好色一代ふたなり娘!〜栗ノ花青春譚〜

本庄こだま

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「由衣ちゃんの秘め事」

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 初めての射精……いわゆる「精通」をあのような形で終えてからというもの、その後の私がまるで何かに取り憑かれたかのように、毎晩パジャマが汗で湿るほど夢中で腰を振っていたのは、皆様のご想像の通りである。

 知ってしまったの快感。

 これまでの短い人生、比肩するものの無い、脳が痺れるほどの性的快楽。

 「恥ずかしいコト」という罪悪感と恥辱の裏側にある、「気持ちいいコト」の幸福と悦楽が、私の日常の中で悶々とした湿度を孕みながら飽和度を高めていった。

 それは学校で授業を受けている時も、休み時間にクラスの友達と話をしている時も、いつも頭のどこかに「オナニー」という言葉の影が見え隠れするほど……。

 私の毎日は、オナニーに支配されつつあった。



 きっかけとなったあの日以来、私はクラスで中心的な女子である由衣ゆいちゃんのことを、無意識に目で追うようになっていた。

 由衣ちゃんがクラスの輪の中で屈託のない無邪気な笑顔を見せるたび、あの日の夜の、なにか悪巧みをするようなニンマリとした笑いで布団から顔を覗かせていた「もう一人の由衣ちゃん」が、私の心の奥底にある「羞恥の扉」に手をかけて、あの可愛くて悪い笑顔そのままに、ノックもせずに開けてくるような気配を感じるのだ。

 (はぁ……でも……)

 しかし、由衣ちゃんと私は普段からよく話すような間柄ではなかった。

 たまたま林間学校の班が一緒だっただけの、あの夜の「非現実の高揚感」が生み出した、全く偶然以外の何ものでもないあの会話。

 日常に戻った由衣ちゃんは、そんな話題は決して口にしないし、まして私から由衣ちゃんにその事を聞くなんて絶対にできない。

 由衣ちゃんが知ってるオナニー。私の知らないオナニー。

 (もっと知りたい……教えてほしい……!)

 私の理性は、暴走寸前だった。



 放課後、私は友達の奈央なおちゃんを引き連れて、由衣ちゃんを尾行する事にした。

 あの夜の続きの話を、どうしても聞きたかった。

 日直当番を終えた由衣ちゃんが下校するのを見計らい、誰も居なくなった所を呼び止める。

 だが、奈央ちゃんはあまり乗り気ではないらしい。

 家の方向が真逆の由衣ちゃんを、わざわざ追いかけるのが億劫だと言う。

 「千佳ちゃん、フツーにクラスにいる時に声掛けたらダメなの?」

 「ダメ!オナニーの話は奈央ちゃんと由衣ちゃん以外に聞かれちゃダメだから!」

 「私……別に由衣ちゃんに話さなくてもいいと思うけど……」

 「む~……あ!きたきた!」

 奈央ちゃんの説得にも応じず、私は昇降口から出てきた由衣ちゃんの姿を認めると、物陰に隠れてさながらドラマの探偵のように尾行を開始した。

 しかし、由衣ちゃんは初めから一人だった。

 (あれ?いつもは他のクラスの子がいるはずだけど……日直だったから、他の子は先に帰っちゃったのかな?)

