愛理の場合 〜レズビアンサークルの掟〜

本庄こだま

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9.焔(ほのお)に包まれて

勝者と、敗者



 (……夢?)

 眼前に広がるまばゆい光。

 その光の中で、愛理は天を仰いで瞳を閉じる。

 暖かい風が肌をくすぐり、甘やかな芳香が心をしずめる。

 一面、見渡す限り真っ白な、愛理以外が存在しない広大な空間。

 (あぁ……身体が軽い……まるで羽根が生えたよう)

 光の中を自由に飛び回り、高く、さらに高く舞い上がってゆく愛理。

 (私、どこまでも飛べる……何もかも脱ぎ捨てて……ありのままの姿で……!)

 だが、そんな心地良い享楽の夢想は途端に一変する。

 (え……!?)

 高く舞い上がる速度はぐんぐんと加速し、目も開けられないくらいの風圧と身を軋ませるようなGが愛理の裸の身体に襲い掛かる。

 (いッ、イヤッ!止まって!!)

 愛理自身にも、その急上昇を制御できない。金縛りのように、身体はまったく言うことを聞かない。

 (どこまで行くのッ……高いッ、戻れないッ、ヤダッ……怖いッ!!)

 どこまでもどこまでも上昇する愛理の身体は、光の中で輪郭を失い始めた。

 (連れてかれるッ!一番高いところッ!二度と戻れないトコまでッ!イヤッ!!助けてッ!!降ろしてッ!!)

 羽根だと思っていたものは、いつの間にか何者かの〝手〟に姿を変えていた。

 愛理の両肩を背後から掴む、巨大でグロテクスな誰かの〝手〟……。

 「ひッ……嫌ァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!?!?」

 恐怖に泣き叫ぶ愛理は、その〝手〟によって天高くさらわれ、やがて光の中へと姿を消した……。



 「……ッ……んぉ……?」

 パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎

 「ほッッ!?!?❤︎❤︎❤︎❤︎」

 (おぉ~~~❤︎❤︎なッ❤︎何ッ!?❤︎何が起こってるのッ!?❤︎❤︎❤︎)

 耳に響く、歓声と悲鳴。

 愛理は今、

 身体を強く結ばれ、組み伏せられ、仰向けの身体の上で、なすがままに腰を振られている。

 光の中を抜け、愛理の視界に飛び込んできたのは、揺るぎない〝現実〟──。

 ここは〝El Doradoエルドラード〟のステージ上で、愛理は今、紅花ホンファと闘っている最中だ。

 だが、この状況に至る記憶がまるで無い。

 紅花の射精を口内で受け止め、それを全て飲み込んだ記憶。

 その精飲で、不覚にもしまった恥辱の記憶。

 断片的に、覚えているのはここまで。

 だが今、愛理は紅花に挿入され、〝ナマ本番〟の真っ只中にある。

 考え得る理由はただひとつ。

 (私……気絶していた……?)



 パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎

 「ふッ❤︎ふッ❤︎ふッ❤︎オラッ!❤︎やっと起きたか愛理?挿入いれそばから勝手にやがってッ❤︎雑魚マンコがッ❤︎」

 紅花は愛理が事に気付くと、腰のピストンをさらに強く叩きつけて〝鼓舞〟する。

 ビタァンッ!❤︎ビタァンッ!❤︎ビタァンッ!!❤︎

 「ん”ォ”ッ!?❤︎❤︎んひィィッ❤︎❤︎」

 強く腰を叩きつけられるたび、カリ高なペニスが愛理の膣壁をゴリゴリとえぐり、最深部にある子宮口をパンパンに腫れた亀頭でノックする。

 気を失っていた間、紅花は愛理の肉体を完全に我がものとしてしていた。

 「ひィィッ❤︎イッ❤︎イギッ❤︎お”ゥゥッ❤︎❤︎」

 (そんなッ❤︎私ッ❤︎なんでッ❤︎)

