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7章 七日目 ムツコとロン
7-1 いつもどおりに近い朝
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いつものように朝が来る。
窓の外ではチチチと鳥が鳴き、枕元ではスマホがピピピと鳴っている。
(……ん?)
うっすらと目覚めた意識の端っこに、窓の外からシャーッとカーテンを開ける音が聞こえた。
(そうか。咲のやつ今日は起きられたみたいだな)
昨日一日熱を出して寝込んでいた咲。
そのためにいろいろなことが滞ったりしていた。
主に、俺の生活面において。
(あんまり頼りっぱなしじゃマズいとも思うんだけどな)
とはいえ、楽な方に流れてしまうのが人間というもの。
しかも俺が何かを求めたりするよりも前に、咲の方がいろいろと世話を焼いてくれているというのが実情。
もし本当に咲に何かしてもらうのをやめるとしたら、それをすることを咲にやめてもらうしかなくなるのだ。
俺の方がどうのこうのじゃなくて、咲の行動を制限することにならざるを得ない。
行動の主体が、俺ではなく咲なのだ。
(というわけでもうしばらく二度寝しよう)
なにがというわけでなのかは俺もわからなかったが、俺が二度寝しようとする理由はあと5分もしないうちにわかるようになる。
一分。
二分。
三分。
そうしてウトウトとまどろみの中でそれが起きるのをまっていると、当然のごとくその小さな音が俺の意識を再び目覚めさせてくれた。
「起きてる~。起きてるよね~。開けるよ~」
トントンというノックのあと、扉の向こうから咲の呼びかけてくる声が聞こえてきた。
日によっては答える前に開けてしまうこともあるが、今日はきちんと呼びかけてから扉を開けることにしたらしい。
もちろん呼びかけがあったとしても答えたり答えなかったりはも日によって変わる。
俺の方が起きていないことも、ときどきあるからだ。
そして今日は、起きているけれども答えない日。
その空気を咲が読み取っているのかいないのかはわからないが、咲は俺が答えるのを待つことなく扉を開けて部屋に入ってきた。
「ほら~、おはよー。起きてるんでしょ? 布団から出る出る~」
いつもとまったく変わらぬ様子で、俺を起こしに来る咲。
俺は「むー」と唸りながら身体を起こし、目の辺りを軽くこすりながら咲に挨拶をする。
「おはよう咲。今日はもういいのか?」
「うん。昨日一日寝たからもうすっかり治った」
「そうか。とはいえ病み上がりだからな。無理するなよな」
「無理させたくないならちゃんと起きて~。朝ごはんの支度、もうすぐできるからね」
「おう」
部屋を出て、扉を閉め、階段を降りてキッチンへと向かう咲。
トントントンというリズミカルな足音は、咲がいつもの調子を取り戻していそうなことを表していた。
「さて、起きるか」
咲のいつもの様子を確認できた俺は、ベッドから起き上がり着替えてカーテンを開ける。
窓の向こうにはいつもの咲の部屋。
当然のことながらそこはもぬけの殻で、その部屋の主はうちのキッチンでたぶん味噌汁なんかを作っているはず。
こうして、いつもどおりの朝がはじまった。
咲の熱が下がった以上、今日は本当にいつもどおりになるだろう。
たぶん。
窓の外ではチチチと鳥が鳴き、枕元ではスマホがピピピと鳴っている。
(……ん?)
うっすらと目覚めた意識の端っこに、窓の外からシャーッとカーテンを開ける音が聞こえた。
(そうか。咲のやつ今日は起きられたみたいだな)
昨日一日熱を出して寝込んでいた咲。
そのためにいろいろなことが滞ったりしていた。
主に、俺の生活面において。
(あんまり頼りっぱなしじゃマズいとも思うんだけどな)
とはいえ、楽な方に流れてしまうのが人間というもの。
しかも俺が何かを求めたりするよりも前に、咲の方がいろいろと世話を焼いてくれているというのが実情。
もし本当に咲に何かしてもらうのをやめるとしたら、それをすることを咲にやめてもらうしかなくなるのだ。
俺の方がどうのこうのじゃなくて、咲の行動を制限することにならざるを得ない。
行動の主体が、俺ではなく咲なのだ。
(というわけでもうしばらく二度寝しよう)
なにがというわけでなのかは俺もわからなかったが、俺が二度寝しようとする理由はあと5分もしないうちにわかるようになる。
一分。
二分。
三分。
そうしてウトウトとまどろみの中でそれが起きるのをまっていると、当然のごとくその小さな音が俺の意識を再び目覚めさせてくれた。
「起きてる~。起きてるよね~。開けるよ~」
トントンというノックのあと、扉の向こうから咲の呼びかけてくる声が聞こえてきた。
日によっては答える前に開けてしまうこともあるが、今日はきちんと呼びかけてから扉を開けることにしたらしい。
もちろん呼びかけがあったとしても答えたり答えなかったりはも日によって変わる。
俺の方が起きていないことも、ときどきあるからだ。
そして今日は、起きているけれども答えない日。
その空気を咲が読み取っているのかいないのかはわからないが、咲は俺が答えるのを待つことなく扉を開けて部屋に入ってきた。
「ほら~、おはよー。起きてるんでしょ? 布団から出る出る~」
いつもとまったく変わらぬ様子で、俺を起こしに来る咲。
俺は「むー」と唸りながら身体を起こし、目の辺りを軽くこすりながら咲に挨拶をする。
「おはよう咲。今日はもういいのか?」
「うん。昨日一日寝たからもうすっかり治った」
「そうか。とはいえ病み上がりだからな。無理するなよな」
「無理させたくないならちゃんと起きて~。朝ごはんの支度、もうすぐできるからね」
「おう」
部屋を出て、扉を閉め、階段を降りてキッチンへと向かう咲。
トントントンというリズミカルな足音は、咲がいつもの調子を取り戻していそうなことを表していた。
「さて、起きるか」
咲のいつもの様子を確認できた俺は、ベッドから起き上がり着替えてカーテンを開ける。
窓の向こうにはいつもの咲の部屋。
当然のことながらそこはもぬけの殻で、その部屋の主はうちのキッチンでたぶん味噌汁なんかを作っているはず。
こうして、いつもどおりの朝がはじまった。
咲の熱が下がった以上、今日は本当にいつもどおりになるだろう。
たぶん。
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