 考えている間に、由衣ちゃんは突如、勢いよく走り出した。

 いきなりの事に私は慌てふためいて、尾行のことなどすっかり忘れてバタバタと走り出す。

 「うわっ!?奈央ちゃん早く!!」

 「え!ちょっと待って!!」

 頬を撫でる風に湿り気を感じる夏の終わりの夕方、私と奈央ちゃんは50m程先を行く青いワンピースの影を頼りに追いかけ始めた。



 いきなりの開幕ダッシュだったが、私は冷静だった。

 なら、誰にも負けない自信があった。

 まして由衣ちゃんは、特別運動が得意な子ではない。

 私はすぐにジョギング程度の速度に落とし、一定の距離を保ったまま先行する由衣ちゃんを追尾する。

 「んっ?奈央ちゃんストップ!」

 「はぁ、はぁ……速いよ千佳ちゃん……」

 ふと、由衣ちゃんの足が立ち止まる。

 そこは学校とは真逆の林道脇にある、古い木造の家屋だった。

 一体、どれくらいの年月を空き家のままでいたのだろう。

 軒先は笹やススキの雑草に覆われて、もはや建物の主要な骨組みだけを残し、土壁も床板も、錆びついたトタン屋根もその殆どが崩壊して、まさしく「廃屋」そのものだ。

 由衣ちゃんは辺りをキョロキョロと気にする素振りで見渡すと、背丈よりも大きな薮の中に飛び込んでいった。

 私たちもその跡を、懸命に藪漕ぎしながら追いかける。



 由衣ちゃんを掴まえてオナニーについて聞くはずが、夕暮れ時の見知らぬ土地に、私は不法侵入を試みている。

 (ここ……男子たちの秘密基地かな)

 クラスの男子が専ら話題にする「秘密基地」という存在。

 遊び場の拠点であり、男子たちはそこに集まって何やら面白そうなことをしているらしい。

 私も当初は行ってみたかったが、「女人禁制」と言われて断られてからは、その存在が忌々しいとさえ感じていた。

 (由衣ちゃんが秘密基地に?ありえない)

 由衣ちゃんはクラスの女子の中心人物だ。言うなれば、彼女は「クラスの女子代表」みたいなものだ。

 女子、というだけで目の敵にして仲間外れにする意地悪な男子たちが、そんな「女子代表選手」である由衣ちゃんを秘密基地に招くはずがなかった。

 (と、すると……ここは……?)

 推理をするフリをして、本当のところは何も分からない。

 ただ、由衣ちゃんが人目からために見つけた場所である事は疑いようがなく、そういう意味では「由衣ちゃんただ一人のための秘密基地」と言って差し支えはないのだろう。

 秋めいた黄昏たそがれ時の空気。

 肌に感じる冷えはじめた風と、夏草の青い匂い。やや遠慮がちな虫の声。

 気持ちのいい季節。

 「あっ」

 不意に、隣に座っていた奈央ちゃんが小さく声をあげる。

 息をひそめて草むらに隠れていた私たちは、唇を固く結んで身構えた。

 朽ちたボロ小屋の、おそらくそこは居間があったのだろうか。

 一番広い空間で、由衣ちゃんはしゃがんだまま何かを眺めている。

 「何してんだろう……」

 「……本読んでる?漫画かな?」

 薄暗い中で、由衣ちゃんの足元はよく見えない。ただ、奈央ちゃんが言った通り、確かに「何かをめくる」動作をしているのが分かった。

 (こんな場所に、漫画を隠して読んでる?)

 いや、違う。

 私は直感的にそう思い、呟いた。

 「あれ、エッチな本だ……」

 「えっ、エッチな本……」



 エッチな本。エロ本。成人雑誌。

 ヌード写真やアダルトな誌面企画、官能小説や読者の性体験の投稿が掲載された、文字通りの「性欲に訴える猥雑な雑誌」である。

 確かな理由こそ分からないが、それは何故か人気の無い場所によく投棄されている。

 空き地に、河原土手に、林道に、公衆トイレに。

 品性のないクラスの男子たちがそれを拾っては大騒ぎしているやり取りを何度か見てきた。

 そんな男子を、当時の私は他の女子らと「不浄な下等生物」でも見るかのような冷たい目で見ていたが、その内心は、やはり人並みに性的なものに興味がある年頃でもあったのだ。

 でも、そんなものに興味を持っているなんてクラスメイトには絶対に言えなかったし、私自身もそんな気持ちを不快に感じていた。

 「奈央ちゃん、エッチな本見たことある?」

 「え……ないけど……」

 「……私も」
 
 奈央ちゃんに嘘をついた。

 小学校低学年の頃、家の近所にある神社の境内で、私はそれを拾った事がある。

 内容は断片的に覚えてはいるが、当時の私にはあまりにショッキングな内容で「エロい」などという感情は微塵もなく、ただただ「グロテスクな何か」というような、一種のに近い、記憶の中の雑音だった。

