【完結】本物の聖女は私!? 妹に取って代わられた冷遇王女、通称・氷の貴公子様に拾われて幸せになります

Rohdea

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38. 王都デート(美味しい物を食べる編)にて



「にゃ、にゃん、にゃ~!」

  馬車の中でティティがこの上なく浮かれている。
  窓の外を見ながら早く外に出たいと言わんばかりにルンルンしていた。

「ティティ、少しは落ち着いたらどうだ?」
「にゃー?」

  ダグラス様の忠告も軽く受け流すティティ。

「ティティさんは浮かれながら何と言っているのですか?」
「ご飯、美味しい、ご飯、早く食べたいにゃ~……食べる事一択だ」
「ティティさん……」

  今日も私の可愛いモッフモフの守護者は食欲旺盛だった。
  陛下を交えての話を終えて、聖女に関わる真実や、守護者であるティティの事を知る事が出来た。
  最後はめちゃくちゃになってしまったけれど、王太子殿下の誕生日を祝うイベントも終了したので、本来なら私達は王都から街に帰るべき……だったのだけど。

  (グォンドラ王国の情報が入るまでは王都にいた方がいい……か)

  現在、めちゃめちゃになっているであろうあの国の行く末を知るには、王都に滞在していた方がいいのでは?  という陛下の助言もあり、まだ暫くはこちらに滞在する事にした。
  陛下は気を使ってくれて、何か報告が入る度にダグラス様を通じて教えてくれている。

「……」

  今のところ入って来ている情報は、マリアーナが無事に帰国した事。グォンドラ王国にずっと降り続いていた雨は止んだけれど、ずっと曇りで日が差すことは無く、気温がかなり下がっていてとても寒い……
  そして、やはり王宮は焼け落ちていた。
  また、雷の被害は王都と王宮が中心だったようで、被害は大きく国は本当に壊滅状態となっている……

  (そして、もうグォンドラ王国を捨ててラッシェル国や他国に多くの人が流れ始めている)

  陛下は難民を受け入れつつ、頃合いを見てグォンドラ王国に行くと言っていた。今はその調整をしているそう。
  ───多分、その時が本当にあの国が終わる時、だ。

「ティティの頭の中は、もともといつも美味しい食べ物とリディエンヌの事しかないんだ」
「にゃ!  にゃん!  にゃ~」
 
  ダグラス様の言葉に私は苦笑する。

「でも、今は私の事よりご飯ですよね」
「ああ」

  王都での滞在が伸びたので、今日は元々話していた王都デート(美味しい物を食べる編)を決行する事にした。
  ティティがルンルンに浮かれているのはそのせいだ。

「にゃ!  にゃにゃん!  にゃん~」
「……なぁ、リディエンヌ」

  とにかく外をずーーっと見ていて浮かれて尻尾をフリフリしているティティを見ながら、隣に座っているダグラス様が私の顔をじっと見た。

「神様も驚いているんじゃないか?」
「何をですか?」
「今代の守護者にはとんでもない猫を選んでしまったと……」
「……ふっ」

  ダグラス様の顔が大真面目だったものだから、思わず笑ってしまった。

「……でも、心強かったですよ?」
「うん?」
「ティティさんは、マリアーナとついでにリード様まであんなにボロボロにしてくれました」
「……よっぽど腹に据えかねていたんだろうな」

  神様がティティに私の事をたくさん話していたという事は、あの最も冷遇の酷かった二年間の話を聞いていた……という事。
  そこでマリアーナが私を貶して聖女を騙ったものだから、ティティも許せなくなった……

「リディエンヌ……」

  ダグラス様が私の腕を取って抱き寄せたと思ったら、そのままチュッと軽く唇を奪われた。
  
  (───え!?)
  
「んにゃ、にゃんにゃ、にゃ~」

  こんな所でこんな事を!?
  ティティの猫パンチが飛んで来るのでは!?
  と、思って慌ててティティを見たら、いつもこういう事には敏感なティティには珍しく、外を見てルンルンしたままだった。

「……!」
「(やっぱりな。今のティティなら食い気に走っているから大丈夫な気がしたんだ)」
「(ダグラス様!!)」

  ダグラス様が悪戯っ子のような顔をしながら、小声でそんな事を言う。

「(……言っただろう?  俺はリディエンヌとイチャイチャがしたいって)」
「(そ、それは……わ、私もです、けど……)」
「(俺はいかにティティの隙をついてリディエンヌとイチャイチャ出来るかばかりを常日頃考えている!)」
「(なっ!)」

  ダグラス様──!?  仕事して──!
  直球過ぎて照れてしまう。

「(……照れたな?  よし、リディエンヌ……もう一回だ)」
「(……え?)」

  その言葉と同時に、もう一度優しいキスが降ってくる。

  (……もう!  ダグラス様ったら!)

「にゃ、にゃん、にゃにゃ~」
「……」

  (でも、幸せ……)

  甘くて優しいキスに蕩けそうになりながらも、内心はティティに見つかったら……とヒヤヒヤしたけれど、肝心のティティは全くこっちを見ないで、外を見ながらずっとルンルンと尻尾をフリフリしていた。



───



「にゃーーーーん!」
「ティティ、落ち着け!  走るな、迷子になる気か!」
「んにゃん!?」

  馬車から降りてお店が立ち並ぶ通りに着くと、ティティの興奮が最高潮になった。
  今すぐにでも私達を置いて駆け出そうとするティティ。そんな、ティティをダグラス様が捕まえる。

「にゃーー……」
「抱っこされるのは、ふわふわしたリディエンヌの方がいいにゃ?  我儘言うな!  それから、いつまでも、ふわふわをライバルのお前に譲ると思うなよ」
「にゃ!!」
「……お前はずーーっと一番のライバルだ!」

  ダグラス様とティティのやり取りが微笑ましくて思わず笑みがこぼれる。
  会話が出来るせいなのもあるだろうけれど、陛下も思わず口にしていたように本当に仲良しだと思う。
  



「くっ!  ティティの要求が多すぎる!」
「にゃーー!」
「次はあそこの店?  ティティどれだけ食べる気だ!?」
「にゃーーーーん!」

  さすが食い倒れの旅をしていたティティ。
  次から次へと要求が終わらない。

  (放浪していた割には王都は初めてらしいものね)

「にゃ!」
「……買ってくれなきゃ強奪にゃ……脅すなよ。全く。しょうがないから買ってくる。ここを動くなよ」
「ええ」
「にゃん!」

  そう言って渋々買いに行くダグラス様の背中を見ながら思う。
  ダグラス様もなんだかんだでティティが可愛いのだと。

  (さすがティティ様、最強よ……)

  …………だからこそ私は思う。

「にゃ!  んにゃ!」
「ねえ、ティティさん」
「にゃ?」

  私は只今絶賛お肉を頬張っているティティに向かって声をかける。

「ティティさん、この間、守護者になってからの二年間の話をしてくれたわよね?」
「にゃん!」
「……あの時、あなた少しだけ嘘をついたんじゃない?」
「んにゃ!?」

  ティティがビックリしてお肉から口を離して私の顔をまじまじと見る。
  こういう時のティティは分かりやすいと思う。

「……嘘……とはちょっと違うかしら。通訳してくれるのがから、本当の事は言えなかったのでしょう?  違う?」
「にゃ!?」
「……」

  (あぁ、やっぱり……)

  ティティはやっぱり分かりやすく動揺した。

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