最強師匠ズ、才能なしチートなしの私を育てる

ノミ

文字の大きさ
50 / 100

五十話 武闘会 ⑤

しおりを挟む
「コウジさんがリンさんの師匠……?」
「いかにも。私がこの子の師匠であり親である」

 私の師匠であるリンさんの師匠がコウジさん。衝撃の事実。こんな可愛いリンさんの師匠がこんな変人なコウジさんだったなんて。

「そんなことより早くミッちゃんに謝れ! アホ!」
「いや、別にいいですからリンさん……」

 私がただ負けただけですし。そんな謝ってもらう必要ないですよ。

「悪かった、私が悪かったとも。すまない。まさか反応するとは思っていなかったんだ」
「そんな謝らなくてもいいで……」
「本来なら何の痛みも感じされることなく私の勝利を飾る予定だったのだがな、君が下手に反応してみせるからこんなことになってしまった。すまなかったね」
「は、はあ……」

 あれ? これ謝ってもらったのかな? なんか責任は私にあるかのような感じなんだけど。

「これでいいか?」
「…………まあ」

 あ、リンさんこれでいいんだ。でも、リンさんこの人たいして謝ってないですよ。

「それじゃ俺達はこれで行くとするか。ほら、立て行くぞミイナ」
「え、も、もう行くんですか? もうちょっと……、ほら! 私ベッドに寝かされるほどの重症人……」
「あんだけ手加減して貰ったんだから怪我一つねえだろ。それともまさかそこまでして貰ったのに動けないと? これは動けるようになったらとことん鍛え直さねえとな」
「行きます。行けます。もう元気です!」

 くそう。ちょっとぐらい休みをくれたっていいじゃない。それに私負けた直後なんだし、身体もだけど心もいたわって欲しい。敗北で傷心の私を誰か癒して。ねえ? リンさん。

「じゃあな。元気でな、リン」
「え?」
「え?」
「え?」

 え、シオンさん「じゃあな」ってどういうこと? リンさんとここでお別れ? でも、リンさんも「え?」って? 私も「え?」。リンさんも「え?」。そして、それを聞いたシオンさんも「え?」。……え?

「いや、リンお前自分の師匠を探す為に旅に出てたんだろ? なら見つけたんだし、ここでお別れじゃねえの?」

 そう言えば、リンさんそんなこと言ってたっけ。たしかある日突然リンさんの師匠が「世界中のレディ達に私の愛を届けなければ!」って書き置き残して消えたって。ああ、あの時は理解できなかったけど、納得。でも、リンさん居なくなっちゃうのか。寂しい。癒し無しでシオンさんとやっていける気がしない。

「違うよ。確かに旅を始めたのはそうだけど今はミッちゃんいるし。二人についてくよ」
「リンさん……!」
「ふーん。まあ、好きにすりゃいいんだけどお前のお師匠様はもういいのか?」
「よくないよ?」
「じゃあ、どうすんだよ?」
「一緒にいくんだよ?」

 キャー! リンさんリンさん! やったー!! リンさん別、……え?

「ミッちゃんも大事だけど師匠放っておくのも嫌だし一緒に行くの。……ダメ?」
「俺は全然いいぞ」
「……私も……、………………いいと思います」

 ……いや。うん、いいんだよ。他でもないリンさんのお願いなんだから聞かない訳にはいかないし。それに一応リンさんのお師匠様になるんだし。私の師匠であるリンさんの師匠なんだから拒否なんて出来ない。それがどんな人物だろうと。

「なにか私のことを私抜きで話が進んでいるようだが。私の意見は聞いてはくれないのかね?」
「うっさい! 聞くわけないでしょ!」

 リンさんコウジさんに対して冷たいな。冷たいと言うよりツンケンしてる感じかな。

「まあ、一応聞いてやれよ。師匠なんだろ?」
「ほら、この少年もこう言っているんだ。聞きたまえ」
「少年?」

 ええ……、シオンさんを少年って……。そりゃ、見た目的には私とたいして年の差無いかもしれないけど。シオンさん不死だし、ってシオンさん何歳なんだろう?

「そう言えば君は誰だ? 名前は? この子との関係は? 正直に答えるんだ。返答次第では斬り捨てることになるが」
「おいおい、止めてくれよ。お義父さん」
「誰がお義父さんだ。よし、動くな。一瞬で楽にしてやる。二度とこの子に近づけない様にな」
「うざいからやるなら外でやって来てよ」

 なんだこの父親と娘が連れて来た彼氏みたいな会話。いや、それにしては物騒過ぎるか。斬り捨てるって。

「まあ、冗談はさておき。俺はシオン=スクート。リンと同じくそこの馬鹿の師匠だ」

 あっ、はいどうも。ご紹介に預かりましたそこの馬鹿です。

「それで、あんたはどうしたいんだ?」
「よくぞ聞いてくれた、シオンボーイ」
「え」

 え、シオン、シオンボーイ……。……ボーイ。

「私としてはリンと関わることなく一人で行きたいんだがな。どうかね?」
「ダメ」
「……今はシオンボーイと話しているんだ」
「ダメ」
「話すことすらか?」
「師匠は黙ってついてくる。これ以外認めないから」
「だそうだぞ? お義父さん?」
「まずはシオンボーイを地獄へ連れて行こうか。話はそれからだ」
「進まない……」

 この三人放置してたら話が全然進まない。リンさんはコウジさんの話を聞かないし、シオンさんは茶化すし、コウジさんは変人だし。よし、ここは私が仕切らないと!

「あの! それぞれの言い分をまとめましょう! リンさんとコウジさんの!」
「俺は?」
「シオンさんは黙ってて下さい」
「…………」
「無言で見つめないで下さい!」

 シオンさんには黙ってもらってないと。シオンさんが入ってきたら話進まなくなるだろうし。

「じゃあ、まずリンさん」
「ボクは師匠も連れて一緒にいくの」
「コウジさん」
「私は一人で行く」

 ふむふむ、リンさんは一緒に行くでコウジさんは行かないと。二人共正反対のこと言ってるな。……え、どうしたら。

「……シオンさんどうしたらいいと思います?」
「…………」
「すいません! 調子乗りました! 助けてください!」

 対立する二人をまとめるとか私には無理でした! シオンさん助けて!

「……どうしてそんなに嫌がるの? ボクがそんなに嫌なの……?」

 私達がぐだぐだとしている間にリンさんから泣き出しそうな声が。あわわわわ、なんとかなんとかしないと。

「そうではない。だが、お前もそろそろ自立の時。親から離れ一人立ちすべきだ」
「別に自立とか出来てるし! ……嫌なら嫌って言いなよぉ……」

 シオンさん早く! 早くどうにかしてください! リンさんもう泣いちゃいそうです!

「……どうなってもいいのだな?」

 重々しく発せられた言葉。どうなってもいい? リンさんにそんな何か起こることがあるのだろうか? 私は日常的に死にそうにはなってるけど。

「この先私と関わることで何が起ころうといいのだな?」
「そんっ、なのっ、別にいいに決まってるじゃん。今までだって散々だったんだから」

 今までも散々だったんだ。リンさんの過去気になります。

「……いいだろう。それがお前の決断ならば、私も共に行こうではないか」
「ホントに!?」
「ああ。紳士に二言は無い」

 あっ、また私達がぐだぐだしてる間に話が終わりそうになってる。まあ、何はともあれ無事に解決したようでなにより。
 
「そういう訳だ。これからよろしく頼むぞ。二人共」

 こうしてコウジさんが私達の旅に加わった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転

小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。 人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。 防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。 どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...