鬼の華

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ちょっとした…

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「大丈夫か?」
「泣かないで……」

そう言いながら、抱きしめられる。
何故泣いていた事がわかったのだろう?

「妖の場合、『番』の心情はなんとなく伝わるんだ。嬉しそうだ……とか、悲しそうだとか」
「どんなに離れていてもね。直ぐに駆けつけてあげたくなる。そういうものだよ。両親が亡くなった時は、国外にいて直ぐに行けなかったけど……ごめんね。」

そう話しながら、頭や背中をさすられ、あやされる。
両頬に伝う涙を2人の唇で受け止められた時には驚いた。

涙が引っ込みました。
甘いです。逆にドキドキしてきます。

「これからは、側にいる。2人で側に入れなくても、必ずどちらかが側にいるから、安心して。」

それはそれで、困る。

「そこまでしてもらわなくても……」
「いや、僕達が離れたくないんだ。ごめんね。」

そう言われてしまえば、どう返答したら良いのかわからない。

「ん?これは、君の母親が作った物?」

鞄の中に入っている匂い袋を取り出される。
母の趣味と実益を兼ねて作られた物。
今では思い出の品。

「そう。お守り代わりにもなるし、心が落ち着くからって……あと、笑いながら虫除けとか言ってたなぁ……」
「お香の調香の時に、入れる物に、そういう効果がある物があるからね。」
「綾乃も作ったりした?」
「少しだけ、一緒に作った事がある。と言っても、母が言う順番と量を入れて混ぜるだけだったけど……」

幼少時、姉と一緒に作った。
小さな少し深めの紙皿に、母が準備してくれた物を、スプーンにすくって測りながら混ぜていった。
スプーン一杯とか、半分とか……
時には測りにのせながらもあった。

同じレシピなのに、微妙に香りが違って、姉と交換してもらったこともある。
懐かしいなぁ………

「綾乃が良ければ僕と作ってみる?」
「えっ?」
「前に渡した物は、僕が作った物なんだ。」
「そうなの?」
「そう、癒しと護りを期待して……虫除けもね。」
「どの虫だろうな……」
「そりゃ~、いろいろだよ。」

2人が納得しあって笑ってる。
いろんな虫って、どんな虫?
服の防虫剤効果と、蚊などの虫除けだろうか?
でも、教えてくれるなら、嬉しい。

「できたら教えて。時間の空いている時でいいから……」

母との思い出と、繋がりができそうで、少し嬉しくなる。

「綾乃は笑った顔が可愛いよ。他の表情も全て可愛いけどね。」
「僕達が守るし、離してあげれないから、側にいて。」

何か、うまく丸め込まれているようだ。
でも、ここまで言われたら、嬉しい気もする。
まだ、心の傷は癒えてない。
なら、少しすがってもいいだろうか……
今は興味本位で2人が側にいてくれているのかも知れない。
いつかは離れるかも……
そんな事を考えていた。

今は流されたい……
そのうち、自分でしっかり立てれるように頑張るから……

そう思いながら、しばらく2人に甘えさせてもらった。
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