 それ以降、その類いの物への抵抗感があったが、2次性徴を迎えた私の性的好奇心が、それまで感じていた「グロテスクな何か」へのつまびらかな探究を求めていた。



 「はぁ……はぁ……」

 私と奈央ちゃんは息を潜めて、エロ本を眺める由衣ちゃんの動向を見守っている。

 横にいる奈央ちゃんの息遣いが心なしか大きく聴こえて、対照的に私は無意識のうちに口を結んで息を潜めた。

 由衣ちゃんは真剣な眼差しを紙面に落としながら、1ページ、また1ページとめくってゆく。

 「……」

 ふと、ページをめくる由衣ちゃんの指が止まる。

 こちらからは視認できないが、止めたそのページをまじまじと眺める由衣ちゃんの表情に、なんだか「女」を感じた事だけはよく覚えている。

 禁忌を覗く罪悪感への、葛藤と羨望。

 「んん……」

 その時、由衣ちゃんが動いた。

 それは私たちが全く予想していなかった、不可思議な行動。

 由衣ちゃんは目線で辺りを気にしながらその場に中腰で立ち上がると、ワンピースの裾をたくし上げてパンツを脱いだ。

 「えっ!?」

 「ちょっ、シッ!」

 思わず驚きの声が漏れた奈央ちゃんに、私は同じくらいのボリュームで注意を促した。

 (しまった!)

 二人して口に手を当てて、互いを見合う。

 そして恐る恐る藪の向こう側の由衣ちゃんを見た。

 (バレた……?)

 だが、由衣ちゃんはまるでこちらの様子には関心を見せてはいない。

 (よかった……)

 (もー、奈央ちゃんが声出すから……!)

 私と奈央ちゃんは声を殺して笑い合った。



 お腹までたくし上げたワンピースの裾から覗く、由衣ちゃんの真っ白な肌。

 パンツを脱いで下半身は丸裸の、無防備な美少女のあられも無い姿。

 肩幅ほどに脚を開いてしゃがみ込むその姿は奇妙でもあり、同時に極めて淫猥でもあった。

 由衣ちゃんの白くて小さな尻が、細くて長い両脚が、夕暮れの薄暗さの中にはっきりとした輪郭で浮かび上がる。

 「……いで……お願い……」

 「……?」

 今、由衣ちゃんが何か言った気がする。

 私と奈央ちゃんは思わず視線を合わせるが、お互いどちらも分からない。

 由衣ちゃんは尚も小さな声で何事かを連呼している。

 「見……で……見ないで……」

 「!?」

 (今、「見ないで」って言った……!?)

 まさか、やはりこちらの存在がバレていたのか?

 だが、なぜ先程の段階でこちらに注意を向けなかったのか。

 今更焦って逃げても仕方ない。こうなれば、もう腹を括るしかない。

 私と奈央ちゃんはバレる事を覚悟して、その場に居座り続けた。

 「あぁ……イヤ……お願い見ないでぇ……」

 妙に艶めかしい言い回しで、何度も懇願する由衣ちゃん。

 直後、目の前で信じられない事が起きた。

 ジョロッ……ジョロロロロ……

 由衣ちゃんが、その場で小便をし始めた。



 「???」

 私も奈央ちゃんも、言葉が出てこない。

 (由衣ちゃんがオシッコしてる……)

 生暖かい夏の終わりの夕風に漂い、鼻を刺激するアンモニア臭と、多量の水分がビタビタと土を濡らす音が生々しさをもって私たちに届く。

 「うぅ……ふぅ……オシッコ出ちゃうッ……見ちゃイヤぁぁ……」

 (出ちゃうじゃなくて、出てるじゃん……!)

 尚も譫言うわごとのように喋り続ける由衣ちゃんは、放尿の解放感からか、ポーっと呆けた表情を空に向ける。

 「み、見ないで……」

 「……!」

 私はその由衣ちゃんの切なげな表情を見た時、何やら心の奥底から得も言われぬ衝動が湧き上がるのを感じていた。

 見ないで、と懇願する由衣ちゃんの身体を縛り付けて、その「見られたくないもの」を無理矢理にでも見てやりたいと思う、卑下た衝動。

 意地悪したい訳じゃなく、むしろその逆。

 その時の由衣ちゃんが、私にはとてつもなく「愛おしい存在」に思えた。

10

 ガサッ、ガサガサッ……

 「!?」

 「わッ!?」

 突如、隣方向の藪から草木を揺さぶるような音がした。

 ガバッ!

