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第1話 神社の息子
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「カーーーーーーン」
頭の奥の方に響くその音が、俺に朝だということを知らせてくる。
時刻は午前5:00。神社の朝は早い。
「もう朝よ、ご飯はもうできているから」
「すぐ行くよ」
母親の声に適当に返事をしながら、身を起こす。
手首につけているヘアゴムで、肩くらいに伸びた髪の毛を後ろで結んだ。
これが神社の息子かって?ええそうとも、私こそが寺田家の一休です。
俺は全国でも有数の神社「寺田神社」5代目僧侶寺田一蔵(てらだいちぞう)の一人息子、寺田一休である。
一休という名前のくせして、その正体が長髪とは誰が想像できただろう。
今にも閉じそうな目をこすりながら、食卓へと足を進める。
4月も終わりそうだというのに、吹き抜ける風はまだツンと冷えている。まるで俺と父さんの関係みたいだ。
そんなことを思っていると冷たい風に乗ってヤツが来た。
「...おはようございます」
とりあえず挨拶だ。冷え切った関係にも礼儀あり。
「朝のお参りはどうした」
挨拶はしてくださいよお父様。挨拶をしろって口すっぱく教育して来たのはあなたですよね!?
「それにその髪はいつ剃るんだ。この家に似つかわしくないってのはわかってるんだろうな。」
「へいへい、気が向いたらそうするよ」
「...」
気の抜けた声であしらうと父親は食卓と逆方向に足を進めた。
「ちょっと、一蔵さん!ご飯できてますよ!」
「その腑抜けたやつと食う飯なんてまずくてたまらねえから、後で食べることにする、悪いな」
そう言って父は廊下の奥へと行ってしまった。冷え切った関係に終わりは来るのだろうか。
俺もわかってはいた。これは一種の現実逃避であり、両親を悲しませていることは。
でもしょうがないんだ。俺は、神社の息子でありながら神に見放されているんだ。
神社の息子として生まれた俺には、他の人よりも神という存在が身近に感じられた。
事あるごとに賽銭の前に立っては、祈った。
「明日天気になりますように」
「明日のテスト、勉強したところが出ますように」
「サッカーの試合で点が決められますように」
「怪我をせずに帰って来れますように」
しかし、そのお願い事を全て神様は裏切った。
天気をお祈りした日は土砂降りの雨だったし、テストの山なんて当たったことはない。
サッカーの試合では最後のPKを外してチームは敗退し、怪我をしないことを祈った日にはひどい捻挫をした。
こうして、神様に裏切られ続け、俺はいつしか神様を信じなくなった。
そして、神社の息子であることを嫌って髪を伸ばし、ピアスを開けたのだ。
これが世界一似合わない神社の息子をしている理由だ。
母親との会話のない朝食を終えた俺は、身だしなみを整え制服を来て、家をでた。
今日は月曜日、あと5日学校に行ったらゴールデンウィークが待ってる。頑張ろう。
「行って来ます」
小さい声でそういうと母親が会釈を返してくれる。母親は俺がどうなっても変わらず接してくれる。
口では絶対言えないんだけれど、いつもありがとう。
そうして俺は学校へと向かった。
頭の奥の方に響くその音が、俺に朝だということを知らせてくる。
時刻は午前5:00。神社の朝は早い。
「もう朝よ、ご飯はもうできているから」
「すぐ行くよ」
母親の声に適当に返事をしながら、身を起こす。
手首につけているヘアゴムで、肩くらいに伸びた髪の毛を後ろで結んだ。
これが神社の息子かって?ええそうとも、私こそが寺田家の一休です。
俺は全国でも有数の神社「寺田神社」5代目僧侶寺田一蔵(てらだいちぞう)の一人息子、寺田一休である。
一休という名前のくせして、その正体が長髪とは誰が想像できただろう。
今にも閉じそうな目をこすりながら、食卓へと足を進める。
4月も終わりそうだというのに、吹き抜ける風はまだツンと冷えている。まるで俺と父さんの関係みたいだ。
そんなことを思っていると冷たい風に乗ってヤツが来た。
「...おはようございます」
とりあえず挨拶だ。冷え切った関係にも礼儀あり。
「朝のお参りはどうした」
挨拶はしてくださいよお父様。挨拶をしろって口すっぱく教育して来たのはあなたですよね!?
「それにその髪はいつ剃るんだ。この家に似つかわしくないってのはわかってるんだろうな。」
「へいへい、気が向いたらそうするよ」
「...」
気の抜けた声であしらうと父親は食卓と逆方向に足を進めた。
「ちょっと、一蔵さん!ご飯できてますよ!」
「その腑抜けたやつと食う飯なんてまずくてたまらねえから、後で食べることにする、悪いな」
そう言って父は廊下の奥へと行ってしまった。冷え切った関係に終わりは来るのだろうか。
俺もわかってはいた。これは一種の現実逃避であり、両親を悲しませていることは。
でもしょうがないんだ。俺は、神社の息子でありながら神に見放されているんだ。
神社の息子として生まれた俺には、他の人よりも神という存在が身近に感じられた。
事あるごとに賽銭の前に立っては、祈った。
「明日天気になりますように」
「明日のテスト、勉強したところが出ますように」
「サッカーの試合で点が決められますように」
「怪我をせずに帰って来れますように」
しかし、そのお願い事を全て神様は裏切った。
天気をお祈りした日は土砂降りの雨だったし、テストの山なんて当たったことはない。
サッカーの試合では最後のPKを外してチームは敗退し、怪我をしないことを祈った日にはひどい捻挫をした。
こうして、神様に裏切られ続け、俺はいつしか神様を信じなくなった。
そして、神社の息子であることを嫌って髪を伸ばし、ピアスを開けたのだ。
これが世界一似合わない神社の息子をしている理由だ。
母親との会話のない朝食を終えた俺は、身だしなみを整え制服を来て、家をでた。
今日は月曜日、あと5日学校に行ったらゴールデンウィークが待ってる。頑張ろう。
「行って来ます」
小さい声でそういうと母親が会釈を返してくれる。母親は俺がどうなっても変わらず接してくれる。
口では絶対言えないんだけれど、いつもありがとう。
そうして俺は学校へと向かった。
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