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驚きは急にやってくる
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「うん。まぁ~そんな感じだ。」
父の返答は歯切れが少し悪い。
母への執着を、子ども達がどう思っているのか考えて、恥ずかしいのだろうけど、多分その行為は変わらないんだろうが…
「カル。私に君の魔力を流してもらえるかい?」
そう言って、ジャディールがもう片方の手も握ってきた。
相手に魔力を流す場合、両手を相手の身体の何処かに触れさす必要があるからだ。
でも、そんなに握りしめる必要はないと思うんだけど…
「さぁ」
そう促され、言われるまま僕の魔力を少しづつ増やしながら流していく。
ひょっと不快に思われたら、すぐに止める必要があるからだ。
いきなり多く流して『痛い』とか、『気持ち悪い』と強く感じるのは嫌だろうし…
僕なら嫌だ。
「うん。やっぱりカルの魔力は気持ち良い。(食べてしまいたいほど)」
ん?何やら副音声が聴こえてきたような…気のせいだよね?
「『ヒト族』の魔力は、他種族に対して適応してると聞きますから、そのせいだと思いますよ?」
「そうだね。でも、誰のよりも心地良いし、君から漂ってくる香りも良い匂いだ…。うん。(全てを食べ尽くしたいぐらい)」
そう言って堪能している感じだ。また何やら不穏な声が聴こえてきた?
その後、一呼吸して…
「今度は私のを流すね」
そう言うと、僕の魔力を押し返し、殿下の魔力が僕の中に流れ込んできた。
優しく染み渡る感じで…
「あっ…」
思わず吐息の様な変な声が出た。
普通は痛みや気分不快が出るはずだ。
強いか弱いかはあるけれど…
手加減もしてくれるだろうけど…
でも、そんな感じは全然ない。
良い匂いがする。何の匂いだろうか…
嗅いだことがある匂いだけど、今はただボ~ッとしてしまい、頭の中が真っ白に染まる。
気持ち良い………
身体がふわふわしてきた。
さらに抱きしめられる感じがする。
そして、唇に柔らかく、温かいモノが触れながら、衣服の緩みを感じる。
首筋を辿り、ねっとりとしたものを感じて…
「イッ…」
チクッとした感じから、グッと入り込む感じがする。まるで貪られる…喰われる感じだ…
でも、恐怖はない…それに、思ったほど痛みは襲いかかってこなかった。
何かが身体の中に流れ込んで、そこから拡がる…
熱が……そして、強く心地よい香りに包まれる…
何なんだこれ??
そして、またねっとりとした感じがした。
「あ~あっ、ジャディール。やりすぎだ。そこまで…」
「ふん。お前にそんな事言われたくない。自分だってあの時、有無も言わさず膝の上に乗せて抱き込んで、今の俺が行った事と同じ事をしただろうが…あの時は理解しかねたが、今ならわかるよ。コレは私のモノだ。誰にも傷つけさせないし、渡さない。逃しもしないが…あぁ…もうしっかり私の『刻印』がついた。あの時はただマーキングしただけだったからな…」
「おい、俺の場合はそこまでしてない。俺の大事な息子に『刻印』までつけやがって!」
「ふん!どれだけ待ったと思う。この前奪われかけたんだ。マーキングで何とか対応したが、何やら別の力も…それより、あの件はどうなったんだ?こっちの調べたのは伝えただろ?あの件は情報共有のはずだが!」
「あぁ、わかっている。あの件は…まだ十分な進展はしていないが、後でまた伝える。それよりも…」
「一時的なものだ。数時間で治る。だから、少し休ませてくる。」
そう言って、優しく撫でられた。
抱きしめられている感覚もある。
でも、会話は聞こえるが、ぼーっとしていて、考えが…
「そうだ。私のモノだ…誰にも渡さない…」
そっと抱き上げられ、まるで自分の屋敷のように、僕を抱き込んだまま、誰にも触れさせないように抱きしめ連れて行かれた。
ドアが閉まる前に聞こえた父の声。
「私の時もそうだったが…まぁ…何とも言えないなぁ…すまん」
そう呟く部屋の父を残して…
父の返答は歯切れが少し悪い。
母への執着を、子ども達がどう思っているのか考えて、恥ずかしいのだろうけど、多分その行為は変わらないんだろうが…
「カル。私に君の魔力を流してもらえるかい?」
そう言って、ジャディールがもう片方の手も握ってきた。
相手に魔力を流す場合、両手を相手の身体の何処かに触れさす必要があるからだ。
でも、そんなに握りしめる必要はないと思うんだけど…
「さぁ」
そう促され、言われるまま僕の魔力を少しづつ増やしながら流していく。
ひょっと不快に思われたら、すぐに止める必要があるからだ。
いきなり多く流して『痛い』とか、『気持ち悪い』と強く感じるのは嫌だろうし…
僕なら嫌だ。
「うん。やっぱりカルの魔力は気持ち良い。(食べてしまいたいほど)」
ん?何やら副音声が聴こえてきたような…気のせいだよね?
