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第3章 王子と皇女
22.温泉
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私達は焦った。がちゃがちゃと取手を回す。扉をたたく。
「殿下、ファニの葬儀が行われているのではないでしょうか? 葬儀の間、ここから出られないのでは?」
皇女様が扉から離れた。扉が開かない理由を推測出来たからか、落ち着きを取り戻している。
「葬儀が終わったら出られるのだろうか?」
レオンが不信感をにじませている。
「陛下は混乱を避けたかったのかもしれません。いくら公正な裁きをしても納得出来ない竜はおりましょう。私達が外にいては、その者達が激情に負けて襲って来るかもしれません。葬儀が終わるまで待ちましょう。むしろ、陛下がギルの喉が良くなる七日の間、滞在を許してくれたと判断するべきかと……」
「しかし、出られないなら出られないと言ってほしかった」
「言ったつもりだったのでしょう。こちらで休むというのはそういう意味かと」
私達は皇女様の言葉に納得して、部屋の中で大人しくしている事にした。
午後になってガリタヤがやってきた。
「お待たせしました。葬儀が終わりました。ギルベルタさんを温泉にご案内しましょう」
私がガリタヤと一緒に部屋を出ようとしたら、レオンが付いて来ようとした。
「殿下もギルベルタさんと一緒に温泉に入られますか?」
「いや、違う!」
レオンが真っ赤になった!
「俺は……、ギルが安全かどうか確かめたかっただけだ!」
レオンの慌てぶり! ああ、笑えないのが辛い。
皇女様もコロコロと笑っている。
「陛下の宮殿は世界で一番安全な場所ですよ。安心して下さい。温泉は混浴ですから、心配されるのもわかりますが」
「混浴!」
レオンが叫ぶ。私も心の中で叫んでいた! 混浴?
「はい、竜と人の混浴です」
あ! 竜と人ね!
私はほーっと息を吐いた。
私は急いで石盤に書いた。「男女の混浴かと思いました」
「え? もちろん、男女も混浴ですよ」
ガリタヤは私達の反応に怪訝そうな顔をした。
「あなた方の世界では男女は一緒の温泉に入らないのですか?」
皇女様が説明して下さった。
「ええ、一緒には入りません。男性と女性は別々に入浴します。私達は、その……、互いの裸を見ないのです」
「窮屈ですね。では、姫君方は洞窟の温泉にご案内しましょう。殿下は僕たちが使う露天風呂に入って下さい」
「いや、俺は温泉は遠慮する。それよりガリタヤ殿、部下に手紙を出したいのだ。ここは陛下の結界の中らしく、手紙を出せない。結界の外に出して貰えないだろうか?」
「殿下、申し訳ないのですが、手紙は出せません。竜王様に許可を貰わないと……」
「では、許可を貰ってほしい」
レオンが固い声で言った。
「我々が生きていると、部下に知らせなければならない」
「では、後ほど竜王様にご都合を聞いて参りましょう」
「いや、悪いが今会わせてほしい。ギル、君たちは温泉へ行け。俺は竜王に会って来る」
「いいえ、殿下、今はお会いになれません。葬儀の終わった後ですから。明日になさいませ。さ、温泉に参りましょう。殿下も温泉につかって傷を治された方が宜しいでしょう」
ガリタヤの説得に結局レオンも一緒に温泉に行く事になった。
私達は宮殿の中の長い廊下を歩いた。どこをどう通ったのか、とうとう、宮殿の外に出た。湖の反対側のようだ。木立の中を歩く。夏の盛りの青い空。太陽の光が眩しい。
「殿下、殿下はこちらに浸かって下さい。姫君方はもう少し先です。小さな洞窟の温泉なので、我々竜は入れないのです。姫君方だけですから、のんびり出来ますよ」
木立の向うにもの凄く広い露天風呂が見えた。竜が浸かっている。
私ははっとして石盤に書き付けた。レオンに見せる。「女の人の裸を見たりしないで下さいね」
「くくくく、何を心配している。ギル、見た所、竜しかいない。あの竜が雌なら俺は女の裸を見ているな」
私はむっとして書き付けた。「竜はいいんです! 竜は!」
私はレオンに背を向けると足音高く、ガリタヤと一緒に木立の奥へと向った。レオンのくすくすと笑う声が聞こえた。
「さ、こちらです。皇女様もどうぞ。ギルベルタさん、お湯につかったら、この砂時計をひっくり返して下さい。砂が全部落ちるまで、出ては行けませんよ。後でお医者様を連れて参ります。温泉からあがっても、僕が戻るまでここにいて下さいね」
ガリタヤが行ってしまうと、私達は洞窟の中で服を脱いだ。洞窟といっても、入り口は広くて光がたっぷり入ってくる。私は皇女様と一緒にお湯に浸かった。洞窟の奥からお湯が流れ出て来る。ぬるめの温泉に、ぼーっと浸かっていると、とても心地いい。
私は皇女様の背中をみて、はっとした。ぬけるように美しい白い肌。しかし、打ち身の痕がある。黄金竜ファニと戦った時に出来た打ち身だ。
この方は剣士なんだ。竜に剣を振り下ろすのって、どんな気分なんだろう。
私達は砂時計の砂が全部落ちるまで温泉に浸かっていた。
時間になったので温泉から上がり、体を拭いて服を着た。洞窟の入り口から出て、木陰で休んでいると、ガリタヤと知らない竜人がやって来た。
「私は医者のベツヘレです。あ、もちろん、竜の医者です。我々竜は怪我をするとここの温泉に浸かるのです。大抵治るのですが、ごくまれに治らない場合があります。そこで、私は竜の治療に応用できないかと人の世界で医術を学びました。人の体で学びましたが、竜にも応用できますので。さ、喉を見せて下さい」
私はあーんと、口をあけて見せた。
「ふむ、しゃべらなくて正解でしたね。傷は塞がっています。血の固まりがいくつか喉にありますね。さあ、このお水を飲んで。ここの温泉の水です」
渡された水から、微かに硫黄の香りがする。私は言われるままに飲み干した。
う! 喉が!
ゲェー
お医者様が差し出すバケツに私は思いっきり吐いた。喉から真っ赤な血の固まりが飛び出す。
「今日から七日の間、毎日、同じ時間に飲んでもらいます。血の固まりが全部出てしまったら、話せるようになるでしょう」
医師をその場に残し、ガリタヤは私達を部屋まで送ってくれた。部屋の前でガリタヤが杖を渡してくれた。
「この杖をどうぞ! この杖の導く方向に行けば、温泉に辿り着けます。帰りも同じです。この杖が部屋まで案内するでしょう。あなたは自由に温泉に行けます。温泉には出来るだけつかっているようにして下さい。先程のお医者様が毎日同じ時間に待ってますから」
私はこくこくとうなずいた。
「あの、差し出がましいかもしれませんが、温泉より、もっと簡単に直す方法があります」
私は石盤に「どんな?」と書いた。
「陛下と閨を共にするのです。陛下と閨を共にしたら、あなたの喉は立ちどころに治るのに」
ええ!
私は慌ただしく、石盤に「それは、どういう意味ですか?」と書いた。
「陛下の魔力をもってすれば、人の傷を直すのは容易いのです。陛下に愛された人間のみ、陛下の魔力の恩恵を受けられます。あなたが、陛下と閨を共にすれば、陛下はご自分の魔力をもって、あなたの傷を直すでしょう」
私は急いで、石盤に書いた。「出来ません。喉を直すために、閨を共にするなんて!」
「何故です? あなたにとって、歌声は命より大切だと陛下がおっしゃっていました。違うのですか?」
私はさらに書いた。「私達人間は、何かの代償に体を提供するのはよくない事だと戒めています。閨を共にするのは愛し合ってる男女だけです」
「人というのは窮屈なのですね」
ガリタヤが明るく笑った。私は視線を感じて振り向いた。廊下の先にレオンが立っていた。強張った顔をして私達を見ている。
嘘! 今の話、聞いたの?
