クズな義妹に婚約者を寝取られた悪役令嬢は、ショックのあまり前世の記憶を思い出し、死亡イベントを回避します。

無名 -ムメイ-

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3話

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「……これ、かなり無理ゲーなのでは?」

 アレンが屋敷を訪ねるまで、1週間を切った。
 というのに、状況は最悪のままだった。

 私はこの2週間、屋敷内にいる使用人から再び信頼を勝ち取ろうと行動を起こした。
 だが、どれだけ言葉を積み重ねても、一向に信じてもらえなかった。

 それどころか、話をまともに聞いてもらえていなかったようにも感じた。

「いろいろ頑張ったんだけどなぁ」

 たとえば、忙しそうにしている使用人の仕事を手伝ったり、なにか困りごとがあったら相談してねと、とにかく距離を縮めようと頑張った。

 ほかにも、髪も切った。

 流石に坊主にはできないけど、仲良くしたい、信じてもらいたい、その一心で軽く30センチは切った。

 エリザベスは髪を伸ばしているキャラクターだから、髪を切るのは意思表示をするには効果的だと思ったんだけど、反応はよくなかった。

「一体、なにがいけなかったんだろう?」

 どれだけ考えても答えが出ることはない。
 私の頭に浮かぶのは、なんの確証もない疑惑だけ。

「この2週間、言葉を投げかけてわかったけど、使用人全員が、私が知っている使用人じゃないんだよね」

 まぁ、私と言ってもエリザベスちゃんの記憶だから、感じ方が違うだけかもしれない。
 
 でも、使用人は私以外の人には普通だったから、やっぱり単純に嫌われていただけかも?
 
「はぁ……。イザベラがいない今がチャンスだと思ったんだけどなぁ」

 まさか、こうも進展がないとは。
 
 ちなみに今、イザベラはエルスの屋敷にいる。なので、私が目覚めてから一度も会っていない。

 きっと、恋人としてやることやってるんじゃないかな。
 ゲーム上でもどのルートを辿ろうが、なぜか攻略対象全員と肉体関係があったし。

「今思えば、キモいね」

 とはいえ、この事実も全ルート解放後に明かされることで、プレイ中はそのような説明はなかった。 

 ほんと、このゲームはとことんクソゲーだ。

「……というより、このゲームはイザベラ側に都合が良すぎるんだよなぁ」

 だから、エリザベスに救いがまったくない。
 
 普通、乙女ゲームって攻略対象の好感度を上げていくゲームでしょ?
 確かにこのゲームにもその好感度は存在しているけど、決して文字通りそのままの意味じゃない。

 このゲームの好感度は、エリザベスに対する憎悪や嫌悪とイコールだ。

 つまるところ、好感度を上げていると思いきや、エリザベスの首を絞めている、ということになる。

「……なら、なおさら味方を増やさないと」

 特に、アレンは絶対に仲間にしたい。
 
 ゲーム内で最も権力があるのがアレンだから、味方につけることができれば、一気に形勢は逆転するはずだ。

 それに、アレンは唯一エリザベスちゃんを心配している描写があったキャラだった気がする。

「なら、勝負は1週間後だね。
 ゲーム内では、エリザベスちゃんがアレンと関われる日は、この日だけだった気がするし」

 そうなると、時間との勝負になるね。

 アレンが屋敷を訪ねてくる日に、あの忌々しいイザベラも帰ってくるのだ。
 しかし、イザベラが帰ってくるのは、アレンが屋敷を訪ねてから1時間後ぐらい。

 つまり、その1時間でなんとしても、今の現状を説明して、すべてを信じてもらわなければならない。
 そうじゃないと、アレンもイザベラの毒牙にかかってしまう。
 
「……そうならないように、今のうちに情報を集めておかないと!」

 その日から私は、好感度稼ぎではなく、情報集めに時間を使うのだった。
 
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