13 / 25
13
しおりを挟む
なかは篠山がなにもせずとも濡れて柔らかくなっており、添えるくらいにペニスをあてがっただけで、先端がずるっとめりこんでいった。
「あああっ」
四つん這いになった細い腰を掴んで後ろから押しこむと、彼は背中を反らして前へと逃げていく。結局はいつものように胸をぺたっとシーツに押しつけ、尻だけを突きだす体勢になった神野に、小刻みにずんすんと突き立てていった。
「ああん、ああん、……んぁっ」
篠山は本当なら相手の顔を見ながらするのが好きだ。穿つのに合わせて表情がどう変化するか。それで相手が気持ちよくなれているかを判断して、攻めていく。抱いた男をどれだけ悦ばせられるかは、自分の悦楽にもつながる。
神野を抱くときだって、おおかたは正上位だ。彼は顔を隠そうとしない。うつくしい顔が快楽に歪むさまは、とても情欲を煽った。寄せられる眉も、咬みしめられて撓む唇も、そしてそれが徐々に赤く色づいていくのも好きだ。
彼をこの道にはめてはいけないとずっと遠慮してきた時期があったが、恋人として抱きあうようになったいいまでは、唾液でてらっと光るそれに我慢せずによくなった。思う存分むしゃぶりつくことができるのだ。
今夜もできれば正面から抱き合いたかったのだが、なさけなくも篠山にはもう彼の脚を抱えて腰を振る気力がない。しかも一発終わってしまえば、そのまま睡魔に襲われダウンしそうだ。
「ああん、ああ……ああんっ」
たいして神野は今夜も絶好調で、気持ちよさそうに背を反らしては、断続的にぶるぶるぶるっと身を震わせている。
「あんっ、……いいっ……いいですっ」
褒められて、余計に罪悪感が増してしまう。
(でも悪い、俺はもう限界だ……)
挿れるまえに神野のものを一発、いや二発ほど抜いておけばよかったのだが、後悔先に立たずだ。ちょっと考えればわかることだったのに、はやくはやくと目で訴える彼が、熱く吐息を漏らして唇を舐めるのを見てしまえば、もうだめで。篠山はさっさと彼のなかに屹立を埋めてしまっていた。
(やばい。これすぐイってしまいそう)
久しぶりの交接に、挿れてまもないうちから篠山のペニスのさきは蕩け落ちてしまいそうだった。
そこへ神野の素直に悦楽に酔う媚態に煽られ、そして彼の粘膜に呑み下すようしてペニスを絞られる。限界はもう、はやくもそこに訪れてきていて。
「やっ。だめっ。だめですぅっ」
いちど果ててしまえば二度目はもう無理だと、自分の体調をわかっていた篠山は、ならばも諸共と神野の腹に手をまわして、彼のそそり立つものに手を添えた。
「いやっ、でちゃうっ、触らないでっ、やめてくださいっ」
「だめ。祐樹、今日はもうイって」
「あっ、やっ、あああっ」
神野の下腹部のあたり。尻を突きだしていて僅かにあいたシーツとの隙間で、ペニスを握りこもうとする手と、それを引き剥がそうとする手が小競り合う。自分だけがひとり彼のなかでイって神野をひとり残してはマナー違反だと思ってのことなのに、理性を失っている神野にはそれが通じない。
「いやっ、いやっ、やめてやめてやめてっ」
篠山はすこしでも長く、そしておそらく数多くセックスの快感に溺れていたい貪欲な情人の、びしょびしょに濡れたカリを弄りながら、隙穴のなか、彼にとってのいいところを狙って思い切りこすりあげた。
「いいからイけって」
「あああああああっ!」
べしゃっと飛びだした白濁を手のひらで受けとめながら、「ふ、うっ」と息を詰めて彼の熱い体内で吐きだした。はぁはぁとふたりで吐く荒い息が暫く暗い寝室につづく。
手首のうえがひりひりと痛むのは、やっきになって自分のものから手を引き剥がそうとした神野に、ひっかかれたからだ。
(なんつーヤツだ……)
「悪い。今日はもう限界。おしまい」
まだ断続的にびくびく痙攣する神野の身体をひっくり返し、こちらを向けると布団を剥ぐ。目は口ほどに物を云うというが、強引に吐精させられ行為を終わらされた神野の不服そうなこと。篠山はティッシュで汚れた手を拭ってきれいにしたあと、詫びの気持ちをこめて彼に口づけた。
「ごめんな」
舌を絡めると、従順に吸いかえしてくる。唇を離すときにはちうっと音がたった。
「そんな顔するなよ、な?」
「べつに、普通です。それよりもはやく寝てください」
「ん、悪いな」
やさしい声で云ってくれた恋人に甘えさせてもらって、篠山はさっさと始末を終えるとまだ情欲の名残に震える細い肢体を抱きしめて、眠りについたのだ。
しかしそれが取りかえしがたい失敗だったのだと知ったのは、翌朝のことだった。
目覚ましが鳴るよりはやく、腕のなかから神野が抜け出ていった気配で目が覚めた篠山は、上にトレーナを着て下はパンツだけを穿いた神野が、ゴミ箱のまえでしゃがみこんでいることに気づいた。
「祐樹、お前……、なにしてるんだ……?」
声をかけられた彼がさっとゴミ箱のなかに押しこんで隠したのは、そこに捨ててあった使用済みの避妊具だった。
「なにも、してません」
「嘘云うなよ……」
まじまじと神野を見つめると、彼は気まずそうに顔をそらした。
「気になったことがあったので、ちょっと確認していただけです」