 敵と対峙する闘いの最中に気絶するという、あってはならない失態。

 ブジュッ❤︎グジュッ❤︎ジュプッ❤︎

 突き立てた紅花のペニスが愛理の膣肉を深く抉ると、擦れた2人の性器からは水っぽい音が鳴り響き、アンモニア臭がぷぅん、と鼻腔を刺激する。

 「くっせェ❤︎垂らすほど気持ちイイか?❤︎時と場所わきまえろよド変態マゾメスがッ❤︎」

 「あォォォォッ!?❤︎マンコッ❤︎マンコめくれッ❤︎るッ❤︎ぅぅぅあァァッ!!!❤︎❤︎」

 愛理の肉壺を襲う、止め処ないピストンの嵐。

 愛理は抵抗もできず、ただひたすら膣奥を突かれるたび、無意識に快楽を声に出して絶叫する。

 「うぐッ❤︎くゥゥッ❤︎締め付けてくるッ❤︎愛理のマンコ肉ッ❤︎ザー汁欲しくてギッチギチにチンポ咥えてきてんじゃんッ❤︎❤︎」

 紅花のペニスが一段と硬度を増して〝発射〟の準備に入る。

 充血で肥大した亀頭は子宮口にピッタリとを合わせ、一撃のもとに愛理を仕留めるkill shotつもりで更にピントンの速度を増す。

 パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎

 「お"ォォイグッ❤︎愛理のッ❤︎いっっちばん奥にッ❤︎ギトギトのブッ濃い精液ザーメン撃ち込んでやるッ❤︎」

 ギュウッ……!

 「ぎッ!?❤︎ゲェッ……オ"ォ"ォ"……ッ❤︎❤︎❤︎」

 射精に至る興奮からか、紅花が愛理の喉元を両手で絞めあげた。

 爪が食い込むほどに強くしぼられた愛理は、苦悶から野太い悲鳴をあげてカッと目を見開く。

 (ぉ……無理ッ……トぶ……❤︎)

 みるみる顔面が紅潮してゆく愛理。

 充血した目から落涙すると、恍惚のままにゆっくりと白目を剥いてゆく。

 「イッ❤︎……グッ❤︎……ヴゥッ!!❤︎❤︎❤︎」

 かすれた悲鳴とともに、愛理の身体がビクンッと仰け反り、硬直する。

 虚ろに中空を仰ぐ視界には、紅花の不敵な笑みだけが映っていた。



 「ハーッ❤︎ハーッ❤︎……うは❤︎スッゲぇ締まり……❤︎マンコに噛み付かれてるみてぇ……❤︎」

 紅花は込み上げる射精感を深呼吸で抑えると、その大きな体躯をブルンッ、と一度震わせた。

 顔に浮かんだ玉のような汗が、紅花の細い顎を伝って滑り落ち、組み伏した愛理の顔を一滴、二滴と濡らす。

 「ぁ….ぉ……へぇ……❤︎❤︎❤︎」

 だが愛理はまるで反応せず、ベロンと太い舌を出したまま力なく喘ぎ続けている。

 「いつまでも浸ってんじゃねー……ぞッ!!」

 パァンッ!!

