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1章 一日目 転入生
1-4 ややいつもどおりな午後の授業
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緑青は妙な期待をしていたようだったが、特に問題なく麗美の校内案内は終わった。
もっとも、麗美の噂を聞いて集まってきたのか、けっこうな人数の生徒がゾロゾロと俺たちのあとを遠巻きに眺めながらついてきていたけれども。
* * *
そして午後の授業がはじまる。
「はーい、それじゃあ悦郎くんはソルフェリーノさんに教科書見せてあげてね。彼女の分、まだ届いてないから」
大幅に遅刻してようやく学校に到着したみどり先生の授業。
科目は英語だったが、みんなはそれよりももっと彼女に聞きたいことがあった。
「先生質問!」
砂川が先陣を切るように手を挙げる。
「はい砂川くん。なにかな?」
「今日はどうして遅刻したんですか!」
「うっ……」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるみどり先生。
もしかすると、俺たちがその理由をもう知っているということを彼女は学年主任から聞いていないのだろうか。
だとするならば、そのまま知らないフリをして続けた方が面白い。
「体調不良ですか? もし気分悪かったら言ってくださいね。俺たち、ちゃんと自習しますから」
砂川の質問に後追いするように、俺も言葉を続けた。
となりから咲がアイコンタクトで『やめなさい』と言ってくるが、こんな面白いことやめられるはずがない。
そんな俺の気配を察したのか、麗美がスッと手を上げ発言した。
「私も聞きたいです。先生」
「俺も!」
「私もー」
まるで堰を切ったように麗美に続くクラスの連中。
楽しそうな笑顔の麗美と対象的に、咲は頭を抱えて困っていた。
そんな俺たちを、ぐふぐふと不気味な笑顔を浮かべながら緑青が見ていた。
「え、えっと……その……」
どう言い訳するか迷っているみどり先生。
その逃げ道を塞ぐように、俺は発言する。
「まさか……学園前駅を乗り過ごしたとかじゃないですよね? 快速電車で」
「うっ!」
百面相のように白黒するみどり先生の顔。
ちゃんとしていると美人なのに、こういうときは実に面白い表情を浮かべてくれる。
そんな彼女で遊ぶように、さらに俺は……。
「もしかして、もしかしてですけど、ドアにスカートを――」
スパーンといい勢いで俺の後頭部が丸めた教科書で叩かれた。
「いてっ!」
やりすぎた俺の言葉を遮った者。それは当然のごとく、プンスカと怒り出した咲だった。
「やりすぎ! えっちゃん!」
普段は言わないようにしている昔の呼び方で、俺を怒る咲。
周りの連中は、ニヤニヤとそんな俺たちを見ていた。
もちろん、その中で一番面白そうにしていたのは緑青である。
「あの……緑青さん?」
「ん? どうかした?」
そんな緑青に、不思議そうに麗美が尋ねていた。
「あの二人……どういう関係なんです? なんだかとても、仲がよさそうです」
「ああ、うん。そこは気になるよね、許嫁としては」
「はい」
「まー、簡単に言うとライバルかな。意外と多いよ、麗美のライバル」
「私の……ライバル?」
「うん」
こうして俺の知らないところで、なにやら麗美にはいろいろと吹き込まれていた。
そんなタイミングで俺はどうしていたかというと、咲に耳を掴まれ連行されて、実はみんな全部知っていたということをみどり先生に白状させられていた。
もちろん、みどり先生もプンスカと怒っていた。
怒った顔もかわいいんだけどな。
年齢の割りに。
もっとも、麗美の噂を聞いて集まってきたのか、けっこうな人数の生徒がゾロゾロと俺たちのあとを遠巻きに眺めながらついてきていたけれども。
* * *
そして午後の授業がはじまる。
「はーい、それじゃあ悦郎くんはソルフェリーノさんに教科書見せてあげてね。彼女の分、まだ届いてないから」
大幅に遅刻してようやく学校に到着したみどり先生の授業。
科目は英語だったが、みんなはそれよりももっと彼女に聞きたいことがあった。
「先生質問!」
砂川が先陣を切るように手を挙げる。
「はい砂川くん。なにかな?」
「今日はどうして遅刻したんですか!」
「うっ……」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるみどり先生。
もしかすると、俺たちがその理由をもう知っているということを彼女は学年主任から聞いていないのだろうか。
だとするならば、そのまま知らないフリをして続けた方が面白い。
「体調不良ですか? もし気分悪かったら言ってくださいね。俺たち、ちゃんと自習しますから」
砂川の質問に後追いするように、俺も言葉を続けた。
となりから咲がアイコンタクトで『やめなさい』と言ってくるが、こんな面白いことやめられるはずがない。
そんな俺の気配を察したのか、麗美がスッと手を上げ発言した。
「私も聞きたいです。先生」
「俺も!」
「私もー」
まるで堰を切ったように麗美に続くクラスの連中。
楽しそうな笑顔の麗美と対象的に、咲は頭を抱えて困っていた。
そんな俺たちを、ぐふぐふと不気味な笑顔を浮かべながら緑青が見ていた。
「え、えっと……その……」
どう言い訳するか迷っているみどり先生。
その逃げ道を塞ぐように、俺は発言する。
「まさか……学園前駅を乗り過ごしたとかじゃないですよね? 快速電車で」
「うっ!」
百面相のように白黒するみどり先生の顔。
ちゃんとしていると美人なのに、こういうときは実に面白い表情を浮かべてくれる。
そんな彼女で遊ぶように、さらに俺は……。
「もしかして、もしかしてですけど、ドアにスカートを――」
スパーンといい勢いで俺の後頭部が丸めた教科書で叩かれた。
「いてっ!」
やりすぎた俺の言葉を遮った者。それは当然のごとく、プンスカと怒り出した咲だった。
「やりすぎ! えっちゃん!」
普段は言わないようにしている昔の呼び方で、俺を怒る咲。
周りの連中は、ニヤニヤとそんな俺たちを見ていた。
もちろん、その中で一番面白そうにしていたのは緑青である。
「あの……緑青さん?」
「ん? どうかした?」
そんな緑青に、不思議そうに麗美が尋ねていた。
「あの二人……どういう関係なんです? なんだかとても、仲がよさそうです」
「ああ、うん。そこは気になるよね、許嫁としては」
「はい」
「まー、簡単に言うとライバルかな。意外と多いよ、麗美のライバル」
「私の……ライバル?」
「うん」
こうして俺の知らないところで、なにやら麗美にはいろいろと吹き込まれていた。
そんなタイミングで俺はどうしていたかというと、咲に耳を掴まれ連行されて、実はみんな全部知っていたということをみどり先生に白状させられていた。
もちろん、みどり先生もプンスカと怒っていた。
怒った顔もかわいいんだけどな。
年齢の割りに。
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