 異変を察した由衣ちゃんはすぐさま立ち上がり、パンツを穿く手間も無視して裾だけ下ろしてすぐさま走り出す。

 「え、ちょっと……!」

 私たちが呆気に取られる間に、由衣ちゃんはまるで何事もなかったかの様に、とっととその場を立ち去った。

 振り返ることもなく、ただ一目散に。

 ガサガサ……

 「あ……タヌキ?」

 「これ、ハクビシンだよ」

 藪から出てきた毛むくじゃらなは私たちを一瞥すると、どこか申し訳なさそうにこうべを垂れながら、向かいの林に姿を消した。

 「……」

 「……なんだったんだろ」

 嵐のような数分間。

 ここに由衣ちゃんがいて、私たちの目の前でパンツを脱いで小便をしていたというのが、まるで仮想の中の出来事だったかのようだ。

 それくらい、なんだか現実感の無い奇妙かつ淫猥な光景だった。

 「ねぇ、千佳ちゃん」

 奈央ちゃんは私を呼ぶと、それまで由衣ちゃんが座っていた場所を指差す。

 土の上には未だ泡立った排尿の痕跡が残っており、ここに由衣ちゃんが居て、先程見た光景が紛れもない事実である事の証明になっていた。

 だが、奈央ちゃんが指差す先は「オシッコの水溜まり」ではなかった。

 「この本さ……さっき由衣ちゃんが……」

 私は奈央ちゃんの言葉に、捨てられたエロ本を覗き込んだ。

11

 「うわ……何これ……」

 私は思わず声に出して驚く。

 首輪で繋がれた全裸の女性が、まるで犬のように路上で排尿をしている見開きのグラビア写真。

 許しを乞うような切なげな潤んだ目線。黒塗りに修正が加えられた局部から勢いよく飛び散る、琥珀色の液体。

 そのページの両端には、淫雛で儚げな筆文字で煽り文が綴られていた。

 《お願い、見ないで……恥ずかし過ぎる私の痴態すがた

 《愛欲に溺れゆく末に……淫らな牝犬に堕とされた若妻調教記録》

 小学生の私には言葉の意味はさっぱり分からないが、やたら湿っぽく背徳的な、いわゆる「アブノーマル」な雰囲気をひしひしと感じる紙面に、私の目は釘付けになっていた。

 そして、もう一つ分かったこと。

 「由衣ちゃん、コレを読んでたんだ……」

 排尿行為に耽りながら、何度も呟いていた「お願い」「見ないで」という言葉は、この煽り文を読んでいたのだろう。

 (もしかして……)

 その時、私は気付いてしまう。

 (もしかして、由衣ちゃんはに興味があるのかな……)

 そこに気付いた時、私は股間に「たぎり」を覚えるのを感じた。

12

 その日の夜は由衣ちゃんの事ばかりが頭を支配していた。

 網膜に焼き付いて離れない、由衣ちゃんの白くて小さなお尻、から勢いよく飛び出るオシッコの音と匂い。

 モヤモヤとした頭の非現実間と、ドキドキと高鳴る胸の高揚感。

 クラスで一番可愛い美少女が人知れず抱えた、倒錯的な性願望。

 「ハァッ……ハァッ……❤︎」

 私は自室に篭りながら、宿題もそっちのけで自慰行為に耽る。

 学習机に立てた、クラスの集合写真。

 人一倍お洒落な彼女は、まるでモデルのように華やかな笑みで笑っている。

 まさか、クラスメイトのにされているとも知らずに。

 クチュッ❤︎クチュッ❤︎

 「んぉッ❤︎先っぽヤバひッ❤︎」

 無限に湧き出るカウパー液でヌメヌメに濡れそぼった皮被りの亀頭を指先でねてやると、甘い射精欲が芽を出す。

 今からこの射精欲を、大事に大事にゆくのだ。

 「由衣ちゃッ❤︎んんッ❤︎チンチン気持ちいよォッ❤︎」

 私には由衣ちゃんの気持ちが分かる。

 快感を声に出すと、何倍も何十倍も気持ちいいのだ。

 あの排尿行為は、由衣ちゃんなりの「オナニー」だったのかもしれない──。

 その事に気付いた時に生まれた、私の中の巨大な劣情。

 (由衣ちゃんのオナニーッ❤︎見ちゃったッ❤︎)