 「ほぶッ!!」

 乾いた炸裂音がフロアに響き渡る程の、強烈な紅花のビンタ。

 まともに食らって、愛理の首が勢いよく真横にひん曲がる。

 「ひッ……ぁ……ぁぇ……❤︎❤︎」

 それでも愛理は、まるで夢現ゆめうつつにいるかのような惚けた顔で、グッタリと天を仰いだままでいた。

 「ハッ、二度目……次はこられないか?」

 紅花は笑いながら、みるみる赤く腫れ上がる愛理の左頬を二、三度軽く叩くと、脱力したままの愛理の身体を抱き抱えてゆっくりと立ち上がる。

 「よっ……とぉ❤︎」

 ズプッ……❤︎

 「お"ォ"ッ!?❤︎」

 ヌッ、とそびえる紅花の巨体。

 その腕の中に、愛理の小さな肉体は完全に包まれている。

 愛理の両足はマットから離れ、挿入されたままの紅花のペニスは愛理自身の自重でさらに深々と突き刺さっていた。

 小刻みに震える愛理の太ももは、膣内を犯す〝異物〟の存在に、無意識のうちにガニ股に開かれる。

 もはや何もできない。

 闘いとは到底呼べない、されるがままの強姦レイプ──。

 「そろそろ……終わらせるか❤︎」



 「ふ……ふふッ……アハハッ♪見てご覧なさい?あの無様で情けない愛理ちゃんの姿❤︎」

 あまりにも一方的な展開に騒然とするフロアを、VIP席から見下ろすARISAと史織。

 史織はスモークガラスに貼り付くように顔を近づけながら、ステージ上でグッタリと倒れ込む愛理を見てほくそ笑んだ。

 「何が〝セックスの天才〟よ……あの娘は正真正銘、単なる色狂いの真正マゾ……同性に犯されて、なぶられて、蔑まれて、精神と肉体をけがされて果てる、哀れで淫猥なレズマゾ豚に過ぎないの!!」

 史織は声を弾ませながら、嬉々としてARISAにまくし立てる。

 「だから私は、愛理をEl Doradoこのステージに誘ったのよ。あの娘のをいち早く開花させて、最も価値ある〝極上の愛奴〟にするために……」

 「ふふッ、極上の愛奴……ね」

 だが、史織の饒舌をARISAは一笑に付して冷たくあし遇らった。

 「史織、それがあなたの思う〝愛理の最終形〟なの?……だとしたら、やはりあなたにはわね」

 「なッ……!?」

 ARISAの放った侮辱的な言葉に、先程まで喜色満面だった史織の顔が怒りに歪む。

 「見る目がないッ!?この私がッ!?」

 元より狐目な目尻をさらに引き攣らせ、鼻筋に深い皺を刻んだ鬼の形相で、ARISAに詰め寄りヒステリックに叫ぶ。

 「愛理をEl Doradoこのステージに上げたのはこの私よッ!!端金はしたがねで客に抱かれる売女だったあの女を、私がこのサークルのスターにしてやったのッ!!」

 口角泡を飛ばして食って掛かる史織だが、ARISAは動じずに鋭い目線で刺す。

 「……で?その結論が〝極上の愛奴〟なの?想像力がまるで凡人の範疇を超えない……あなたは今まで愛理の何を見ていたのかしらね?」

 「くッ……!」

 ARISAの突き放すような言葉に、史織は拳を握ってわなわなと打ち震えながら、絞り出すように反論した。

 「だったらッ……アンタは愛理にのよ……?至高のマゾ女が……他の何になるって言うのよッ!?答えなさいッ!!」

 史織の問いに、ARISAは舌舐めずりして微笑みながら小さく呟いた。

 「フフッ、愛理はね……〝絶対女王〟になる女よ❤︎」



 「終わらせるぞ、愛理……」

 性器で深く繋がったまま、愛理と紅花はステージの真ん中に立つ。

 愛理の膝裏に両腕を回して、胸まで担ぎ上げるいわゆる〝駅弁ファック〟スタイルだ。

 2人のは、ステージを見上げる観客からもはっきりと視認できる。

 (ぁ……ぅ……イキッ……❤︎)

 今の愛理はもはや意識を保つことに精一杯であり、論理的思考などはまるで働かない。

 五感に感じるのは、僅かに聴こえる観客の声援と、鼻腔をくすぐる紅花の濃厚な汗の匂い。

 そして、膣肉を拡げて深々と突き刺さる、太くたくましい肉杭の圧迫感。

 残り時間はまだ5分強ほどある中で、紅花は「終わらせる」と呟いた。

 その言葉が何を意味するのか──?

 自らの置かれた危機的状況さえ、なおも曖昧模糊あいまいもこな愛理の脳内に〝無慈悲な初弾〟が電撃のように命中する。

 ググッ……

 ズ ン ッ !!