「ギルベルタさん、気が変わって喉をあっというまに治したくなったら、陛下に閨をお願いしてご覧なさい。あなたなら陛下は断らないでしょう」
ガリタヤは明るい笑い声を残して行ってしまった。
「ギル、ここは竜の国です。私達の道徳観は忘れるべきかもしれません」
皇女様が低い声で言う。
私は石盤に書いた。「嫌です。そんなの。そんな事をして歌声が戻っても、私は一生後悔します」
「いい子ですね、ギル」
泣き出した私を、皇女様は抱き締めて下さった。
「希望は時に残酷ですね、殿下」
「確かに……」
私はレオンの顔が見られない。
レオンがゆっくりと言った。
「竜王の魔力はそのように凄まじいものなのか。傷口を瞬く間に治せる程に」
私と皇女様はレオンの言葉にぎょっとしてその場に立ちすくんだ。
「殿下、ファニの葬儀が行われているのではないでしょうか? 葬儀の間、ここから出られないのでは?」
皇女様が扉から離れた。扉が開かない理由を推測出来たからか、落ち着きを取り戻している。
「葬儀が終わったら出られるのだろうか?」
レオンが不信感をにじませている。
「陛下は混乱を避けたかったのかもしれません。いくら公正な裁きをしても納得出来ない竜はおりましょう。私達が外にいては、その者達が激情に負けて襲って来るかもしれません。葬儀が終わるまで待ちましょう。むしろ、陛下がギルの喉が良くなる七日の間、滞在を許してくれたと判断するべきかと……」
「しかし、出られないなら出られないと言ってほしかった」
「言ったつもりだったのでしょう。こちらで休むというのはそういう意味かと」
私達は皇女様の言葉に納得して、部屋の中で大人しくしている事にした。
午後になってガリタヤがやってきた。
「お待たせしました。葬儀が終わりました。ギルベルタさんを温泉にご案内しましょう」
私がガリタヤと一緒に部屋を出ようとしたら、レオンが付いて来ようとした。
「殿下もギルベルタさんと一緒に温泉に入られますか?」
「いや、違う!」
レオンが真っ赤になった!
「俺は……、ギルが安全かどうか確かめたかっただけだ!」
レオンの慌てぶり! ああ、笑えないのが辛い。
皇女様もコロコロと笑っている。
「陛下の宮殿は世界で一番安全な場所ですよ。安心して下さい。温泉は混浴ですから、心配されるのもわかりますが」
「混浴!」
レオンが叫ぶ。私も心の中で叫んでいた! 混浴?
「はい、竜と人の混浴です」
あ! 竜と人ね!
私はほーっと息を吐いた。
私は急いで石盤に書いた。「男女の混浴かと思いました」
「え? もちろん、男女も混浴ですよ」
ガリタヤは私達の反応に怪訝そうな顔をした。
「あなた方の世界では男女は一緒の温泉に入らないのですか?」
皇女様が説明して下さった。
「ええ、一緒には入りません。男性と女性は別々に入浴します。私達は、その……、互いの裸を見ないのです」
「窮屈ですね。では、姫君方は洞窟の温泉にご案内しましょう。殿下は僕たちが使う露天風呂に入って下さい」
「いや、俺は温泉は遠慮する。それよりガリタヤ殿、部下に手紙を出したいのだ。ここは陛下の結界の中らしく、手紙を出せない。結界の外に出して貰えないだろうか?」
「殿下、申し訳ないのですが、手紙は出せません。竜王様に許可を貰わないと……」
「では、許可を貰ってほしい」
レオンが固い声で言った。
「我々が生きていると、部下に知らせなければならない」
「では、後ほど竜王様にご都合を聞いて参りましょう」
「いや、悪いが今会わせてほしい。ギル、君たちは温泉へ行け。俺は竜王に会って来る」
「いいえ、殿下、今はお会いになれません。葬儀の終わった後ですから。明日になさいませ。さ、温泉に参りましょう。殿下も温泉につかって傷を治された方が宜しいでしょう」
ガリタヤの説得に結局レオンも一緒に温泉に行く事になった。
私達は宮殿の中の長い廊下を歩いた。どこをどう通ったのか、とうとう、宮殿の外に出た。湖の反対側のようだ。木立の中を歩く。夏の盛りの青い空。太陽の光が眩しい。
「殿下、殿下はこちらに浸かって下さい。姫君方はもう少し先です。小さな洞窟の温泉なので、我々竜は入れないのです。姫君方だけですから、のんびり出来ますよ」
木立の向うにもの凄く広い露天風呂が見えた。竜が浸かっている。
私ははっとして石盤に書き付けた。レオンに見せる。「女の人の裸を見たりしないで下さいね」
「くくくく、何を心配している。ギル、見た所、竜しかいない。あの竜が雌なら俺は女の裸を見ているな」
私はむっとして書き付けた。「竜はいいんです! 竜は!」
