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第3章 王子と皇女
28.竜王バチスタとエリステ 1
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その夜。
私達は洞窟の前に集まった。お世話になった竜医師のベツヘレさん、水竜のおばば様、ガリタヤに別れを告げる。
竜医師のベツヘレさんがしつこく忠告してくれる。
「絶対にあの悲鳴をあげてはいけませんよ! 喉に負担がかかって二度と歌えなくなりますからね」
私は笑って何度もあの悲鳴を上げないと約束した。
私達は竜の国を去るにあたって、この国で見た事、聞いた事を誰にも言ってはいけないと竜王バチスタ様からきつく念を押された。
「ギルベルタ、あなたの喉はもともと大した傷ではなかったといいなさい。森の民の持っていた蜂蜜を舐めているうちによくなったと」
私達は様々な言い訳を教えられた。
「レオン、そなたの剣だ」
陛下がレオンに剣を差し出した。レオンは跪くと陛下から恭しく剣を受け取った。
レオンの剣ヴァルサヴァルダ。
私のお祖父ちゃんが鍛えた剣だったなんて……。いつかベルハに帰ったら、お祖父ちゃんの家に行ってみよう。レオンの大切な剣がどんな所で鍛えられたのか、見てみたい。
エリステさんが来て、陛下に言った。
「陛下、歌姫殿は使役の竜を乗りこなせないようです。昼間、使役の竜に紐で括り付けられていました。お気の毒なので、私が抱き上げて運びたいと思います」
陛下があきれた顔をした。
「ほう、珍しい事もあるものだな。人嫌いのそなたが、人を運びたいとは。そなた、よほどギルを気に入ったのだな」
「はい、陛下、歌姫殿の素晴らしい歌声に魅了されたのです。あのような歌を聞かせてくれた御礼に、ぜひ運ばせて下さい」
「そうか、わかった。いいだろう、ギルを抱えて飛ぶように」
出発の刻限になった。竜達が別れの咆哮をあげた。湖に咆哮が木霊する。
陛下が竜に変身した。
竜に変身した陛下は凄い。物凄く大きな青銀の竜だ。銀色がかった青い鱗が月明かりに煌めく。陛下が翼を広げた。黄金竜ファニよりずっと大きい。
皇女様は使役の竜に乗せてもらえなかった。その代わり、なんと陛下が抱きかかえて飛んだのだ。変身した陛下が皇女様を大事そうに抱いている。
まさか、まさか、陛下は皇女様がお好きなの?
私もまた、エリステさんに抱かれて飛んだ。
レオンは使役の竜に乗っている。レオンは、最初は私達と並走していたけれど、だんだん、後ろに行ってしまった。使役の竜は羽ばたく力が弱いのだろう、竜達よりずっと飛ぶのが遅いようだ。私は振り返って後ろを見たけれど、エリステさんの体が邪魔になって見えない。
「エリステさん、レオンはどの辺ですか? 随分遅れているみたいですが……」
「大丈夫ですよ。陛下は途中で待つつもりでしょう」
湖に注ぎ込む川を遡り、黒々とした森の上空を飛ぶ。低い樹々が目立ち始めた。空には満月がかかっている。風がびゅうびゅうと吹き付ける。美しい光景。私は嬉しくて歌い出していた。
「ラララー、ララ、ラララ、ララ、ラー、ラー」
私は無意識に「風よ届けて」を歌っていた。
高音部にさしかかるとエリステさんの声が響いた。
「美しい歌声だが、それを歌われると気持ちよくて飛べなくなる」
エリステさんが笑いを含んで言う。
「あ、ごめんなさい。違う歌にしますね」
私は「花火師ジョフレの冒険」から「飲めよ!酒だ!飲み干せよ!」を歌った。お酒を飲む時に歌う豪快な歌だ。
「楽しい歌だな」
竜のうなり声が聞こえてきた。エリステさんが、私の歌に合わせて歌っている。
「歌がお上手ですね、皆さんと一緒に歌えば良かった」
「君は我々が恐ろしくはないのか?」
「ファニからは恐ろしい目に合いましたけど、みなさんは私達に親切ですから」
エリステさんのかぎ爪が、一瞬、私をきつく締めた。
「痛い! エリステさん! 痛いです」
「ああ、すまない。僕はファニ姉上が好きだったから」
「ご、ごめんなさい。私……」
気まずい沈黙が流れる。私は歌おうかとどうしようか迷った。
前を飛んでいた陛下が速度を落し始めた。後続のレオンを待つつもりだろう。
「……ねえ、陛下がもし、ミレーヌ殿を落したら、あなたは恋敵がいなくなるのにね」
「やめて下さい! なんて事言うんです! 皇女様は私の大切な友人です。それに私とレオンは恋人じゃありません」
「ふーん、そうなんだ」
どうして、こんな意地悪を言うんだろう。
私、エリステさんって、いい人というか、いい竜だと思ってたけど違うのかな……?。
「でも、ほら、あなたがもし、あのファニ姉上を倒した悲鳴をここであげたら、陛下は鱗が吹き飛んで痛くて、ミレーヌ殿を落とすかもしれない。あなたにとって、都合がいいでしょ」
「ええ! ひどい! なんて事を! なんて事言うんです!」
エリステさんと私は、陛下を見下ろす高い位置にいた。
エリステさんがいきなりバランスを崩して急降下した。私は悲鳴を上げていた。
「きゃああーーーーーーあ!」
「喉がさけるぞ、『悲鳴を上げるな』」
エリステのかぎ爪が私をぐいと陛下の方へ向けた。
前を飛んでいる竜王様に向って私は悲鳴をあげていた。
黄金竜ファニの鱗を破壊した悲鳴。超高音!
「いやーーーーーーーーーあーーーーーーーーアーーーーーーーーアーーーーーーーアーーーーーーー!!!!!」
私は慌てて手で口を押さえようとした。だけど、エリステさんが私の体をがっちりと握っている。
どうしよう!
竜王様!
竜王様の鱗が!
弾け飛んでない?!
竜王様は咄嗟によけていた。
良かった! う、喉が、喉が痛い!
口の中に血の味が広がる。又、裂けてしまったんだ。どうしよう。
もう、歌えない! どうしたらいいの?
どうして、私はあの悲鳴を上げたのだろう。絶対にあの悲鳴を上げないって誓ったのに!
竜王様が振り返った。空中に浮かんだまま、私達に向き合う。手には皇女様が抱きかかえられている。エリステさんも羽ばたきながら空中に浮かんだ。
「エリステ、何の真似だ」
「何も……、この子が、急に悲鳴をあげたのです。僕が急降下したのが怖かったのでしょう」
「ほう、そうか。そなた、ギルを抱えていながら、急降下したのか」
「か、風に煽られたのです。それで、仕方なく」
「レオン!」
「こちらに」
使役の竜に乗ったレオンだ。遅れていると思っていたのに何時の間にか追いついていた。
「ギルベルタを預かってくれ」
「しかし、使役の竜は人を二人のせられない」とエリステさんが戸惑ったように言う。
「地上に降ろすだけなら持ちこたえられる。エリステ、急降下してギルを怖がらせ悲鳴を上げさせるとは、なんたる失態!」
使役の竜に乗ったレオンが私達に近づいて来た。
「エリステ殿、ギルをこちらに」
エリステさんが仕方なさそうに私をレオンに渡した。レオンが私を抱き寄せる。私はレオンの首に腕を回した。使役の竜が滑空して私達を地上に降ろした。
竜王様がエリステさんに向かい合っている。
「さて、もう一度聞こう。何の真似だ?」
「僕は別に何も。確かに歌姫殿に悲鳴を上げさせたのは失態でした。申し訳ありませんでした。どうか、お許し下さい。お役目がここまでなら、僕は戻ります」
「たわけ!」
竜王様がエリステを一喝した。爆風があたりに渦巻く。私達は慌てて岩陰に身を寄せた。使役の竜も怖そうに私達に身を寄せて来る。
「私にわからぬと思ったか!」
「何のことでしょう? 陛下」
「そなたが、ギルを使って私に向けて放ったあの悲鳴だ!」
「それは、歌姫殿が……」
「馬鹿な! ギルはもう一度あの悲鳴を上げたら、二度と歌えなくなるのだぞ。ギルが自分の命より大事な声を恐怖心から捨てると思うか? そなた、ギルに術をかけたな。悲鳴を上げさせる言葉は『悲鳴を上げるな』だ。そなたがこの言葉を言った直後にギルは悲鳴を上げたぞ」
「いえ、そのような事」
言うや否やエリステは、身を翻し一目散に逃げ出した。
私達は洞窟の前に集まった。お世話になった竜医師のベツヘレさん、水竜のおばば様、ガリタヤに別れを告げる。
竜医師のベツヘレさんがしつこく忠告してくれる。
「絶対にあの悲鳴をあげてはいけませんよ! 喉に負担がかかって二度と歌えなくなりますからね」
私は笑って何度もあの悲鳴を上げないと約束した。
私達は竜の国を去るにあたって、この国で見た事、聞いた事を誰にも言ってはいけないと竜王バチスタ様からきつく念を押された。
「ギルベルタ、あなたの喉はもともと大した傷ではなかったといいなさい。森の民の持っていた蜂蜜を舐めているうちによくなったと」
私達は様々な言い訳を教えられた。
「レオン、そなたの剣だ」
陛下がレオンに剣を差し出した。レオンは跪くと陛下から恭しく剣を受け取った。
レオンの剣ヴァルサヴァルダ。
私のお祖父ちゃんが鍛えた剣だったなんて……。いつかベルハに帰ったら、お祖父ちゃんの家に行ってみよう。レオンの大切な剣がどんな所で鍛えられたのか、見てみたい。
エリステさんが来て、陛下に言った。
「陛下、歌姫殿は使役の竜を乗りこなせないようです。昼間、使役の竜に紐で括り付けられていました。お気の毒なので、私が抱き上げて運びたいと思います」
陛下があきれた顔をした。
「ほう、珍しい事もあるものだな。人嫌いのそなたが、人を運びたいとは。そなた、よほどギルを気に入ったのだな」
「はい、陛下、歌姫殿の素晴らしい歌声に魅了されたのです。あのような歌を聞かせてくれた御礼に、ぜひ運ばせて下さい」
「そうか、わかった。いいだろう、ギルを抱えて飛ぶように」
出発の刻限になった。竜達が別れの咆哮をあげた。湖に咆哮が木霊する。
陛下が竜に変身した。
竜に変身した陛下は凄い。物凄く大きな青銀の竜だ。銀色がかった青い鱗が月明かりに煌めく。陛下が翼を広げた。黄金竜ファニよりずっと大きい。
皇女様は使役の竜に乗せてもらえなかった。その代わり、なんと陛下が抱きかかえて飛んだのだ。変身した陛下が皇女様を大事そうに抱いている。
まさか、まさか、陛下は皇女様がお好きなの?
私もまた、エリステさんに抱かれて飛んだ。
レオンは使役の竜に乗っている。レオンは、最初は私達と並走していたけれど、だんだん、後ろに行ってしまった。使役の竜は羽ばたく力が弱いのだろう、竜達よりずっと飛ぶのが遅いようだ。私は振り返って後ろを見たけれど、エリステさんの体が邪魔になって見えない。
「エリステさん、レオンはどの辺ですか? 随分遅れているみたいですが……」
「大丈夫ですよ。陛下は途中で待つつもりでしょう」
湖に注ぎ込む川を遡り、黒々とした森の上空を飛ぶ。低い樹々が目立ち始めた。空には満月がかかっている。風がびゅうびゅうと吹き付ける。美しい光景。私は嬉しくて歌い出していた。
「ラララー、ララ、ラララ、ララ、ラー、ラー」
私は無意識に「風よ届けて」を歌っていた。
高音部にさしかかるとエリステさんの声が響いた。
「美しい歌声だが、それを歌われると気持ちよくて飛べなくなる」
エリステさんが笑いを含んで言う。
「あ、ごめんなさい。違う歌にしますね」
私は「花火師ジョフレの冒険」から「飲めよ!酒だ!飲み干せよ!」を歌った。お酒を飲む時に歌う豪快な歌だ。
「楽しい歌だな」
竜のうなり声が聞こえてきた。エリステさんが、私の歌に合わせて歌っている。
「歌がお上手ですね、皆さんと一緒に歌えば良かった」
「君は我々が恐ろしくはないのか?」
「ファニからは恐ろしい目に合いましたけど、みなさんは私達に親切ですから」
エリステさんのかぎ爪が、一瞬、私をきつく締めた。
「痛い! エリステさん! 痛いです」
「ああ、すまない。僕はファニ姉上が好きだったから」
「ご、ごめんなさい。私……」
気まずい沈黙が流れる。私は歌おうかとどうしようか迷った。
前を飛んでいた陛下が速度を落し始めた。後続のレオンを待つつもりだろう。
「……ねえ、陛下がもし、ミレーヌ殿を落したら、あなたは恋敵がいなくなるのにね」
「やめて下さい! なんて事言うんです! 皇女様は私の大切な友人です。それに私とレオンは恋人じゃありません」
「ふーん、そうなんだ」
どうして、こんな意地悪を言うんだろう。
私、エリステさんって、いい人というか、いい竜だと思ってたけど違うのかな……?。
「でも、ほら、あなたがもし、あのファニ姉上を倒した悲鳴をここであげたら、陛下は鱗が吹き飛んで痛くて、ミレーヌ殿を落とすかもしれない。あなたにとって、都合がいいでしょ」
「ええ! ひどい! なんて事を! なんて事言うんです!」
エリステさんと私は、陛下を見下ろす高い位置にいた。
エリステさんがいきなりバランスを崩して急降下した。私は悲鳴を上げていた。
「きゃああーーーーーーあ!」
「喉がさけるぞ、『悲鳴を上げるな』」
エリステのかぎ爪が私をぐいと陛下の方へ向けた。
前を飛んでいる竜王様に向って私は悲鳴をあげていた。
黄金竜ファニの鱗を破壊した悲鳴。超高音!
「いやーーーーーーーーーあーーーーーーーーアーーーーーーーーアーーーーーーーアーーーーーーー!!!!!」
私は慌てて手で口を押さえようとした。だけど、エリステさんが私の体をがっちりと握っている。
どうしよう!
竜王様!
竜王様の鱗が!
弾け飛んでない?!
竜王様は咄嗟によけていた。
良かった! う、喉が、喉が痛い!
口の中に血の味が広がる。又、裂けてしまったんだ。どうしよう。
もう、歌えない! どうしたらいいの?
どうして、私はあの悲鳴を上げたのだろう。絶対にあの悲鳴を上げないって誓ったのに!
竜王様が振り返った。空中に浮かんだまま、私達に向き合う。手には皇女様が抱きかかえられている。エリステさんも羽ばたきながら空中に浮かんだ。
「エリステ、何の真似だ」
「何も……、この子が、急に悲鳴をあげたのです。僕が急降下したのが怖かったのでしょう」
「ほう、そうか。そなた、ギルを抱えていながら、急降下したのか」
「か、風に煽られたのです。それで、仕方なく」
「レオン!」
「こちらに」
使役の竜に乗ったレオンだ。遅れていると思っていたのに何時の間にか追いついていた。
「ギルベルタを預かってくれ」
「しかし、使役の竜は人を二人のせられない」とエリステさんが戸惑ったように言う。
「地上に降ろすだけなら持ちこたえられる。エリステ、急降下してギルを怖がらせ悲鳴を上げさせるとは、なんたる失態!」
使役の竜に乗ったレオンが私達に近づいて来た。
「エリステ殿、ギルをこちらに」
エリステさんが仕方なさそうに私をレオンに渡した。レオンが私を抱き寄せる。私はレオンの首に腕を回した。使役の竜が滑空して私達を地上に降ろした。
竜王様がエリステさんに向かい合っている。
「さて、もう一度聞こう。何の真似だ?」
「僕は別に何も。確かに歌姫殿に悲鳴を上げさせたのは失態でした。申し訳ありませんでした。どうか、お許し下さい。お役目がここまでなら、僕は戻ります」
「たわけ!」
竜王様がエリステを一喝した。爆風があたりに渦巻く。私達は慌てて岩陰に身を寄せた。使役の竜も怖そうに私達に身を寄せて来る。
「私にわからぬと思ったか!」
「何のことでしょう? 陛下」
「そなたが、ギルを使って私に向けて放ったあの悲鳴だ!」
「それは、歌姫殿が……」
「馬鹿な! ギルはもう一度あの悲鳴を上げたら、二度と歌えなくなるのだぞ。ギルが自分の命より大事な声を恐怖心から捨てると思うか? そなた、ギルに術をかけたな。悲鳴を上げさせる言葉は『悲鳴を上げるな』だ。そなたがこの言葉を言った直後にギルは悲鳴を上げたぞ」
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