癒やしの巫女と業務隊長

白玉しらす

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エピローグ

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 一月の婚約期間を経て婚姻を結んだ俺達を祝福して、祝の宴が開かれた。
 通常は砦の酒場で行われる祝の宴は、人が入り切らないと言う事で訓練場に会場が作られ、砦上げてと言っていいほど盛大な物となった。
 純白のドレスに身を包んだ先生は、女子寮が総力を上げたと言うだけあって、光り輝くような美しさだった。
 一応肩章や飾尾を付けて礼装にしているとは言え、いつも通りの制服を着た俺とは大違いだ。
 先生が「すごい!いつもより豪華な隊長ですね!」と喜んでいたのでまあいいが。


「お嬢さんを、必ず幸せにします!」
 一通りの挨拶が終わる頃にはただの宴会みたいになり、会場のあちこちでグラスを打ち鳴らしながら叫ぶ声が聞こえた。
「すっかり流行語ですねー」
「ユイを幸せにするのは俺だ」
 面白くなくて不機嫌な声が出てしまう。 
「あんなに大きい声で叫ぶからですよ。でも、嬉しかった」
 既に酔っ払っている先生は、俺の腕に絡みつきながらとろんとした顔で笑った。早く部屋に連れ帰りたくて仕方ない。
「飲み過ぎなんじゃないか?」
「自分の結婚式では、バケツ不要で飲みつくそうって、昔から思っていたんです」
「バケツ?」
「私の国の結婚式では、新郎新婦は酔うといけないから、注がれたお酒をバケツに捨てるんです。もったいないんです」
「ここでは新婦が酔いそうになったら、新郎が代わりに飲むんだ。そろそろ先生も控えたらどうだ?」
「いやー。私のお酒を取らないで」
「これ以上酔ったら、初夜が迎えられないだろ?」
 耳元で囁くと、先生は赤い顔で俺を見上げた。
「今日までにもういっぱいしてるじゃないですか。だから今日は、とことんまで飲みます」
 顔が赤いのは酔っ払っているからだった。

 確かに、幸せそうに俺のものを受け入れる先生が見たくて、毎日のように抱いてしまった。
 先生に無理させないよう、幾度となく求める事は控えていたが、今日ぐらいは夜が明けるまで求めてもいいんじゃないかと、そう思っていた。
「分かりました。いつもそんな顔でガマンしてくれていたから、今日は私がガマンします。だから今夜は……」
 先生はそう言うと持っていたグラスを俺に手渡し、背伸びをして俺の耳に顔を寄せた。
「セオの好きなだけ、いっぱいして」
「本日はありがとうございました!」
 怒鳴るように会場に向かって礼を言うと、俺は先生を抱えて走るように歩き出した。
「なんですか、急に。どこに行くんですか」
 先生が驚いた声で俺に聞いてくる。
「祝の宴は、新郎が我慢できなくなったら退出していい事になっている」
「ガマンって……ほんとですか?そのルール」

「セオ、あまり無理させちゃだめよ」
「我慢が効かないにもほどがあるだろ……」
「キャーおじちゃんの、エッチー」
 リリーとレイン、子どもたちの声に、不信気だった先生も顔を赤くして信じてくれたようだ。
「業務隊長!頑張ってください!」
「さすが退出が早いっすね」
「何回ヤルつもりなんですか」
「くそっ、二人とも爆発しろっ!」
 騎士たちの冷やかしやバートンのやっかみに、先生は俺の肩に顔を埋めて恥ずかしがっていた。
「巫女、しっかり咥え込んで、たっぷり出されてこいよ!一滴残さず絞りとる勢いで締め上げてやれ!」
「うるさいです!」
 団長が先生に声をかけると真っ赤な顔で抗議していた。


「こんな……恥ずかし過ぎる……」
 俺の部屋のベッドに横たえると、先生はうつ伏せになり羞恥に震えていた。
「祝の宴とはそう言うものだ。気にする事はない」
「みんなこんな、今からやりに行きますみたいな感じで退出するんですか?」
 赤い顔で見つめられ、俺は先生の横に座ると編み込まれた髪をときほぐしていった。
 淫らな先生も堪らなく好きだが、恥ずかしがる先生も同じぐらい好きだ。
「ああ、二人の邪魔をしないよう、残された者達は明け方まで飲み明かす」
 普通は夜までは宴席に残ると言う事は黙っておこう。
「私もそっちの方に……」
「駄目だ」
 逃げられないように腕の中に捕らえてから、キスを落とす。
「駄目だからな」
 まだ何か言いたげな先生のドレスを脱がすと、透けるレースの下着の下、隠しきれていない先生の裸体が目に飛び込んできた。
「ドレスの下はこんないやらしい格好だったんだな」
「リリーさんには正しい祝宴スタイルと言われたんですが……」
「そうだな、正しく俺に火をつけてくれている」
「あっ……」
 いやらしい下着の上から乳首に吸い付けば、先生の身体はびくりと反応良く揺れた。
「あっ、んっ……セオ……」
 足をすり合わせて甘く俺を呼ぶ先生に答えるように、足の間に手を滑り込ませれば、吸い付くような柔らかな肌の感触に血が沸き返る思いだった。
「時間はたっぷりあるんだ。ゆっくり、長く、愛し合おう」
 自分に言い聞かせるように呟くと、もうすっかり慣れ親しんだ先生の身体に快感を与えていく。

 心も身体も溶け合って、一つになるような幸福な時間は、いつまでも終わることがなかった。
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