 「あ"ォ"ッ!?!?❤︎❤︎❤︎」

 プシッ❤︎

 持ち上げた愛理の身体を紅花が垂直に落とした時、両者の結合部から透明な分泌液が勢いよく噴射された。

 ズチュッ❤︎……ズンッ!ズンッ!ズンッ!❤︎

 「ひぎッ!?❤︎あ"ひッ!❤︎やッ❤︎……めッ❤︎……へぇぇッ❤︎❤︎」

 愛理は身体を上下に激しく揺さぶられながら、紅花の首に腕を回して必死にしがみつく。

 紅花の太いペニスが愛理の膣肉をピストン運動で掻きほぐす度に、陰裂から溢れ出た重たい粘液がグチュグチュと音を立てて白く泡立ちマットに落ちた。

 「あ"はァッ❤︎イ"ッ❤︎……グゥッ❤︎❤︎❤︎……あ❤︎あ❤︎あ❤︎ダメダメダメまたイグッ!!❤︎❤︎❤︎……ぉ~❤︎……あイクッ❤︎❤︎❤︎」

 愛理は全身から汗を噴き出しながら、首を横に振る。

 (イッてるッ!❤︎もう何度もイッてるッ!!❤︎❤︎)

 絶頂を迎えた敏感な肉体に、追い討ちをかけてなおも止め処なく叩きつけられるペニスの衝突クラッシュ

 (ダメッ!❤︎もう無理ィッ!❤︎壊れるッ!!❤︎❤︎)

 ヂュゥゥゥゥッ!❤︎ジュルッ!❤︎

 「い"ィ"ィ"あ"ァ"ァ"ァ"ッ!?❤︎❤︎乳首ィィィィィッ!?!?❤︎❤︎❤︎」

 連続的な絶頂に気を遣る最中、突如襲いくる乳房への激しい刺激。

 ピンピンに張り詰めた乳頭に、痛いほどの吸引力で紅花がむしゃぶりついた。

 「ジュルッ❤︎チュパッ❤︎……ふふ、ぷりっぷりの勃起乳首、物欲しそうにしてたからしゃぶってやったよ❤︎」
 
 舐った乳首と下唇に唾液のブリッジを引きながら、紅花はにんまりと笑う。

 「愛理、お前……一つだけ勘違いしてるぞ。お前はずっと〝テクニックなら負けない〟と思ってるよな?アタシに及ばないのは〝体格とパワーで劣るからだ〟って……」

 (なッ……)

 ふと紅花に投げかけられた言葉に、ドロドロにふやけきった愛理の思考が瞬時にピンと張り詰めた。

 「セックスのテクニックなら勝てる……そう思ってるお前の自惚うぬぼれが気に食わねぇ……!」



 ジュル……❤︎

 「ひゥッ!?❤︎まッ……待って……」
 
 紅花が再び愛理の乳頭に唇を当てがう。

 舌をじっとりと絡め、前歯で甘く噛んでやると、愛理の背筋には電流のような快感がはしった。

 「うォ"ォ"ッ!?❤︎」

 「イカせてやるよ。それで終わり。何も言い訳できないような、惨めで不様なにお似合いの最後だ……❤︎」

 レロォ……❤︎

 湿り気を帯びた紅花の真っ赤な舌が愛理の白い肌の曲線をなぞりながら這うように動く。

 濡れた肌には尾を引くように唾液の粘膜がキラキラと輝き、女の武器である豊かな乳房を穢す。

 「はッ❤︎はッ❤︎……ぅぉぉ……❤︎」

 愛理は紅花に抱え上げられたまま、逃げることも、抵抗することもせず、目を見開いて紅花の愛撫をただ食い入るように見つめている。

 圧倒的な紅花のパワーを前に、抵抗する気力さえ尽きてしまったのか?

