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本編
day 38
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俺たち二人は、結局昨夜——0時を回っていたから正確には今日だ——遅くに巻き貝の一般フロントにたどり着いた。研究部に向かうには例に漏れず鳴海先生の同伴がいるとのことで、明日まで待たされることになってしまった。
「あ~やっっっと揺れない地面だ……ベッドもふかふかすぎ……」
「オレは逆にこんなに広いと逆に落ち着かないっていうか……」
「えっ、地下室の方が居心地いいの?」
「ころすぞ」
鳴海先生の都合で1日遅れることになったからという理由で、彼が用意してくれたスイート。非常に残念ながらベッドルームが二つある。……もう少し気を利かせてくれたらいいのに。いや、もう絶対に圭ちゃんを同意なく襲ったりしたくないんだった。……でも間近で寝顔を見たいなぁ……。
悶々としていると、人生初のスイートルームでジャグジーを堪能した圭ちゃんが戻ってきた。船に乗ってる時はあんなにグロッキーだったのに元気なことだ。
「……へ?」
なんと、圭ちゃんがシーツに身体を滑り込ませてきた! なんで?
タオルで髪についた水滴を拭っている圭ちゃんは、備え付けのバスローブを身に纏っている。シルクのパジャマも置いてあったのに浮かれすぎでしょ。ほんと子どもっぽ——あっ見えた!!
「? お前も早く風呂入ってきたら?」
処理落ちして固まる俺の考えてることなんてつゆ知らず。呑気に入浴を勧めてくる圭ちゃんからぎこちなく目を逸らす。
「……ここ俺のベッドにしようとしてたんだけど。あっちにも寝室あるからそっち使いなよ。......俺と一緒に寝たいって言うなら大歓迎だけど」
「はぁ!? ちがっ……こんなサイズのベッドだからてっきり……!!」
風呂上がりでただでさえ赤みを帯びていた圭ちゃんはさらに紅潮していく。バスローブの隙間から見える肌も血色が良くなり、健康的な色気を放っていた。
「はいはい、もう遅いから寝なよ。 テンション上がるのはわかるけど、探検するなら明日にしなね」
子ども扱いするなと今度は怒りに顔を赤くする圭ちゃんを締め出して俺はシーツに包まった。あれ以上可愛いところを見せられたら堪ったもんじゃない。
悶々とした気持ちでなんとか寝ついた俺は、朝起きてすぐから圭ちゃんに散々振り回された。
ホテル内のラウンジやショッピングに例の海中レストラン。一日で一般エリアの全てを回る勢いだった。……一応誘拐犯といるんだけどもう忘れちゃったのかな。
もういっそ開き直ってるのかも。財布なんて持ってないからと奢らされまくりだ。全然喜んで買うけど。
明日は久しぶりに鳴海先生とロブに会う。研究所から出た後も何度かは通っていたけど、圭ちゃんを連れていくとなるとなんか緊張する。……相性最悪とか言われたらどうしよう。
ちなみに、1日待たせる詫びとしてスイートルームなんかを用意してもらったおかげで、圭ちゃんは鳴海先生のことをいい人だと勘違いしている。会ったらきっとショックを受けるに違いない。 金銭感覚がおかしいだけでただのマッドサイエンティストだし。
「あ~やっっっと揺れない地面だ……ベッドもふかふかすぎ……」
「オレは逆にこんなに広いと逆に落ち着かないっていうか……」
「えっ、地下室の方が居心地いいの?」
「ころすぞ」
鳴海先生の都合で1日遅れることになったからという理由で、彼が用意してくれたスイート。非常に残念ながらベッドルームが二つある。……もう少し気を利かせてくれたらいいのに。いや、もう絶対に圭ちゃんを同意なく襲ったりしたくないんだった。……でも間近で寝顔を見たいなぁ……。
悶々としていると、人生初のスイートルームでジャグジーを堪能した圭ちゃんが戻ってきた。船に乗ってる時はあんなにグロッキーだったのに元気なことだ。
「……へ?」
なんと、圭ちゃんがシーツに身体を滑り込ませてきた! なんで?
タオルで髪についた水滴を拭っている圭ちゃんは、備え付けのバスローブを身に纏っている。シルクのパジャマも置いてあったのに浮かれすぎでしょ。ほんと子どもっぽ——あっ見えた!!
「? お前も早く風呂入ってきたら?」
処理落ちして固まる俺の考えてることなんてつゆ知らず。呑気に入浴を勧めてくる圭ちゃんからぎこちなく目を逸らす。
「……ここ俺のベッドにしようとしてたんだけど。あっちにも寝室あるからそっち使いなよ。......俺と一緒に寝たいって言うなら大歓迎だけど」
「はぁ!? ちがっ……こんなサイズのベッドだからてっきり……!!」
風呂上がりでただでさえ赤みを帯びていた圭ちゃんはさらに紅潮していく。バスローブの隙間から見える肌も血色が良くなり、健康的な色気を放っていた。
「はいはい、もう遅いから寝なよ。 テンション上がるのはわかるけど、探検するなら明日にしなね」
子ども扱いするなと今度は怒りに顔を赤くする圭ちゃんを締め出して俺はシーツに包まった。あれ以上可愛いところを見せられたら堪ったもんじゃない。
悶々とした気持ちでなんとか寝ついた俺は、朝起きてすぐから圭ちゃんに散々振り回された。
ホテル内のラウンジやショッピングに例の海中レストラン。一日で一般エリアの全てを回る勢いだった。……一応誘拐犯といるんだけどもう忘れちゃったのかな。
もういっそ開き直ってるのかも。財布なんて持ってないからと奢らされまくりだ。全然喜んで買うけど。
明日は久しぶりに鳴海先生とロブに会う。研究所から出た後も何度かは通っていたけど、圭ちゃんを連れていくとなるとなんか緊張する。……相性最悪とか言われたらどうしよう。
ちなみに、1日待たせる詫びとしてスイートルームなんかを用意してもらったおかげで、圭ちゃんは鳴海先生のことをいい人だと勘違いしている。会ったらきっとショックを受けるに違いない。 金銭感覚がおかしいだけでただのマッドサイエンティストだし。
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