「あああっ」
四つん這いになった細い腰を掴んで後ろから押しこむと、彼は背中を反らして前へと逃げていく。結局はいつものように胸をぺたっとシーツに押しつけ、尻だけを突きだす体勢になった神野に、小刻みにずんすんと突き立てていった。
「ああん、ああん、……んぁっ」
篠山は本当なら相手の顔を見ながらするのが好きだ。穿つのに合わせて表情がどう変化するか。それで相手が気持ちよくなれているかを判断して、攻めていく。抱いた男をどれだけ悦ばせられるかは、自分の悦楽にもつながる。
神野を抱くときだって、おおかたは正上位だ。彼は顔を隠そうとしない。うつくしい顔が快楽に歪むさまは、とても情欲を煽った。寄せられる眉も、咬みしめられて撓む唇も、そしてそれが徐々に赤く色づいていくのも好きだ。
彼をこの道にはめてはいけないとずっと遠慮してきた時期があったが、恋人として抱きあうようになったいいまでは、唾液でてらっと光るそれに我慢せずによくなった。思う存分むしゃぶりつくことができるのだ。
今夜もできれば正面から抱き合いたかったのだが、なさけなくも篠山にはもう彼の脚を抱えて腰を振る気力がない。しかも一発終わってしまえば、そのまま睡魔に襲われダウンしそうだ。
「ああん、ああ……ああんっ」
たいして神野は今夜も絶好調で、気持ちよさそうに背を反らしては、断続的にぶるぶるぶるっと身を震わせている。
「あんっ、……いいっ……いいですっ」
褒められて、余計に罪悪感が増してしまう。
(でも悪い、俺はもう限界だ……)
挿れるまえに神野のものを一発、いや二発ほど抜いておけばよかったのだが、後悔先に立たずだ。ちょっと考えればわかることだったのに、はやくはやくと目で訴える彼が、熱く吐息を漏らして唇を舐めるのを見てしまえば、もうだめで。篠山はさっさと彼のなかに屹立を埋めてしまっていた。
(やばい。これすぐイってしまいそう)
久しぶりの交接に、挿れてまもないうちから篠山のペニスのさきは蕩け落ちてしまいそうだった。
そこへ神野の素直に悦楽に酔う媚態に煽られ、そして彼の粘膜に呑み下すようしてペニスを絞られる。限界はもう、はやくもそこに訪れてきていて。
「やっ。だめっ。だめですぅっ」
いちど果ててしまえば二度目はもう無理だと、自分の体調をわかっていた篠山は、ならばも諸共と神野の腹に手をまわして、彼のそそり立つものに手を添えた。
「いやっ、でちゃうっ、触らないでっ、やめてくださいっ」
「だめ。祐樹、今日はもうイって」
「あっ、やっ、あああっ」
神野の下腹部のあたり。尻を突きだしていて僅かにあいたシーツとの隙間で、ペニスを握りこもうとする手と、それを引き剥がそうとする手が小競り合う。自分だけがひとり彼のなかでイって神野をひとり残してはマナー違反だと思ってのことなのに、理性を失っている神野にはそれが通じない。
「いやっ、いやっ、やめてやめてやめてっ」
篠山はすこしでも長く、そしておそらく数多くセックスの快感に溺れていたい貪欲な情人の、びしょびしょに濡れたカリを弄りながら、隙穴のなか、彼にとってのいいところを狙って思い切りこすりあげた。
「いいからイけって」
「あああああああっ!」
べしゃっと飛びだした白濁を手のひらで受けとめながら、「ふ、うっ」と息を詰めて彼の熱い体内で吐きだした。はぁはぁとふたりで吐く荒い息が暫く暗い寝室につづく。
手首のうえがひりひりと痛むのは、やっきになって自分のものから手を引き剥がそうとした神野に、ひっかかれたからだ。
(なんつーヤツだ……)
「悪い。今日はもう限界。おしまい」
まだ断続的にびくびく痙攣する神野の身体をひっくり返し、こちらを向けると布団を剥ぐ。目は口ほどに物を云うというが、強引に吐精させられ行為を終わらされた神野の不服そうなこと。篠山はティッシュで汚れた手を拭ってきれいにしたあと、詫びの気持ちをこめて彼に口づけた。
「ごめんな」
舌を絡めると、従順に吸いかえしてくる。唇を離すときにはちうっと音がたった。
「そんな顔するなよ、な?」
「べつに、普通です。それよりもはやく寝てください」
「ん、悪いな」
やさしい声で云ってくれた恋人に甘えさせてもらって、篠山はさっさと始末を終えるとまだ情欲の名残に震える細い肢体を抱きしめて、眠りについたのだ。
しかしそれが取りかえしがたい失敗だったのだと知ったのは、翌朝のことだった。
目覚ましが鳴るよりはやく、腕のなかから神野が抜け出ていった気配で目が覚めた篠山は、上にトレーナを着て下はパンツだけを穿いた神野が、ゴミ箱のまえでしゃがみこんでいることに気づいた。
「祐樹、お前……、なにしてるんだ……?」
声をかけられた彼がさっとゴミ箱のなかに押しこんで隠したのは、そこに捨ててあった使用済みの避妊具だった。
「なにも、してません」
「嘘云うなよ……」
まじまじと神野を見つめると、彼は気まずそうに顔をそらした。
「気になったことがあったので、ちょっと確認していただけです」
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる