社畜OL(22)、魔女(9)になる~どうやら世界を滅ぼす魔女のようです~

ありすぶるー

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王都炎上篇

第16話 《広場での出会い》

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 まずは大通りに出た。露店がいくつもあり、魔法を使ったショーも開催されていた。少し、足を止めて鑑賞してしまったのは内緒の話だ。

 人々の流れに沿って歩き続ける。さすが王都、人だかりがすごい。だがイブキが住んでいた東京の渋谷や新宿だって負けていなかった。
 イブキはできるだけ顔を伏せて足を進める。こんなことをしているのも、リムル神の予言のせいだ。やり場のない感情をぐっと噛み締めながらも、目指す広場へはなんの苦も無く辿り着くことができた。

 噴水がある大きな広場だ。ここからならリムル神がいる巨大な塔が一望できる。……が、空まで伸びていて、やはり頂上を拝むことはできない。
 もう一つ、一際大きな建物が目に入った。教会のようなそれは、シャルたちがいる氷花騎士団本部だった。そう、案内板に書いてある。
 案内板には、親切に街全外の地図も乗っていた。墓地は広場から離れた北の方にあるらしい。結構、距離はありそうだ。

 道を把握するべく、地図を睨みつけていると、突然声を掛けられた。

「なにかお探し?」

 いつのまにか、隣に若い女性が立っていた。声は、この女性のものだった。

 ウェーブのかかった白銀の髪。髪は肩まで伸びている。背はそんなに大きくないが、スタイルはいい。年齢はシャルと同じ20歳くらいだろうか。
 瞳は金色で、見つめていると吸い込まれそうになる。女性は口元だけを動かして笑みを浮かべていた。感情が読めなくて、少し不気味だ。

「あなたに聞いているの」

 女性のはっきりとした物言いに、イブキははっとして視線を外す。なんて答えればいいかわからない。まさか、《災禍の魔女》だとバレたか……?

 思案している暇もなく、イブキは当たり障りのない返答をするしかなかった。

「え、エネガルムに来るのは、初めてだから……」

 イブキの言葉に、女性が間を開けた。なにか探ろうとしているかのようだ。まるで、警察の尋問のような。イブキは居心地が悪くなって、手をもじもじとさせている。
 女性は、「ふふっ」と笑った。

「あら、そうなのね。あたしは仕事でこの街へ来たの。なにか、力になれることがあるかなと思って、声を掛けたのよ」

「大丈夫よ、ありがとう」

 イブキはそっけなく答えた。早く立ち去ってほしい。少しでも周囲に《災禍の魔女》だとバレるリスクを抑えたい。

 銀髪の女性は、じっとイブキの様子を伺っている。そして、口元だけで再度微笑んだ。

「なら、いいの。じゃあ、あたしは仕事に戻るね」

 イブキはほっとした。女性に会釈をする。女性は、金色の瞳でイブキを見下ろし、最後に一言告げた。

「またね、《災禍の魔女》さん」

「――っ!?」

 
 女性の言葉に、イブキは息を飲んだ。バレている――!? けれど、なんで……。
 だが、女性はそれ以上何も言わずに広場を後にした。氷花騎士団のメンバーではないだろう。シャルたちとは、雰囲気が違った。敵か、味方か、それすらもわからない。

(《災禍の魔女》からしたら、ほとんどが敵なんだろうけど……)

 その背中が見えなくなるまで、イブキはじっと見つめていることしかできない。

(なんで、バレたの……? いや、彼女は、最初からわたしだと知って近づいてきたのか……?)

 軽いストーカーにでもあった気分だ。イブキの額に、冷や汗が浮かんでいる。

 彼女の正体が気になる……が、兎にも角にも、まずは墓地へ行ってブレインと会う。話はそれからだ。今は、自分の計画だけに集中しないと。

 歩き始めるが、どうしてもあの女性の言葉が耳に焼き付いていた。

 彼女は、「またね」と言った。まるで「また会いに来る」とでも言っているかのようだ。あれは、どういう意味だろうか――?
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