竜の国のご都合主義?

文字の大きさ
58 / 269
アカデミー

アカデミー生活開始です。(レイナルド)

しおりを挟む
いつも通りの日常に、時々伝わる弟の情報。
やっと出逢えた可愛い弟の愛しい『番』と接する事が出来ると喜んでいた。
あの子の『番』が幼すぎて、直ぐには側にいてやれない、接する事の制限があることにもどかしく、不便に思っていた。後もう少しで…そんな時に飛び込んできた情報。
我が子達の事も大切であるが、歳の離れた弟の大切な『番』を狙っての犯行。

阻止は出来たようだが、また狙ってくる事はわかっていた。
過去の…そう、あの時も色々と手を…

人としてどうかと思う犯罪行為を平気で行う者達。
しかも、同じ理由で行うのは…どんだけ執着しているんだ!!

まぁ、それらも踏まえ、情報を集めながら、護衛対象もしっかりと指示を出しておいた。
出していたが、その護衛対象自体も問題を起こしているようだ。
もう、親子で問題を起こすって?
本人達は悪くは無いよ。
ただ、狙われるよね。
はぁ…………

それ以外にも、この国、この世界で問題が起こりかけている。
過去の問題とよく似た現象。
少し起こるのが早い気もするが…

報告書を眺めながら、対策を捻り出している時に、弟から連絡が来た。
念話だ。
すぐさま段取りをして、了承を伝える。

「あの子の好きな菓子と、そう、あの茶葉。あとは、夕食と、ついでに仕事も頼んで滞在時間を引き伸ばそう」
「相変わらずだな」

側に控えているレイルが呆れたように口を挟んだ。

「そういうお前だって、あの子の執務室に連絡を入れているじゃないか」
「使える者は使う主義なので」
「そう言いながら、今頼んだのは何だよ。あの子の執務室に茶葉と菓子の指定とかもしてたの聞こえたぞ」

レイルがポケットから数枚の魔法陣を出して指示を飛ばしている。
各部署の責任者に飛ばしてるのはわかっているけどね…
あの子がこの城から辞して、与えられた領地に篭ったのは数十年前。
城の者達は残念がっていたが、理由がわかっているから、しばらくはと我慢していた。

もう、この城を拠点に執務してもいいんじゃないかな?
その方が利便性もいいしさ。
竜体になれば、領地にも直ぐに行けるんだし…
あっと、その逆もされるかも…
まぁ、その件も今後の課題としておこうか…


そろそろ…着いたようだ。
気配を感じながら待ち侘びる。
そして、入ってくる弟に声をかけた。

「来たか。待っていたよ」

そう言って、いつも通りを意識する。
弟は昔と変わりない。
見た目が二十代前後だがな。姿は関係ない。

歳が離れているから、結構可愛がってきた。
というか、可愛いのだ。
自分の後ろについてまわっていた時も、膝に乗せたり、肩車だってしてやっていた。
それ以外にも色々と…

従来、他国の皇族や王族は、継承権とかで周りが揉めたり、兄弟の間でも揉めたりと良く聞く。だが我ら種族、『竜人族』の場合はそういう揉め事がほとんどない。絶対とは言い切れないが、『番』の事もあるし、種族がら子供ができにくいのもある。私の場合は例外だった。他にも例外はいるな…
よって、親族愛もすさまじい。『身内に優しく外に厳しい』感じでな。

「お久しぶりです。急な訪問を許可していただ…」

バンと思いっきり背中を叩いて、ぎゅーって抱きしめた。
声もやっぱり本物が良い。吹き込みとか念話とかでなく、直ぐ側で聴こえるのが…
そして、この…

「ディよ。兄にそのように…冷たいではないか?」

ゆっくりと離しながら、おい!レイル!それで私を叩こうとしないでくれ。
持っているポットの中、湯が入ってるだろ?
近くに置いている書類が濡れたら…後で他の者達に怒られる。
叩くのも勿論ダメだからな!!

「レイナルド様、ジャディール様とお会いできて嬉しいのはわかりますが、落ち着ください」

コイツは幼馴染で学友。親友でもあるレイル。
王族であるから、護衛兼筆頭執事のコイツがいつも側にいる。
コイツも弟を可愛がっていたのは知っているが…
私の扱いひどくないか?
王様なんだけど、とりあえず…

『ほらほら、さっさと座る』って、どんだけだ。

まぁ、コイツでなければ許さないんだけどな…

「ジャディール様もお座りください」

そう言って、茶菓子も準備し出した。
うん、それは弟の好物だったお菓子だな。
幼少時代の…
今も好物なのは知っている。

促され、素直に私の向かい側に弟が腰掛ける。
その背後の壁側には、彼の執事が立っている。
弟信者と言っても良い男だ。

「お前の好きだった物を準備しているから、まぁ食べなさい。で、」

私は座って前に置かれたカップを取り、一口を飲んだ後、『どうした?』聞いてみた。

目が細まり、一瞬独特の雰囲気を醸しだしてしまっているだろう。
全てをきちんと話しなさいって感じでだ。

今現在わかっている範囲だけと前置きして、弟が説明していく。

「なるほどね…」

指で顎を支える。真剣に思案している癖だ。
内容が内容だしな。
弟の大切な者に関しての…

「で、お前はどうしたい?私はお前もだが、その者も全力で守り護るよ。私の家族であり、守り護るべき国民だからね。私個人として自分の持てるもの全てでだ。まぁ、その子自身、かなり特別な者でもあるしね。」

脚を組み替えし、さらに

「あぁ、間違えないようにね。国のために酷使するつもりは全然ないよ。必要もない。子供に全てを負わせるようなことはあり得ないからね。この世界でもだ。あのバカ達以外は」