 集合写真の中の由衣ちゃんの笑顔を、あの時見たエロ本の「首輪に全裸の女性」に当てはめる。

 あれが由衣ちゃんの願望なのだ。可愛くて、お洒落で、人気者な由衣ちゃんの、アレこそが彼女の本性なのだ。

 (由衣ちゃんエッチッ❤︎あんなヘンタイみたいな事するなんてッ❤︎)
 
 グンッと角度を増すオチンチンを握り、素早くシゴいてやる。

 「おッ❤︎おッ❤︎おッ❤︎でッ❤︎でるッ❤︎でるでるでるでるッ……❤︎」

 射精欲が限界まで昂まると、私はシゴく手を離す。

 ピタッ……

 ヒクッ❤︎ヒクッ……❤︎

 「あ"~~❤︎由衣……ちゃ……❤︎せーし出したいィィ……❤︎」

 こうして軟弱で堪え性のないオチンチンをやると、ただ勢い任せに射精するより何百倍も気持ちいい。

 (イヤッ❤︎見ないでッ❤︎)

 (由衣ちゃんッ❤︎見てッ❤︎)

 由衣ちゃんの放尿を見ながら、私も由衣ちゃんに射精を見せつける。

 我慢に震える健気なオチンチンを、再び握って思い切りシゴく。

 「ふぅンッ❤︎」

 妄想の中に現れた「淫らなクラスメイト」に、昂まり続ける性欲の矛先を向けて、私は一気に駆け抜けた。

 「あッ❤︎出ちゃッ……見てッ❤︎由衣ちゃん見てッ❤︎あッ❤︎あッ❤︎見られてるッ❤︎由衣ちゃんにオナニー見られッ❤︎ほォォ~~ッ❤︎でッ❤︎でるでるッ❤︎❤︎」

 ブリュッ❤︎ブビュルッ❤︎ビュルルッ❤︎

 包皮の先から、白濁したジェルのように濃厚でぼってりと重たい精液が勢いよく飛び出す。

 当時の私には「ティッシュで受け止める」などという発想は皆目無い。

 生臭い多量の精液は、仰向けに伸びた私自身の腹にすべてブチ撒けられた。

13

 己の身体に飛び散った精液を拭き取りながら、私は未だ由衣ちゃんの顔を思い浮かべていた。

 だがそれは先程までの性欲に支配された思考ではなく……。

 「はぁ……なんで私……」

 オナニーを終えて、どっと襲いくる自己嫌悪。

 クラスメイトを思い浮かべて手淫に耽るだなんて。

 (もう由衣ちゃんの顔をまともに見られないかも)

 穢してしまう罪悪感と、それでも抗えない旺盛な性欲に、何だか虚しさを感じてしまう。

 「オナニー……あまりやらないようにしよう」

 心に決めた自制心。

 このまま快楽に流されるのは、やっぱり間違っている。

 「私は変態じゃないもん」

14

 クラスでは相変わらず、由衣ちゃんは女子たちの輪の中心だ。

 昨日は野外で放尿していた彼女が、何食わぬ顔でクラスメイトに笑顔を振り撒く。

 私と奈央ちゃんはそんな由衣ちゃんを目で追いつつも、昨日の話題はどちらともなく「封印」していた。

 (そりゃ、あんなの誰にも言えないよね)

 あの出来事は、二人だけの秘密にして….…。

 ふと、教室に由衣ちゃんの声が響く。

 「ごめん、ちょっと行ってくる!」

 (え……)

 ムラッ……❤︎

 「あ、あ、ちょっと」

 「千佳ちゃん、どしたの?」
 
 不意に聞こえた由衣ちゃんの「トイレ」の声に、私の股間が思わず滾る。

 (え!?な、な、なんで!?)

 昨日の光景が鮮明に脳裏に浮かび、下半身への血流をビンビンに感じてしまう。

 (わ、私……ダメだ……変態だ……)

 限りない性欲への抵抗の決意はたった一夜で頓挫し、今夜も彼女を想って卑猥な「一人遊び」に没頭してしまうのだろう。

 由衣ちゃんという一人の少女のに、私の性癖は長らく支配されることになる──。
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