ビッチな妹が好きな婚約者が婚約破棄してきたので、卒業パーティーで二人が喘いでいる音声を流してやりました。【全7話】

無名 -ムメイ-

文字の大きさ
4 / 7
ざまぁまで我慢、我慢!

4話

しおりを挟む
 思わず声を上げてしまいました。

 でも、本当に困るのです。

 私にとって、卒業資格というのは命の次に大事な物。
 それを剥奪されてしまっては、学園に通っていた意味が無くなってしまいます。

 私は卒業資格を得るためだけに、アイリーン学園に通っていたのですから。

 もちろん、学友ができたのはいい経験でしたけれど……

「王子である俺に『宣言するな』とは何だ! 温情で卒業資格の剥奪で事を済ませてあげようとしているのだぞ!」
「そうですよ……。だから、もうやめましょう? お姉さま。罪を認めれば、卒業資格の剥奪で済みます」

 ……何です、それ?

 流石の私でも堪忍袋の緒が切れそうです。

 なぜ、私が悪者になっているのですか?
 なぜ、私が諭されているのですか?
 なぜ、私はこんなにも馬鹿にされているのですか?

 意味が分かりません。理解不能です。

 ですが、もっと意味が分からないのが、

「卒業資格剥奪じゃ生温い! 即刻、死刑にすべきだ!」
「マリアを泣かせた罪は大きい!」
「その報いを潔く受けろ! この、メス豚が!」

 なぜ、野次がエスカレートしているのでしょうか?

 それが腹立たしくて仕方がない。今にも黙らせてしまいたいぐらい……私は怒っている。

 だが、その怒りの矛先はマリアだ。

 声を上げている男子生徒は、マリアに騙されている愚か者――こほんっ、被害者ですから……

 一発、ぶん殴ってやりたいところですが……

「みんな、聞いて! お姉さまをこれ以上、悪く言うのはやめてほしいの……」
「あぁ?」

 おっと、またまた令嬢らしからぬ声が出てしまいました。

 かなりドスの効いた良い声だったに違いありません。

 というのも私、激おこプンプン丸です。
 可愛い表現をしていますが、ガチギレしています。

 何が、『お姉さまをこれ以上、悪く言うのはやめてほしいの……』ですか。

 芝居が下手すぎて、反吐が出ますわ。
 大根役者でももう少しいい演技をしてくれますわよ?

 というのは置いておくとして……

「……私が反論しないからと言いたい放題してくれましたね? もう許してあげません。怒ったら怖いことを思い出させてあげますわ。ねぇ? ユリウス? マリア?」

 私は親指と中指を弾いて、パチンッと音を鳴らした。

 その瞬間、先ほどまで野次を飛ばしていた哀れな男子生徒が正気を取り戻していく。

 ――のも束の間、再び音魔法で魅了しようする性格クソ女のマリア。

 しかし、今回は不発に終わった。
 私が魔法の効果を同じく音魔法で打ち消したのだ。

「お姉さま、一体なにをしましたの……?」
「あら? マリアは気づいたの? そこのお馬鹿さんは何も気づいてないみたいだけど」
「それは誰のことを言っている! 俺はアイリーン王国の王子だぞ!」
「あなた以外に誰がいますの? もう少し自分を客観的に見ることを覚えた方がいいですよ?」

 あら、私ったらとても優しい! マリアと同じくゴミのユリウスにアドバイスしてあげるなんて!
 
 まあ、今さらその腐った性根を叩き直せるわけないですが。

「マリア。あなたの魅了は無効化されています。その意味が分かりますよね?」
「無効化だと!? そんなことできるわけが!」
「できますよ? あなたたちの言う『複数の男と乱交していた時間』を魔法開発に使っていた私ならね?」
「何!?」

 まったく、何を驚いているのでしょうか。

 私、この魔法のことはユリウスに話していたような気がするのですが……

 ……頭が弱いから忘れていたのでしょうか? 

 それしても面白いわね。マリアったら青白い顔をしちゃって。

 ユリウスみたいに何も考えられないアホならよかったのに、なまじ頭がいいから……

 これから私に何をされるのか察したのでしょう。

「さあ、マリア? ユリウス? フィーベル家の次期当主である私を侮辱するということは、フィーベル家に多額の投資をしているアイリーン王家にも泥を塗る行為。あなたたちの方こそ報いを受けてもらいますよ」





 


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

聖女の私と婚約破棄? 天罰ってご存じですか?