 いや、違う。

 突如、紅花に投げかけられたあの言葉。

 〝テクニックなら負けないと思っている〟

 ふと放たれたこのフレーズが、愛理の心に深々と突き刺さった。

 もはや、到底抜けない程に。

 この女には、すべて見透かされている──。

 『El Doradoこのステージ』で培ってきたもの。

 経験、挫折、感動、執念、そしてプライド……。

 紅花という一人の女を前に、そのすべてがガラクタのように粉々に打ち砕かれる。

 (ぃ……イヤ……)

 思考は必死に否定するが、肉体の震えが止まらない。

 本能が〝敗北〟を受け入れようとしていた。

 「ひぐッ……くッ……ぅ……」

 思わず漏らす嗚咽と、頬を濡らすひとすじの涙。

 潤んで霞む瞳の奥に浮かんだ顔に、愛理は心中で絞り出すように詫びの言葉を紡いだ。

 (美雪……ごめん……)



 カリッ

 「お"ッ!?❤︎❤︎❤︎」

 ビクンッ!

 紅花が鋭い犬歯を用いて愛理の乳首を強めに噛んでやると、腕の中で愛理の身体が激しく跳ねた。

 ジュルッ❤︎ズルルルルッ❤︎

 「ん"ぁ"ぁ"ッ❤︎❤︎ほォォォダメッ❤︎❤︎❤︎」

 与えられる刺激に、ほとんど怒鳴り声に近い絶叫で応える愛理。

 半狂乱で叫ぶ度に、開きっぱなしの口からは泡立った唾液の飛沫が紅花の顔面に掛かるが、紅花はまったく動じずに乳房への愛撫を継続してゆく。

 そこに今までの荒々しさや余計な挑発は一切ない。

 一心不乱に、目の前の〝女体〟を絶頂に導く事のみに神経を集中させている。

 チュパッ❤︎チュパッ❤︎ジュルルルッ❤︎

 「ぷはッ❤︎んふッ❤︎イキそうなんだろ?マンコがヒクついてんぞ……ふふふ……❤︎」

 「あ"ぅ"ッ❤︎ひっ❤︎ひィィッ❤︎もっ……乳首ダメッ❤︎あッ❤︎あッ❤︎あッ❤︎」

 乳首への執拗な愛撫のみによって育まれた巨大な性感のエネルギー。

 愛理は無意識に腰を前後に揺すり、挿入されたままの紅花のペニスに媚びてしまう。

 (乳首だけなんてッ❤︎チンポでイキたいッ❤︎❤︎)

 ギュッ!!

 「う"ゥゥんッ!?❤︎❤︎」

 だが、紅花はそんな愛理の身勝手なを許さない。

 両手で愛理の尻肉を掴み、腰の動きを力で止めてみせた。

 「あンッ❤︎あッ❤︎そんッ……なァッ❤︎」

 「誰が腰動かせって言った?お前は乳首だけでイクんだろ?」

 ペニスは深々と挿入されたまま、されどそれは決して用いられる事はない。

 女を悦ばせる為の逸物が、女をはりつけにする肉の杭となり、愛理の身体を〝快楽のほのお〟で焦がす。

 そして、あまりにも呆気なくは訪れた──。



 ジュプッ❤︎チュパッ❤︎レロレロレロ……❤︎

 (無理ッ❤︎もうッ❤︎イクッ❤︎❤︎)

 もがいても、もがいても、紅花の舌技から逃げ出す事ができない。

 力尽きるその瞬間までひたすら快楽の苦悶にどっぷりと浸かる、まるで性感の蟻地獄……。

 (やだッ❤︎イクッ❤︎乳首でッ❤︎こんなッ❤︎)
 
 背筋にはしる熱い〝予感〟……。

 砕けそうなくらいに奥歯を力一杯噛み締めても、一度駆け登り始めた絶頂への疾走は止められない。

 「ジュプッ❤︎チュパッ❤︎イけッ❤︎ほらイけッ❤︎〝El Doradoの看板娘〟が乳首イキ完全敗北するところ、皆に見てもらえッ❤︎ハハハッ!❤︎」

 「おぉゥッ!?❤︎ダッ❤︎メッ❤︎噛んじゃッ❤︎❤︎……う"ぁぁぁぁぁぁッ!!❤︎❤︎❤︎」

 思考が乳首の快楽に掻き消され、両脚はジタバタと空中を虚しく空振る。

 逃げることも、否定することも許されない「敗北」という迫り来る現実が、愛理の肉体の性感を何倍にも高めた。

 (負けるッ!私、乳首で負けるッ!!)

