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母親になって後悔している(2)
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「あれ?宮沢君と結奈ちゃんパパ!」
カウンター奥に座る祐介とタクさんを見て、陽子さんが声をあげる。
「おー、陽介君ママ!」
「え?何、知り合い?」
香菜さんがタクさんに聞く。
「うちの結奈のクラスメイトの陽介君のお母さんの岡本さん」
一瞬で理解できず、ん?と眉間に皺を寄せて考える香菜さんに「あ、私のママ友の旦那さんって奴なんです。宮沢君、ここいい?」
陽子さんは祐介の隣の椅子を見て聞いた。いいも何も祐介にとっては大歓迎である。
緊張しながら椅子を、タクさんが座る右隣にずらす。
「ありがと」
陽子さんはその隙間に体を滑りこませて隣の椅子に座る。
「ん?祐介君て『宮沢』って苗字だっけ?」
香菜さんはまたしても眉間に皺を寄せる。
「ひどいですね。二年もこの店に通ってるのに」
祐介は口を尖らせながら枝豆を咀嚼する。
「え、宮沢君て『祐介』って名前なの?」
今度は陽子さんが驚いた顔で遼介を見る。
「ひどいなあ」
祐介は芝居がかった調子でビールを煽る。
「ごめんごめん、うちの息子の名前『陽介』だから。似てるなって」
陽子さんが取りなすように笑った。
陽子さんの一人息子である陽介君は、祐介を見るといつも睨みつけてくる。
それは彼にとって遼介は恋敵だからである。
陽介君はタクさんの長女である結奈ちゃんが好きで、その結奈ちゃんはバレンタインチョコをプレゼントするほど
祐介が好き。その祐介が好意を向けている女性が陽介君の母親である陽子さん。
当の陽子さんはそんな祐介の気持ちも事も知りもせず、自分に興味ないどころかどこかで息子扱いしているようだった。恋の一方通行で大渋滞している訳だ。
「しかし、珍しいね、陽介君ママが飲みに来るなんて」
「ふっふっふ。うちの息子が二泊三日でボーイスカウトのキャンプに行ってくれてるの
よ。よって二日間、母親業から解放されて自由!」
陽子さんは大げさに両手を広げて香菜さんに「ビール下さい!」と叫ぶ。
子供のようにはしゃぐ陽子さんを初めて見た祐介は面食らってしまう。
香菜さんはクスッと笑いながら陽子さんの前に、ペールエールとカレー風味の枝豆が入った小鉢を並べた。
「きたきた!」
香菜さんはグラスに注がれたビールを一気に美味しそうに飲み干す。そして枝豆を手にとって「今日は自分の好きなものだけを食べるの。なんて贅沢!」
「あー、その気持ち分かるわー。うちもメシは嫁が頑張ってくれてるから決してまずい訳じゃないんだけど、
チビの娘二人メインだからさ、カレーが甘口だったり、ハンバーグとかオムライスとかコロッケとか、あんまり酒の肴になんないようなものばっかでさ。だからついつい、ここで夕飯食べちゃうんだよな」
「何言ってんですか、作ってくれる嫁がいるだけありがたく思ったらどうですか。私なんて毎日、自分がそこまで食べたいものじゃないものを作るんですから。ま、陽介が美味しく完食してくれるだけでいいんですけどねー」
陽子さんは早速、アルコールが回っているのかタクさんに突っ込みを入れる。
「お、陽介君ママ、中々言うねえ」
タクさんはタジタジだ。
「その『陽介君ママ』ての、ここではやめてくれませんか?私も『結奈ちゃんパパ』って呼ぶのやめますから」
「え?じゃあ『陽子さん』でいいの?なんだか艶かしいなあ…」
勝手に照れるタクさんを「馬鹿じゃないの」と香菜さんが突っ込み、皆が笑った。
カウンター奥に座る祐介とタクさんを見て、陽子さんが声をあげる。
「おー、陽介君ママ!」
「え?何、知り合い?」
香菜さんがタクさんに聞く。
「うちの結奈のクラスメイトの陽介君のお母さんの岡本さん」
一瞬で理解できず、ん?と眉間に皺を寄せて考える香菜さんに「あ、私のママ友の旦那さんって奴なんです。宮沢君、ここいい?」
陽子さんは祐介の隣の椅子を見て聞いた。いいも何も祐介にとっては大歓迎である。
緊張しながら椅子を、タクさんが座る右隣にずらす。
「ありがと」
陽子さんはその隙間に体を滑りこませて隣の椅子に座る。
「ん?祐介君て『宮沢』って苗字だっけ?」
香菜さんはまたしても眉間に皺を寄せる。
「ひどいですね。二年もこの店に通ってるのに」
祐介は口を尖らせながら枝豆を咀嚼する。
「え、宮沢君て『祐介』って名前なの?」
今度は陽子さんが驚いた顔で遼介を見る。
「ひどいなあ」
祐介は芝居がかった調子でビールを煽る。
「ごめんごめん、うちの息子の名前『陽介』だから。似てるなって」
陽子さんが取りなすように笑った。
陽子さんの一人息子である陽介君は、祐介を見るといつも睨みつけてくる。
それは彼にとって遼介は恋敵だからである。
陽介君はタクさんの長女である結奈ちゃんが好きで、その結奈ちゃんはバレンタインチョコをプレゼントするほど
祐介が好き。その祐介が好意を向けている女性が陽介君の母親である陽子さん。
当の陽子さんはそんな祐介の気持ちも事も知りもせず、自分に興味ないどころかどこかで息子扱いしているようだった。恋の一方通行で大渋滞している訳だ。
「しかし、珍しいね、陽介君ママが飲みに来るなんて」
「ふっふっふ。うちの息子が二泊三日でボーイスカウトのキャンプに行ってくれてるの
よ。よって二日間、母親業から解放されて自由!」
陽子さんは大げさに両手を広げて香菜さんに「ビール下さい!」と叫ぶ。
子供のようにはしゃぐ陽子さんを初めて見た祐介は面食らってしまう。
香菜さんはクスッと笑いながら陽子さんの前に、ペールエールとカレー風味の枝豆が入った小鉢を並べた。
「きたきた!」
香菜さんはグラスに注がれたビールを一気に美味しそうに飲み干す。そして枝豆を手にとって「今日は自分の好きなものだけを食べるの。なんて贅沢!」
「あー、その気持ち分かるわー。うちもメシは嫁が頑張ってくれてるから決してまずい訳じゃないんだけど、
チビの娘二人メインだからさ、カレーが甘口だったり、ハンバーグとかオムライスとかコロッケとか、あんまり酒の肴になんないようなものばっかでさ。だからついつい、ここで夕飯食べちゃうんだよな」
「何言ってんですか、作ってくれる嫁がいるだけありがたく思ったらどうですか。私なんて毎日、自分がそこまで食べたいものじゃないものを作るんですから。ま、陽介が美味しく完食してくれるだけでいいんですけどねー」
陽子さんは早速、アルコールが回っているのかタクさんに突っ込みを入れる。
「お、陽介君ママ、中々言うねえ」
タクさんはタジタジだ。
「その『陽介君ママ』ての、ここではやめてくれませんか?私も『結奈ちゃんパパ』って呼ぶのやめますから」
「え?じゃあ『陽子さん』でいいの?なんだか艶かしいなあ…」
勝手に照れるタクさんを「馬鹿じゃないの」と香菜さんが突っ込み、皆が笑った。
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