番になんてなりたくない！

学園生活

目を離すのではなかった(クロ)

学園内では、従者は自由に動けない。
学生の領分だからだ。
寮内なら自由に動けるのだが……

学園内の侍従専用待機場所(個々に部屋をもらっているのだが)でウィルを待っていた。
もう少ししたら、お茶の準備をしたら良いだろうと考えて……

その時、ふと嫌な予感がした。
予感は意外と当たる。

気になり、学園に許可をもらいウィルを探す。
いそうなところ全て。
学友にも尋ねたが、知らないとのことだった。
ただ、気になるのは、クラスは違うが、ウィルとリリィが要注意していた学生が授業をすっぽかしていた。
1人を残してだ。

ウィルとリリィいわく、『ヒロイン』だというマリアンヌ男爵令嬢。金色の髪、可愛らしい相貌で、いつも数名の男子生徒を引き連れていたのを見かけたことがある。
隣国の皇太子シュバイツ様と、騎士団長の息子アルテッツァ様。
そして、教皇子息ローレンス様か。

マリアンヌ令嬢から、怪しい魔力を感じたから、密かにシロさんに相談して、防御アイテムを作ってもらった。
ある程度な自分自身でどうにでもなるが、万が一のこともある。

ウィルの髪と瞳の色を模して作ったピアス。
これに特殊魔力を練り込んだ。

彼女はたぶん、魅惑の魔力の持ち主だろう。
あの3人が、まるで薬漬けの人間のように、彼女を崇拝し、彼女の希望を叶えていた。

そんな彼女が、ウィルとリリィがお茶を楽しんでいるときに、側に来て、自分のための席のように行動しようとした。
ウィルとリリィが嫌がっているのがわかったので、気分を害さないように、そっとお断りをした。
それからも、色々と近づいてきたが、上手くかわしていったのに……

もしかしたら、強硬手段に出たのか！？

あのマリアンヌ令嬢が3人に頼んで、拉致した可能性がある。
犬を呼ぶ。
3人と、マリアンヌ令嬢の関係する場所、拘束できそうで、人目につかない場所を重点にウィルを見つけ出すように。
勿論、自分自身の情報網も使う。

ウィルに何かしたら、タダではおかない。
いくら高貴の身の上だろうが、関係ない。

私にとっては、ウィルが全て。
ウィルの望み希望をを叶え、守り、尽くす。

ウィル。どこにいる。無事でいてくれ！！

今まで隠していた魔力を全開にし、ウィルを探す。
どんな些細な物でも構わない。
絶対に見つけ出す！！