 「はッ❤︎あォォッ❤︎イッ❤︎イクッ❤︎イクイクイクイクイクッ❤︎❤︎」

 「イけッ!!愛理ィッ!!」

 ギチッ!!

 とどめとばかりに、紅花が愛理の乳首を強く噛む。

 その刹那、愛理の意識は遥か上空へと吹き飛ばされた。

  「ッ❤︎……お"ッッ!?!?❤︎❤︎❤︎……イ グ ッ !!!!❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」

 ビクッ!❤︎ビクンッ!!❤︎❤︎❤︎

 電流を流されたように2回、3回、と愛理の小さな身体が紅花の腕の中で激しく跳ね上がる。

 「ぉッ❤︎ぅぉぉ……ぁんッ❤︎」

 激しい痙攣が終わると、愛理は後方に仰け反ってだらんと脱力した。

10

 ズルッ……

 ドサッ

 「あぅッ」

 脱力した愛理が、紅花の腕から滑り落ちる。

 背中からマットに着いた愛理は、白目を剥いて天井を仰いでいる。

 二度と還って来られない事は、誰の目にも明らかだった。

 「愛理ッ!?」

 勝負の行方を見守っていたケイと恭子が同時に叫ぶ。

 観客席からもまた、驚きと不安に満ちた騒めきが起こる。

 「フンッ……乳首だけでこんなキッツいイキ方するなんて、本当に呆れたマゾ豚女だね❤︎」

 紅花は罵倒しながら、なおも愛理の髪を手荒に掴んで引きずり起こそうとする。

 その時──。

 ゴォォォォォォン……ッ!!

 フロアに響く銅鑼の音。

 《決着ッ!》

 叫んだのは主催の恭子だった。

 《愛理、戦意喪失……試合続行不可能と判断……勝者、紅花ッ!!》

 マイクを通じて響くその声には、苦渋と悔恨が滲んでいた。

 オォォォォォォォッ!!

 同時に沸き起こるフロアのどよめき。

 「……ハッ」

 暫時、呆気に取られたようにアナウンスブースの恭子を見つめていた紅花だが、小さく笑って愛理の髪から手を離すと、愛理の身体は再び力なくマットに倒れ込んだ。

 「あーあ、全ッ然イキ足りないんだけど?このムラムラどうすりゃいいの?あはッ❤︎」

 紅花は濡れた口元を指先で拭いながらキョロキョロと周囲を見渡し、そそくさとステージから降りてしまった。

 「愛理ッ、しっかりして!」

 入れ替わるようにステージに飛び出してきたのはケイだった。

 ケイは倒れたままの愛理を担ぎ起こすと、意識の有無を確認する。

 「ぁッ❤︎……ぅぉぉぉ……❤︎❤︎」

 想像を遥かに超越した深く激しい性的絶頂オルガズムに、愛理は未だ余韻に喘いで身を震わせている。

 「ケイさん、控え室まで連れて行きます」

 「ありがとう、あとは頼んだ……」

 駆けつけたスタッフ2名がタオルを愛理に掛けてやり、肩を左右から支えながらゆっきりとステージから降りてゆく中、ケイは去ってゆく紅花の背中に叫んだ。

 「紅花ッ!これで終わったと思わないで……いつか……いや、すぐにでもこの借りは返すわ……!」

 ケイの顔には悔しさと怒り、そして何より〝悲しみ〟が色濃く浮かんでいた。

 復讐リベンジを宣言された紅花は振り返ると、切れ長な一重の眼を見開いてケイの言葉に応える。

 「ハハ……負けたくせに威勢だけはいいね?当然だろ?これは〝はじまり〟なんだ……とりあえずアンタらじゃアタシには何度やっても勝てない……ヤるなら〝飼い主〟呼んできなッ!!」

