』『神社とかに描かれた龍』というものです。後、前世の兄様が『水族館』と呼ばれる場所で見た『タツノオトシゴ』ですか?
見たのは海洋生物とか書かれていた場所だったと思いますが…。それでもあの時見えた生物よりもかなり大きいです。

そんな竜達が周りの魔物や魔獣を抑え込んでくれて…しかも怪しい男達も抑え込んでくれているようにも見えている。
エル兄様は…なんで檻の中?
鉄格子の箱の中と言っても良いのだろうか?

同じような檻の中に閉じ込められている人や獣人…。
子供や大人達も見えました…。
首には怪しい魔道具が…。
アレは他国で使用されている奴隷用の首輪だったはず…。
どうしてエル兄様が奴隷にされているのでしょうか??

「せっかく危険を犯してまで貴重な奴隷を手に入れたっていうのに、くそう!!」
「オヤジ、命あってだ。とにかく逃げよう!!」
「おい、その商品だけでも連れて…」
「そんな暇ねえよ!竜人族が出てきたんだ。奴らが魔獣や魔物とおっ始めている今逃げないと、やばい!!」

そい言いながら、エル兄様がいる檻と他の檻を開けて引き摺り出そうとしていた男達を止めて逃げるように転移して行ったんです。

エル兄様達は檻の中であるから、それ以上は逃げ隠れもできない。
檻の周辺に魔獣達の肉片や血飛沫が飛んで、壮絶な状況下…。

他の檻に閉じ込められた者達はガタガタと震えたり、悲鳴をあげたり、気絶して倒れ込む者もいるようです。
私も一瞬ふぅ~ってなりそうでしたが、これは未来視、私のスキルが発動したのだろう。なら見て知らないといけない。エル兄様にこんな未来を…
させるわけにはいきません!

見守る中、エル兄様は可哀想なぐらいにガタガタ震えながらも、惨劇のような状態を見つめていた…。

そして全ての魔物達が鎮圧されると、竜であったモノが人の姿に変わって…。
檻の鍵を力任せに破壊して…。

そこで目の前が霧に覆われたように霞んだんです。
さらに何かに引きずられるように目の前が真っ白に………

「レイン、レイン大丈夫か?」

薄らと目を開けると、目の前には心配そうに見つめるギルの姿が見えた。

「えっと…」
「レインのスキルが発動したんだ。未来視だよ…どんな未来視を見たのかはわかっている。一つは実際に起こるだろうが、もう一つはそうはさい。私達が全力で阻止するから大丈夫だ。」

そうか…やっぱり私ののスキルが発動したんですね。
そうなると、あの時側に双子の兄であるエル兄様もいたから、きっとまた引きずられるようにリンクしたと思う。
ギルやアシュ兄様は知らない方法で私達が見た事を知る事ができるから、ギルはそれを使って知ったのだろう。
だとしたら、きっとアシュ兄様も知ったと思う。

私が見る未来視は、未来であるからか、いくつか選択肢があると思う。
どれを選ぶかで未来は変わる。
実際に同じ事が起こる場合と、上手く得た情報を利用して阻止できた事も今までに幾度もあったし…。

あの神殿内であの聖剣と、我が家にあるあの樹の力でジュノーの替わりは成功できると思う。
少し危機一髪感はあったけれど…。

もう一つは、どのような経緯でエル兄様があの状態になったのかはわからないけれど、でも絶対に阻止したい。
エル兄様があのような状況下に置かれるのは絶対に嫌。

檻の中に閉じ込められていたあの映像を思い出して身震いする。
ギルが考え事をして身震いする私を腕の中に抱き込んで、額や頬、瞼に唇を落としていく…。

ギルの優しい魔力に包み込まれて…。
私は安心してか、また夢の世界に落ちて行ったんだ…。
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