そう、その者の能力が例え国の利益だとしても、利用する気はない。
そんな事しなくても、私が、私達がキチンとどうにかする。
そんなの当たり前だ!と、私は考えてるんだがね。
この城の者達も同じ考えのはずだ。
だが、利用しようと考える者もいるのは事実だ。
それだけの価値は十分にあるのだから…

「兄上…」
「早速あの国に連絡を入れるようにしよう。レイル頼んだよ」
「はい、お任せください」

あの国を巻き込もう。
あの国も大いに関係してるのだから、きっと喜んで絡んでくるはずだ。


「それにしても、『英霊召喚』と、『精霊王と妖精王召喚』ね。アカデミーでの授業で召喚したのは『アイリーナ』か、緑の妖精王だったか?すごいね私の義理の弟となる者は。授業の召喚の儀式で呼び出した?どれだけの魔力と精霊や妖精に愛されし者なんだろうね。しかも、日頃は可愛い手のひらサイズの妖精の姿でそばにって、可愛すぎるだろうね。くっ…ふふふふっ」

「あの子が可愛いのも、素晴らしいのも私にとっては当たり前の事ではありますが」

弟が嫉妬で拗ねている。
良いものを見せてもらっている。
これだけでも、頑張る気が起きる。

「ぷっ…ハハハっ…もうしっかり骨抜きだね。あのディが。」

バンバン机を叩いてしまう。
『そこまで笑う必要はないだろう。真剣に悩んでいるんだから!!』みたいに思っているのだろう。
この辺りは、幼少時と変わらない。
可愛いな…

「兄上!」
「レイナルド様、笑いすぎですよ」

おっと、やりすぎた。レイルがおい、それは武器だからな。十分武器だ。
トレーで叩こうとしないで。
そして、生暖かい目で見ないでくれ…

「すまんすまん。まぁ、これは種族の特性とも言えるし、我ら一族の特性かもな。うん。私もそうだった。なぁ、レイル」
「そうですね。大変でしたね。後でお教えしますね」
「いゃ、教えるのはやめてくれ、私の黒歴史を弟には…」

やばい。私の過去を弟にバラさないでくれ…
確かに色々とやらかしたよ。
でも、弟の前ではカッコよくしたいから、辞めてくれ~~~

流れが変な方向に向かいそうになり、修正をっと…そうだ!

「ディ。アイリーナの件もだが、その他、そう、あの者達の事はディール帝国にも協力してもらおうと思う。あの女帝ならこちらの要請に協力的になるはずだ。理由は…わかるだろ?」
「例の事ですね」
「そうだ。その事もあり、協力は絶対だ。だから大丈夫。この際あの愚かな者達には…な?」
「はい。そう願います」
「それに、もう一つの問題が浮上してきた。これも厄介なんだが、もちろん協力してくれるよな」
「それは勿論です。愛しい者と住むこの世界に関係しますから」
「なら良し。その時は要請する」

前の『聖女』の件がある。しかもだ…
他にも問題が浮上しているんだ。

『よし!』と掛け声と同時にパンと大きな響くように手を叩き、展開していた魔法陣を解除した。

「今日は泊まって行くだろ?ぜひ泊まっていけ。決定だ。夕食はお前の好物を準備させているからな。お前の部屋もそのままだ。ついでに仕事もしていけよ。お前の執務室もそのままにしているし、今頃書類も積まれてるだろうしな」
「兄上?」

「頼んだぞ。では後で」

そう言って、もうこの話は一旦終わりだと告げた。

『それより仕事ってどういう事だ?俺のここでの仕事は無いはずなのに…』みたいに考えてるな。
大丈夫。しっかり準備はしてある。
特にレイルがな。
あの問題のも書類で紛れ込ませているだろうから、嫌でも…

廊下で待つ文官達に囲まれて、連れて行かれたようだ。
部屋は…昔のままに、いつでも仕事ができるようにって、整えているんだ。
命じなくても、あの子を慕っている部下達が率先して…

さて、では次か…

国同士の緊急連絡などで使う魔法具を準備させる。
さて、やりますか…

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

いきなり有能になった俺の主人は、人生を何度も繰り返しているらしい

一花みえる
BL
ベルリアンの次期当主、ノア・セシル・キャンベルの従者ジョシュアは頭を抱えていた。自堕落でわがままだったノアがいきなり有能になってしまった。なんでも「この世界を繰り返している」らしい。ついに気が狂ったかと思ったけど、なぜか事態はノアの言葉通りに進んでいって……?

【Amazonベストセラー入りしました】僕の処刑はいつですか?欲しがり義弟に王位を追われ身代わりの花嫁になったら溺愛王が待っていました。

美咲アリス
BL
「国王陛下!僕は偽者の花嫁です!どうぞ、どうぞ僕を、処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(笑)」意地悪な義母の策略で義弟の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王子のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?(Amazonベストセラー入りしました。1位。1/24,2024)

侯爵様の愛人ですが、その息子にも愛されてます

muku
BL
魔術師フィアリスは、地底の迷宮から湧き続ける魔物を倒す使命を担っているリトスロード侯爵家に雇われている。 仕事は魔物の駆除と、侯爵家三男エヴァンの家庭教師。 成人したエヴァンから突然恋心を告げられたフィアリスは、大いに戸惑うことになる。 何故ならフィアリスは、エヴァンの父とただならぬ関係にあったのだった。 汚れた自分には愛される価値がないと思いこむ美しい魔術師の青年と、そんな師を一心に愛し続ける弟子の物語。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結】僕の大事な魔王様

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。 「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」 魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。 俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/11……完結 2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位 2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位 2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位 2023/09/21……連載開始

処理中です...