22 / 34
第3章 王子と皇女
22.温泉
しおりを挟む
私達は焦った。がちゃがちゃと取手を回す。扉をたたく。
「殿下、ファニの葬儀が行われているのではないでしょうか? 葬儀の間、ここから出られないのでは?」
皇女様が扉から離れた。扉が開かない理由を推測出来たからか、落ち着きを取り戻している。
「葬儀が終わったら出られるのだろうか?」
レオンが不信感をにじませている。
「陛下は混乱を避けたかったのかもしれません。いくら公正な裁きをしても納得出来ない竜はおりましょう。私達が外にいては、その者達が激情に負けて襲って来るかもしれません。葬儀が終わるまで待ちましょう。むしろ、陛下がギルの喉が良くなる七日の間、滞在を許してくれたと判断するべきかと……」
「しかし、出られないなら出られないと言ってほしかった」
「言ったつもりだったのでしょう。こちらで休むというのはそういう意味かと」
私達は皇女様の言葉に納得して、部屋の中で大人しくしている事にした。
午後になってガリタヤがやってきた。
「お待たせしました。葬儀が終わりました。ギルベルタさんを温泉にご案内しましょう」
私がガリタヤと一緒に部屋を出ようとしたら、レオンが付いて来ようとした。
「殿下もギルベルタさんと一緒に温泉に入られますか?」
「いや、違う!」
レオンが真っ赤になった!
「俺は……、ギルが安全かどうか確かめたかっただけだ!」
レオンの慌てぶり! ああ、笑えないのが辛い。
皇女様もコロコロと笑っている。
「陛下の宮殿は世界で一番安全な場所ですよ。安心して下さい。温泉は混浴ですから、心配されるのもわかりますが」
「混浴!」
レオンが叫ぶ。私も心の中で叫んでいた! 混浴?
「はい、竜と人の混浴です」
あ! 竜と人ね!
私はほーっと息を吐いた。
私は急いで石盤に書いた。「男女の混浴かと思いました」
「え? もちろん、男女も混浴ですよ」
ガリタヤは私達の反応に怪訝そうな顔をした。
「あなた方の世界では男女は一緒の温泉に入らないのですか?」
皇女様が説明して下さった。
「ええ、一緒には入りません。男性と女性は別々に入浴します。私達は、その……、互いの裸を見ないのです」
「窮屈ですね。では、姫君方は洞窟の温泉にご案内しましょう。殿下は僕たちが使う露天風呂に入って下さい」
「いや、俺は温泉は遠慮する。それよりガリタヤ殿、部下に手紙を出したいのだ。ここは陛下の結界の中らしく、手紙を出せない。結界の外に出して貰えないだろうか?」
「殿下、申し訳ないのですが、手紙は出せません。竜王様に許可を貰わないと……」
「では、許可を貰ってほしい」
レオンが固い声で言った。
「我々が生きていると、部下に知らせなければならない」
「では、後ほど竜王様にご都合を聞いて参りましょう」
「いや、悪いが今会わせてほしい。ギル、君たちは温泉へ行け。俺は竜王に会って来る」
「いいえ、殿下、今はお会いになれません。葬儀の終わった後ですから。明日になさいませ。さ、温泉に参りましょう。殿下も温泉につかって傷を治された方が宜しいでしょう」
ガリタヤの説得に結局レオンも一緒に温泉に行く事になった。
私達は宮殿の中の長い廊下を歩いた。どこをどう通ったのか、とうとう、宮殿の外に出た。湖の反対側のようだ。木立の中を歩く。夏の盛りの青い空。太陽の光が眩しい。
「殿下、殿下はこちらに浸かって下さい。姫君方はもう少し先です。小さな洞窟の温泉なので、我々竜は入れないのです。姫君方だけですから、のんびり出来ますよ」
木立の向うにもの凄く広い露天風呂が見えた。竜が浸かっている。
私ははっとして石盤に書き付けた。レオンに見せる。「女の人の裸を見たりしないで下さいね」
「くくくく、何を心配している。ギル、見た所、竜しかいない。あの竜が雌なら俺は女の裸を見ているな」
私はむっとして書き付けた。「竜はいいんです! 竜は!」
私はレオンに背を向けると足音高く、ガリタヤと一緒に木立の奥へと向った。レオンのくすくすと笑う声が聞こえた。
「さ、こちらです。皇女様もどうぞ。ギルベルタさん、お湯につかったら、この砂時計をひっくり返して下さい。砂が全部落ちるまで、出ては行けませんよ。後でお医者様を連れて参ります。温泉からあがっても、僕が戻るまでここにいて下さいね」
ガリタヤが行ってしまうと、私達は洞窟の中で服を脱いだ。洞窟といっても、入り口は広くて光がたっぷり入ってくる。私は皇女様と一緒にお湯に浸かった。洞窟の奥からお湯が流れ出て来る。ぬるめの温泉に、ぼーっと浸かっていると、とても心地いい。
私は皇女様の背中をみて、はっとした。ぬけるように美しい白い肌。しかし、打ち身の痕がある。黄金竜ファニと戦った時に出来た打ち身だ。
この方は剣士なんだ。竜に剣を振り下ろすのって、どんな気分なんだろう。
私達は砂時計の砂が全部落ちるまで温泉に浸かっていた。
時間になったので温泉から上がり、体を拭いて服を着た。洞窟の入り口から出て、木陰で休んでいると、ガリタヤと知らない竜人がやって来た。
「私は医者のベツヘレです。あ、もちろん、竜の医者です。我々竜は怪我をするとここの温泉に浸かるのです。大抵治るのですが、ごくまれに治らない場合があります。そこで、私は竜の治療に応用できないかと人の世界で医術を学びました。人の体で学びましたが、竜にも応用できますので。さ、喉を見せて下さい」
私はあーんと、口をあけて見せた。
「ふむ、しゃべらなくて正解でしたね。傷は塞がっています。血の固まりがいくつか喉にありますね。さあ、このお水を飲んで。ここの温泉の水です」
渡された水から、微かに硫黄の香りがする。私は言われるままに飲み干した。
う! 喉が!
ゲェー
お医者様が差し出すバケツに私は思いっきり吐いた。喉から真っ赤な血の固まりが飛び出す。
「今日から七日の間、毎日、同じ時間に飲んでもらいます。血の固まりが全部出てしまったら、話せるようになるでしょう」
医師をその場に残し、ガリタヤは私達を部屋まで送ってくれた。部屋の前でガリタヤが杖を渡してくれた。
「この杖をどうぞ! この杖の導く方向に行けば、温泉に辿り着けます。帰りも同じです。この杖が部屋まで案内するでしょう。あなたは自由に温泉に行けます。温泉には出来るだけつかっているようにして下さい。先程のお医者様が毎日同じ時間に待ってますから」
私はこくこくとうなずいた。
「あの、差し出がましいかもしれませんが、温泉より、もっと簡単に直す方法があります」
私は石盤に「どんな?」と書いた。
「陛下と閨を共にするのです。陛下と閨を共にしたら、あなたの喉は立ちどころに治るのに」
ええ!
私は慌ただしく、石盤に「それは、どういう意味ですか?」と書いた。
「陛下の魔力をもってすれば、人の傷を直すのは容易いのです。陛下に愛された人間のみ、陛下の魔力の恩恵を受けられます。あなたが、陛下と閨を共にすれば、陛下はご自分の魔力をもって、あなたの傷を直すでしょう」
私は急いで、石盤に書いた。「出来ません。喉を直すために、閨を共にするなんて!」
「何故です? あなたにとって、歌声は命より大切だと陛下がおっしゃっていました。違うのですか?」
私はさらに書いた。「私達人間は、何かの代償に体を提供するのはよくない事だと戒めています。閨を共にするのは愛し合ってる男女だけです」
「人というのは窮屈なのですね」
ガリタヤが明るく笑った。私は視線を感じて振り向いた。廊下の先にレオンが立っていた。強張った顔をして私達を見ている。
嘘! 今の話、聞いたの?
「ギルベルタさん、気が変わって喉をあっというまに治したくなったら、陛下に閨をお願いしてご覧なさい。あなたなら陛下は断らないでしょう」
ガリタヤは明るい笑い声を残して行ってしまった。
「ギル、ここは竜の国です。私達の道徳観は忘れるべきかもしれません」
皇女様が低い声で言う。
私は石盤に書いた。「嫌です。そんなの。そんな事をして歌声が戻っても、私は一生後悔します」
「いい子ですね、ギル」
泣き出した私を、皇女様は抱き締めて下さった。
「希望は時に残酷ですね、殿下」
「確かに……」
私はレオンの顔が見られない。
レオンがゆっくりと言った。
「竜王の魔力はそのように凄まじいものなのか。傷口を瞬く間に治せる程に」
私と皇女様はレオンの言葉にぎょっとしてその場に立ちすくんだ。
「殿下、ファニの葬儀が行われているのではないでしょうか? 葬儀の間、ここから出られないのでは?」
皇女様が扉から離れた。扉が開かない理由を推測出来たからか、落ち着きを取り戻している。
「葬儀が終わったら出られるのだろうか?」
レオンが不信感をにじませている。
「陛下は混乱を避けたかったのかもしれません。いくら公正な裁きをしても納得出来ない竜はおりましょう。私達が外にいては、その者達が激情に負けて襲って来るかもしれません。葬儀が終わるまで待ちましょう。むしろ、陛下がギルの喉が良くなる七日の間、滞在を許してくれたと判断するべきかと……」
「しかし、出られないなら出られないと言ってほしかった」
「言ったつもりだったのでしょう。こちらで休むというのはそういう意味かと」
私達は皇女様の言葉に納得して、部屋の中で大人しくしている事にした。
午後になってガリタヤがやってきた。
「お待たせしました。葬儀が終わりました。ギルベルタさんを温泉にご案内しましょう」
私がガリタヤと一緒に部屋を出ようとしたら、レオンが付いて来ようとした。
「殿下もギルベルタさんと一緒に温泉に入られますか?」
「いや、違う!」
レオンが真っ赤になった!
「俺は……、ギルが安全かどうか確かめたかっただけだ!」
レオンの慌てぶり! ああ、笑えないのが辛い。
皇女様もコロコロと笑っている。
「陛下の宮殿は世界で一番安全な場所ですよ。安心して下さい。温泉は混浴ですから、心配されるのもわかりますが」
「混浴!」
レオンが叫ぶ。私も心の中で叫んでいた! 混浴?
「はい、竜と人の混浴です」
あ! 竜と人ね!
私はほーっと息を吐いた。
私は急いで石盤に書いた。「男女の混浴かと思いました」
「え? もちろん、男女も混浴ですよ」
ガリタヤは私達の反応に怪訝そうな顔をした。
「あなた方の世界では男女は一緒の温泉に入らないのですか?」
皇女様が説明して下さった。
「ええ、一緒には入りません。男性と女性は別々に入浴します。私達は、その……、互いの裸を見ないのです」
「窮屈ですね。では、姫君方は洞窟の温泉にご案内しましょう。殿下は僕たちが使う露天風呂に入って下さい」
「いや、俺は温泉は遠慮する。それよりガリタヤ殿、部下に手紙を出したいのだ。ここは陛下の結界の中らしく、手紙を出せない。結界の外に出して貰えないだろうか?」
「殿下、申し訳ないのですが、手紙は出せません。竜王様に許可を貰わないと……」
「では、許可を貰ってほしい」
レオンが固い声で言った。
「我々が生きていると、部下に知らせなければならない」
「では、後ほど竜王様にご都合を聞いて参りましょう」
「いや、悪いが今会わせてほしい。ギル、君たちは温泉へ行け。俺は竜王に会って来る」
「いいえ、殿下、今はお会いになれません。葬儀の終わった後ですから。明日になさいませ。さ、温泉に参りましょう。殿下も温泉につかって傷を治された方が宜しいでしょう」
ガリタヤの説得に結局レオンも一緒に温泉に行く事になった。
私達は宮殿の中の長い廊下を歩いた。どこをどう通ったのか、とうとう、宮殿の外に出た。湖の反対側のようだ。木立の中を歩く。夏の盛りの青い空。太陽の光が眩しい。
「殿下、殿下はこちらに浸かって下さい。姫君方はもう少し先です。小さな洞窟の温泉なので、我々竜は入れないのです。姫君方だけですから、のんびり出来ますよ」
木立の向うにもの凄く広い露天風呂が見えた。竜が浸かっている。
私ははっとして石盤に書き付けた。レオンに見せる。「女の人の裸を見たりしないで下さいね」
「くくくく、何を心配している。ギル、見た所、竜しかいない。あの竜が雌なら俺は女の裸を見ているな」
私はむっとして書き付けた。「竜はいいんです! 竜は!」
私はレオンに背を向けると足音高く、ガリタヤと一緒に木立の奥へと向った。レオンのくすくすと笑う声が聞こえた。
「さ、こちらです。皇女様もどうぞ。ギルベルタさん、お湯につかったら、この砂時計をひっくり返して下さい。砂が全部落ちるまで、出ては行けませんよ。後でお医者様を連れて参ります。温泉からあがっても、僕が戻るまでここにいて下さいね」
ガリタヤが行ってしまうと、私達は洞窟の中で服を脱いだ。洞窟といっても、入り口は広くて光がたっぷり入ってくる。私は皇女様と一緒にお湯に浸かった。洞窟の奥からお湯が流れ出て来る。ぬるめの温泉に、ぼーっと浸かっていると、とても心地いい。
私は皇女様の背中をみて、はっとした。ぬけるように美しい白い肌。しかし、打ち身の痕がある。黄金竜ファニと戦った時に出来た打ち身だ。
この方は剣士なんだ。竜に剣を振り下ろすのって、どんな気分なんだろう。
私達は砂時計の砂が全部落ちるまで温泉に浸かっていた。
時間になったので温泉から上がり、体を拭いて服を着た。洞窟の入り口から出て、木陰で休んでいると、ガリタヤと知らない竜人がやって来た。
「私は医者のベツヘレです。あ、もちろん、竜の医者です。我々竜は怪我をするとここの温泉に浸かるのです。大抵治るのですが、ごくまれに治らない場合があります。そこで、私は竜の治療に応用できないかと人の世界で医術を学びました。人の体で学びましたが、竜にも応用できますので。さ、喉を見せて下さい」
私はあーんと、口をあけて見せた。
「ふむ、しゃべらなくて正解でしたね。傷は塞がっています。血の固まりがいくつか喉にありますね。さあ、このお水を飲んで。ここの温泉の水です」
渡された水から、微かに硫黄の香りがする。私は言われるままに飲み干した。
う! 喉が!
ゲェー
お医者様が差し出すバケツに私は思いっきり吐いた。喉から真っ赤な血の固まりが飛び出す。
「今日から七日の間、毎日、同じ時間に飲んでもらいます。血の固まりが全部出てしまったら、話せるようになるでしょう」
医師をその場に残し、ガリタヤは私達を部屋まで送ってくれた。部屋の前でガリタヤが杖を渡してくれた。
「この杖をどうぞ! この杖の導く方向に行けば、温泉に辿り着けます。帰りも同じです。この杖が部屋まで案内するでしょう。あなたは自由に温泉に行けます。温泉には出来るだけつかっているようにして下さい。先程のお医者様が毎日同じ時間に待ってますから」
私はこくこくとうなずいた。
「あの、差し出がましいかもしれませんが、温泉より、もっと簡単に直す方法があります」
私は石盤に「どんな?」と書いた。
「陛下と閨を共にするのです。陛下と閨を共にしたら、あなたの喉は立ちどころに治るのに」
ええ!
私は慌ただしく、石盤に「それは、どういう意味ですか?」と書いた。
「陛下の魔力をもってすれば、人の傷を直すのは容易いのです。陛下に愛された人間のみ、陛下の魔力の恩恵を受けられます。あなたが、陛下と閨を共にすれば、陛下はご自分の魔力をもって、あなたの傷を直すでしょう」
私は急いで、石盤に書いた。「出来ません。喉を直すために、閨を共にするなんて!」
「何故です? あなたにとって、歌声は命より大切だと陛下がおっしゃっていました。違うのですか?」
私はさらに書いた。「私達人間は、何かの代償に体を提供するのはよくない事だと戒めています。閨を共にするのは愛し合ってる男女だけです」
「人というのは窮屈なのですね」
ガリタヤが明るく笑った。私は視線を感じて振り向いた。廊下の先にレオンが立っていた。強張った顔をして私達を見ている。
嘘! 今の話、聞いたの?
「ギルベルタさん、気が変わって喉をあっというまに治したくなったら、陛下に閨をお願いしてご覧なさい。あなたなら陛下は断らないでしょう」
ガリタヤは明るい笑い声を残して行ってしまった。
「ギル、ここは竜の国です。私達の道徳観は忘れるべきかもしれません」
皇女様が低い声で言う。
私は石盤に書いた。「嫌です。そんなの。そんな事をして歌声が戻っても、私は一生後悔します」
「いい子ですね、ギル」
泣き出した私を、皇女様は抱き締めて下さった。
「希望は時に残酷ですね、殿下」
「確かに……」
私はレオンの顔が見られない。
レオンがゆっくりと言った。
「竜王の魔力はそのように凄まじいものなのか。傷口を瞬く間に治せる程に」
私と皇女様はレオンの言葉にぎょっとしてその場に立ちすくんだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
包帯妻の素顔は。
サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる