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第1章 エルフの町〈アルフ〉

第15話:最高の仲間と始りの旅

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俺はルイラットさんと一緒に山を下り、エルフの町、アルフに戻っていた。

今晩の獲物を狩れた俺とルイラットさん。

一見無収穫のように見えるが、俺の時空間収納魔法《じくうかんしゅうのうまほう》という別次元に空間を作り、生命体以外の物を収納することが出来る。

しかし、俺がこの魔法を使い始めて間もないので容量はそれほど大きくない。

容量は10㎏しか収納できない。

この世界の数字はさほど変わりもなく、単位も全く同じだった。

しかし、金銭は別だった。精霊ではお金がないが人族では違う。

人族は共通金があるそうだ。それを1M|《メガ》と言うそうだ。

そう・・・・・・スマホの容量とかでよく見るあのメガだ!

そして1000Mを1G|《ギガ》と言うそうだ。

異世界でも空気は読める様だ。

なんだかんだでアルフに戻り、晩御飯の支度に入る。

今回は俺が腕を振るいます。この時のために実は山に入ってから使えそうなものを取っておいたのだ。

最初に鉄板に牛脂のような猪の油肉で油を軽く引く。

そこに猪のお肉を置く。油が跳ねる音が響く。そこに黒トウシガラを振りかける。

黒トウシガラはブラックペッパーのようなものだ。

更に塩と胡椒を振って、片面が焼けたのでひっくり返す。もちろんもう片面も同じことをする。

そして外が程よく焼けたので一口サイズに鉄板の腕で切るって皿に盛る。

一品目、猪のステーキが完成した。

次は先に卵、油、塩、胡椒をかき混ぜる。

途中で魔法で作れることを思い出し、かき混ぜるのを止めて加工を使う。

出来上がったのはマヨネーズ。

その次に芋の皮を包丁で剥き、芽も取る。それを潰す。

潰した芋に切った赤根と言うニンジンと、茶根と言う玉ねぎも入れる。

それらにマヨネーズをタップリかけて混ぜる。

ポテトサラダの完成だ。

それを二人分持ってロビンの元へ行く。仕事から帰ってきたロビンは調理場から出てきた俺に手を振る。

俺はロビンと二人で人気の少ない席を選んで座って、俺は手を合わせて

「いただきます」

そう言ってフォークを手にする。

しかしそれを茫然と眺めていたロビンに気が付いた。

「その、いただきますってなんだ?それとごちそうさまでしただっけ?それも何なんだ?」

「これは、食材を作った人、料理をした人、食材そのものへの感謝の挨拶なんだ」

間違ってないよな?これ間違っていたら日本人の恥だ。多分あっているはずだ。

「ふ~ん、いただきます」

ロビンは俺の真似をして手を合わせそう言った。

日本文化を知らないロビンが言うとどこかおかして、可愛らしさがあった。

「うッッまーい!」

肉を頬張ったロビンは零れそうな頬を左手で押さえて叫ぶ。

「そういえば、タクミは彼方では何をしていたんだ?」

俺も肉を頬張っているとロビンがそう尋ねてきた。

「旅をしていたよ。俺の国は38万㎢の島国だから4年もかかったな」

「じゃあ、ここに来たのも?」

「ああ、旅をしに来たんだよ。この前も言っただろ?」

「そうか」

ロビンはそれ以上何も言わなかった。ただただ、肉やポテトサラダを口にするだけ。

しかしこの長い沈黙を終わらせたのはロビンだった。

「その!・・・・・・その旅・・・お、おいらも・・・・・・」

ロビンが最後の方、何を言っているかは聞き取れなかった。しかし、ロビンの意志は充分に伝わった。

だから俺はルイラットさんとの約束を果たす。

「ごめん、何か言ったか?」

俺はそう言うとロビンはしゅんと落ち込む。

やべぇ、超可愛いんですけど。

もっとロビンをからかいたいのだが、これ以上は可愛そうなので次に取っておく。

「それより」

しゅんとしたロビンの表情は消え、真面目に俺を見るロビン。

「ロビンも一緒に旅してくれないか?」

俺は杯をロビンの目の前に出す。

そう口にした瞬間、ロビンの真面目の表情は一気に消えて満面の笑みを浮かべて頷いた。

「おう!しょうがねぇからおいらも一緒に旅してやるよ」

俺の杯にロビンの杯がぶつかり合う。

強がるロビンは嬉しさの勢いのままぶどうジュースを一気飲みして、頬を赤く染めた。

これが最高の仲間と初めて交わした杯だった。
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