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3章 三日目 特になにもない日
3-1 いつもどおりじゃない朝
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いつものように朝が来た。
窓の外ではチチチと小鳥が鳴いて、枕元ではスマホがピピピピとアラームを鳴らしている。
俺は意識が眠りから覚めていくのを感じながら、ゆっくりとスマホに手を伸ばして画面をタップしようとした。
「ん……反応が……なんだ……」
画面の汚れのせいか指先についた汗のせいか、スマホのアラームが止まらない。
俺はパジャマ代わりのTシャツの袖で指先を拭って、もう一度画面をタップする。
「よし……止まった」
半分以下に落ちていた脳の処理速度が、徐々にいつもどおりのものに戻っていく。
ボサボサの頭をかきながらベッドを降り、カーテンを開けたところでふと昨夜のことを思い出した。
(そうか……咲のところに麗美が泊まったはずなんだよな)
窓の向こうにある咲の部屋。
いつもならもう開け放たれているカーテンは、まだしっかりと閉じられていた。
女の子2人だと、朝はいろいろと忙しいのかもしれない。
(ってことは、まだこっちには来てないのか? でも、その割には……)
階下から人の動く気配が伝わってくる。
いつもならそれはかーちゃんのトレーニングか、朝食の準備をしてくれている咲の気配でほぼ間違いない。
しかし、なんとなく今日のそれは違っているような気がした。
人数が多い感じがする。
おそらくたぶん、黒服の人たちがいるせいでそんな感じがするのだろうとは思う。
もしかすると麗美の朝の準備を手伝う、黒服の人たちの動きなのかもしれない。
それに紛れてしまっているのかもしれないが、たぶん咲のヤツはいつもどおりなんだと思う。
いつもの時間に起きていつものとおりに朝の支度をして、いつものとおりに俺の家に朝食の準備をしに来てくれる。
その証拠に、階段を上って近づいてくる足音がした。
きっといつものように、咲が起こしに来てくれるのだろう。
そうでない可能性は、万に一つもないような気がした。
(もしかしたら麗美だったりして)
ありえないと思いつつ、そんな想像をした。
そう思った途端、寝起きのだらしない格好が急に恥ずかしくなってきてしまった。
いつもどおりの咲なら平気なのに、麗美相手ではそうはいかない。
もしこんなことを考えたりしてることがバレたら、きっと咲にムッとされてしまうだろうが、俺的にはそれは親しみの現れだと思っていた。
(まあ、慣れの問題ってのもあるかもしれないしな)
俺はパジャマから着替えるべくズボンを下ろした。
Tシャツも脱ぎ、下着一枚になったタイミングでコンコンとノックの音が聞こえてきた。
(あ、知ってるこのパターン)
と思ったが、聞こえてきた声は俺の予想とはまったく違っていた。
「悦郎さま。朝食の準備ができました」
扉の向こうから聞こえてきたのは、ダンディな男性の声。
ハッキリと断定はできないが、たぶん是枝さんの声だと思う。
黒服の1人で、俺の見る限りまとめ役のような人。
下の階でどういうやりとりがあったのかはわからないが、俺を起こしに来る役目は是枝さんに割り振られたようだ。
「着替えたらすぐ行きます」
「わかりました。ではお待ちしております」
トントントンと階段を降りていく足音。
いつもとは違って、やけに上品に朝がはじまったような気がした。
とはいえ、微妙にテンションが上がらないのも事実だ。
いつもの咲とのバカみたいなやり取りが、俺の目をしっかりと覚まさせていたことを変なことから再確認してしまった。
窓の外ではチチチと小鳥が鳴いて、枕元ではスマホがピピピピとアラームを鳴らしている。
俺は意識が眠りから覚めていくのを感じながら、ゆっくりとスマホに手を伸ばして画面をタップしようとした。
「ん……反応が……なんだ……」
画面の汚れのせいか指先についた汗のせいか、スマホのアラームが止まらない。
俺はパジャマ代わりのTシャツの袖で指先を拭って、もう一度画面をタップする。
「よし……止まった」
半分以下に落ちていた脳の処理速度が、徐々にいつもどおりのものに戻っていく。
ボサボサの頭をかきながらベッドを降り、カーテンを開けたところでふと昨夜のことを思い出した。
(そうか……咲のところに麗美が泊まったはずなんだよな)
窓の向こうにある咲の部屋。
いつもならもう開け放たれているカーテンは、まだしっかりと閉じられていた。
女の子2人だと、朝はいろいろと忙しいのかもしれない。
(ってことは、まだこっちには来てないのか? でも、その割には……)
階下から人の動く気配が伝わってくる。
いつもならそれはかーちゃんのトレーニングか、朝食の準備をしてくれている咲の気配でほぼ間違いない。
しかし、なんとなく今日のそれは違っているような気がした。
人数が多い感じがする。
おそらくたぶん、黒服の人たちがいるせいでそんな感じがするのだろうとは思う。
もしかすると麗美の朝の準備を手伝う、黒服の人たちの動きなのかもしれない。
それに紛れてしまっているのかもしれないが、たぶん咲のヤツはいつもどおりなんだと思う。
いつもの時間に起きていつものとおりに朝の支度をして、いつものとおりに俺の家に朝食の準備をしに来てくれる。
その証拠に、階段を上って近づいてくる足音がした。
きっといつものように、咲が起こしに来てくれるのだろう。
そうでない可能性は、万に一つもないような気がした。
(もしかしたら麗美だったりして)
ありえないと思いつつ、そんな想像をした。
そう思った途端、寝起きのだらしない格好が急に恥ずかしくなってきてしまった。
いつもどおりの咲なら平気なのに、麗美相手ではそうはいかない。
もしこんなことを考えたりしてることがバレたら、きっと咲にムッとされてしまうだろうが、俺的にはそれは親しみの現れだと思っていた。
(まあ、慣れの問題ってのもあるかもしれないしな)
俺はパジャマから着替えるべくズボンを下ろした。
Tシャツも脱ぎ、下着一枚になったタイミングでコンコンとノックの音が聞こえてきた。
(あ、知ってるこのパターン)
と思ったが、聞こえてきた声は俺の予想とはまったく違っていた。
「悦郎さま。朝食の準備ができました」
扉の向こうから聞こえてきたのは、ダンディな男性の声。
ハッキリと断定はできないが、たぶん是枝さんの声だと思う。
黒服の1人で、俺の見る限りまとめ役のような人。
下の階でどういうやりとりがあったのかはわからないが、俺を起こしに来る役目は是枝さんに割り振られたようだ。
「着替えたらすぐ行きます」
「わかりました。ではお待ちしております」
トントントンと階段を降りていく足音。
いつもとは違って、やけに上品に朝がはじまったような気がした。
とはいえ、微妙にテンションが上がらないのも事実だ。
いつもの咲とのバカみたいなやり取りが、俺の目をしっかりと覚まさせていたことを変なことから再確認してしまった。
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