9 / 11
Three phrase.*・゚ .゚・*.
2nd
しおりを挟む
私は夜中まで調べ物を進めていた。ついさっき見たものの、真相を。しっかりと確認する為に。
恐怖で固まって、観察能力など全く働いていなかったようだけど、微かに思い出せる事がある。
彼の八重歯、恐ろしい程鋭かった。それは、即ち本物の吸血鬼を意味するものなのか。スマホをタップする人差し指が震えている。検索しても、吸血鬼などいない、それの一点張りで、どうも役に立たなかった。あれは、明らかに吸血鬼と言える存在だったのに。
あと、あとからじわじわと思い出したものがある。目が赤かった。
鏡夜君は、普段は琥珀色の目をしている。それが、私の首筋を舐める前、気持ち悪い程混沌とした赤に染まっていたのだ。
やっぱり、彼は、非科学的な生物なのかもしれない。その時、私は過去の自分の異名を思い出した。
・・・紫眼の吸血妃
周りのみんなには、私があんなふうに映っていたのか。おえ、と吐き気が襲う。全てが気持ち悪くなった。冷静になってからこそ、気付く事がある。
とにかく、今は過去の野心を持った私が現れそうになるわ、おかしな生物のいる家に住んでるわ、最悪の状態なのだ。
あ、そうだ。おばあちゃんに連絡しよう。
おばあちゃんに事情を話せば、元のあの部屋に戻してくれるかもしれない。
すぐに電話を掛けた。数コール後、艶のある美しい声が響く。
「お、お祖母様!」
「あらあらぁ、どうしたのよ。そんなに慌てて」
向こうは何も知らず呑気だ。
「大変なんですお祖母様!」
「・・・なに?」
明らかに真剣になったおばあちゃんの声に、ごくりと唾液を飲み込むと、覚悟を決めて先程起こった出来事を全て伝える。
誠心誠意伝えたつもりだった。
だけど。
「やだ、新生活早々そんな悪い夢を見たのね?吸血鬼なんていないのよ、安心なさい。ゆっくり寝るといいわ、もう夜中なんだし。おやすみ」
そう告げられると、向こうから一方的に電話は切られた。時計を見てみると、今は丁度零時。
おばあちゃんに裏切られた気分だった。少なくとも、冗談を言う子だとは思われてはいなかった筈なのに。
理解出来ないのもわかる。だって、急に吸血鬼なんて言われても困惑するだけだろう。けれど!!
ビュオォッー。
突然の突風。窓なんて開けてないのに、でも、風が吹いたと同時に、私のベット、腕、顔と段々月光も差し込んで来た。嫌な予感しかしないしない。
「まだ起きてたのかよ。寝た所を襲おうと思っていたのに」
地獄の更にドン底に落とされた気分。言葉にすると安っぽいかも知れないけど、それは死が軽く感じてしまうくらいの絶望。
目の光も何もかも全て失せて、ゆっくり顔を開けると、ベットの向こうの窓が開き、そこに鏡夜君が座っていた。
真紅の瞳で。
「さっきはいい所で逃げやがってなぁ、抵抗したら殺すって言っただろ?」
すたっと私の部屋に着地すると、ゆっくり、ゆっくりと近付いてきた。月光の逆行でよく見えないのをいい事に、赤の他人だと思いたかった。
ーなにコイツ、執拗い
また私・・・!
恐怖で指の先まで動かせない時に、一筋の希望のように過去の私の声が響く。
ー女を消して生き延びる方法はどう?