 紅花は勝ち誇るようにケタケタと笑いながら中指を立てると、きびすを返して観客の群れに紛れるようにフロアから姿を消した──。

11

 眩しい光に、意識が呼び戻される。

 快楽の渦中で見た眩ゆい閃光とはまるで異なる、無機質な蛍光灯のリアリズム。

 「……ぅ……ん」

 「……愛理、大丈夫?」

 愛理が目を開けると、そこには見慣れた顔が2つ、心配そうにこちらを覗き込んでいた。

 呼び掛けた恭子は愛理の回復に幾許いくばくか安堵したような表情を浮かべたが、眉間に皺を寄せて神妙な顔付きをしていた。

 ケイは普段と変わらぬ仏頂面だが、何も言わずに口をつぐみ、少し物憂げに目線を伏せている。

 控え室の空気は息苦しい程に重く、それはこの闘いの〝結末〟を如実に表していた。

 完全敗北──。

 〝El Dorado〟のステージに立つ者、そのプライドを背負って挑んだ紅花との闘いに、愛理は為す術なく敗れた。

 圧倒的な紅花のパワー、狡猾なテクニック、そして何より闘う事への覚悟……。

 すべてに劣ることを愛理自身が思い知らされたのは、ステージ上で紅花と肌を合わせた時だった。

 無謀な闘いによって失ったものの大きさ。

 意識が戻ると、突きつけられた残酷な現実が愛理の小さな身体に重くのしかかる。

 「……ごめんなさい」

 痛み、恐怖、快楽で終始叫び続けた愛理の声はかすれていた。

 「謝ることないよ……勝負なんだから、負ける時だってあるでしょ?」

 恭子から掛けられる、慰めの言葉。

 「まだ闘いは終わっていない、今より強くなればそれでいい」

 ケイから掛けられる、奮起の言葉。

 そのどちらも、今の愛理にとっては空虚なものに思えて仕方がなかった。

 無表情に部屋の一点を見つめたまま、愛理はポツリと呟く。

 「ごめん……今日はもう……一人にさせてほしいの」

 そう言うと愛理はソファから起き上がり、フラフラとした足取りでシャワー室へ歩いていった。

 「愛理……」

 目線で見合う恭子とケイは、どちらともなく浅く溜め息を吐いた。

12

 「へぇ、ARISAがそんな事をねぇ」

 真夜中の都心環状線を北上する一台の車。

 その後部座席で、紅花は今宵のステージコスチュームそのままに深々ともたれていた。

 「愛理を〝絶対女王〟に、らしいわ。ふふっ……やっぱりあの女、ホンモノのみたいね」

 その隣で頬杖をつきながら、史織は嘲笑的に笑ってみせる。

 だがその内心は動揺に満ち、平静を取り繕う事で精一杯だった。

 (冗談じゃないわ!そんな事は絶対に許さないッ!これ以上、サークルをあの女の好き勝手になんてさせないッ!!)

 遠のく都心の夜景に目を細めながら、史織は下唇を噛む。

 ARISAとの遺恨、サークルへの野望、それらの鍵を握るのが「愛理」の存在である以上、やはり彼女をコントロールするを握るべきだと、史織は改めて認識を強くした。

 そして、その為の行動は既に始まっている。

 「紅花、への調教、明日から強度をさらに増してゆくわよ」

 「フン……アイツらついちまって最近物足りないんだよ。ここらでガマン覚えさせるか……」

 「立派な〝セックス人形〟になったあの娘と愛理を逢わせたら、一体どんな顔するでしょうね……うふッ❤︎アハハッ♪」

 導火線はどす黒い煙を立てながら、止まらないスピードでみるみると燃焼してゆく。

 その先にあるのは、強大な爆発のエネルギーを秘めた、あまりに危険すぎる〝女たちの因縁〟……。

 (やれるもんならやってみなさい……ARISA……!!)

 紅花と、愛理。

 勝者と、敗者。

 今宵、狂宴の舞台を演じた女優アクトレス二人にも、夜明けは平等にやってくる──。


 (第9章 完)
感想 28

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