異世界召喚。テンプレ通り

福の縞猫

文字の大きさ
3 / 10

逃げる。

しおりを挟む
(もう猶予は無いな。
全員ぶちのめそう。)

「なっ、なんだ。貴様。
ぐぁあーー」

「なんじゃ。おいっ。切り捨てろ。
うぼぇーーー」

「なんザマス。なんなんザマス。たすけるザマス。
ぎょうえぇー」


「皆。手伝って。
こいつらふん縛るよ。」

「君、わかってるねー。」

「な、なん。
どういうこと?」

「勇者君。バカも大概にしないと死ぬよ。
こいつらは戦争の道具としてわたしたちを召喚して、隷属しようとしてるの。逃げないと戦える人は戦争に、戦え無い人は女性なら慰み者かな。
この状況で逃げないなんて人はいないと思うけどどうする?」

「逃げるわ。」

「じゃあ、勇者くん。
わたしについてきて。
蹴散らしていくから、皆は身動き取れないように縛っていって。」

「と、止まれーー。」

「バカね。止まるわけないでしょう。
食料と金目のものは片っ端から貰っていくよー。
仕舞えるスキル持ちはいる?」

「あ、わたしが。」

「じゃあお願いね。
あとで分配するから。」



粗方奪い取り、ここは廃墟の中。

「全部で十二人か。
自己紹介は要らないからスキルを教えて。」

「じゃあ僕から。僕は勇者で。スキルは勇気。」

「やっぱり勇者だったんだね。
テンプレだなあ。」

「ホントだね。
勇者くん。ここでは盗賊も居るし魔物も居ると思って。死にたくないなら他人は疑って掛かって。この世界の知識も無いのにリーダーシップを取ろうとしたら見限るから。
次は僕が。僕は魔導師。全属性魔法だよ。」







「先ずこの国はまずい。
直ぐ逃げるよ。地図は。くーちゃん。
スキルおねがい。」

「くーちゃん?わたし?
わかったわ。
ワールドマップ」

「ふーん。移動手段は徒歩しか無いけど頑張って。
移動が辛いなら途中の村か町で置いてくから。
後は冒険者になるとか商業ギルドで薬師とかで生き抜いてね。」

「貴女、チートが凄いんでしょう?
なら皆を助けてよ。」

「んー。隣国に逃げたらわたしは皆と離れるよ。
わたしって運動音痴なのは皆も知ってるよね。
皆笑ってたもん。それがチートで普通以上に動けるようになったんだから、この世界を楽しむよ。」

「そ、それは。」

「じゃあ後はわっくん。リーダーとして皆をお願いね。」

「僕かよ。まあ皆が納得するまで教えてみるか。」

「僕は納得してないぞ。何故そいつがリーダーなんだ。」

「勇者くん。貴方バカなんだから話を聞きなさい。」

「バカ。バカァ。僕は全国模試でも一桁だったんだぞ。」

「勇者くん。だからバカだって言ってるのよ。
ここで全国模試が関係ある?
生きるか死ぬかの時に話を聞かないバカは縛って置いてくよ?」
(絶対こいつ納得してない。そのうち大バカやらかす。)

「ぐっ、ぐぅうう。」

「駄目だ。殴る。
縛っておいて。
ここがどんなに死が近い世界なのかよく考えて。
黙ってるってことは皆、それなりに異世界物読んでるんでしょう?勇者くんは知識がないみたいだけど、こいつ絶対何かやらかすよ。ざまぁ物なら行く行くは盗賊のパターンかな。」

「ホントに君わかってるねー。
食料はあるからちょっとずつ隣国に向けて進みましょう。で、多分国境付近には衛兵がいる。捕まったら隷属か死だからね。」

「わたし、勇者くん城に置いてくるよ。
戻って来るから基本的なことを教えといて。」

「見殺しよりはいいか。お願いするよ。
この世界なんだけど、ケーちゃんが言ったように魔物や盗賊が普通に居る世界だと思って。
男性なら殺す。女性なら嬲られて売られるかな。
いや、嬲られてもいいなら城に戻ってもいいよ。
いずれ人を殺さなくちゃいけない時が来る。
多分すぐに。
スキルは使えるものは常時使って。特に索敵と魔力感知。不審者の接近に備えられる。
それと魔法を使える人。火の魔法は極力使わない。
じゃあケーちゃんが戻ってくるまで魔法の練習でもしよう。」






「ただいま。
魔法の練習?皆優秀だね。
じゃあわたしのスキルでわかっていることだけ教えてあげる。スキルの補助ねー。何でも出来る。冒険者の補助って言ったら?ポーターとか薬師とか魔術師とかね。でもネットショッピングとかは無理だよ。この世界での事はなんでもかな。」

「はー、ホントにチートだね。」

「あっちでは歩くのさえまともじゃなかったんだから。つまり、一人で完結してるの。皆と一緒にいる理由がないの。わかってくれた?」

「わかったわ。散々無視したり悪口言ったりだったのに今更よね。暫くは脇役くん。あ、ごめん。わっくんに頼ることになるけど、宜しくお願いします。」
















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...