「『ヒト族』の魔力は、他種族に対して適応してると聞きますから、そのせいだと思いますよ?」
「そうだね。でも、誰のよりも心地良いし、君から漂ってくる香りも良い匂いだ…。うん。(全てを食べ尽くしたいぐらい)」
そう言って堪能している感じだ。また何やら不穏な声が聴こえてきた?
その後、一呼吸して…
「今度は私のを流すね」
そう言うと、僕の魔力を押し返し、殿下の魔力が僕の中に流れ込んできた。
優しく染み渡る感じで…
「あっ…」
思わず吐息の様な変な声が出た。
普通は痛みや気分不快が出るはずだ。
強いか弱いかはあるけれど…
手加減もしてくれるだろうけど…
でも、そんな感じは全然ない。
良い匂いがする。何の匂いだろうか…
嗅いだことがある匂いだけど、今はただボ~ッとしてしまい、頭の中が真っ白に染まる。
気持ち良い………
身体がふわふわしてきた。
さらに抱きしめられる感じがする。
そして、唇に柔らかく、温かいモノが触れながら、衣服の緩みを感じる。
首筋を辿り、ねっとりとしたものを感じて…
「イッ…」
チクッとした感じから、グッと入り込む感じがする。まるで貪られる…喰われる感じだ…
でも、恐怖はない…それに、思ったほど痛みは襲いかかってこなかった。
何かが身体の中に流れ込んで、そこから拡がる…
熱が……そして、強く心地よい香りに包まれる…
何なんだこれ??
そして、またねっとりとした感じがした。
「あ~あっ、ジャディール。やりすぎだ。そこまで…」
「ふん。お前にそんな事言われたくない。自分だってあの時、有無も言わさず膝の上に乗せて抱き込んで、今の俺が行った事と同じ事をしただろうが…あの時は理解しかねたが、今ならわかるよ。コレは私のモノだ。誰にも傷つけさせないし、渡さない。逃しもしないが…あぁ…もうしっかり私の『刻印』がついた。あの時はただマーキングしただけだったからな…」
「おい、俺の場合はそこまでしてない。俺の大事な息子に『刻印』までつけやがって!」
「ふん!どれだけ待ったと思う。この前奪われかけたんだ。マーキングで何とか対応したが、何やら別の力も…それより、あの件はどうなったんだ?こっちの調べたのは伝えただろ?あの件は情報共有のはずだが!」
「あぁ、わかっている。あの件は…まだ十分な進展はしていないが、後でまた伝える。それよりも…」
「一時的なものだ。数時間で治る。だから、少し休ませてくる。」
そう言って、優しく撫でられた。
抱きしめられている感覚もある。
でも、会話は聞こえるが、ぼーっとしていて、考えが…
「そうだ。私のモノだ…誰にも渡さない…」
そっと抱き上げられ、まるで自分の屋敷のように、僕を抱き込んだまま、誰にも触れさせないように抱きしめ連れて行かれた。
ドアが閉まる前に聞こえた父の声。
「私の時もそうだったが…まぁ…何とも言えないなぁ…すまん」
そう呟く部屋の父を残して…
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