オメガ転生。

学園生活

そんな事が

朝から散々精神的に削られて、ぐったりしてしまった。
そう、原因は横で嬉しそうに微笑んでいるこの男のせいだ。

「翔、ほら、あ～ん」

そう言って口元にみずみずしく、甘い香りがする桃を食べさせようとしてくる。
桃は好きだよ。
甘くて、ジューシーで…
1人で食べさせてくれるなら、喜んで食べるんだけど…

「1人で食べれます」
「ダメですよ。妖は番いの世話をするのも大好きなんですから、それに…」

あまりにも口元を突いてくるから、汁が滴れるのも…
ぱくんと食いつき、咀嚼する。
口角からわずかに流れて…って、舐めとられた～～～～

「うん。美味しいですね。ほら、もう一つ」

思わず顔を赤面させてしまう。
この人、自分の美貌がわかっているんだろうか…

また舐めとられたら嫌だから、もう少し大きく口を開けて食いついた。
うん、これなら大丈夫だろう…って、ちょっと…

唇が重なり、割り開かされ、咀嚼していた桃を奪い取られた。

「うん。本当に美味しいですね…はぁ、野暮だ…」
「？？？」

雅貴さんがそう呟くと同時にドアをノックする音が響いた。「入れ」と命じて入室を許可すると、1人の執事が入ってきた。

「お楽しみの所申し訳ありません。閣下に至急の来客が来られています」
「もう少し待たせて…」
「皇帝陛下からですから、これ以上は私では難しいです」

えっ？それって、どのくらいか前に来られてて、待たせてるって事？
ダメじゃないか…

「雅貴さん、ほら、お客さまを待たせたらダメですよ。しかも皇帝陛下からならなおさらだ！」

「はぁ…………仕方ないですね。もっと翔を堪能したかったのに…」

スクッと立ち上がり、残念そうに僕の頬を撫でて、リップ音をわざとさせて頬に唇をよせられた。

「行ってきます。まだ食べれそうなら食べてくださいね。その後は少し休むように…」

あの空間に閉じ込められ、どんな力が発揮されていたのか、僕自身かなり体力も気力も削がれていたようだ。
少しやつれてしまったと、雅貴さんはとにかく過保護になってしまっているように感じる。
朝の行為は…ちょっと違うような気もするが…嫌ではなかった…
それは、オメガであるせいなのかも知れないけれど…

「翔様、少しお休みください」

そう言って、側にいた侍従に促され、ベットにはいり、休んだ。
シーツは綺麗に変えられている。
いつのまに…というか、恥ずかしい…