お前らに絶対 Aliceの血は喰わせねぇ

楪 伊緒

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Three phrase.*・゚ .゚・*.

2nd

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 私は夜中まで調べ物を進めていた。ついさっき見たものの、真相を。しっかりと確認する為に。
 恐怖で固まって、観察能力など全く働いていなかったようだけど、微かに思い出せる事がある。
 彼の八重歯、恐ろしい程鋭かった。それは、即ち本物の吸血鬼を意味するものなのか。スマホをタップする人差し指が震えている。検索しても、吸血鬼などいない、それの一点張りで、どうも役に立たなかった。あれは、明らかに吸血鬼と言える存在だったのに。
 あと、あとからじわじわと思い出したものがある。目が赤かった。
 鏡夜君は、普段は琥珀色の目をしている。それが、私の首筋を舐める前、気持ち悪い程混沌とした赤に染まっていたのだ。
 やっぱり、彼は、非科学的な生物なのかもしれない。その時、私は過去の自分の異名を思い出した。
 ・・・紫眼の吸血妃シガンノヴァンパイア
 周りのみんなには、私があんなふうに映っていたのか。おえ、と吐き気が襲う。全てが気持ち悪くなった。冷静になってからこそ、気付く事がある。
 とにかく、今は過去の野心を持った私が現れそうになるわ、おかしな生物のいる家に住んでるわ、最悪の状態なのだ。
 あ、そうだ。おばあちゃんに連絡しよう。
 おばあちゃんに事情を話せば、元のあの部屋に戻してくれるかもしれない。
 すぐに電話を掛けた。数コール後、艶のある美しい声が響く。
 「お、お祖母様!」
 「あらあらぁ、どうしたのよ。そんなに慌てて」
 向こうは何も知らず呑気だ。
 「大変なんですお祖母様!」
 「・・・なに?」
 明らかに真剣になったおばあちゃんの声に、ごくりと唾液を飲み込むと、覚悟を決めて先程起こった出来事を全て伝える。
 誠心誠意伝えたつもりだった。
 だけど。
 「やだ、新生活早々そんな悪い夢を見たのね?吸血鬼なんていないのよ、安心なさい。ゆっくり寝るといいわ、もう夜中なんだし。おやすみ」
 そう告げられると、向こうから一方的に電話は切られた。時計を見てみると、今は丁度零時。
 おばあちゃんに裏切られた気分だった。少なくとも、冗談を言う子だとは思われてはいなかった筈なのに。
 理解出来ないのもわかる。だって、急に吸血鬼なんて言われても困惑するだけだろう。けれど!!
 ビュオォッー。
 突然の突風。窓なんて開けてないのに、でも、風が吹いたと同時に、私のベット、腕、顔と段々月光も差し込んで来た。嫌な予感しかしないしない。
 「まだ起きてたのかよ。寝た所を襲おうと思っていたのに」
 地獄の更にドン底に落とされた気分。言葉にすると安っぽいかも知れないけど、それは死が軽く感じてしまうくらいの絶望。
 目の光も何もかも全て失せて、ゆっくり顔を開けると、ベットの向こうの窓が開き、そこに鏡夜君が座っていた。
 真紅の瞳で。
 「さっきはいい所で逃げやがってなぁ、抵抗したら殺すって言っただろ?」
 すたっと私の部屋に着地すると、ゆっくり、ゆっくりと近付いてきた。月光の逆行でよく見えないのをいい事に、赤の他人だと思いたかった。
 ーなにコイツ、執拗いシツコイ
 また私・・・!
 恐怖で指の先まで動かせない時に、一筋の希望のように過去の私の声が響く。
 ー女を消して生き延びる方法はどう?
 声だけでわかる、過去の私は笑っている。楽しんでいるのか、はたまた、自分に体が返ってくることが嬉しいのか。
 彼はベットに上がり、見えない勢いで私の首を片手で締めた。
 意識が遠のく。顔が風船になって、割れてしまいそうだった。
 ー苛つく
 こんな状況でも、脳内では一方的に私が喋り続ける。助けてよ、もう無理なの。助けて。
 意識が完全に無くなる前に、鏡夜君はぱっと手を離した。今しか無い。
 すぐに、部屋の扉へ飛んだ。あと少し、あともう少し。ドアノブに手をかけようとした途端、ふわりと体が浮いたのだ。
 それによってまた再び彼の元へ戻されてしまう。体を浮かす事まで出来るなんて・・・。
 「もう感激物だわ」
 感情を全て失った私は、いつの間にか彼の腕の中で横たわっていて、視界には彼の顔だけが写っている。
 此処で死ぬのも、いいのかなぁ。
 ゆっくり、鏡夜君の顔が首元へ向かって、歯を突き立てた。ぐぐっ、とそれが押し込まれる。痛い、痛い痛い痛い痛い痛い。
 血が僅かに溢れた。その瞬間、私にも止めることの出来ない何かが、私の中で暴れだしたのだ。
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