ぽんぽこ狸
恋愛
 王宮内にある小さな離宮、そこには幸運の女神の聖女であるルーシャが住んでいた。王太子の婚約者であるルーシャはその加護を王太子クリフにすべて捧げるために幼いころから離宮に隔離され暮らしている。  しかし、ある日クリフは、アンジェリカという派手な令嬢を連れてルーシャの元を訪れた。  そして彼らはルーシャの幸運の力は真っ赤な嘘で、ルーシャは聖女を騙ってクリフをだましているのだと糾弾する。    離宮でずっと怠けていて社交界にも顔を出さない怠惰なごく潰しだと言われて、婚約破棄を叩きつけられる。  そんな彼女たちにルーシャは復讐を決意して、天罰について口にするのだった。  四万文字ぐらいの小説です。強火の復讐です。サクッと読んでってください!  恋愛小説9位、女性ホットランキング2位!読者の皆様には感謝しかありません。ありがとうございます!

未来予知できる王太子妃は断罪返しを開始します

もるだ
恋愛
未来で起こる出来事が分かるクラーラは、王宮で開催されるパーティーの会場で大好きな婚約者──ルーカス王太子殿下から謀反を企てたと断罪される。王太子妃を狙うマリアに嵌められたと予知したクラーラは、断罪返しを開始する!

王宮で虐げられた令嬢は追放され、真実の愛を知る~あなた方はもう家族ではありません~

葵 すみれ
恋愛
「お姉さま、ずるい! どうしてお姉さまばっかり!」 男爵家の庶子であるセシールは、王女付きの侍女として選ばれる。 ところが、実際には王女や他の侍女たちに虐げられ、庭園の片隅で泣く毎日。 それでも家族のためだと耐えていたのに、何故か太り出して醜くなり、豚と罵られるように。 とうとう侍女の座を妹に奪われ、嘲笑われながら城を追い出されてしまう。 あんなに尽くした家族からも捨てられ、セシールは街をさまよう。 力尽きそうになったセシールの前に現れたのは、かつて一度だけ会った生意気な少年の成長した姿だった。 そして健康と美しさを取り戻したセシールのもとに、かつての家族の変わり果てた姿が…… ※小説家になろうにも掲載しています

聖女を無能と罵って婚約破棄を宣言した王太子は追放されてしまいました

もるだ
恋愛
「お前とは婚約破棄だ! 国から出ていけ!」 王命により怪我人へのお祈りを続けていた聖女カリンを罵ったのは、王太子のヒューズだった。若くて可愛い聖女と結婚するつもりらしい。 だが、ヒューズの暴挙に怒った国王は、カリンではなく息子の王太子を追放することにした。

妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~

岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。 本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。 別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい! そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。

婚約破棄されたので、その場から逃げたら時間が巻き戻ったので聖女はもう間違えない

aihara
恋愛
私は聖女だった…聖女だったはずだった。   「偽聖女マリア!  貴様との婚約を破棄する!!」  目の前の婚約者である第二王子からそう宣言される  あまりの急な出来事にその場から逃げた私、マリア・フリージアだったが…  なぜかいつの間にか懐かしい実家の子爵家にいた…。    婚約破棄された、聖女の力を持つ子爵令嬢はもう間違えない…

「誰もお前なんか愛さない」と笑われたけど、隣国の王が即プロポーズしてきました

ゆっこ
恋愛
「アンナ・リヴィエール、貴様との婚約は、今日をもって破棄する!」  王城の大広間に響いた声を、私は冷静に見つめていた。  誰よりも愛していた婚約者、レオンハルト王太子が、冷たい笑みを浮かべて私を断罪する。 「お前は地味で、つまらなくて、礼儀ばかりの女だ。華もない。……誰もお前なんか愛さないさ」  笑い声が響く。  取り巻きの令嬢たちが、まるで待っていたかのように口元を隠して嘲笑した。  胸が痛んだ。  けれど涙は出なかった。もう、心が乾いていたからだ。

婚約者が聖女様と結婚したいと言い出したので快く送り出してあげました。

はぐれメタボ
恋愛
聖女と結婚したいと言い出した婚約者を私は快く送り出す事にしました。

処理中です...