私はレオンに背を向けると足音高く、ガリタヤと一緒に木立の奥へと向った。レオンのくすくすと笑う声が聞こえた。
「さ、こちらです。皇女様もどうぞ。ギルベルタさん、お湯につかったら、この砂時計をひっくり返して下さい。砂が全部落ちるまで、出ては行けませんよ。後でお医者様を連れて参ります。温泉からあがっても、僕が戻るまでここにいて下さいね」
ガリタヤが行ってしまうと、私達は洞窟の中で服を脱いだ。洞窟といっても、入り口は広くて光がたっぷり入ってくる。私は皇女様と一緒にお湯に浸かった。洞窟の奥からお湯が流れ出て来る。ぬるめの温泉に、ぼーっと浸かっていると、とても心地いい。
私は皇女様の背中をみて、はっとした。ぬけるように美しい白い肌。しかし、打ち身の痕がある。黄金竜ファニと戦った時に出来た打ち身だ。
この方は剣士なんだ。竜に剣を振り下ろすのって、どんな気分なんだろう。
私達は砂時計の砂が全部落ちるまで温泉に浸かっていた。
時間になったので温泉から上がり、体を拭いて服を着た。洞窟の入り口から出て、木陰で休んでいると、ガリタヤと知らない竜人がやって来た。
「私は医者のベツヘレです。あ、もちろん、竜の医者です。我々竜は怪我をするとここの温泉に浸かるのです。大抵治るのですが、ごくまれに治らない場合があります。そこで、私は竜の治療に応用できないかと人の世界で医術を学びました。人の体で学びましたが、竜にも応用できますので。さ、喉を見せて下さい」
私はあーんと、口をあけて見せた。
「ふむ、しゃべらなくて正解でしたね。傷は塞がっています。血の固まりがいくつか喉にありますね。さあ、このお水を飲んで。ここの温泉の水です」
渡された水から、微かに硫黄の香りがする。私は言われるままに飲み干した。
う! 喉が!
ゲェー
お医者様が差し出すバケツに私は思いっきり吐いた。喉から真っ赤な血の固まりが飛び出す。
「今日から七日の間、毎日、同じ時間に飲んでもらいます。血の固まりが全部出てしまったら、話せるようになるでしょう」
医師をその場に残し、ガリタヤは私達を部屋まで送ってくれた。部屋の前でガリタヤが杖を渡してくれた。
「この杖をどうぞ! この杖の導く方向に行けば、温泉に辿り着けます。帰りも同じです。この杖が部屋まで案内するでしょう。あなたは自由に温泉に行けます。温泉には出来るだけつかっているようにして下さい。先程のお医者様が毎日同じ時間に待ってますから」
私はこくこくとうなずいた。
「あの、差し出がましいかもしれませんが、温泉より、もっと簡単に直す方法があります」
私は石盤に「どんな?」と書いた。
「陛下と閨を共にするのです。陛下と閨を共にしたら、あなたの喉は立ちどころに治るのに」
ええ!
私は慌ただしく、石盤に「それは、どういう意味ですか?」と書いた。
「陛下の魔力をもってすれば、人の傷を直すのは容易いのです。陛下に愛された人間のみ、陛下の魔力の恩恵を受けられます。あなたが、陛下と閨を共にすれば、陛下はご自分の魔力をもって、あなたの傷を直すでしょう」
私は急いで、石盤に書いた。「出来ません。喉を直すために、閨を共にするなんて!」
「何故です? あなたにとって、歌声は命より大切だと陛下がおっしゃっていました。違うのですか?」
私はさらに書いた。「私達人間は、何かの代償に体を提供するのはよくない事だと戒めています。閨を共にするのは愛し合ってる男女だけです」
「人というのは窮屈なのですね」
ガリタヤが明るく笑った。私は視線を感じて振り向いた。廊下の先にレオンが立っていた。強張った顔をして私達を見ている。
嘘! 今の話、聞いたの?
「ギルベルタさん、気が変わって喉をあっというまに治したくなったら、陛下に閨をお願いしてご覧なさい。あなたなら陛下は断らないでしょう」
ガリタヤは明るい笑い声を残して行ってしまった。
「ギル、ここは竜の国です。私達の道徳観は忘れるべきかもしれません」
皇女様が低い声で言う。
私は石盤に書いた。「嫌です。そんなの。そんな事をして歌声が戻っても、私は一生後悔します」
「いい子ですね、ギル」
泣き出した私を、皇女様は抱き締めて下さった。
「希望は時に残酷ですね、殿下」
「確かに……」
私はレオンの顔が見られない。
レオンがゆっくりと言った。
「竜王の魔力はそのように凄まじいものなのか。傷口を瞬く間に治せる程に」
私と皇女様はレオンの言葉にぎょっとしてその場に立ちすくんだ。
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