声だけでわかる、過去の私は笑っている。楽しんでいるのか、はたまた、自分に体が返ってくることが嬉しいのか。
彼はベットに上がり、見えない勢いで私の首を片手で締めた。
意識が遠のく。顔が風船になって、割れてしまいそうだった。
ー苛つく
こんな状況でも、脳内では一方的に私が喋り続ける。助けてよ、もう無理なの。助けて。
意識が完全に無くなる前に、鏡夜君はぱっと手を離した。今しか無い。
すぐに、部屋の扉へ飛んだ。あと少し、あともう少し。ドアノブに手をかけようとした途端、ふわりと体が浮いたのだ。
それによってまた再び彼の元へ戻されてしまう。体を浮かす事まで出来るなんて・・・。
「もう感激物だわ」
感情を全て失った私は、いつの間にか彼の腕の中で横たわっていて、視界には彼の顔だけが写っている。
此処で死ぬのも、いいのかなぁ。
ゆっくり、鏡夜君の顔が首元へ向かって、歯を突き立てた。ぐぐっ、とそれが押し込まれる。痛い、痛い痛い痛い痛い痛い。
血が僅かに溢れた。その瞬間、私にも止めることの出来ない何かが、私の中で暴れだしたのだ。
恐怖で固まって、観察能力など全く働いていなかったようだけど、微かに思い出せる事がある。
彼の八重歯、恐ろしい程鋭かった。それは、即ち本物の吸血鬼を意味するものなのか。スマホをタップする人差し指が震えている。検索しても、吸血鬼などいない、それの一点張りで、どうも役に立たなかった。あれは、明らかに吸血鬼と言える存在だったのに。
あと、あとからじわじわと思い出したものがある。目が赤かった。
鏡夜君は、普段は琥珀色の目をしている。それが、私の首筋を舐める前、気持ち悪い程混沌とした赤に染まっていたのだ。
やっぱり、彼は、非科学的な生物なのかもしれない。その時、私は過去の自分の異名を思い出した。
・・・紫眼の吸血妃
周りのみんなには、私があんなふうに映っていたのか。おえ、と吐き気が襲う。全てが気持ち悪くなった。冷静になってからこそ、気付く事がある。
とにかく、今は過去の野心を持った私が現れそうになるわ、おかしな生物のいる家に住んでるわ、最悪の状態なのだ。
あ、そうだ。おばあちゃんに連絡しよう。
おばあちゃんに事情を話せば、元のあの部屋に戻してくれるかもしれない。
すぐに電話を掛けた。数コール後、艶のある美しい声が響く。
「お、お祖母様!」
「あらあらぁ、どうしたのよ。そんなに慌てて」
向こうは何も知らず呑気だ。
「大変なんですお祖母様!」
「・・・なに?」
明らかに真剣になったおばあちゃんの声に、ごくりと唾液を飲み込むと、覚悟を決めて先程起こった出来事を全て伝える。
誠心誠意伝えたつもりだった。
だけど。
「やだ、新生活早々そんな悪い夢を見たのね?吸血鬼なんていないのよ、安心なさい。ゆっくり寝るといいわ、もう夜中なんだし。おやすみ」
そう告げられると、向こうから一方的に電話は切られた。時計を見てみると、今は丁度零時。
おばあちゃんに裏切られた気分だった。少なくとも、冗談を言う子だとは思われてはいなかった筈なのに。
理解出来ないのもわかる。だって、急に吸血鬼なんて言われても困惑するだけだろう。けれど!!
ビュオォッー。
突然の突風。窓なんて開けてないのに、でも、風が吹いたと同時に、私のベット、腕、顔と段々月光も差し込んで来た。嫌な予感しかしないしない。
「まだ起きてたのかよ。寝た所を襲おうと思っていたのに」
地獄の更にドン底に落とされた気分。言葉にすると安っぽいかも知れないけど、それは死が軽く感じてしまうくらいの絶望。
目の光も何もかも全て失せて、ゆっくり顔を開けると、ベットの向こうの窓が開き、そこに鏡夜君が座っていた。
真紅の瞳で。
「さっきはいい所で逃げやがってなぁ、抵抗したら殺すって言っただろ?」
すたっと私の部屋に着地すると、ゆっくり、ゆっくりと近付いてきた。月光の逆行でよく見えないのをいい事に、赤の他人だと思いたかった。
ーなにコイツ、執拗い
また私・・・!
恐怖で指の先まで動かせない時に、一筋の希望のように過去の私の声が響く。
ー女を消して生き延びる方法はどう?
声だけでわかる、過去の私は笑っている。楽しんでいるのか、はたまた、自分に体が返ってくることが嬉しいのか。
彼はベットに上がり、見えない勢いで私の首を片手で締めた。
意識が遠のく。顔が風船になって、割れてしまいそうだった。
ー苛つく
こんな状況でも、脳内では一方的に私が喋り続ける。助けてよ、もう無理なの。助けて。
意識が完全に無くなる前に、鏡夜君はぱっと手を離した。今しか無い。
すぐに、部屋の扉へ飛んだ。あと少し、あともう少し。ドアノブに手をかけようとした途端、ふわりと体が浮いたのだ。
それによってまた再び彼の元へ戻されてしまう。体を浮かす事まで出来るなんて・・・。
「もう感激物だわ」
感情を全て失った私は、いつの間にか彼の腕の中で横たわっていて、視界には彼の顔だけが写っている。
此処で死ぬのも、いいのかなぁ。
ゆっくり、鏡夜君の顔が首元へ向かって、歯を突き立てた。ぐぐっ、とそれが押し込まれる。痛い、痛い痛い痛い痛い痛い。
血が僅かに溢れた。その瞬間、私にも止めることの出来ない何かが、私の中で暴れだしたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写と他もすべて架空です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる