君と詠う歌

鯨井イルカ

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お別れ前

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子猫だと
ずっと思って
いたけれど
茶トラ模様は
白髪でぼやけ






忘れてた
ことをとうとう
思い出す
君と私の
時間は違う



ベランダの
床を舐め出す
君を見て
呼び返そうと
名前を呼んだ






傍で寝る
君の体に
手を触れる
まだ温かい
まだ温かい










君のこと
家族に頼み
家を出た
あの日を悔やむ
今でもずっと
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